表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/70

第23話②

ミスコンが始まって数十分、既に何人もの女子生徒がステージの上に立ち、自己紹介をしたり、特技を疲労したりと、例年よりも盛り上がりを見せていた。

杉人もその1人で、次々と出てくる女生徒達に、歓声を上げている。



 「今の子、めっちゃ可愛かったな!」


 「そ、そうだな……」

 (確かに容姿は整ってるけど……)



一方、千紘のテンションは、あまり上がっていなかった。

出てくる女子生徒は、ミスコンに出るだけあって、容姿が整っており、愛嬌のある人が多い。

しかし、毎朝整いすぎている少女を見ているせいか、美女に目が慣れてしまっていた。

そのため、千紘はそこまでの衝撃を受けていなかった。

そんな状態のまま、ミスコンは続いていき、いよいよ最後の生徒が登場する。



 「それでは、ラストを飾るのは、2年1組の蛍峰 茉白さんです!」



司会の3年生がそう言った瞬間、千紘達を含めた周囲の2年生がざわめきだした。



 「今、蛍峰って言ったか?聞き間違いじゃないよな?」



杉人が信じられないと、千紘に確認する。

千紘の耳にもはっきりと聞こえた。

このざわめきは当然の事で、ゴールデンウィーク以降、茉白は一度も登校していなかった。

千紘が連絡することも少なかったし、先生達も心配ないの一点張りだったため、不登校になったという訳では無いと思っていたが、このまま文化祭も欠席するとも思っていた。

そんな中、呼ばれた名前。

否応でも、千紘はステージに目がいった。

そして、ついにその少女は現れた。

裏から茉白が出てきた瞬間、そこにいる全員が固まった。

ステージ上に現れた少女は、薄く氷が張ったような瞳を持ち、細く白い肌は透き通っていて、頭の髪からまつ毛さえも真っ白で

その姿はまるで、雪女のようだと、その場に居た全員が感じた。

千紘以外は。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



生まれた時から、私は真っ白だった。

瞳も、髪も、眉毛も、まつ毛すらも真っ白だった。

私の体は、生まれつきメラニンを生成できない体のようで、全身の色素が白かった。

そのせいか、昔はよくいじめられた。

雪女だとか、老人だとか。

子供は純粋だから、心無い言葉を平気で口にする。

そんな中、生まれた時から一緒の千紘だけが、私を肯定してくれた。

私がいじめられている時も、困っている時も、いつだって駆けつけて助けてくれた。

この時から、私は千紘さえ居ればいいと、思い始めていたのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ