北風と太陽
3:北風と太陽
◯旅人のマントを脱がせるゲーム
北風
「お前は本当に迷惑なヤツだな」
旅人
「ウウッ、寒いよ」
北風
「脱がしてやろうとしてるのに、わざとマントにしがみつく」
旅人
「寒すぎる。辛い」
北風
「自分で脱げるのに脱がない。やる気ないだろ。嫌がらせか、ああ?」
旅人
「やめて、寒いよ、苦しいよ」
北風
「被害者はこっちなんだよ。頑張ってるのに恩を仇で返される。いいから言うことを聞け」
旅人
「ごめん……なさい」
太陽
「そこまでだ。私のターン。」
北風
「くっ……いいだろう、やってみろ」
太陽
「さあ全身で浴びるがいい、太陽エネルギーを」
旅人
「おお、暖かくなってきた」
太陽
「荒れた吹雪で辛かろう。まずゆっくりと、歩くがいい」
旅人
「力がみなぎる、なんだか歩けそうだぞー」
こうして旅人は、歩いているうちに体温が上がりマントを……
北風
「ちょっと待て!」
おやおや? 乱入です
北風
「俺はアイツのためを思って厳しくしてるんだ。ぬくい環境では誰でもできるんだよ、甘やかしてもソイツのためにならない。お前のやり方は違うんだよ。分かる? 言ってること分かる!?」
あらら。ゲームの主旨を、忘れてる。
自分の否、認めるの痛い、忘れてる。
こうして弱った旅人は、今でも凍えているのです。
BAD END