9 ゆっくり空を飛びたいな。
ゆっくり空を飛びたいな。
相手機は新型機だった。この間相手にした機体の個人的にカスタムをした機体のようだ。カラーリングは黒。ハラは敵機に弾丸を叩き込んだ。
新型機の機銃は一門。でもその性能は高い。落とした。ハラは直感する。でも相手機はハラの弾丸をかわした。ハラは驚く。そしてそのまま相手機の横を通るようにして嵐の中ですれ違う。
当たらなかった。こいつ。私よりも飛行機乗りとしての腕が上なの?
ハラは飛行機を上昇させる。速くて自分の思い描いた通りに飛行機は動く。飛行機の性能がハラの飛行機乗りとしての腕にちゃんと追いついている証拠だった。
ハラは相手機の後ろをとる。新型機じゃなかったらたぶん私は今日ここで死んでいた。でもこの飛行機なら勝てるかもしれない。飛行機乗りの腕は負けていても、飛行機の性能ではたぶんこちらが勝っている。
ハラは弾丸を撃つ。しかし相手機はまるで後ろにも目があるようにハラの弾丸をかわした。相手機は動きを変えて嵐の雷雲の中に身を隠そうとする。それをハラは阻止しようとするが止められない。すごい。こんな飛行機乗りがいるんだ。世界は広いな。ハラは思う。