表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/70

第19話④

 「なんか、変な奴だったな」



青年が去って行った方を見ながら、千紘が言う。

そんな千紘を見ながら、蓮は尋ねる。



 「……何で否定しなかったの?」


 「何が?」


 「千紘君、私の彼氏だって勘違いされたけど?」


 「別に、二度と会うこともない奴に、否定する意味もないだろ。あ、悪い、嫌だったよな!」


 「え!?いや、嫌とかは、別に……」


 「え?そ、そうか?」



2人の間に、気まずい沈黙が流れる。

そんな空気を変えようと、蓮は言う。



 「そ、それにしても、私も捨てたものじゃないね。ナンパされるなんて、もしかして、王子キャラ以外でもやれるかな?なーんて……」



蓮が冗談混じりでそう言うと、千紘は少し怒ったような顔をしている。



 「……あんまり、そう楽観的に考えるなよ」


 「い、いやだな〜、冗談だよ!」


 「冗談とかじゃなくて、本当に危ない事だってあるんだからな」


 「うっ!」



千紘の真面目な説教に、蓮は反省する。

その様子を見て、千紘にもその気持ちが伝わる。



 「とにかく、これからはもっと気をつけろよ。早霧は女の子なんだから」


 「え!?」


 

突然の発言に、蓮はまた驚く。



 「なんだ?変な事言ったか?」


 「い、いや、いきなり女の子なんて言うから」


 「それがどうした?」


 「べ、別に!?」



蓮の様子は明らかにおかしかったが、本人が大丈夫と言う以上、千紘も追求はしない。



 「そろそろ時間だし、帰るか」


 「そ、そうだね」



そう言って、千紘は駅の方へと歩き出す。

その後ろを蓮はゆっくりとついて行く。

目の前の千紘の背中が、蓮はいつもより大きく感じた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 「……女の子、か」



敦子の家に帰って来た蓮は、敦子がお風呂に入っている間の一人の時間に、昼間の事を思い出していた。



 「……いつもは、私が守る側なんだけどな」



学校帰りや休日、いつだって蓮は、同級生の王子様だった。

王子の仮面を被っている時は、いつもより強い人間になれる。



 「……なんか、むず痒い」



女の子扱いや、守られる事に慣れていない蓮は、今日の千紘を思い出し、なんだか胸がムズムズとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ところで、これも盗撮されているのでしょうね。きっと。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ