第18話②
「いやはや、まさかこんなところで会うとは、偶然だね〜」
「そうだな、まあこの辺りに普段は来ないから」
昼時で賑わっている事もあり、敦子が良い言ったため、千紘は相席をすることに。
注文を終えたところで、敦子と千紘は世間話を始める。
「今日は早霧は一緒じゃないのか?」
「いや、後で来るよ。昨日私の家に泊まりに来てたし」
「それなのに、別々で来るのか?」
普通泊まっていたのなら、昼食くらい一緒にすると思い、千紘は質問する。
「あはは、まあちょっとね」
敦子は誤魔化すように笑う。
「ところで、千紘君はどうしてここに?」
「ああ、実は─」
千紘は、家の花屋が造花のデリバリーを始めた事、それをお客さんに届けに来た事などを説明する。
「ほえー、連休初日からお疲れ様だね〜」
「まあ、売上が上がるからいいさ」
それからも、2人は世間話を続ける。
最近ハマっているゲームの話だったり、せっかくだからと連絡先を交換したり。
10分程経ったところで、お店の扉が開く。
「お!来たきた。おーい!」
どうやら蓮が来たようで、敦子が大きく手を振る。
「敦子、やっぱりこの服、私には─」
席に近づいてきた蓮が、千紘の存在に気づく。
その瞬間、蓮の顔が真っ赤に染まる。
「な、ななな何で千紘君が!?」
「いや〜、偶然この店に入ってきてさ〜」
敦子はニヤニヤしながら答える。
蓮は、パクパクと口を動かしながら固まっている。
千紘も少し気恥しそうに目を逸らす。
「似合ってるよ〜、蓮」
敦子は蓮の肩に手を置きながら褒める。
蓮は、いつもの男物の服ではなく、長いスカートを履き、フリフリの女性物の服を着て現れた。