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「いあー、あんなのと一緒に試合とは、男子は怖いものしらずですなぁ」
「ほんとほんと」
笑う女子たち。横目で見た先では、先制点を優姫に奪われている所だった。
だらだらと怠ける女子たち。その中に混じった愛海は、改めて見る優姫の戦闘能力の高さに軽く引いていた。男子たちの顔が青ざめる。一方的な虐殺ゲームが始まっていた。
一方やっとラリーを始めた女子たちは、やはりだらだらとしていた。
「そもそも、あんなにやる気になれない。眠い」
「間違いない。だるい」
うんうんとうなずく愛海。しかしそれを見ていた女子の一人が、いやいやと首を横に振った。
「行村さん。やろう」
色白な生徒が多い中、一人だけ小麦色の肌をしたいかにも利発そうな少女が声をかけてきた。
「え、あ、は、はい」
なぜ自分にと疑問もさることながら、自分の名前を憶えられている事が一番の驚きだった。
そして断ることもできず、コートに立った愛海。
「とりあえず、軽くやろうか。久しぶりだからね」
一方的にやられて嘲笑の的になるのではという恐怖心が芽生え始めた愛海は、青い顔でうなずいた。
「いくよ」
ぽんと軽い音を立てて飛んだ羽根が、大きな弧を描いて飛んでくる。
一方的にやられるのは嫌だ。咄嗟に芽生えた負けん気のような意識が、飛んでくる羽根の動きを物理計算した。着地点の予測をたて、そこからどの角度でラケットを振ればいいかも計算。
小走りに目的地へ向かい、計算通りでラケットを振った。
予想通りの軌道。うまくいったとほっと肩を落とすと、向こうにいる少女がにっと笑った。
「うまいじゃん! その調子!」
あっさり打ち返された羽根を、同じように打ち返した。
2回目ともなれば計算式から無駄が省略され、より早く答えが得られる。
余裕をもって落着地点手前まで移動。10回ほど打ち合いが続き、相手方の少女は上機嫌で徐々に打ち出す速度を上げていった。
12回目。愛海の体力が尽きた。肩で息をはじめ、相手方の少女が苦笑している。
「やっぱ、体力は落ちてるねー。でもすごいね! 行村さん上手いよ!」
余裕の少女はそれでも弄るようなゲームはせず、笑いながらちゃんと打ち返せる場所に向けて緩く打ってきた。
「も、もう、むり……」
体力が尽きたが、負けたくはない。その気持ちが強くなった時、愛海は何故か電子戦兵器《ECW》を起動、BCCが戦術起動に切り替わり周囲に存在するBCCへ電子的妨害工作を行う準備を整える。それが終ると、一気に攻撃を始めた。
まず自分の分身を増産。一気に5人に増えた愛海は、飛んでくる羽根も増やし一気に打ち返す。
「うわ! すごいね!」
しかし相手はそれに驚いただけで平然と打ち返した。
蓄積疲労で羽根の弾道計算まで手が回らなかった。羽根はあっさり床に落ちた。
「あ、あれ? なんで?」




