第4話:希望か絶望か
〜再び原田医院〜
宮本
「………で、どうなんですか?」
原田は重い口を開いて答えた。
原田
「………悪い状態だな、かなり…」
宮本
「…野球を……ピッチャーを続け…」
宮本の言葉をさえぎるように続けた。
原田
「ピッチャーは……難しい。無理をしすぎだ……肘がボロボロだよ…」
宮本
「そんな……!?もう俺は……野球ができないんですか!?」
宮本は力が入り、イスから立ち上がってしまっている。
原田
「無理をしないほうが良い。今なら日常生活に支障は無い……」
宮本
「でも、野球ができないなんて死んだも同然です!」
宮本の言葉はとても、重い。
宮本
「…………」
原田
「………………」
宮本は原田の目をジッと見つめている。
原田
「…………負けたよ、キミにはね。」
宮本
「それじゃあ!?」
原田
「もちろんピッチャーは無理だ。それは納得できるね?」
宮本
「……はい。変化球を投げるのにリスクがあるなんて致命的です。それに直球だけで抑えられるほど野球は甘くないですし…」
原田
「それと……純平君には内緒でね。」
宮本
「純平君……?ああ、キャプテンですね。わかりました。」
原田
「彼は部員思いだけどちょっと度が過ぎてる……っと、これも内緒で。」
宮本
「ハハハ…確かに。わかりました。」
原田
「明日はっと……土曜日か。昼の2時にユニフォームでまたココに来てくれるかな?」
宮本
「いいとも〜!……冗談ですよ……わかりました。」
原田
「では、お大事に。」
−−−−−−−
〜宮本の部屋〜
宮本
「明日何するんだろう?まさか左投げに挑戦!?違うかな……」
野球が続けられるという事実が宮本の心に光を取り戻していた。
♪ピンポ〜ン
宮本
「ん?誰だろう?」
トントントントン
階段を降りていると、
♪ピンポ〜ピンポ〜ン
宮本
「誰だよ?一回で充分だろ!」
ガチャ
宮本
「は〜い………って監督ぅ!?」
そこには竜星高校野球部監督、真島英雄がイライラした様子で立っていた。
Character Profile4&5
原田茂
1984年12月18日生まれ
野球部のみんながお世話になる原田医院の院長。患者の気持ちを第一に考える診療で周りの評判はすこぶる良い。
藤本宏美
1988年3月24日生まれ
原田医院唯一の看護師。テキパキとした仕事と天使の様なスマイルでこれまた周りの評判が良い。ちなみに原田先生とはデキていない。