騎士団本部は大忙し
よろしくお願い致します。
第七話 騎士団本部は大忙し
ジャージに着替え、日課の鍛錬に出ると、アニー先輩が短い木剣を両手に持ち素振りをしている、アニー先輩は双剣使いの様だ、
「おはようございます、アニー先輩、先輩は双剣使いなのですか?」
「おはよう、エルル君、そうよ、どう、私と手合わせしない、」
「はい、アニー先輩、よろしくお願いします、で、これを使いましょう、」
と、自身の光剣を見せると、
「何、それカッコいい!」
「光剣と、言う鍛錬用の剣ですね、この剣は体に当たってもすり抜けるので、怪我をしません、もちろん剣同士は打ち合えます、ちゃんと双剣用もありますよ、」
と、特徴のある剣の柄をを二本渡し、
「アニー先輩、いつも使っている双剣をイメージして魔力を送って下さい、先輩は女の子だから、ピンクと、赤のの剣先にしてみました、」
アニーが剣を両手に取り魔力をながすと、左手に赤い短めの短剣と、右手にピンクの長めの短剣が出来、両手で短剣同士を軽く当て合い、
「凄い!可愛い!エルル君この可愛い双剣をもらえるの?」
「この光剣は公爵家からの貸与になります、まあ、その双剣はアニー先輩の魔力で登録していますから、アニー先輩意外には、使えません、あと光剣の事は公爵家の秘密になっているので、公爵家以外でむやみに出さないで下さいね、」
「わかったわ!こんな可愛い剣が、自分専用なんて、嬉しすぎ!で、この剣人に当たっても本当に大丈夫なの?」
「はい、全く問題無いです、ただこの剣が体を通る時に本当に斬られている様に感じ、叫んじゃうくらいに、気持ち悪いです、」
「おはよう、エルル、アニー、」
と、ロバートが声をかけながら歩いて来る、
「おはようございます、ロバートさん、見て下さいこの剣、可愛いでしょ!」
「アニー、お前も光剣を貸与して貰ったのか、」
「はい、これからエルル君と、ひと勝負しようと思いまして、」
ロバートは慌てて、
「アニー、辞めておけ、エルルには絶対に勝てない、その剣で斬られると、夢に見るぐらい!気持ち悪いぞ、」
「ロバートさん、この剣だと寸止めしなくても良いんでしょ、体に害が無いなら、私本気でやっちゃいますよ、良いわよね、エルル君、」
エルルは可愛い子がしてはダメな笑顔で
「はい、アニー先輩、全力で来て下さいね、」
「おい、エルル、アニーは女の子だぞ、手加減してやれよ、」
「大丈夫、エルル君、全力で来てね、返り討ちにしてあげるわ!」
「はい、お願いします、アニー先輩!」
エルルとアニーは向かい合い、お辞儀をすると、直ぐにアニーが飛び込んで来て巧みに双剣でエルルに斬りかかるが、エルルの刀に軽くいなされ、アニーが一旦距離を取ろうとした刹那、エルルの剣がアニーの胴を真っ二つにする、
「キャァーー」
と、アニーは倒れ地面を転げ回る、ロバートが、
「アニー、だから言ったろ、辞めておけと、」
「ヒィー」
アニーはまだ斬られた余韻から立ち直れないようだ、エルルは、
「はい、次はロバートさんですよ、」
「エルル、その顔を止めろ、多少は手加減してくれよ、」
と言って長剣を構える、
「うっぎゃぁーー」
早朝、公爵家の裏庭に今日は二人の悲鳴がとどろいた。
食堂に皆が集まりだし、イオが机に突っ伏しているアニーを見つけ、
「アニー先輩、おはようございます、って、どうかされたのですか?」
アニーは顔だけを、イオに向け、
「今朝の鍛錬で、エルル君に斬られたのよ、それはもう、見事に、ん、ってイオ、貴女その髪どうしたのよ、」
そこにスゥー達も来て、
「ねえ、スゥー先輩、イオの髪を見て下さい、」
スゥー達も、
「イオその髪どうしたの?貴女の髪そんなにさらさら、で艶があったかしら、」
イオは、
「昨晩洗髪したからじゃないですか、その前の晩は、お風呂に入れず、髪が洗えませんでしたから、」
そこにエルルが眼鏡に白衣のエルル自称お医者さんスタイルで登場して、
「おはようございます、先輩方、スゥー先輩、今日と明日、よろしくお願いします、食事を済ませたら、早速騎士団本部に向かいましょう、」
「ええ、執事長の朝礼が終わってからね、あと私の他に、ソフィア先輩も同行するわよ、」
「そうなんですか、知りませんでした、」
そこに執事長をはじめ侍女長、ロバート、ソフィアが入っで来て、ロバートが
「皆、おはよう、今日も一日よろしく頼む、今日はエルルが騎士団本部に出向する、助っ人として、ソフィアと、スゥー、が同行する事になった、では食事を済ませた者から各自仕事に入ってくれ、以上、」
ロバートの言葉に皆頭を下げて各自テーブルに座り食事を取る、
エルルがシフト表を見ると、明後日が休みになっている、エルルはロバート達の所に行き、
「おはようございます、執事長、侍女長、ソフィア先輩、あの僕出向から帰ったらお休みが貰えるのですか?」
「ああ、出向の労いに休みにしたのだよ、あと屋敷の裏門にウインが馬車を待機させている、食事がすんだら、出発してくれ、用意は出来ているな、」
「はい、準備万端です、」
エルルは食事を済ませて、
「では、行ってきます、ソフィア先輩、僕トイレに行って来ますので、裏門の前で待ってて下さい、スゥー先輩にも声をかけて来ますね、」
侍女長が、
「エルル、騎士団の皆を頼みましたよ、」
「はい、侍女長、お任せ下さい!」
と、胸を張ってエルルは答え、食堂を出て行く、
トイレに入るとスゥー先輩が鏡の前で、髪を整えていた、
「あっ、エルル君もおトイレに、」
「はい、僕はこの座る便座でないと、」
と、一番奥の個室に入る、
「私達メイドの序列の下から五人が、このおトイレを使わせて貰っているんだけど、
五人共、このおトイレの虜よ、エルル君がこのトイレを改装したのよね、」
トイレの中から、
「ええ、寮に越して来た晩にトイレに入って、倒れそうになりましたから、その場で、改装しちゃいました、」
「エルル君って凄いのね、さっき食堂で、アニーが鍛錬用の光剣を皆にみせて自慢してたわ、あの魔法剣も、エルル君の手作りなんでしょ、」
エルルが個室から出てきて、にやにやしながら、
「朝の鍛錬で、アニー先輩、僕に斬られて、悲鳴をあげながら、転がり回っていましたよ、」
「エルル君、顔、顔、悪い顔になっちゃってるわよ、」
裏門を出ると、馬車とウィンが待っていて、ウィンはエルルを見ると、
「先生、おはようございます、って、その格好は、」
「おはよう、ウィン、僕の家の方では、お医者さんはこの格好なんだよ、」
と、答え、エルルに頭を擦り付ける馬を撫でながら、こっそり特性角砂糖をあげ、騎士団本部までお願いね、頼むと、馬が、ぶるるる、と頷く、すでにソフィア先輩が馬車に乗っていて中から手招きをしてらいる、
馬車が発車して直ぐにエルルは思った、
馬車は立派だが、振動が半端ない、ウィン達が腰を痛めるのが分かるよ、帰ったら馬車の改造をしなくっちゃ、
「ねえ、エルル君、貴方、香水をつけてる?」
「いえ、僕はつけていませんよ、スゥー先輩ではないですか、」
「スゥー、香水をつけてる?」
「ソフィア先輩、私達、香水を手に入れる事自体、出来ないですよ、」
「そう、貴女達昨日から噂になってるわよ、良い匂いがするって、奥様が侍女長に、メイド達に聞いて欲しいと、言われたそうよ、」
「ああ、それいだっ、いたた、」
「エルル君?どうしたの、」
エルルは涙目でスゥーを見ると、スゥーの目が、喋るなと、言っていた、
「いえ、何でも無いんです、えへへ、騎士団本部まで後どの位かなって、」
「もう少し、かかるわ、エルル君、今朝アニーが自慢してた魔法剣、私も欲しいんだけど、」
「エルル君、私も欲しいわ、でも私の得意武器は槍なの、」
「はい、大丈夫ですよ、ソフィア先輩の武器は何ですか?」
「私は短剣よ、」
「はい、握って自分の剣をイメージしながら魔力を流して下さいね、スゥー先輩の槍は少し特殊で、この棒に使っている槍をイメージしながら魔力を流して下さい、」
スゥーが魔力を流すと、棒の上下から、オレンジ色の光の鉾先と、光の柄の部分が出来る、が、
「エルル君、凄いんだけど、この棒の所しか、持つ事が出来ないの?」
「いいえ、ちゃんと棒の部分が鉾先以外の所に移動して、ちゃんと槍の様に使えますよ、」
「本当だ、棒が上下に別れてちゃんと槍の様に使えるわ、凄い仕組みね、」
隣を見るとソフィアも、紫色の短剣型光剣を出して、喜んでいた。
「着きやした、」
と、ウィンの声が聞こえ、馬車の扉が開かれる、王都の貴族屋敷がある所から少し離れた場所にあり、小さめの学校の様な建物だ、建物の入り口から、若い騎士が走ってきて、
ソフィアに、
「お待ちしていました、こちらへ、」
と、建物の中に案内される、廊下を歩いていると騎士の人達がソフィアと、スゥーに話しかけて来る、お互い面識があるのだろう、それに、公爵家のメイドさん達は皆美人さんばかりだからね、
建物の二階にある団長室に案内され、中に入ると、机の向こうに熊みたいに大きなおっさんがいた、おっさんが、
「ギルガス私兵騎士団、団長のウッディだ、話は聞いている、騎士団員は全員で六十名いるが、十五名が一つの班で半年毎に王都と、公爵領と、辺境領を交代で勤務している、今王都には、三十名の騎士と、五名の女性騎士が務めている、」
ソフィアが、
「団長、こちらが執事見習いになったエルルです、エルルには、団員の健康診断と、剣術指南、を今日明日の二日で行います、」
「執事見習いのエルルです、ウッディ団長、よろしくお願いします、」
と、エルルは左手を差し出す、ウッディ団長はエルルの左手と、握手をすると、
「本当に優秀の様だな、ウッディだ、」
「では、ウッディ団長、早速診察をする所を食堂に準備しますね、三十分後位から、診察をはじめます、男性騎士団員の診察が終わり次第女性騎士団員に移ります、午後からは、団長の肩の手術になります、」
「俺の右肩が治せるのか?」
「はい、少し大きな手術になりますが、問題ありません、団長、男性騎士団員の診察に立ち会われますか?」
「ああ、興味がある、」
「では食堂に移動しましょう、」
エルル達は食堂を衝立で仕切り簡易診察室と、処置室をつくる、処置室の方に、沢山のタライを並べ食堂の椅子と、ペアで置いていく、ソフィアに
「ソフィア先輩、全てのタライにこの薬を入れて行って下さい、」
「エルル君、何の薬なの?」
エルルは、悪戯っぽい顔で、
「ソフィア先輩、スゥー先輩、どんな病気を治療する薬かを、当てたら、休憩時間に僕の自慢の焼き菓子を出しちゃいますよ、」
エルルの言葉に、
「エルル君、絶対に当てるわ、スゥー、わかる?」
スゥー先輩はじいーっと、たらいに入った薬を見ながら、不敵に笑い、
「ふっ、ふふ、分かったわ、水虫の治療ね、」
「はい、お見事です、スゥー先輩、でこちらに患者さんがきたら、両足をたらいの中に入れる様に指示して下さい、水虫が酷い人ほど痛がりますが、この砂時計の砂が落ち切るまでは、決して足を薬から、上げない様に見張って下さい、光剣で脅しても構いません、
砂が落ち切ったら、このスリッパを支給しますので、履き替えさせ、自分の履いてる、ブーツをたらいの中の薬に一晩つけておくように指示して下さい、」
スゥー先輩は、悪い笑顔で、
「分かったわ、言う事を聞かない子は、この光槍で、切り刻んであげるわ、あと、エルル君、約束忘れないでね、」
「はい、了解です、では、スゥー先輩はこちらの処置室を担当して貰います、ソフィア先輩は診察室で、騎士さん達のカルテの記入をお願いします、」
仮の診察室の机でソフィアはカルテの書き方をエルルに習っている、
「エルル君、この羽ペン凄いわ、インクを付けずに文字がサラサラ書けるわ、ここに名前ね、ここに病名で、ここが、処方した薬ね、分かったわ、」
ウッディ団長に、
「団長、支度が出来ました、騎士さん達を一人ずつ入室させて下さい、」
団長がドアを、開け、男性が入ってくる、エルルは、
「その、椅子に腰掛けて下さいって、サム?
何で?ここに?」
団長と、男は、笑いながら、
「あっしは、ジルム、サムの兄でさぁ、エルル様、昨晩サムから聞きましたよ、絶品スープの話を、」
団長が、
「エルル、この者は騎士団本部の料理番のジルムだ、騎士では無いが本部で働く仲間だ、」
「よろしくね、ジルム、サムにそっくりだったから、びっくりしちゃたよ、で、ちょうど良いや、ジルム、サムが言っていたスープを今晩騎士団に振る舞うよ、これをスープの鍋に入れて煮込んでね、他の調味料は入れちゃダメだよ、煮込めば煮込むほど、美味しくなるよ、後、夕方調理を手伝いに行くから、よろしくね、因みに、ジルム、お酒飲み過ぎ、自覚症状が無くても悪くなってるから、気をつけて、」
「へい、わかりやした、先生、ありがとうございました、」
次に入ってきたのは、玄関で僕達を案内してくれた若い騎士さんだ、騎士さんが、
「あ、あの、先生はお付き合いをしている方が、いらっしゃいますか、」
ソフィアは、ぶっ、と、吹き出し、エルルは、きょとんしている、
ウッディ団長が、
「エルルに失礼だぞ、私語は慎め、」
「申し訳ありません、」
「大丈夫ですよ、気にしません、それと水虫ですね、処置室にいるスゥー先輩の指示に従って下さい、お大事に、」
と、若い騎士さんは処置室に行き次の騎士さんが団長に呼ばれる、
「水虫ですね、処置室で指示を聞いて下さい、」
と、説明していると、処置室から、若い騎士さんの悲鳴が聞こえる、不安そうな騎士さんに、
「大丈夫ですよ、痛いのは治っている証拠です、お大事に、」
水虫の騎士さんが数人続いたのち、イケメンのお兄さん騎士さんが入ってきて、
「おや、可愛いい仔猫ちゃんだね、」
仔猫ちゃん?ぼくか?ぼくなのか?ソフィアさんを見ると、イケメン騎士さんを睨んでいる、でもこの騎士さん、
「ウィルオップさん、色街とか行かれますか?」
「仔猫ちゃん、僕がそんな所に出入りするわけ無いよ、僕の可愛いい仔猫ちゃんたちが、嫉妬してしまうよ、」
「そうですか、ウィルオップさん、貴方は性病に感染しています、この薬を朝昼晩、食事の後に薬が無くなるまで飲み続けて下さいね、でないと、おちんちんがもげますよ、勿論、治るまで性交しちゃダメですよ、あと、可愛いい、仔猫ちゃんたちも、お医者さんに診てもらって下さいね、全員間違いなく性病に感染しています、今回のお薬は公爵家から、支給しますが、次回からは、自費になりますからね、かなりお高いですよ、では、お大事に、つぎの方、」
その後も、大半の騎士さんが水虫で、処置室は阿鼻叫喚の世界になっている、今見ている騎士さんは、性病に感染しているのだかが、彼女一筋で、遊んだりした事は一度でも無いらしい、何と言ったら良いのか、
「ホセさんは、性病に感染してみえます、お薬を出しますので、薬が無くなるまで飲み続けて下さい、彼女さんも間違いなく性病に感染していますので、お医者さんに見てもらうようにして下さい、お大事にして下さい、」
うぅ、気まずい、ホセさん顔面蒼白を通り越して、紫だよ、と、次が男性最後かな、
団長さんに最後に呼ばれたのは、これまた熊の様な大男で、
「本部班長のゴードンだ、よろしくなお嬢ちゃん、」
お嬢ちゃんじゃ無いよ、ってそんな事より、
「ゴードン班長、自覚ありますよね、かなり不味い状態ですよ、色街からですか?」
「お嬢ちゃん凄いな、見ただけで分かっちまうのか、ああ、特定の女はいない、」
「病状がかなり進行しています、排泄が辛かったでしょう、薬も出しますが、治癒魔法も使います、」
ああ、こんなおっさんの股間に魔法をかけるなんて、とても間抜けな絵面だよ、
治療を終えるとゴードン班長が、
「嬢ちゃん、いえ、先生、ありがとうごさいました、」
「お大事に、ゴードン班長、お薬を飲み切れば完治しますよ、」
班長が診察室から出て行き騎士さん達が居なくなったので、団長に
「少し、休憩を取った後に女性騎士の皆さんを見ます、三十分後に集まる様連絡してもらえますか?」
「分かった、伝えてこよう、」
と、団長さんは出て行った。
ソフィア先輩、スゥー先輩、お疲れ様でした、休憩しましょう、と、エルルは、ティーカップを人数分出してポットから紅茶を入れ、約束の焼き菓子、マドレーヌを出す、マドレーヌを食べた二人は、
「こんな美味しいお菓子は、初めて、御屋敷でもこんなお菓子は見た事がないわ、」
と、二人共初めて味合う美味しいお菓子の虜になっている、
エルルは処置室に簡易更衣室を出しながら、
「気に入って貰えた様で良かったです、」
と、そこに扉が開き、
「ソフィー、来たわよ、って、貴女達、何美味しそうな物食べてるのよ、ズルいわよ!」
「フローラ、私達まだ休憩中よ、勝手に入って来ちゃダメじゃ無い、」
フローラと呼ばれた女騎士さんの後からぞろぞろ、四人の女騎士さんが入って来て、皆机の上の残りすくないマドレーヌに釘付けになっちゃってるよ、エルルは女騎士さん達に、
「皆さんは健康面は問題無さそうですね、」
「ソフィー、この子は?」
「新人のエルル君よ、皆を診察してくれるわって言うか、もう終わっちゃた見たいね、」
「貴女が先生なの?男達が女神様だとか、言っちゃてたわよ、私はフローラ、女性騎士班長よ、」
エルルは苦笑いしながら、
「エルルです、それでは騎士の皆さんもお茶をしながら、新しい装備を貸与して行きますね、」
と、女騎士さん達に紅茶と、マドレーヌを出すと、皆一口食べうっとりとした顔をしている、
エルルが、パンパンと手を叩き、
「はい、お姉様方、注目!これから装備を渡していきますね、まずは、運動性に優れた下着と下着を保護するサポーター、スラックスタイプのズボンに、シャツと、ネクタイ、上着、これを各三セット、あと、戦闘様のベスト、帯剣様のベルトと靴、ですね、あちらに更衣室を用意したので、早速着替えて見て下さい、」
女騎士さん達は次々と出されて行く支給品を見て驚いているが、特に下着に興味深々の様だ、フローラさんが、
「別にここで着替えても良いんじゃない、」
と、防具をはずしだす、
「ちょ、ちょっと、待って下さい!フローラ班長、僕、男ですよ、」
ソフィア先輩と、スゥー先輩はお腹を抱えて笑っている、
「えっ、貴方男の子なの、でも可愛いから問題無いわよねえ、貴女達、それに下着と、サポーターだったかしら、付け方がよく分からないわ、エルル君がつけて、」
「わっ、ちょっとまって、ダメ!脱がないで!」
と、両手で顔を覆うが、指の隙間からから、ちゃっかりガン見している、他の騎士さん達も面白がって、あっというまにすっぽんぽんに、なる、流石騎士さん、皆んな腹筋が割れてて、良い体だで見惚れてちゃうよ、じゃなくて、
「ソフィア先輩!笑ってないで助けて下さいよ、」
「ごめんね、エルル君、役得だと思ってさっさと着せちゃいなさい、」
五分後、騎士さん達が、かっこいい!素敵!と、新しい装備と言うか制服を着て喜んでいる、ソフィア先輩が、
「フローラ、で下着はどんな着け心地?」
「それがね、ソフィー着けている感覚がないのよねえ、皆んな、今まではサラシで胸を押さえてたけど、このブラだったかしら、可愛いいし、もう今までの下着と、サラシなんて使えないわ!」
他の騎士さん達も、うんうんと、頷いている、
エルルは診察椅子に腰掛け、汚されちゃったとか、明日の鍛錬時に復讐してやるぜ、
とか、ぶつぶつ言っていたが、全員が着替え終わると、、
「お姉様方、装備の説明をしますね、今日支給した物は全て公爵家より貸与された物です、見た目は少し執事服に似ていますが、下着を含め戦闘様に動きやすくなっています、また、危険な任務時は戦闘ベストを着用しで下さい、以前使っていた防具よりも防御力が高いです、胸ポケットの所の金のプレートに名前を入れますので、間違うことはないでしょう、皆さんとても似合っていますよ、あと、下着は追加で、購入する事が出来ます、使用人割引でお安くしておきますよ、」
スゥー先輩が、
「エルル君、その下着は騎士団員じゃ無くても購入できるんだよね、」
「もちろん公爵家の使用人にかぎりますが、購入出来ると思いますが、一応許可を取ってからになりますね、」
「エルル君、色とか形の違った下着もあるの?」
と、今度はソフィア先輩が身を乗り出して、聞いて来る、
「ソフィア先輩、続きは夜に、団長の手術時間になります、片付けて向かいましょう、」
と、食堂に作った診察室と、処置室を一瞬で元の食堂に戻し、驚いているフローラ班長達に挨拶をして、団長の元に向った。
団長の私室に入れてもらい、エルルはこれから行う手術の説明をする、
「ウッディ団長、これから手術を始めます、手順は以前怪我をした所をもう一度開き、間違ってくっ付いている筋肉や、腱を、切り離し、もう一度正しくくっ付いる手術です、」
「そんな事が本当に出来るのか?」
「はい、大丈夫です、上半身は裸になって下さい、まずはは肩に麻酔を打ちます、」
と、エルルは小瓶の先に針が付いた物を団長の肩に刺す、
「団長、直ぐに肩が麻痺した様な状態になります、で、これよりしばらく眠って貰います、この壺の匂いを嗅いでください、」
と、団長の鼻元へ持っていくと、団長は、ぱたりとベッドに倒れた、エルルは団長に一箇所だけ穴が空いた布をかけ、穴が開いた所を、団長の肩に合わせる、エルルは背後で見ている二人に、
「先輩達、これから手術を行いますが、見ていて気分が悪くなるかもしれません、退室してもかまいませんが、」
エルルのいつに無い真剣な表情に、ソフィアは、
「大丈夫よ、ちゃんと見てるから、スゥーはどうする?」
「私も大丈夫です、エルル君、始めて、」
エルルは頷き、カバンの中から、薄い刃がついた小さなナイフを取り出しエルルが魔力を込めると、薄い刃から耳が痛くなる様な高い音がし出す、エルルは団長の肩の周りが無菌状態になる球体を作り、その中で団長の肩にナイフを入れる、肩から腕にかけて大きく切り開き、筋肉や、腱、血管などを確認しながら、間違ってくっ付いている所を全て切り離し、一つ一つ丁寧にに正しく繋ぎ、治癒魔法をかけていく、
「ソフィア先輩、無理しちゃダメですよ、」
「エルル君こそ大丈夫?ずっと魔法をかけ続けて、手術をしてるわよね、」
「もう少しで終わります、それに僕は魔法が得意なんですよ、」
「知ってるわよ、」
エルルは正しく治癒されているかを、確認すると切り開いた所を合わせて、治癒魔法をかけ、切り開いた傷を消してゆく、魔法って本当に便利だ、
「はい、手術終了です、団長は明日の朝まで起きないので、このまま寝かせておきましょう、」
「エルル君、お疲れ様、団長の肩は?」
「完璧です、明日の朝は一緒に鍛錬ができますよ、僕はこれから、厨房のジルムの所に行こうと思いますが、先輩方はどうされますか?」
「私達は夕食まで、お部屋でゆっくりさせて貰うわ、」
「了解です、では僕はこれで、」
と、エルルは部屋から出て行った。
食堂に戻り、厨房を覗くと、ジルムが、大鍋をかき混ぜている、エルルは、厨房の中に入り、
「ジルム、おまたせ、カレーはどう?」
「あつ、エルル様、あっしは良い感じだと思いますが、 見てくだせい、で、団長様の肩はどうでしたかい?」
「ちゃんと治ったから、安心して、うん、いい感じだね、あと大きめ鍋あるかな、蓋付きの物が良いのだけど、」
エルルはジルムが出した鍋に精米した白麦草の実を入れ洗い、水を入れて火にかける、
ジルムは興味深げに見ていて、
「エルル様、今煮ている物は、なんですかい?」
「これはパンの代わりになる穀物だよ、穀物の名前を聞いたら、ビックリすると思うけど、あと、そこにあるバラ肉は何?」
「これはスープの具財で使った肉のスジの部分で食えたもんじゃ、ありやせんぜ、」
「じゃ貰っていい?おかずをもう一品増やすよ、あと、パンと、そこにある野菜を貰うよ、」
と、エルルは自分用の特製包丁をだし、ミンチ状になるまで切り刻み、パンも細かくすり潰しす、前世の玉ねぎに似た野菜をみじん切りにして、軽く焼き、肉とパン粉に軽く焼いた野菜を大きな鉢に入れて最後に、卵をアイテムボックスから取り出し、入れて胡椒、塩で味付けをして、手で揉みながら、混ぜて行く、騎士団全員だからかなりの量を混ぜていると、ジルムが、
「エルル様、手伝いますぜ、」
変わって混ぜてくれる、
「ジルム、もう良いよ、あとは手にこの位ずつとって、空気を抜く様なかんじて、お手玉みたいにこうやって、」
エルルは、握り拳だいの、ハンバーグもどきのタネを並べていく、
ジルムが真似をしながら並べていくのを、見ながら、大きなフライパンを取り出し、ハンバーグを焼いていく、隣からジルムのつばを飲み込む音が聞こえて来る、
気がつくとかなり時間が経っていた様だ、
エルルは白麦草のご飯をよそい、ハンバーグをのせて、カレーをかけて、
「はい、出来上がり、ジルム、こんな感じでよそってね、」
と、出来上がったハンバーグもどきカレーを見せ振り向くと調理場の入り口に騎士さん達が、ゾンビのよう群がってるよ、ジルムが、
「皆さん、テーブルで待ってて、くだせい、今持っつきやすから、」と言って、調理場に入って来ようとするゾンビ騎士達を追い返すと、ジルムは手際よくカレーをよそって行き、エルルがテーブルに運んでいく、
「はい、はい、お待たせしました、」
「おお!女神様に配膳して貰えるなんて、」
ほとんどの騎士がテーブルに付いているみたいで、ジルムと、手分けしてカレーをくばったよ、すると今までうるさかった食堂が急に静かになる、みな黙々とカレーを食べている、そんな騎士さん達を見ていたジルムが、
「で、エルル様、あの白い穀物は何ですかい、皆さん夢中で食べていますが、」
エルルは悪い顔で、
「ジルム、知りたい?」
「ええ、教えてくだせえ、」
「あれわね、白麦草の実の部分だよ、」
「あのその辺に生えている家畜の餌のですかい?」
「そうだよ、騎士さん達の様な体を使う仕事の人達は、うちの方では白米って言うのだけれど、こちらの方が腹持ちも、良くてパンより、力が出るよ、ジルム、あと今日はお代わり無しでお願い、どうしても食べたい人は、使わなかったパンを出してあげてね、僕も同僚の人が来たら食べにいくね、」
「へい、わかりやした、直ぐに持って行きますよ、」
少しするとソフィア先輩が、女騎士さん達と共に食堂に入って来るが、夢中でカレーを食べる騎士を見て驚いている、エルルが先にテーブルに行き、ソフィア達を招く、
直ぐにジルムが、カレーを持ってくると、
ソフィアと、スゥーが、
「エルル君、これがこのスープに一番合うものなの?それにこんなに大きなお肉が丸ごと乗っているわ、」
「はい、カレーにはこの穀物がとても合いますよ、あとそのお肉はとても柔らかいのでがぶりっといっちゃって下さい、」
カレーを食べたフローラさんが、
「美味しい、食べる事が止められないわ、」
「このお肉、凄く柔らかくて、肉汁が凄いの、昨日の夕食よりも食べてるって、満足感があるわね、」
他の騎士さん達も、夢中で食べてるよ、
「次のエルル君の休みの日が楽しみよね、スゥー、」
とソフィア先輩がスゥー先輩と、話していると、夢中で食べていたフローラさんが、
「ちょっとソフィー楽しみって何なの?」
ソフィア先輩は得意げに、
「エルル君の休みの日は美味しい物を出して貰えるからよ、」
「何それ、貴女達だけずるいわ、」
「フローラ班長、サムにレシピを教えますので、ジルムが作ってくれるから、大丈夫ですよ、」
と、安心させてあげたよ、食べ終わった騎士さんが早速ジルムの所にお代わりに行って断わられて、がっかりしているよ、これだけ喜んで貰えると、作りがいがあるよ。
食事が終わり今日泊まる部屋に案内して貰ったら、ソフィア先輩達と、同室でした。
ありがとうございました。