異世界転移は冷静に
「おい、天原」
「私の授業中にずっと電子辞書を眺めて、私の話を聞いているのか?」
まずい、全く聞いていなかった。さすがにバレてしまった。
英語の授業は退屈過ぎていつも知らない単語を調べているフリをして、偉人の色々ぶっ飛んだエピソードを調べて暇を潰していた。そんなことをしているうちに歴史を調べることが好きになっていった。
「すみません、色々単語を忘れてしまって調べていました。」
俺たちの前の世代は、適当な大学に進学して就職という流れが一般的だったらしいのだが、今では高校卒業から一般企業、大企業に就職が一般的になっている。そのため、高校生からしっかりと勉強しなければならない。真面目な者が多い。
「歴くんっていっつも電子辞書見てるよね」
「何見てるの?」
3年間1人も友達がいない俺にも微笑みながらこっそりと話しかけてくれた彼女は月城美玲。頭脳明晰、容姿端麗を兼ね備えた完璧人間だ。俺自身、人にあまり興味を持つことはないが、そんな俺が顔を眺めてしまうほど綺麗な人である。
「あ、、偉人のエピソードを...」
説明をしようとした瞬間、床に魔法陣のようなものが浮かび上がり、強く発光した。
「え!?なに!?」
「おい、なんだよこれ!」
クラスのみんながパニックとなっている。先生ですら何がどうなっているのか分かっていない。
(嘘だろ。ほんとにこんなラノベみたいな事有り得るのか?....)
ふと、月城のことが気になって隣を見てみたら、かなり動揺しているようだった。
人がパニックになっている時、逆に俺は冷静でいられる。昔から自分を俯瞰的に見ることは得意だ。この後、俺たちはどうなるのか、こんなこと現実的に有り得るのか、少し興奮した気持ちを抱えながら俺は意識を失った。
大学の授業中に暇で書いてるのでかなりペースは遅くなります。次回以降一気に出したいと思ってます!