裸の王様
4:裸の王様
▼
旗、ゆらゆら。
▼
王様、いいことが好き。民ちゃんを喜ばせたい。
王様「言論の自由なんて、どうじゃろ。民ちゃん喜ぶ?」
家臣「ちょっ王様、正気ですか?」
家臣「絶対王政ぶっ壊れですよ」
家臣「教会から殴られます」
王様「むむむ、言われてみれば……」
家臣はみんな、正直者。
ズバズバ言うよ、正直者。
王様「基本的人権って、どうじゃろ。民ちゃん喜ぶ?」
家臣「ちょっ王様、ウチの財政ファイアボールですって」
家臣「絶対王政ぶっ壊れですよ」
家臣「貴族連中から殴られます」
王様「むむむ、言われてみれば……」
意見がなかなか通らない。
王様、面白くない。
そうなのだ、面白くないのだ。
話は変わる、
王様、ファッションが大好き!
王様「やっほうみんな、南国のアロハシャツ、どうかなー」
詐欺師「素晴らしい」
詐欺師「ファッションデザイナー一級建築士!」
王様「え、まじで、そこまで?」
詐欺師「それはもう、民の景気も爆上がり!」
詐欺師「経済インフレ鯉のぼり」
王様「いえーい、フラダンス、踊っちゃうよぉ〜」
王様、めっちゃ楽しそう。
そうなのだ、楽しいのだ。
▼
旗、パタパタッ
▼
政治、げっそり
遊び、楽しい
政治、げっそり
遊び、楽しい
政治、やだやだ
遊び、のめり込む
歪むよ歪む、価値観は歪む。
ほめられ慣れて、ほめられ依存
さあさあ大変、さあ大変
自分で自分が、分からない。
他人の評価が、ものさしさ。
▼
旗、バタバタバタバタバタバタ
▼
ある日
詐欺師「王様ー、聞いてください〜」
詐欺師「伝説の服ですよ〜」
王様「なんだって!」
ダッシュ! 会議など知らぬ
詐欺師「【真実の服】」
詐欺師「正直者しか見えない」
王様「え、見えないぞ?」
見えないぞ!
詐欺師「え」
詐欺師「え」
王様「え?」
デデデデーン (効果音)
詐欺師「ひそひそひそ
(王様、もしかして正直者でいらっしゃらない)」
詐欺師「ひそひそひそ
(よく考えると、その節はある。チャラいし)」
詐欺師「ひそひそひそ
(あの笑顔には、裏がある?)」
詐欺師「ひそひそひそ
(民を想う気持ちも、裏がある?)」
聞こえてるぞー!
ゾワゾワッ!!
王様「ジョ、ジョーク、ジョークだってもう。
鵜呑みにしないでちょうだい」
詐欺師「さっすが王様」
詐欺師「そうだと思ったよチクショー!」
王様「はっはっは」
詐欺師「はっはっは」
詐欺師「はっはっは」
さあさあ大変 さあ大変
後戻りは、できないッ!
家臣「王様ー、なんつー格好で、さては貴様ら
何かよからぬ事を吹き込んだなー!」
詐欺師「なにを言う、お前こそ真のホラ吹きだ」
詐欺師「さあさあ王様、真実パワーを見せるのです」
国王「え、え、ええ、どうしよう」
あたふた あたふた どうしよう
詐欺師を糾弾すると、おバカがバレる、あとでみんなに怒られる。恥ずかしいよ。
でも家臣を糾弾したら、大事な人の首が飛んじゃう。
どうしよう どうしよう
家臣「さあ、どっちを選ぶのです?」
詐欺師「もちろん私たちですよね?」
家臣「さあ」
詐欺師「さあ」
「「「さあ」」」
国王「うおっほん。これは【真実の服】である
嘘つきには見えんのだ。本来なら処刑だが
お主は政治で疲れておる。今回だけ特別だ」
決まった
器のデカさを演出できたぞ。やったぁ!!
▼
旗、べりべり
▼
一年後、国はボロボロになりましたとさ。
めでたし めでたし
詐欺師、大歓喜