表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/70

第3話③

蓮の姿を確認した千紘は、蓮の方へと近づき、話しかける。



 「わざわざ待ってたのか?」


 「まあね。ちょっと気になって」


 「気になる?」


 「ほら、幼馴染にフラれたって言ってたから。そういうの心配で気になっちゃうんだよ」



さすが王子と呼ばれるだけの事はあると千紘は思った。

知り合って日が浅い人間に対して、ここまで真摯になれるとは。


ずっと駅前に居るのも邪魔になるので、二人は並んで歩き出す。

蓮は、千紘から話すまで聞く気はないのか、自分の今日の話を始める。

しばらく世間話が続いたところで、千紘が口を開く。



 「……今日な、いつも通りだったよ」


 「いつも通り?」


 「そう。いつも通り」



何も変化のないいつもの日常だった。

茉白の様子に気まずさはなく、千紘だけがどこか居心地の悪さを感じていた。

それすらも馬鹿らしいと思えるほど、茉白はいつも通りだった。

そんな細かい所を言うつもりはなかったが、千紘のどこか寂しそうな表情を見て、蓮は気持ちを察する。



 「千紘君、手出して」


 「手?はい」



蓮に言われたように千紘が右手を差し出すと、蓮はおもむろに千紘の手をギュッと握り観察を始める。



 「ちょ!?早霧!?」


 「私ね、手相占いができるんだよ」


 「はあ?」



突拍子もないことを言い出す蓮に千紘は首を傾げる。

数秒手を観察した蓮は、手を離して千紘に言う。



 「うん!大丈夫、千紘君は前に進めるよ。手相占いでそう出た」


 

蓮は千紘の心を撫でるような笑顔を見せる。

その表情に、千紘は少しドキッとする。



 「……適当言ってるだけだろ?」


 「失礼だね。これでも学校の子達には評判なんだよ」



それは蓮に手を握られるのが嬉しいだけだろと千紘は思ったが、口に出すのはやめた。



 「どうだい?元気出た?」



蓮が千紘の顔を覗き込むようにして聞いてくる。



 「……別に、胡散臭い占いだと思ったよ」


 「な!?全く、君は本当に失礼だね」



千紘は小さく笑い、二人は何気ない会話をしながら帰路に着いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ