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後ろから二機、敵機が接近している。飛びかたから予測して一機はベテランのパイロット。もう一機は新人のパイロット。
敵の放つ弾丸を避けながらそんなことをハラは考える。前方に巨大な雲海が広がっている。その雲の海の中にハラは迷うことなく突っ込んだ。
敵機のうち、ベテランパイロットは雲の海の中に入ってこなかった。でも新人のパイロットはおそれを知らずに雲の海の中にハラを追いかけて入ってきた。
ハラの視界は急に真っ暗になった。しばらくそのまま全速力で飛行機を飛ばしていると世界が一瞬とても明るい色に染まった。とても巨大な紫色の光。雷光だ。その直後、耳を覆うように、竜の咆哮のような轟音が轟いた。
ハラは光の中で敵機の位置を確認する。真っ暗になった世界の中で、ハラは飛行機を回転させて敵機の上空に飛行機を移動させる。そして迷うことなく引き金を引いた。
着弾。
ハラが敵機の横を通り過ぎるときには、敵機はエンジンから黒い煙と火を出して、バランスを崩しながらその高度をゆっくりと落とし始めていた。
雲の海から飛び出すと世界は真っ青な色になった。その瞬間、横から弾丸が飛んできた。そのことを予測していたハラはその弾丸を避けると飛行機を回転させながら敵機の背後を取ろうとする。でもなかなか背後を取ることができない。やるな。とハラは思う。