第23話②
ミスコンが始まって数十分、既に何人もの女子生徒がステージの上に立ち、自己紹介をしたり、特技を疲労したりと、例年よりも盛り上がりを見せていた。
杉人もその1人で、次々と出てくる女生徒達に、歓声を上げている。
「今の子、めっちゃ可愛かったな!」
「そ、そうだな……」
(確かに容姿は整ってるけど……)
一方、千紘のテンションは、あまり上がっていなかった。
出てくる女子生徒は、ミスコンに出るだけあって、容姿が整っており、愛嬌のある人が多い。
しかし、毎朝整いすぎている少女を見ているせいか、美女に目が慣れてしまっていた。
そのため、千紘はそこまでの衝撃を受けていなかった。
そんな状態のまま、ミスコンは続いていき、いよいよ最後の生徒が登場する。
「それでは、ラストを飾るのは、2年1組の蛍峰 茉白さんです!」
司会の3年生がそう言った瞬間、千紘達を含めた周囲の2年生がざわめきだした。
「今、蛍峰って言ったか?聞き間違いじゃないよな?」
杉人が信じられないと、千紘に確認する。
千紘の耳にもはっきりと聞こえた。
このざわめきは当然の事で、ゴールデンウィーク以降、茉白は一度も登校していなかった。
千紘が連絡することも少なかったし、先生達も心配ないの一点張りだったため、不登校になったという訳では無いと思っていたが、このまま文化祭も欠席するとも思っていた。
そんな中、呼ばれた名前。
否応でも、千紘はステージに目がいった。
そして、ついにその少女は現れた。
裏から茉白が出てきた瞬間、そこにいる全員が固まった。
ステージ上に現れた少女は、薄く氷が張ったような瞳を持ち、細く白い肌は透き通っていて、頭の髪からまつ毛さえも真っ白で
その姿はまるで、雪女のようだと、その場に居た全員が感じた。
千紘以外は。
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生まれた時から、私は真っ白だった。
瞳も、髪も、眉毛も、まつ毛すらも真っ白だった。
私の体は、生まれつきメラニンを生成できない体のようで、全身の色素が白かった。
そのせいか、昔はよくいじめられた。
雪女だとか、老人だとか。
子供は純粋だから、心無い言葉を平気で口にする。
そんな中、生まれた時から一緒の千紘だけが、私を肯定してくれた。
私がいじめられている時も、困っている時も、いつだって駆けつけて助けてくれた。
この時から、私は千紘さえ居ればいいと、思い始めていたのかもしれない。




