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「ねぇ、秋山君。今少し時間あるかな?」


「えっ?」


 いきなり声をかけられ、振り向くと、そこには夏川さんともう1人女子がいた。


 すごい圧で女子から睨まれてるんだけど俺何かしたか?


「えっ?じゃねえよ!時間あるのかないのか聞いてんだけど?」


「もう優美!そんな聞き方はないでしょ?コッチから質問してるんだから」


「でもさぁ~」


 凄く圧をかけながら話してきた優美と呼ばれる女子は、夏川の一言でまるで、散々吠えてた犬が飼い主に怒られてシュンと耳を下げるみたいだった。


 なんだろ……夏川さんより、少し背の低い優美って子なんだか……


「チワワみたい……」


 やべ!思わず心の声が口にだしちゃった!


「はぁ!?今なんて言った!」


「優美!ごめんね夏川君」


「なんで海花が謝るのさ! コイツ私を見ながらチワワ言ってきたんだよ!?」


「ごめん、悪気はなかったんだ」


 初対面の人にいきなりチワワとか言われたらそりゃ怒るのは当然だし、ちゃんと謝っとこう。でも、そう見えちゃうんだから仕方ないよなぁ。


「ほら、夏川君も悪気がない言ってるし、チワワって可愛らしいから、優美の事きっと可愛いって思ってくれてるのかもよ?」


「はっ?初対面でチワワに例えて可愛いと思ってるとかキモイんだけど?」


「違うからな!?小さいのにキャンキャン吠えるのが似てる……あっ!」


 やべ、つい本音が……


「はぁ!?今なんて言った!」


「優美!」


「だって今コイツハッキリと」


「優美、コイツじゃなくて秋山君だからね?もう、こうなるから、だから1人で話すって言ったのに」


「そう言えば、何か用だったんだよな?」


 今なお俺に、牙を剥き出しにグルルッと唸るように睨みつけてくるチワワ改め優美さんを他所に、要件を聞くことにした。


「えっと秋山君は、部活まだ決めてないよね?」


「あぁその事か、どうもコレってのが無くてな」


 1年は、部活加入必須という、謎の習慣がこの高校にはあるのだ。まぁ、それでも合わないからと、すぐ辞める生徒もいるらしく、2年になると普通に帰宅部の人もいるらしい。なら、最初から帰宅部と言う部活を作ってくれたら良いのにな。


「だったら、私と優美あともう1人居るんだけど、今度部活と言うより同好会規模の活動をするんだけど、良かったらどうかな?」


「えっと、なんで俺?今の聞く限り、仲良しグループが集まる感じだけど、俺って夏川さん達とちゃんと話すのって、今日が初めてな気がするけど?」


 設立する最低人数的なので、頭数としてって事か?


「そうなんだけど…」


「まぁ、人数合わせだとしても、お互いメリットしかないし、俺は別に構わないぞ?」


「ホント!?それなら助かるよ!あともう一つお願いがあって……顧問の先生についてなんだけどね」


「顧問?誰か決まってるのか?」


「春野先生にお願いしたいなと」


 はい!?なんでそこで、かあ……春野先生が出てくるんだ?


「そ、その事でなんで俺が関係あるのかな?」


「えっ?だって春野先生と秋山君って仲良いよね?」


 確かに、仲はいいけどさ! 良いけどそれには理由があってだな……


「か、仮に仲良くても、それだけでやってくれるとは限らないし、そもそもどんな活動するかも俺聞いてないんだが?」


 内容が分からないと頼み用もないしな!


「あっ!そうだったね。活動内容はね……」


 そう言って、少し躊躇い、意を決して顔で俺の方を見つめながら……


「鴻鳥の揺りかごによって産まれた私達のもう片方の人を探すのが活動内容なの」


 ……え?


「いやいや、無理だろそれ!そもそもどうやって探すんだよ!」


 そう、鴻鳥のゆりかごによって()()()()()は、もう片方の生みの親について、知る術はほとんど無い。もし、もう片方の親の方が生活が良かったりした場合、それを知った子供の成長過程に支障を来す恐れがあるからだ。


「それについては、色々考えてる事もあるし協力者もいるよ。だからお願い!私は、どうしても逢いたいの!もちろん優美ともう一人の子も同じ気持ちで集まってくれた子達なの!」


 そう言いながら夏川さんは、頭を下げた。

 いや……でもなぁ……仮に手段があったとして、それを俺が言うのもな……


「あっ!ユウちょうど良かった!少し手伝って欲しいんだけど……」


 なんで今現れるかな!?タイミング悪すぎだろ……


 俺は、そんな事を心の中でぼやきながら、声のした方へ振り向くと、そこには……


()()()()……タイミング悪すぎだろ……」

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