第6話:特訓開始
原田
「野球を続ける術……それは『野手への転向』だよ。」
宮本
「野手……ですか。」
宮本はあまり動じていない。と、いうのも彼の頭の中にも野手転向という選択もあったからだ。
原田
「野手になるにあたってだけど、何か秀でた所はあるかな?確か足が速かった記憶があるけど。」
宮本
「まあ、足はそれなりに……」
原田
「そして、豪速球投手ならではの強肩、か………外野手が適任かな?」
宮本
「やっぱりそうですよね……」
原田
「ま、一度それでやってみよう。じゃあ……とりあえずセンターについて。」
センターの定位置についた。周りの人工芝が他より少し薄い。
原田
「じゃ、まずはフライから行くよ!」
宮本
「よろしくお願いします!」
(うーん、緊張するなぁ…)
カキーン!
センターへの少し浅めのフライだ。
宮本
「きた!」
ヒュー……ポトッ…。
宮本
「あれ!?」
宮本の前方5メートルの場所に落ちた。
原田
「は〜……」
(これはちょっとヒドいな……)
宮本
(う…追いつけたな……)
原田
「さぁ!気を取り直して行くよ!」
−−−−−−−−−
〜30分後〜
カキーン!
今度はセンターへの大飛球だ。
宮本
「オーライオーライ!」
パシィ!
原田
「ナイスキャッチ!」
(飲み込みが早いね。)
宮本
「はぁ…はぁ。」
(だいぶ慣れてきたかな。)
原田
「よし、10分休憩!いきなり飛ばし過ぎても良くないからね。」
宮本
「はい!」
(よかった〜慣れない事するといつもの倍疲れるよ…)
原田
「今のノックで野手になるにあたって足りない物は分かったかな?」
宮本
「えっ、……体力かな?」
原田
「…半分正解だよ。必要な物は、下半身の強化だ。」
宮本
「!!」
(確かに足がキツいよな。)
原田
「と、言うわけでハイこれ。」
そう言って一枚の紙を渡した。
宮本
「えーと、なになに……『下半身強化メニュー』か…」
『下半身強化メニュー』
ランニング10km
スクワット100回
ダッシュ50m×10本……
宮本
「え?これを毎日…」
ドスンっ…
原田
「'これ'を着けてね。」
重そうなアンクル4つとこれまた重そうなウェイトジャケットだ。
宮本
「へ?」
宮本は完全に呆然としている。
宮本
「いやいや、無理ですよこんなの!」
原田
「…秋に間に合わせたいんだろう?」
宮本
「う………わかりました。」
原田
「まあ最初一週間は着けずにやってよ。」
宮本
「うーん。」
(10kmかぁ……)
原田
「よし、今日は終わり。」
宮本
「え?早くないですか?」
原田
「今からランニング5km行くよ。」
宮本
「はい!」
−−−−−−−−−−
タッタッタッ
宮本
「ハッフッハッ」
シャーー
原田
「はい、1、2、1、2。」
原田は自転車併走して応援(?)している。
原田
「あと2kmだよ!」
宮本
「はい!」
その頃上野美歩は自宅へ向かっていた。熱っぽく風邪気味だったためだ。
上野
「うーん……」
(裕輔にうつされたのかな?)
そんなことは有り得ないが(笑)
上野がT字路にさしかかった時、自転車に乗った原田と走っている宮本が横切った。
上野
「え…?風邪ひいてたんじゃ……」
−−−−−−−−
夜8時。ランニングの疲れでベッドでうなだれていた。
宮本
「うー……疲れた…投げ込みよりだいぶしんどいな。」
宮本は原田に渡された練習メニューを見た。
宮本
「……スクワット100回か。」
始めようとすると。
♪ピンポ〜ン
宮本
「ん?」
(誰だろ、もう夜なのにな。)
ガチャッ
宮本
「おっ、こんな時間にどうしたんだ?」
Character Profile9
川口信也
1992年8月10日生まれ
右投げ右打ち
ポジション サード
背番号 5
柳川学院大付属高等学校
ミート力B
パワーA
走力D
肩力B
守備力C
メンタルB
天性のバッティングセンスを評価され、強豪柳川学院の4番を一年生にして任せられた。
基本クール。
★柳川学院大付属高等学校
毎年プロ選手を出す、名門学校。高い投手力、打力でここ7年竜星高校の甲子園への壁となっている。