第一話:決勝戦
この小説に出ている団体名や人名は全て架空のものです。もし一致していたらそれは……偶然ですね(笑)
今日は7月18日、夏の県大会決勝戦。一人のピッチャーがマウンドで躍動している−−−
「さぁ!試合もいよいよ大詰め、一点ビハインドの柳川学院9回裏最後の攻撃です!」
1−0で迎えた最終回。ノーヒットノーランを目前に控えたピッチャー、宮本。
キャッチャーの高橋が選手に気合いを入れる。
高橋
「あと三人!しまって行こー!!」
やや大きく振りかぶるワインドアップモーション。
オーバーハンドから繰り出された唸る速球。
ビュッ…ギュォォ…ドシュゥッ!!
「ストラックワン!」
そして今日もキレてる変化球。
ビシュ………ギュルルッ…ドシュ!!
「ストライクっツー!!」
(くそっ!!こんなピッチャーどうやって……)
ビュー……ストン…ポスッ
「ストライーク!バッターアウトォ!!」
(ストレートと思ったら急に落ちるフォーク………打てない……)
高橋
「よっし。あと二人〜!!」
高橋が立ち上がって再び気合いを入れ直す。
『二番、ライト斎藤君。』
ウグイス嬢の声が響きバッターボックスに立つ斎藤。
ギュルル…バシュ!!
「ストライク!バッターアウトッ!!」
ワァァァ
すげー!
あと一人だぜ!?
次々と上がる歓声。宮本が観客の視線を完全に独占している。
宮本
「ハァハァ………」
(くそ…スタミナがかなりヤバいな……でも…)
高橋
「あと一人!!集中ぅ!!」
宮本
「あと一人なんだ!」
−−−−−
「ボール。フォアボール!!」
「あぁっと宮本君、今日四つ目のフォアボールです!」
宮本
「う……」
高橋
「タイム下さいっ!」
「ここは高橋君、マウンドに駆け寄り間を作ります。」
高橋
「大丈夫か?」
宮本
「ああ、ちょっと手が滑っただけだから。」
高橋
「あと一人なんだ、しっかりな。」
宮本
「そんなこと分かってるって!」
高橋が守備位置に戻っていく。
『四番サード、川口君。』
−−−
「ボール、ボールスリー。」
「さあ、フルカウントだ!」
高橋
(よしっここは直球勝負だ!)
宮本
「行くぞ……」
セットポジションから第6球目を投げた!
ヒュー……
高橋、宮本
「!!!!」
川口
(もらった!)
ブンッ
ガキィィン!
「これは大きいぞ!サヨナラか!?……入った〜サヨナラツーラン!川口君は失投を見逃しませんでした!」
−−−こうして宮本裕輔の“一年目の”夏が終わった……
Character Profile 1
宮本裕輔
1993年2月13日生まれ
右投げ右打ち
ポジション ピッチャー
背番号1
埼玉県立竜生高等学校
最高球速152km
コントロールB(五段階評価A〜E)
スタミナC
持ち玉
スライダー カーブ フォーク
メンタルD
ミート力D
パワーC
走力B
肩力B
守備力D
この物語の主人公。まだ一年生ながら古豪、竜生高校のエースピッチャーに抜擢された。キャッチャーの高橋とは小学生の頃からの仲である。