オオカミ少年
2:オオカミ少年
少年、ちょっと辛いことがあった。
イタズラしたくなり、
「オオカミだー、オオカミが来たぞー!」
村の大人たち、
「な、なんだってー!」
慌てふためき、何もない。
味をしめしめ、もう一回。
「オオカミだー、オオカミが来たぞー!」
「なにぃ、ってまたアイツか」「迷惑なやつめ」
また辛いこと、3回、4回、5回……
「オオカミだー、オオカミが来たぞー!」
「またアイツか」
「そうかそうか。あいつは嘘つきだったんだな」
「嘘つき」「ホラ吹きやろう」
傷ついた
少年、カッとなって
「自分は悪くない! えーと、俺は無垢で無知で繊細で未熟な子供、だから嘘をついても仕方ない。嘘つきのレッテルを貼るなんて大人気ないじゃないか。弱い者いじめだー!」
「我々は悪くない! えーと、お前が迷惑をかけても今まで我慢して普通に接してきたじゃないか。けれどお前は俺たちの良心を踏みにじった、恩を仇で返すやつだ!」
ぎゃーぎゃーぎゃー
「俺は悪くない、お前らが悪い」
「俺らは悪くない、お前が悪い」
「俺はこんなに傷ついた」
「お前のは違う、俺らこそ傷ついた」
「俺は頑張ってるのに」
「俺は頑張ってるのに」
あーあ、引くに引けなくなっちゃった。
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
ワオーン!
少年、オオカミになる
村人、オオカミになる
がぶがぶ
大人は怒鳴り、少年を矯正しようと、
少年は意地固、大人を諦めさせようと
みんな苦しくなってきた。
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
一匹狼の軍勢
そこに、旅人が、やってきた!
純粋無垢な、青年だ。
オオカミが、深刻な顔をしているぞ。
手を差し伸べて
「大丈夫かい、困ったことがあれば、相談に乗ろう」
オオカミ少年
「実は、大人たちが、寄ってたかって、俺を責め立てるんだ。こんなに苦しんでいるのに、アイツらは人の心がない」
「よしよし大変だったろう。でもね、噛みつき合っても解決しないよ。歩み寄って、まずはゆっくり話してみよう」
この発言は、いけませんね。
どこがいけないか、わかりますか?
少年の心
「(待ってくれ、それじゃまるで俺まで悪者みたいじゃないか。アイツらが変わらないのが悪いんだ。でも素直に言うと格好がつかないじゃん。うーん、うーん)」
◯和解の場
旅人
「うんうん。ちょっとした事故だったんだね。お互いもう十分頑張ったのだから、仲直りをしよう」
オオカミ少年
「旅人さんはいい人だ。でもさ、大人たちは誰一人として手を差し伸べなかったよねー」
大人
「ああ、お前が意地張ってたのが悪いんじゃねえか。あんなに手をかけてやったのに」
オオカミ少年
「俺は精神的に余裕がなかったんだよ。お前らはただ悪口言ってただけじゃねーか」
大人
「俺らは専門家じゃないから仕方ないんだよ。お前こそ全く努力しなかったじゃないか」
「なんだとー」
「なんだとー」
ワオーン
ガブガブガブ ガブガブガブ
「俺は悪くない」
「俺は悪くない」
「お前が悪い」
「お前が悪い」
「俺はこんなに傷ついた」
「俺はこんなに傷ついた」
「あんなに頑張ったのに」
「あんなに頑張ったのに」
「どうして俺だけこんな目に」
「どうして俺だけこんな目に」
もはやテンプレ
旅人
「あわわ、みんな落ち着いて」
「うっせえ元はと言えば、お前のせいだ」
「他所の事情に軽々しく首を突っ込むな」
「お前のせいでこうなったんだぞ」
「お前のせいだ」
「お前のせいだ」
「お前のせいだ」
ガブリ
青年は、純粋な心を噛まれて。オオカミになってしまいましたとさ。
BAD END