48.5
「どうなっているんだ!?」
「事態が収束しているぞ!?」
「どこか、なにか計画に落ち度があったんじゃないのか!?」
「そもそもこの計画自体が」
「うるさいぞ! お前だって」
仮面の人物たちが責任転嫁と非難の声を浴びせ合っていた。
会議室はいつになく混沌としていた。
「烏合の集め……」
「聞いているのか!? お前、お前がこの計画の責任者だろう!?」
象の仮面をつけた人物が、男に叱咤した。
「つつがなく、とだけ。今はまだ計画の最中です」
「な、なにをいけしゃしゃと! 聞いていた内容とはまるで違うではないか!」
「つつがなく。ご安心ください」
最後に笑うのは、私だ。
「無能な愚図ども。ありふれた強欲に捕らわれ、何も見えていない」
警視庁のマークが打たれた護送車が、壁に突き刺さっていた。
「あ、が、ゴ、ッ!?」
音を立てて警察官の顎が握りつぶされる。
それを行うのは、年端もいかない少女だった。
ショッキングピンクのパーカーを着た彼女は、ゆがんだ嘲笑を顔に貼り付け首を鳴らす様に左右に頭を振った。
「いいぞ、踊れ踊れ。全員、殺してしまえ。欲深な愚か者共」
少女の口からこぼれた言葉は、誰も聞いていないだろう。
護送車からは自我を失ったような、虚濁した瞳を向ける少年少女たちだけが降りてくる。
その異様な光景を、自動運転の車に乗る人々は誰も気付かずに真横を通り過ぎていった。




