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禁忌を犯せし魔女見習いは、愛しの王子と幸せになりたい。  作者: しゃこじろー


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笑顔

 唐突な提案に困惑した。

 だが、ペラさんが真剣な表情から笑顔になった事に気づいた。


「冗談よ、私も徐々に自分自身を変えていかないとね」

「あ、あはは・・・・・・」


 そうして、ペラさんは照れた様子を見せた。

 その様子を見ていると、ふと、彼女の髪が乱れていることに気づいた。

 私は「失礼します」と一言だけ口にし、櫛でペラさんの髪の毛を整えた。

 すると、彼女は特に抵抗するわけでもなく受け入れてくれた。


「ごめんなさい、みっともない格好だったかしら」

「いえ、とても綺麗な髪の毛ですが、少し乱れておられますので」

「ありがとうカイア」


 いつまでも梳いていたくなるような綺麗な髪。

 しかし、私はすぐさまペラさんから離れた。

 すると、そこにはいつも通り美しいペラさんの姿になった。

 そして、彼女は手鏡で自らの姿を確認した。

 その後、もう一度「ありがとう」と言った。


「所でカイア、今日はどこを見に行くつもりなの?」

「えっと、見に行くというのはどういうことですか?」

「それはもちろん、今日から私たち新入生は属性見学をする日じゃない」


 ペラさんの言葉に一体何の事かと脳内整理していると、徹夜明けの頭の片隅からそれらしき記憶が引っ張り出されてきた。

 

「そ、そう言えばっ」

「今日から本格的に魔女見習いとしての日々が始まるのよ、どこに所属するかは入学式でほとんど決まっているようなものだけど、選択するという大切な権利を行使する日なの、だから今日は大忙しよ」


 選択できる権利、それはつまりペラさんもまたアルバ様と同じく四属性を統べる力を持った『天』か『地』の属性を持つ方なのだろう。


「ペラさんはどこか目星はついておられるのですか?」

「そうねぇ、特に決めてはいないけどカイアは決めてるの?」

「私は・・・・・・」


 思わず言葉が詰まった。

 嫌でもこの事実を突きつけられ思い出さなくてはならない。

 その現実に私は少し憂鬱になった。

 しかし、それを振り払うかのようにペラさんが微笑みかけてくれた。


「カイアも私と一緒で選択できる立場にいる例外なんでしょ?」

「え?」


「あなたの事は知ってるわ、フクロウのシチフクに属性を見出されなかったのよね」

「はい」

「でも、それならそれで選び放題ってことよ、それってとっても自由じゃない?」


 ペラさんが度々口にする【自由】という言葉。

 それは、彼女の中でとても重要視されるテーマなのかもしれない。

 そして、その自由という言葉に私はとてつもなく心を惹かれた。


「自由ですか?」

「そう、私はこの【自由】という言葉が好きなの」


 彼女の言葉を聞いて、自分がどれだけネガティブだったのかを悔いた。

 もっと愛想良く。

 ポジティブに生きてれば、違う未来もあったかもしれない。


 そうして、目の前で笑う彼女の真似をする様に口角を上げてみた。

 すると、ペラさんは私の顔を見て驚いた顔をした。

 そして、すぐに笑顔になってクスクスと笑い始めた。


「ちょっとカイア、急に変な顔をしないでよ」

「えっ、えっと」


 他人から見れば変な顔をしているように見えたらしい。

 けれど、目の前のペラさんが私で笑ってくれたのは少し嬉しかった。


「でも、笑い慣れていないわねカイア、笑顔の練習をした方がいいわ」

「笑顔の練習をするのですか?」

「えぇ、鏡の前で笑顔の練習よ、表情筋を鍛える訓練も必要ね」


 その言葉を聞き、真っ先に思い起こされた鹿乃瑚おば様の怒った顔だった。


 大角邸で働いていた時。

 鹿乃瑚おば様にもよく愛想が悪いとか、笑顔がぎこちないと怒られた。

 そんな新しい記憶が鮮明によみがえり。

 私は笑顔というものに慣れていないのだろうと実感した。

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