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第6話①

3月初旬、学年末テストが終わった放課後、蓮はクラスメイト達と学校から一駅のスイーツ店に来ていた。



 「王子、今日は付き合ってくれてありがとうございます!」


 「気にしないで、私もちょうど甘いものが食べたかったし」


 「でも、私達が王子の時間を奪っちゃってるんじゃ……」


 「全く」



蓮は申し訳なさそうな顔をするクラスメイトの顎をクイッとあげて言う。



 「君達のような姫に時間を使えるんだ、これほどの幸福はないよ」


 「「キャー!王子かっこいいー!」」



二人のクラスメイトは黄色い悲鳴を上げながら、頬を染めている。

その後ろで、もう一人のクラスメイトが笑いを堪えている。



 「私達が王子の分も取ってきますね!」


 「そう?なら、お言葉に甘えて」



二人のクラスメイトが席を立った瞬間、蓮は向かいに座るもう一人にジト目を向ける。



 「何か言いたげな顔だね」


 「んー?べっつに〜……ぷふっ」


 「笑わないでよ、敦子!私だって結構恥ずかしいんだから!」



蓮の王子姿を笑っている少女は垣根(かきね) 敦子(あつこ)

蓮の友人で、蓮が王子キャラを作っている事を知っている人物だ。



 「ごめんごめん、面白くってつい」


 「全く、他人事みたいに言ってさー」


 「だって他人事だもーん」


 「他人事じゃないでしょ!そもそもは敦子のせいなんだから!」


 「えー?そうだっけ〜?」



蓮が言うように、王子キャラが完成した経緯には敦子が関わっているのだが、それはまた別の話である。



 「まあいいじゃない、あんなに慕われてるんだからさ」


 「それはそうだけど……」



蓮は机に置かれたブラックコーヒーを苦そうな顔をして飲む。



 「そんなに嫌なら甘いの飲めば?」


 「今更あの子たちの前でそれは無理」



蓮は甘いものが好きなのだが、カッコイイ男はブラックコーヒーを飲んでいると聞き、以来苦くてもブラックを飲んでいる。

だからこそ、今日この店に誘われたことは、蓮にとっては好都合なのだ。

ケーキを楽しみに敦子と話していると、店の入店音が鳴り響く。

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