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29 黄色い飛行機
黄色い飛行機
「相変わらず乱暴は飛びかたをしてるな」白狐を整備しながら整備長は言った。
「なんだか疲れちゃた」ハラは言う。
「優秀な後輩ができて気がゆるんだんじゃ無いのか?」整備長は言う。
確かに雪風は結果を出してくれた。雪風がいればハラがいなくても基地は向こう側の攻撃に対してある程度(ハラがいるのと同じくらい)対抗することができるだろう。
だけどまだ余計なやつがいる。赤い死神だ。あいつは、カラは雪風に死を与えるためにこの空にやってきたわけじゃ無い。カラは私に死を与えるためにこの北の空の中にやってきた。赤い死神は私が倒さなければならない相手だ。
「弱点は見つかりそうかい?」と整備長は言った。
「心当たりはついてる」ハラは言った。
「へー。さすがだな」感心した顔をして整備長は言う。
「どんな弱点があるんだ?」
「秘密。これは誰にも言えない。あなたが向こう側の『スパイ』である可能性だってある」ハラは言った。
「俺がスパイだったらお前はとっくの昔に飛行機事故で空の中に消えているよ」と笑いながら、整備長は言った。(それはその通りだとハラは思った)