表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/18

2 ストレス無しで過ごしたいのに

 注文した“ゆらりんこ”とおまけの体重計が届くまで2週間ほどかかるらしい。

 でも届いたらきっとすぐに痩せるから何か美味しいものでも食べようかな~。


 なんて思いながら数日後。


 ご飯の買い物をして帰宅、食材を仕舞うため冷蔵庫を開けた。


 けどすぐに閉めた。


 なんで隙間が無いんだよ……!


 冷凍庫の中は大体把握している。

 調味料とあとは野菜庫にカロリーハーフのチーズくらいしか入っていなかったはずだった。


 なのに。


 独り暮らし用の小さな冷蔵庫の中はぎっしりと入れた覚えのない納豆や豆腐や小さな乳酸菌飲料の容器のパックが詰まっていた。小さな野菜庫にも1/4カットの白菜が詰め込まれていて、その下に今取り出そうと思っていた使いかけのチーズの袋がある。この分だと野菜庫の中のチーズは潰れているに違いない。


 冷凍庫を開けてみてもカット野菜と冷凍ハンバーグが詰まっている。


 ついでにレンジ台の下の、食料保管庫にしている扉も開けてみる。

 そこにも案の定、見覚えのない乾麺の袋やパスタソース等が乱雑に詰められていて、お茶パックのストックや使いかけの乾燥カットわかめが奥に押しやられている。


 そしてシンクを見ると、使った後の鍋や食器が汚れたまま流しに放置されていた。


 本当にもういい加減にしてほしい。


 テレビのある居間にしている部屋をちらりと見ると、テレビの前のローテーブルの上に隙間なくごちゃごちゃと小物や紙を載せて、自分の前だけ確保しているスペースで食事をしているアラフィフ女。


 いや、私もアラフィフなんだけど、こいつの方が10か月歳上なんだ。


 つか、流しの食器はなんだ?

 まさかこれの前に食事をして片づけもしないでまた作って食べてるの!?


「………ただいま」


「おかえり~」


 いらっとする。

 ローテーブルの上どころかローテーブルの周りにも荷物が積み上げられている。


 なんで私が座るところに紙の束が積み上がってんの?

 ローテーブルもモノだらけで私がご飯食べる場所すらないんだけど。


 マグを置く木製のソーサーもスマホのスタンドもテーブル隅に追いやられている。


「冷蔵庫いっぱいなんだけど」


「あー、今日スーパー行ってきた」


「入らないんだけど」


「え、ほんと?ごめーん」


 しゅんとしてはいるがなんとかしようとはしないようだ。食べかけの食事を放置してテレビを見ながらスマホをいじっている。

 またCSの海外ドラマか。ずっとテレビを付けっぱなしにされていると海外ドラマが嫌いになりそうだ。


「………ねえ。

 いつまでいるの?」


「んー。引っ越し先が決まったら」


 いらっ。

 こいつは別に住むところがない訳じゃない。


「別に引っ越さなくてもいいから帰って欲しいんだけど」


「だって荷物がいっぱいなんだもん。電気も止まってるし」


「早く出てって欲しいんだけど。……いつ出てくの」


「んー。来月には」


 それ、先月も言ってたよね。


 仕事場に半ば住んでいたこの元同級生が、会社内の警備体制の変更で寝泊まり出来なくなって何故か家に転がり込んできてから早1年半。

 練馬に借りているはずのアパートが寝る場所すらなく荷物で埋もれているから少しの間泊まらせてと言われて1年半……!!


 なぜあのとき私は承諾してしまったんだろう。

 そう。確か『家賃払うから』って言われて、居間の片隅にマット敷くくらいはいいかって思って…。以前も数日泊まりに来たことがあったし……。


 まさか一度も家賃を払うこともなく1年半も居座られるなんて思ってもいなかった。


 言ったよ?

『もう少しいていい?』って言われた時に『家賃は出ていくときにまとめて』って。

 だってまさか彼氏でもないのにこんなに長い間居座られるなんて……!いや、彼氏だとしてもあり得ないけど!!


 わかってる。

 これは完全に訴訟案件だって。


 でも大事にしたくないんだよ。

 事を荒立てたく無いんだよ。


 でもアラフィフになっても結婚もしないでお気楽ぼっち生活を楽しんでいたのに、最近はどうやったらこいつが出ていってくれるのか、そればかり考えている。


 はあ……。

 ストレスだ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ