表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/62

お土産を配りました。

 少しだけ長めになってしまいました、

 宜しくお願い致します。

 第四十七話



   お土産を配りました。


 「ああ〜〜っ!もう恥ずかし過ぎるよ!

 やっぱりバレてたんだ!

 って共有ボックスに入ってんじゃん!

 もしかして僕なのか?自分で共有ボックスにしまっちゃったのか?

 アホ過ぎる!」

とぶつぶつ独り言を言いながらエルルはベッドの上で悶える、

 でも本当に水着スペシャルだったのは不幸中の幸いだったよあれが他のお宝本だったら恥ずかしさでソルス様に逢えそうな気がするよ、 

 ってソルス様って確か女神フィーネス様の妹女神だったよな、

 女神様の前でエロ本を家族に見つかり恥ずかしさでここまで来ましたって言うのか、

 二回死んじゃうわ!

 

 よし!ここはこの水着スペシャルは皆が言う艶本では無い事にしてしまおう!

 そうだエルル!お前の足りないお頭を振り絞って考えるんだ!



エルルはベッドに寝そべり寝返りを繰り返しながら考える、

 水着、水着、水着と言えば海や・・


 「そうだ!プールだよ!プールだったら水着は当たり前じゃんここは温泉も出てるんだ!温泉プールなら寒い冬だって大丈夫だから一年中入れるじゃん!」

 そこからエルルは知識と創造の泉を使い水着のカタログやプールを使った水泳ダイエットの本をこちらの言葉バージョンにして出し、

 「よし、これでこれをさりげなくベッドの上に置いておけばオッケー!

 明日は早くから庭の隅にプールを作っちゃおう!」



朝リリルが鍛錬の為に庭にでると庭の隅に幕の様な物で囲まれた一角があり、

 幕には工事中に付き危険立ち入り禁止と書かれ中では何やらカンカントントンガリガリと音が聞こえてくる、

 後からやって来たイオとカレンが、

 「おはよう御座いますリリル様、」

 と挨拶をしながら二人も庭の幕を見て頷き合う、

「おはようイオ、カレン、

 であれはエルルかい?」

と幕が掛かっている所を指差す、

 「はい、多分プールと言う施設を作っているのだと思います、」

「イオ、プールって何だい?」

 カレンがリリルに、

 「先程エルル様を起こしに伺ったのですが部屋にまた例の本が置かれていまして、」

「カレン、イオが言ったプールと艶本に関係があるのかい?」

イオがリリルに、

 「リリル様先日の本もどうやら艶本と言う物では無い様ですよ、

 あれは水着と言う水に入る為の衣装みたいなんです、

 今ナタリア様とリリカ様がその本を居間で読んでいらっしゃいます、」

 「はぁ?風呂に衣装を着けて入るのかい?」

「リリル様詳しくはエルル様にお聞きしましょう、 

 ちょっと興味深い本なのです、」

 「そうかい、じゃあさっさと鍛錬を終わらしちまうよ!」



「伯母様見て下さい!

 気になる所のお肉がスッキリだそうですよ!」

「ナタリアここも見て!

 弛んだ所を引き締めに効果的だそうよ、」

「伯母様は泳げるのですか?」

「まさか、避暑地の小川に足を付けた位よ、

オーライドでは水泳を行うの?」

「聞いた事が有りません、

 昨晩の漁師達は泳げるとは思いますがオーライドで泳げる者は少ないと思います、」

そこに鍛錬を終えたリリル達が居間に入って来て、

 「お姉ちゃん興味深い本ってどんなんだい?」

とぐっしょり汗をかいたリリルがリリカに近寄ると、

 「ちょっとリリルお風呂で汗を流してからにして頂戴!」

「そうよ!母様凄く臭うわ、」

「何だいナタリーあんたも多少動かないと森豚の様になっちまうよ、」

ナタリアは自慢気にエルルの部屋にあった

 (水泳で貴女の弛んだ身体も美しいラインへ!)

の本をリリルに見せながら、

 「母様私はこの水泳を始めるわ、

 そして美しいラインを取り戻すのよ、」

「へぇ〜ナタリー泳げるのかい?」

「勿論泳げないわ!でもエルルが教えてくれるわよ、

って母様早くお風呂に入って来て、」

とナタリアに急かされたリリルははいはいと手を振りながら浴場に向かった。



 イオとカレンが皆の朝食を用意していると、

 「ピィー!」

とユユが巣から飛んでソファーに座るリリルの所に来る、

 「おはようユユ起きたのかい、一人で眠れる様になって偉いじゃないかい、」

 とリリルが頭を撫でると、

 「ピィーイ!」

胸を張る様に応えナタリア達にぷっつと笑われイオが、

 「昨晩は浜辺から帰って来たらリュックの中で眠っちゃってて今目が覚めただけですよ、

 夜中に起きたら寂しくてピィーピィー鳴いちゃいますよ、」

と言うイオにユユは尻尾と羽根をパタパタ動かし、

 「キュゥー!」

と抗議してまた皆に笑われる、

 カレンがユユの朝食も用意して皆で食事を摂っていると居間に建設作業員姿のエルルが黄色いヘルメットを抱え入って来て、

 「おはよう御座います、」

と挨拶するエルルにリリルが、

 「何だいエルルその格好は?」

エルルは持っていたヘルメットを被り、

 「姐様これは建設作業用の格好ですよ今庭の隅にプールを作っているんです、

 あっ部屋にプールを使う時の水着の本が在りますので持ってきますね、」

と部屋に戻ろうとするエルルにナタリアが、

 「エルルその本ここに在るわ、エルルを起こしに行った時に見つけたのよ勝手に見てごめんなさい、」

 カレンが、

 「エルル様私が持ち出したのです申し訳ありません、」

「お母さんもカレンさんも気にしないで下さい朝見せるつもりだったから丁度良かったです、」

リリルが、

「でエルル、プールとは泳ぐ場所なのかい?」

「ええ、でも泳ぐと言うか水遊びをする所ですよ、」

「エルルは泳げるのかい?」

「泳げますよ、子供の頃に露天風呂で泳いでよく婆ちゃんに叱られましたね、」

 ナタリアが水着のカタログを見ながら、

 「何だか面白そうね、この下着姿は少し恥ずかしいけれど可愛らしい物が多いわ、」

「お母さん下着と水着は全く違う物ですよ、

 下着では人前に出られませんが水着なら問題ありません、

 それに気になる異性を釘付けに出来る過激な水着も有るんですよ、」

「それって共有ボックスに入っていた本に載っていた水着の事かい?」

リリルの言葉にエルルは内心ヒヤヒヤしながらここが勝負だと、

 「あの水着は少し過激ですが、

 意中の男性を落とす勝負水着と言われる水着ですね、」

とエルルは平静を装い心の中では、

 やっべ俺って天才じゃね!と自画自賛する、

 「私はてっきり艶本だと思っていたんだけどねぇ、」

「姐様僕はその艶本と言う物を見た事が無いので分かりませんが、

 今お母さんが見ている水着の本も確かに艶本と変わらないかもしれませんね、

 姐様に言われて凄く恥ずかしかったんですよ、」

リリルはエルルが赤くなりながら話すのを見て笑いながら、

 「それは悪かったねぇ、エルルが叫びながら飛んでちゃう程だったからねぇ、」

「もう!姐様勘弁してくださいよ、」

「ははは、分かった分かった!でエルルプールはいつから使えるんだい?」

「工事は終わっていますよ、

 一年中使える様に温水プールにしました、

 今お湯の温度を調整して水を張っています、」

 イオが目を少女漫画の様にキラキラさせ、

 「じゃあエルルさん水が溜まったらプールが使えるんですね、」

と聞いてくる、

 「ええプールは泳げなくてもこんな浮き輪と言う物に乗ったり掴まったりして水の中で浮かんでいるだけでも楽しいですよ、」

と言ってカラフルな浮き輪やお約束の大きなシャチの浮き輪をだす、

 そしてハンガーにかかった沢山の水着を出し居間をデパートの水着売り場の様にするとエルルは、

 「僕はシャワーだけ浴びてプールの用意をしますね、

 良かったら一緒にプールで遊びませんか?

 明後日には仕事に戻らないといけないので午後からはお土産を色々な所に配りに行こうと思っています、

 午前中は僕もプールを楽しみますよ!

 あっ!お昼は庭でバーベキューにしましょう、」

「エルル良いじゃないかい!」

と言いながらリリルはハンガーラックからハンガーにかけてある水着を取り出し自身に当てている、

 イオも真剣な目でハンガーラックを物色していてナタリアが水着を試着しようとしているのを見たエルルは慌てて、

 「ここに水着の上に羽織る物も用意しておくので好みでどうぞ!」

とその場から逃げる様に浴場に向った。 

 

 シャワーを浴び終えたエルルはショートスリーブスプリング型のウエットスーツに着替え鏡に映る自身を見てニヤリと笑い、

 乗り気ったぁ!よくやったぞエルル!これで艶本事件は無かった事に!

 とウエットスーツの上からタオル地のパーカーを羽織り小躍りしながら水を張り終わったプールに向かった。


 居間では女達があーでもないこーでもないと水着を試着している、

 ナタリアがリリカを見て、

 「伯母様素敵よ!」

「ありがとうナタリア流石に私にはセパレートは無理だわ、」

と落ち着いたワンピースの水着の上から上品なガウンを羽織っていて、

 ナタリアはタンキニの水着を付けていて上からレースのポンチョを合わせている、

 カレンはショートパンツ ボーイレッグスタイルの水着がよく鍛えられた身体に似合い上から薄手のパーカーを羽織っている、

 リリルがカレンに、

 「カレン格好良いじゃないかい、」

「リリル様この水着は姿絵と同じ格好をしただけですよリリル様のハイネックビキニと描いてある水着も素敵ですよ、

 姿絵の様にワンピースを上から着るのも格好良いですね、」

「なるほどねえ、でイオは水着に何書いてんだい?」

イオは水着の胸元の白い布の所にエルル特製マジックでタリスマンとオーライドの言葉で書きその水着を着て、

 「リリル様、私はこの伝説のスク水と言う水着にしました!」

「イオ何が伝説なのかは分からないが、イオが気に入ったのなら良いじゃないか、さあ皆プールへ行くよ、」



 庭の隅のプールはかかっていた幕が外されドーム型の屋根が付いたプールが出来ていて屋根以外の壁は開閉式のガラス戸になっている、

 入り口から興味深げに入って来たナタリア達にプールサイドに立っていたエルルが、

 「お母さん水着が似合っていますよ!皆さんも素敵です、」

リリルがエルルを見て、

 「エルルあんた本当に男なのかい?」

エルルは一瞬きょとんとしてリリルの視線を目で追いリリルの視線が自身の股間付近を見ているのに気づき、

 慌てて両手で股間を隠し、

 「姐様失礼な!ちゃんと付いてますからね!」

と赤くなりながら抗議する、

 途端ナタリア達は吹き出しカレンに抱っこして貰っているユユは笑う皆を不思議そうに見ている、

 頬を膨らませていたエルルはパーカーを脱ぎ、

 「では皆さん水の中に入る前にちゃんとストレッチ体操をして下さいね、」

と言いながらエルルはストレッチを始め皆もエルルの真似をしながらストレッチを済ませるとリリルが、

 「エルル私達は皆泳げないよ、」

「姐様先ずは水に慣れる所から始めましょう、

 水に入り好きな浮き輪に掴まって浮いみて下さい、

ユユはこっちにおいで、」

とエルルは飛んで来たユユに可愛らしい小さな浮き輪を付け一緒に水の中に入るとユユをそっと水に浮かせる、

 ユユは最初怖がりピィーピィー鳴いていたが水に慣れてくると尻尾と足をばたばたさせ気持ち良さそうに水の上に浮いている、

 ナタリア達もそれぞれ浮き輪を付けて水の上に浮き、

 「これ気持ち良いわね母様、」

「そうだねえ水に浮くのがこんなに気持ち良いとは知らなかったよ、

 ナタリー見てごらんユユも気持ち良さそうに浮いてるじゃないかい、」

ナタリアがユユの方に目を向けるとイオがユユの真似をして足をばたばた動かしエルルの所に向かっていて、

 「母様イオがユユの真似をして足をばたつかせて進んでいるわ、」

「ナタリーあれは弛んだ足の引き締めには良いかもしれないねぇ、」

リリルの近くて浮いていたリリカが、

 「何ですって!私も頑張らなくっちゃ、」

とリリカも足をばたばた動かす、

 イオはエルルの所までやってくると、

 「エルルさん泳ぎ方を教えて下さい、」

エルルはイオの水着を見て、

 「流石イオさん!スク水を選ぶとは、しかも名前で無く苗字を書くマニアックさが良いですよ!」

「エルルさん分からない言葉がありましたがこの水着は伝説の水着と書いてありました!勇者の水着なんですよ!」

「そうですともイオさんある意味その水着は勇者にしか着る事が出来ない水着なのです!」

 「おおー!でエルルさん勇者の私を泳げるようにして下さい、」

リリル達もエルルの周りに集まりナタリアが

 「エルル私達も泳げる様にして頂戴、」

「お母さん皆が全員直ぐに泳げる様になるのは難しいですが先ずは水に浮く練習からですね、

僕がこの板を使って浮き方の見本を見せますのでちょっと見てて下さい、」

 とエルルはビート板に手を置き身体を水面に真っ直ぐ浮かせる、

 そして暫く浮いていると水面から顔を上げ、

 「先ずは顔を水の中に付け僕がやったように浮く練習をしてみて下さい、

 リリルとカレンはエルルの真似をしてエルルが出したビート板に掴まり水に身体を浮かべる、

 「リリル様達凄いですね、一度でエルルさんの様に浮けてますよ、

 エルルさん見てて下さい私足の方が沈んじゃいます、」

 「イオさん、顔を水から上げているからですよ、」

 エルルに言われイオは恐る恐る顔を水に付け暫く浮いていると直ぐにぷっはぁ!と顔を水面からあげる、

ナタリアがそんなイオを見て、

 「イオ少しの間ちゃんと浮いてたわよ、」

「本当ですか?息が出来ないので怖くて、」

「イオそれ分かるわ、私も怖いのよ、」

リリルがエルルに、

 「エルル息継ぎはどうすんだい?」

「姐様ちょっと見てて下さいね、」

 とエルルはビート板に掴まり身体を浮かせるとばた足を始め数秒毎に水から顔を出し息継ぎをしてまた水の中に顔を沈める、

 「こんな感じです、ビート板がいらなくなったら腕も使いこんな感じで早く泳ぐ事も出来ちゃいますよ、」

とクロールで泳ぎ帰りは平泳ぎで顔を出したまま帰って来る、

 「何だいエルルそのタルトルンの様な泳ぎ方は?」

「そうですねタルトルンが池で泳ぐ時みたいですね、

 これは平泳ぎと言って顔を出したままでも泳げますがこの泳ぎ方でも顔を水に付けた方が早く泳げますよ、」

「へぇ面白いじゃないかい、

 ねえカレン?」

とリリルがカレンを見るとカレンはすでにビート板無しでばた足で泳いでいて、息継ぎの所が未だ難しいらしく足を付いてしまっているようだ、

「カレンさんはもうすぐ泳げる様になりますね凄いです、」

「私も負けちゃいられないね、」

とリリルもビート板無しでばた足を、始める、

 ナタリアとイオはビート板に掴まりばた足を頑張っていてリリカは流石に疲れたようでプールサイドに腰掛け膝の上でユユを抱いている、

 エルルはイオに、

 「イオさん僕はバーベキューの準備をしますので上がりますね、

 適当な所で姐様達を連れて上がって下さい、」

「はい、了解ですエルルさん、」



エルルがプール前の庭で焼き台の炭に火を入れ肉と野菜の串と魚介の串を出し特製ソースを刷毛で塗り焼き台に乗せれば香ばしい香りが立ち出し、

 香りに釣られて腹ペコ女性陣が羽織りを着てプールから出て来る、

 「エルル良い匂いに釣られて出て来たよ!」

とリリルが言う隣ではイオが串焼きの匂いを吸い込みうっとりしている、

 エルルは焼き上がった串をテーブルの大皿に並べて行き、

 「はいっ!串焼きお待たせです!」

 女性陣がわっとテーブルに集り焼き立ての串焼きにかぶり付く、

 「これは美味しいねエルル!肉の串も二種類あるんだね、」

「ええ姐様森豚と一角牛ですね、」

「エルル王都で出回っている森豚のお肉とここで食べる森豚は味が別物だよ、」

「姐様この辺りに生息する森豚や一角牛、乳が取れるヌウヌウ水牛などはこの森深くの過酷な環境で適応出来る上位種みたいな物だからだと思います、」

「リリル様魚介の串も美味しいですよ!こっちのソースは醤油タレで最高です、」

と言うイオを見ればもう片方の手に肉の串を持っていた。


 エルルは前世のとうもろこしに似たつぶつぶの実を焼き台に皮ごと乗せ暫く焼くと皮を剥ぎ醤油を刷毛で塗り再び焼き台へ戻し特製バターを乗せれば直ぐにバターが溶け出す、

 エルルの肩に飛んで来たユユが頭でエルルの頬を突き、

 「キュゥー!キュゥー!」

と鳴く、

 「はいはいユユ、これはユユのだからもうちょっと待ってて、」

とユユの頭を撫でつぶつぶの実に軽く焦げ目が付いた所で焼き台からテーブルの皿に置き、

 「ユユお待たせ!ちょっと大きいけど食べられなかったら僕が食べるよ、」

と言えばユユは既につぶつぶの実をがじがじと食べ、

 「ピィユゥィ〜」

と幸せそうに鳴く、

 そんなユユを見ていたリリルが、

 「エルル今は食べられないけどユユが食べてるつぶつぶの実を焼いといてくれないかい?」

「分かりました姐様、焼いて共有ボックスに入れておきますね、」

と皮の付いたつぶつぶの実を出し焼き台に乗せると私も私もと女性陣皆から注文が入り焼き台の上につぶつぶの実が並んだ。



 皆で片付けをしているとイオがエルルに、

 「エルルさん午後は何処を回るのですか?」

「辺境伯屋敷と王都のお屋敷に騎士団詰所あとはナハリに行ってマイラお祖母様の所とアルマン家で最後にレンお姉様を診て王都の大聖堂に行こうと思っています、」

「エルルさん私お婆ちゃんの所からお供して良いですか?それまでは実家に行ってます、」

「はい了解です!お母さん達は?」

「私はせっかくだからもう少しプールを楽しむわ、エドによろしく伝えておいて、」

リリルも、

 「私は夜迄にちゃんと泳げる様になろうかね、

 お姉ちゃんとカレンはどうする?」

 「私はお屋敷の掃除をします、」

「じゃあ私はユユとソファーでお昼寝をしようかしら、」



 エルルは部屋に戻り着替えを済ませるとイオに一声かけて辺境領の部屋へ転移する、

廊下に出るとメイドの先輩に声をかけられ休みの間の事を話ながらエド様の執務室まで行く、

 執務室ではエド様とロータスさんがいてロータスさんが、

 「お帰りなさいませエルル様、」

と頭を下げる、

 「辞めて下さいロータスさん!僕明後日から仕事に戻りますので執事見習いですよ、」

「ははは、お帰りエルルナハリは楽しめたかい?」

「はい、お土産持って来ましたジィーンさんに渡して下さい、

 一緒にレシピもお願いします、」

 と海苔や昆布を出す、

「例の海産加工物だな、」

「ええ、きっと新しいナハリの特産品になりますよ、」

 エドモンドは深く頷き、

「領の者達の暮らしが楽になると良いなありがとうエルル、」

「僕は何もしていませんよ、あとこれは先輩達に、」

と大きな紙箱に入ったケーキをロータスに渡す、

 ロータスがもう一度頭を下げ、

 「ありがとうございます皆が喜びます、」

エルルはぱたぱたと手を振り、

 「ロータスさん同僚の皆さんに喜んで貰えれば嬉しいです、

 エド様週末はこちらで勤めますので、あとお母さんが水泳を始めましたよエド様に宜しくって、」

 エドモンドは驚き、

「ナタリーは泳いでいるのかい?

 まあ帰って来たら詳しく聞く事にするよ、

 まだ何処かに行くのだろ?」

 「はい、主人様の所やアルマン家にも行こうと思っています、」

「分かった気を付けて行くのだよ、」

とエドモンドの言葉にエルルはぺこりと頭を下げその場からすっと消えた。




 「わっ!エルル?いきなり驚かせないで頂戴、」

といきなり屋敷の使用人控え室に現れたエルルにお茶を飲んでいた侍女長マチルダが言う、」

「侍女長すいません今挨拶周りをしてたんです、」

「そう、やっと帰って来てくれるのね、」

 「侍女長僕そんなに長く休んでませんよね?」

「そうだったかしら私は随分とエルルの美味しい食事を食べて無いわよ、

て冗談はこれくらいにして主人様の所へ行きましょう、」


 公爵屋敷の執務室にエルルが入るとマリーが、

 「エルル帰って来てくれたのね待っていたわよ、」

マリーの隣でソファーに座っていたアルクも、

 「お帰りエルル休暇はどうだった?」

「はい、とても有意義なお休みでした、伯母を通じて祖父の実家にも挨拶が出来ました、」

「伯母とは夜会の時に陛下といらした女性だな、」

「はい、ブリネンの大公爵家に連なる方です、

 仕事に戻ったら主人様と奥様にご紹介いたします、」

マリーは身を乗り出し、

 「エルル貴女の家に招待してくれるの?」

「奥様僕の家は大した所じゃ無いですよ、」

「エルル?ちょっと待て、先程の話を聞くと外国に行って来たのかい?」

 「実は僕の再従姉妹が伯母を案じてオーライドに来た所偶然ナハリの宿で会いまして、

 再従姉妹は時空魔法士でしたのでその場からブリネンの大公爵家に招待していただきました、」

 アルクはなんとも言えない顔をして、

 「それはまた凄い話だな、

 私もエルルの家に行くのを楽しみにしているよ、」

「もう、主人様まで僕の家は大した所ではないですからね、

 あっ!忘れる前にこれナハリのお土産です、

 先日の会議の時に海苔はお見せしましたが、こちらは昆布と言う海産加工物です、料理長にレシピと共に渡して下さいきっと美味しいスープを作ってくれますよ、」

「エルルもしかして昨晩の様なスープがまた飲めるのかい?」

「昨晩のスープは美味しかったですね、

海の魚がもう少ししたら王都に入ってきますのでもうちょっとだけ待っていて下さい、

 僕はこれから騎士団の所にもお土産を届けて来ます、」

 「ああ分かったよエルル明後日からまた頼むぞ、」



騎士団本部の厨房に転移したエルルは夕食の準備をしていたジルムに、

 「ジルムお疲れ様これナハリのお土産!」

と海苔と昆布をレシピ付きで渡す、

 「お帰りなさいやしエルル様、これがナハリの新しい産物ですかい?」

「うん、レシピにも書いてあるけど昆布はスープのダシにすると美味しいよ、

って今日は静かだね、」

「そりぁ平日ですから夜勤の方は寝てますし非番の方しかいやせんから、

この時間はこんな感じですよ、」

「なるほど屋敷の寮と同じだよね、

じゃあジルム皆に宜しく、」



 エルルはナハリの代官屋敷の庭に転移して来て庭の隅に作った作業場を覗けば灯りが付いていて中でマライヒさんとストーキンさんが馬車について話をしているようで、

 「お疲れ様ですストーキンさんマライヒさん、」

「やあエルル君良い所に、」

「エルル様お会いしたかったです、」

とそれぞれに手を取られ、

 「ストーキンさんマライヒさん僕は挨拶に来ただけですよ!明後日から仕事に戻りますから、」

 「そんな事言わず一緒に新しい馬車の進捗状況を聞こうじゃないか、

 それと個人的なお願いもあるんだ、」

 「代官様私はエルル様に細部の所のアドバイスがいただきたいのですが、」

「二人とも今日は勘弁してください、この後も予定が詰まっているのです、

 マライヒさんはレポートにして公爵屋敷の僕宛に送って下さればギルドを通じて商会の方に返送しますよ、」

「宜しくお願い致しますエルル様、」

と頭を下げるマライヒにエルルは小さな紙箱を渡し、

 「これ王都で女性に人気のお菓子です仕事休みにでも食べて下さい、

ストーキンさん僕はルチアさんに挨拶して帰りますね、」

 と慌ててエルルを止めようとするストーキンに手を振りその場から転移する、

 代官執務室の前に転移して来たエルルが扉をノックするとメイドさんが扉を開けてくれ中にいたルチアさんが、

 「エルル様朝一番で村長が昨晩のお礼を伝えて欲しいと来ていましたよ、」

「とても美味しいスープをご馳走になりました、

 ルチアさん僕は明後日から仕事に戻ります次来る時は執事見習いなので様付けは勘弁してくださいね、」

と言いながらエルルは紙箱を二つ出す、

 「エルル様これは?」

「王都で流行りのケーキです、

 こちらはルチアさんでこちらはメイドの先輩達へ、」

「ありがとうございますエルル様皆でいただきますね、」




「お母さ〜んただいまぁ!」

「あらイオお帰りなさい」

タリスマン家の居間にイオが入って来ると母ミリアが返事を返す、

 居間には休みなのかウォーレンも椅子に座っていてイオを見て驚いている、

 イオはそんな父を見て、

 「お父さん久しぶりどうしたのそんな顔して、」

「イオなのかい?」

イオはローブを脱ぐとすっとそのローブを収納して、

 「ひどいよ娘の顔を忘れるなんて!」

と頬を膨らませる、そんなイオをミリアが笑いながら、

 「お父さんイオが綺麗になり過ぎてイオだと分からなかったのよ、

 ナツやリツもそうだったでしょ、

 いまお茶を煎れるわ、」

「お母さんお茶ぐらい私が煎れるよ、」

とお茶セットを取り出して直ぐにお茶の用意をする、

 イオがエルルの様に物を取り出すのを見たウォーレンは、

 「イオ凄いぞ!エルル様みたいだ、」

イオはケーキを出しながら、

 「あれ、お父さんエルルさんに会ったの?」

「ああ、先日王城にいらしていてな、

 でもあのイオがエルル様の弟子になれるとは父さん感激だ!」

「イオそう言えばこの間のリツとナツの就職祝いの料理ありがとね、お酒もあの飲み方すっごく美味しかったわよ、」

イオは不思議そうな顔をして、

 「お母さんお酒って何?私知らないよ、」

いきなりウォーレンが、

 「ほらっ!ミリアあのお酒はエルル様が僕にってあの日下さったって言ったじゃないか!

 リンと二人で殆ど飲んじゃうなんて酷いよ!」

「もぅ!ウォーレンたらちゃんと一杯残してあげたじゃない、」

「イオ聞いたかいあのミリアの言い方!」

イオはぱんぱんと手を叩き、

 「はいはい、お父さんもお母さんもケーキ食べようよ、

 お父さんエルルさんに頼んでお酒譲って貰うから、」

 「本当かい!あの弾ける水と柑橘の実もだよ!」

「お父さんちゃんと・・・  はい!エルルさんええ分かりました、ではお婆ちゃんの家で、」

いきなり耳に手を当て話出したイオに驚くウォーレンとミリアにイオはローブを出し羽織りながら、

 「ごめんエルルさんとお婆ちゃんの所で待ち合わせなの、

 お母さん食器は洗ってバックの中に入れておいて!」

とイオは言い残しその場からすっと消えた。



 マイラの屋敷の前で立つエルルの隣にイオが転移して来て、

 「エルルさんお待たせです、」

「イオさん珍しく転移で来たのですね、」

「最近転移も練習してるんです、

さあエルルさんお婆ちゃんの所に行きましょう。


 「お祖母様これはお寿司と言う海の魚を使った料理です、

 生物ですので今日中に皆さんで食べ切って下さいね、」

マイラは少女の様にはしゃぎながら、

 「エルルありがとう美しい料理ね、」

イオは醤油の小瓶と水根の実と小皿を取り出し、

 「お婆ちゃん小皿に醤油を出して水根の実を擦り下ろしたものを少し添えて食べるととっても美味しいよ、」

そうなの貴女達も一緒に食べて行かない?」

「お祖母様まだアルマンの家とレンお姉様の診察も有りますので、

 またゆっくり寄らせて下さい、」

「分かったわエルル、レンをお願いね、」

「はいお祖母様、」




 「エルルさん私達アルマン家の衛士さん達に顔を覚えて貰えましたね、」

「そうですねイオさん、」

と二人は話ながらアルマン家の執事の後に付いて屋敷の中に入って行く、

 屋敷のサロンではフランチェスカとエバが待っていて、

 「よく来てくれたわねエルルにイオ、」

二人はフランチェスカとエバに頭を下げ、

 「休暇で港町に行っていましたので海の魚を使った料理をお土産代わりに作って来ました、 

 お寿司と言う料理です、」

お寿司を見たベスが、

 「まぁ!エルルあのお茶会の時の料理ね、凄いわお魚の種類でこんなに美しい料理になるのね、」

「ベス貴女はずるいわ貴女だけ公爵家のお茶会でこんなに美味しそうな料理も食べていたのね、」

「今日は伯父上様や師団長様はお勤めですか?」

「ええ、息子も主人も仕事よエルルが来てくれたと聞いたら二人共拗ねるでしょうね、」

「伯母上様お寿司は生物ですので今日中に召し上がって下さいね、

 あと膝の治療もして行きますね、」

「嬉しいわありがとうゆっくりして行って頂戴そのうち主人も帰ってくるわ、」

エルルは椅子に座っているフランチェスカの膝に治癒魔法をかけながら、

 「伯母上様今日は未だ診なければならない身内の者かいますので今日は失礼致します、」

「そうそれは仕方ないわね、

 二人共次来た時はゆっくりしていってね、」

「ありがとう御座いますまたきますね、」



 

 ドルドマ家の居間で椅子に座るレンにエルルが、

 「レンお姉様順調ですよ、赤ちゃんの心音も力強くなってます、」

「ありがとう御座いますエルル様、

 最近悪阻が終わったと思ったら食べ物が美味しくって、

イオもありがとう相変わらず綺麗ね羨ましいわ、」

 「お姉ちゃん久しぶりまだお腹は大きくなって無いみたいだけど、

 お母さんって感じがするよ、」

「お姉様先日も話ましたが食べ過ぎちゃダメですからね、」

 先代男爵パーマスが夫人と共に、

 「エルル様いつもありがとう御座います、」

と頭を下げる、

 「辞めて下さい先代様、僕も叔父になる様な気分でとても楽しみにしているのです、

 今日はお土産を持って来ました皆さんで召し上がって下さい、」

と寿司桶を出す、

 「おお!これが食べ物ですか?

 美しい飾り物の様な色彩ですな、」

「本当ね、これ海のお魚じゃないかしらしかも生だわ、」

「はい夫人休暇で海に行っていまして生物ですので今日中に召し上がって下さいね、」

「ではレン早速頂こうじゃないか!」

と目を輝かすパーマスに、」

「義父様トーマスが帰って来てからにいたしましょう、

 先に食べたら絶対拗ねますわ、」

イオがレンにケーキの入った紙箱を渡し、

 「お姉ちゃんこれ私が作ったケーキこれも食後に皆さんと食べてね、」

 「うゎぁ!ケーキ嬉しい!」

と喜ぶレンにエルルが、

 「レンお姉様は一個ですからね!」

とくぎを刺した。



 

 「イオさん今まで遠目からは見ていましたが、近くで見るととても大きな建物ですね!しかも美しいです!」

「私がここに来るのは学園の奉仕作業以来です、

 この建物は王都で王城に次ぐ大きさだそうですよ、」

「詳しいのですね、」

「学園の歴史の授業で習いますよ、」

「僕は学校に通った事も無い田舎者だから色々教えて下さいね、」

イオはぷっと吹き出し荘厳な門へ歩いて行く、

 「エルルさん珍しいですよこの入り口何時も凄く長い列が出来てるんですよもしかして閉館してるのかも、」

「えっ!教会に閉館何てあるのですか?」

「夜は普通に閉まると思いますが、」

と話ながら入って行けば入り口の所にシスターさんが箱を抱え立っていてそれを見たイオが小声で、

 「エルルさんやってたみたいです、あの小箱にお布施を入れて下さい、

 気持ちだけで良いですよ、」

「イオさん教会がやってたってのはどうかと思いますが了解です!」


 エルルは小箱に金貨を一枚入れるとシスターさんが、

 「貴女に女神フィーネス様の加護があります様に、」

 と声をかけられ門を潜り教会の中に入れば驚くほど広い吹き抜けのホールで光取りの窓は見事なステンドグラスの絵画になっていてプロジェクターの様に白い壁と床に創世の絵物語りを映し出している、

 「凄いですねイオさん素晴らしいです!」

「エルルさんこんな景色王様でも見れませんよ!いつも凄く混んでるんです、」

「イオさんここ写真撮っても怒られませんか?」

「写真ってあの精密な姿絵ですか?」

「はい、姐様達にも見せてあげたいのですが、」

「誰も居ませんし良いんじゃないですか、」

じゃあとエルルは魔導具の写真機を出しホール内を撮影する、

 エルルは魔導具から厚紙を引き抜きパタパタとふり写真を見て、

 ぶぅーっ!!と盛大に吹き出す、

 その写真には一目で天使と分かる美しい女性達が皆笑顔でこちらにピースサインをしていた、

 「エルルさん描けましたか?私にも見せて下さい!」

 とエルルに近寄って来たイオがエルルを二度見して、

 「エルルさん眼鏡して下さい!瞳が女神様の瞳と同じ色になってますよ、」

 とイオに言われ慌てて眼鏡をするとイオはエルルの顔をまじまじと眺め

 ぷっぷぷと身体を震わせる、

 「何ですイオさん瞳の色まだおかしいですか?」

イオは笑いを堪えながら、

 「エルルさんエルルさんってそんな眉でしたっけ?」

「えっ?何?瞳じゃなくて眉?」

と聞き返しながら自身で手鏡を出し鏡を覗けばエルルの眉が前世の平安貴族の麻呂眉になっていて、

 「何だこれ?麻呂じゃん!!」

 

 








 

 





 


 


 

 


 


 

 

 


ありがとう御座いました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ