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封じられた夜

星が落ちた夜、世界は音を失った。


誰にも知られぬ遥か彼方の空。

万象が凍りつくその場所に、ひとつの影が佇んでいた。


その身は朽ちかけ、魂は崩れ、記憶は深い霧の中に沈んでいる。


彼は名を思い出せない。

何を守り、何を失ったのかも、すでに定かではなかった。


ただ、胸の奥にひとつだけ、確かな痛みが残っていた。

それは誰かを守ろうとした最後の瞬間に、彼が選んだ“終わり”の記憶。


「……あれが、正しかったのか……?」


呟きとともに、空間がひび割れる。

世界を巡る大いなる輪――その歯車が、わずかに回った。


次の瞬間、彼の身体は無数の光の粒となって砕け、やがて地上へと降り注いでいく。


そのうちの一滴が、まだ名前すら持たぬ新たな命へと辿り着いた。


そしてその子が、すべてを忘れたまま目を覚ます頃――

遠い山の中、古の石碑が微かに振動し、封じられた紋様が淡く光を放った。


刻まれていたのは、たった四つの古文字。


「第九世、始まる」


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