いつもの非日常
「、、、、、、、んああ?」
さえずる小鳥の声。それらを狙う猛禽類であろう鳥の羽ばたく音。荒れた道を走っているからガタガタと揺れる車。そして
ギアが駆動し殺意を向けてくる音
「お!やっと起きたかねぼすけ坊主!」
「さっさとこの状況を説明してくれ」
かなり速い速度で走る車に四つのタイヤのような足と六つの関節が異常に多い鉄製の足を器用に動かして追いつかんとしている。それらが生えている本体はでかすぎる丸鋸をブンブンと振り回している。あたりの街灯が次々に切られていく。
「いやあ、お前が寝ている間に見つかってしまってな。すまんすまん」
「でももう一人いるでしょう。そっちに処理させてくださいよ」
「あいつは今車を運転している」
「いや団長今どこに、、、」
振り返ると運転席に座っている眼帯をした小柄だが肩幅が広く、最年長にふさわしいオーラと少々のヒゲが生えた男が座っていた。
これが通称団長。本名を「ラグナス・カール」という。
そしてさらにその奥。フロントガラスを覗けば鉄製のワイヤーが伸びその先に一人の男がつながっていた。多く動いている太い四肢とそれらを合わせてもまだまだ足りないと思わせるほど大きい上半身。ぴっちりと赤い服を着た男が車を引っ張っていた。
「はあ!?流石に速すぎんだろ!」
「あいつ全力出したらもっと速いぞ」
「じゃあ全力出せよ今まさにその時だろ」
「、、、それよりもあなたが倒したほうが楽なのよ!!!!」
「なんで聞こえてんだよ!!このオカマ野郎!!!」
「やだ止まっちゃおうかしら」
「「ぜっっったいに止まるなよ!?」」
よく聞けばエンジン音も聞こえない。
だらける団長はおいといてさっさと狩るか。
隣においてあった箱を開けて剣を取り出す。
いわゆる神器と呼ばれるものだがどうにも蠢いてるような気がして気持ち悪いのだがその切れ味は本物。渋々手に取り機械の方を見る。
「やっとやる気になったか創司。一発でやれよ」
「わかったよ」
「ギギギギギギ、、」
機械を注視して弱点になり得る部分を探す。足の根元やノコギリの駆動部分。そこの隙間など様々な情報が目に入る。冷静に教えられたことを思い出し機械に飛びかかり斬る。
「ギギギ、ガガガ、グギャ」
隙間から入れた剣が内部を破壊して落ちたギアが足にもつれる。一度絡まるとその速度は急激に失速して倒れ込み丸鋸が本体に食い込む。運良く動力源にあたり大きな損傷が加わり、爆発する。
「よし一発、、、って置いてってんじゃねえええ!!!」
無慈悲にも小さくなっていく車、、、ではない。今この瞬間に視界に入っている車はその面積を広げている。まるで何かに引っ張られるように、
「荷台にぶつかって死ぬ!!!」
瞬時に体制を整えて受け身を取る。
「お疲れ様〜。一発も意外と簡単っしょ」
「簡単でしたね、じゃなくて!もっと優しく引っ張れ!!」
「優しくしてあれなんだが〜???もっと鍛えろ」
「そうよ創ちゃん。力とは、正義なのよっっ!!」
「筋肉ダルマが、、、」
おっと自己紹介が遅れたな
俺は創司。フルは「初宮創司」ってんだ
年齢は17歳。ちょっと前までは高校でテニスのキャプテンをしていたんだがいまではこの有り様だ
むさ苦しいおかまと雑な団長と一緒に過ごしている
団長が「ラグナス・カール」でおかまが「グィン・バレッタ」だ
どっちも男だしふたりとも超強い。特にあの筋肉ダルマは倒れないっていう安心感がすごくてな
わるい、長くなった。また今度だな
「オートマターは倒したのになんでまだあいつ走ってんの?」
「この車にエンジンがなかった」
「え?ガソリンじゃなくて?」
「ああ、エンジンがない」
「?????」
おかしい。俺は昨日ちゃーんとエンジンがあってブルブルと音を鳴らしながら煙を出す車の上で寝たはずだ。なのになぜこんな事になっている。
「なぜこんな事になっている」
「前の車がオートマターに壊されたからな。お前の寝てる間に」
「あいつ硬いし創ちゃん寝てるし大変だったのよ?」
「お前はそこから喋るな。遠い」
「まあそんなこんなで見た目が似てるこれになった」
「他にも車あっただろ。ちゃんとエンジンのついてる」
「見た目が似てなかった」
「なに見た目優先してんだよ!!このばかルッキズムが!!!!」
改めてなんでこんな人間についてきたんだろう。いっそのこと獣とかに拾われたほうがまだマシだったかもしれない。 、、、いやそれはないな。
「あんたじゃない人間について行ったほうが良かったかもな」
「今日の飯は刺し身だぞ」
「やっぱりあんたについてきて正解だったと心底思うよ」
「ちょろいわねこのコ…」
どんな世界でも飯がうまいことが一番
初投稿です。
このシリーズをぼちぼち投稿できたらいいなと思っています。
とても長くなる予定はなくやめる予定もないのでぜひ続きを待っていてください。