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新しい事業の会議をしました。

宜しくお願い致します。

第四十三話


  新しい事業の会議をしました。



 リリルは今ソファーに深く腰かけ膝の上でユユの背中を優しく撫でユユは気持ち良さそうに、

 「キュゥ〜〜」

と目を閉じ鳴いている、

 洗濯物を取り入れたカレンが居間に入って来て、

 「リリル様は今晩ルコル家の焼き肉を食べに行かなくても良かったのですか?」

「カレン昨晩もお肉だったじゃないかい、

 それと今日お昼に食べたスパゲティーって料理の他の味も食べてみたかっかからね、」

「確かにお昼のスパゲティーは美味しかったですね、私も夜のスパゲティーが楽しみです、」


不意にリリルが、

 「カレンお客が来たようだ多分お姉ちゃんだと思う、」

 「分かりました、」

 とカレンは居間から出て行き玄関からカレンの出迎えの言葉とリリカの声が聞こえ、

 直ぐにリリカが居間に入って来て、

 「リリル!やっと帰って来れたわ!」

リリルは苦笑しながら、

 「お姉ちゃん帰って来たはおかしいでしょ、」

と応えて膝の上のユユも挨拶のつもりなのかリリカに向かって、

 「ピィ〜!」

 と鳴くとリリカはリリルの膝の上のユユを二度見どころか三度見して、

 「リリル!竜じゃないの!もしかして白竜様?」

リリルは頷き自慢げにユユを撫でながら、

 「うちの新しい家族でユユって名前でまだ赤ちゃんで女の子なんだよ、」

 「リリルちょっと私に抱かせて頂戴!」

と両手を広げユユにおいでおいでをするとユユはリリルに顔を向けリリルがうなずくのを見た後、

 「キュゥー!」

と一鳴きしてふぅわっと浮き上がりリリカの腕の中へ飛んで行く、

 リリカはふわふわ飛んで来たユユを抱き取り、

「なんて可愛いの!」

とユユの頭を指でなでなでする、

 カレンが奥からお茶のセットと焼き菓子を持って来るとユユが焼き菓子を目で追いリリカに、

 「ピィ〜!ピィ〜!」

と催促する、

 「お姉ちゃんユユに焼き菓子を食べさせてみるかい、」

と焼き菓子をリリカに渡すとユユの目は焼き菓子に釘付けで、

 リリカはソファーに腰を下ろし膝の上のユユに焼き菓子を与えながらリリルに、

 「今晩ブリネンのルコルの家である焼き肉パーティーには参加しないの?」

リリルは、はははと笑いながら、

 「さっきカレンにも言われたのだけど昨晩お肉だったんだよ、

 で今晩はエルルがスパゲティーって言う美味しい麺料理を作ってくれたから今晩はお留守番だよ、

 あとちゃんとお姉ちゃんの分も用意してあるからね、」

 「それは楽しみだわ!ねえリリル私温泉に入って来ても良いかしら、」

「じゃあ皆で食事前に温泉にはいろうかね、」

 


 

 大公爵家の庭では料理人さん達が使用人さん達に次々お肉を焼いて行き、 使用人さん達はエルルが用意した調味料を付けた肉に感動し冷えたビールをお供に幸せそうな顔をしている、

 交代で抜けて来ている衛士達もお肉を夢中で食べているが、

 ビールを飲む同僚達を少し羨ましそうに見ていた。


 イオはシャルルと共にメイド達に焼いたお肉を配っていて、

 ナンシーがリスの様に頬をお肉で膨らませシャルルに、

 「びべばば、ずぼぶぼびびいべぶ、」

と口をもごもごさせながら言い、

 屋敷のメイド長が、

 「ナンシー口の中の物を食べ切ってから話しなさい!

 あと先日エルル様に頂いた至高のお菓子を食べた時も貴女同じ事を言っていたわよ、」

「メイド長甘い物は別舌なんですよ!」

メイド長は呆れ、

 「貴女それを言うなら別腹でしょう、」

そんなやり取りにイオはくすくす笑い、何もない所からチラシを取り出す、

 目の前に突然現れたチラシを見て目を丸くしているナンシーにイオが、

 「私も甘い物に目がないんですよ!

 これこれから私が出す屋台のチラシです、

きっと気に入って貰えますよ、」

とチラシをナンシーに渡す、

 ナンシーがチラシを見て動かなくなっているのを見たメイド長達がチラシを覗き込むとそこには精密な絵で描かれた美味しそうなクレープが三種類載っていて、

 いきなり静まりかえったメイド達を他の使用人が不思議そうな目で見ている、

 シャルルもチラシを覗き込み、

 「イオこんな屋台もやっていたの?」

「シャルこの屋台は特別!身内の人の前でしか開かないよ、

 うちの公爵家の先輩達にも大人気のお菓子だから皆さんにもきっと気に入って貰えますよ、」

 ナンシーはイオに詰め寄り、

 「イオ様このお菓子はどれか一つしか食べられないのですか?」

と聞いてきてメイド長達も皆イオに集中していてイオは笑いながら、

 「お好きなだけ食べて下さい、

 でもこの後エルルさんが焼きそばって凄く美味しい料理を作ってくれますのでそれを食べてからだと全てのクレープを食べるのは難しいと思いますよ、」

 ナンシーは絶望した様な顔をしながら、

 「そんなぁ!まだ美味しいお料理が出ると知っていればお肉を食べるのを控えたのにー!」

 とナンシーは心の底から悔やんだ。


 エルルはお肉を焼きながら、

 「ミルル姉様お肉だけでお腹いっぱいにしちゃダメですよ、まだ焼きそばって言う麺料理もしめに出します、

 あとイオがデザートの屋台を出しますのでちゃんとペースを考えて食べて下さいね、」

 エルルの言葉を聞いていたサララやクララが、

 「だからうちの子達があんなに盛り上がっているのね、」

とイオとシャルルの周りに集まり盛り上がっている女性使用人達を見る、

 冷えたビールの摘みに肉を食べていたターチルが、

 「エルル君しかしこのエールの様な酒は旨いね冷えている所がまた良い、

 まあ先日貰った至高の蒸留酒の方が私は好みかな、」

エルルはお肉を食べながら甘笹の蒸留酒をにゅっと出し、

 「このお酒はこの様にして飲んでも美味しいですよ、」

とガラスのグラスに蒸留酒を入れ氷と炭酸水で割り柑橘の実をカットした物を浮かべる、

 それを見たターチルは喉を鳴らしエルルから渡されたグラスの酒をぐびっと一飲み、

 「ぷっは~!これは良い!エルル君良かったらその酒も譲ってくれないか、

 勿論お金は払う!

 実は以前貰った酒の旨さを兄上に自慢したら飲ませろとうるさくてね、

 一杯だけのつもりで持って行ったのが不味かった!もう一杯もう一杯とたかられちびちびと楽しんで飲んでいた酒があっという間に空になってしまった、」

「分かりました、身内価格でお譲りしますよ、」

「父様!エルルを独り占めしないでちょうだい!」

「そうよターチル、エルルそろそろ焼きそばって料理を作ってくれないかしら、この美味しいお肉のせいでお腹が膨れてしまうわ、」

 エルルは苦笑しながら網を鉄板に変え料理人を呼んで作り方を説明しながら手際よく焼きそばを作って行く、

 ジュウジュウと焼いている所にソースをかけるとジュワーと音と共に香ばしい香りが立ち込め、

 興味深げに見ていたクララが、

 「エルル良い匂いね、

 この間のお弁当も凄く美味しかったけれどこの焼き物もとても美味しそうだわ、」

「職場の先輩達にも人気なんですよ、」

と話ながら料理人さん達が用意する皿に出来上がった大量の焼きそばを取り分け配って行く、

 皆麺料理が初めての様で戸惑いながらもホークで焼きそばをすくい一口食べれば口々に美味しいとまた笑顔になる、

 サララも上品に焼きそばを食べ、

 「エルル美味しいわ、オーライドの食文化に興味が出るわね、」

 「サララ母様この料理はまだオーライドでも出回っていないうちのオリジナルなんですよ、」

「上皇陛下がエルルの所に行きたがるのが分かるわ、」

 エルル達が話していると突然使用人さん達からわっと!驚きの声が上がりそちらを見ればイオが屋台を出した所でそれを見たクララとミルルが、

 「流石エルルのお弟子さんね、空間魔法かしら?」

「ええ、イオは空間魔法士です、」

「貴重な魔法の資質ね今ブリネンに空間魔法士は居ないわ、」

クララの言葉にミルルが、

 「魔法の資質を隠したい者も少なからずいるから居ないとは断言出来ないけれどクララが言うように居ないでしょうね、」

エルルはイオとシャルルの方を見ながら、

 「これはあくまでも僕の見解なのですが、時空魔法と空間魔法は互換性と言うか時空魔法の素養が有り莫大な魔力を有する者が空間魔法も使えるのではないかと考えています、

 あくまでも僕の推論でしかないのですが、」

クララが興味深げに、

 「面白い推論だわ!よく言われている時空魔法士は他の属性魔法が苦手と言うのも特殊な所ね、」

「うちのイオも他の魔法はほとんど使えないんですよ、

 最近は色々工夫しているみたいですが、」

「うちのシャルと同じ、

 いえシャルは治癒魔法も使えたわね、」


イオがクレープ屋さんを出すと使用人達は屋台の周りに集まり屋台に入ったイオが、

 「さあどんどん注文して下さいね、」

の言葉にメイド達の一番前にいたナンシーが注文しようとするとメイド長が、

 「ナンシーサララ様にそのチラシを持って行って希望をお聞きして来なさい、」

 と言われナンシーはお預けをくらった犬の様な顔をしながらサララ達の元に走って行く、

 

 焼きそばを食べ終わりエルルが出したお茶を飲んでいるサララの所にナンシーが走って来て、

 「サララ様イオ様の屋台のチラシをお持ち致しました、

 ご希望のクレープを頼んで頂ければイオ様に作っていただいて来ます、」

サララはミルル達と共にチラシを見ながら、

 「ナンシー貴女達先に食べれば良かったのに、

 ありがとうせっかくだから頂くわ、           でエルル何が美味しいの?」

「サララ母様達の分は僕が出しますよ、」

とにゅっとクレープを三つ出し、

 「一口ずつ食べてみて下さい、気に入ったクレープを出しますので、」

ナンシーはクレープの実物に釘付けでそんなナンシーにミルルは笑いながら、

 「ナンシー私達は良いから戻ってクレープを作ってもらいなさい、」

「はい!でもミルル様皆様の感想をお聞きして一番人気のクレープを戻って頼もうかと、」

そんなナンシーを見てサララも笑いながら、

 「それは責任重大ね、」

とエルルが持つクレープをミルルとクララの三人で食べさせ合い、

 サララは、

 「私はカスタードが良いわ、カスタードよナンシー!」

ミルルが、

 「母様断然チョコよ!チョコよナンシー、」

クララが、

 「いえ、やはり生クリームでしょう!生クリームよナンシー、」

と三者三様の事を言い出しそれを聞いたナンシーは難しい顔をしながら頭を下げイオの屋台に帰って行く、

 

 屋台の前でメイド長が、

 「ナンシー見ていましたよでサララ様方は何と?」

「皆様方それぞれ別の物を勧められまして、」

そこに屋台の中からシャルルがクレープを頬張りながら、

 「メイド長生クリームがおすすめよでもイオこれ二個目は無理だわ、」

イオはクレープを作りながら、

 「でしょ!けっこうボリュームがあるよね、

 メイド長様何になさいますか?」

「ではイオ様生クリームをお願いします、」

イオは出来ていた生クリームのクレープをメイド長に渡しメイド長はクレープを食べうっとりしなから、

 「至高のケーキと同じく素晴らしいお菓子ですわ!」

と大絶賛し、メイド達からも次々歓声があがる、列の最後尾にはモーリーが並んでいてそれを見たエルルは、

 「執事長のモーリーさんってもしかして甘党なんですか?」

エルルの作ったお酒のお代わりを飲んでいたターチルが、

 「モーリーは無類の甘党でね先日エルル君から貰ったケーキに感動して自分でケーキのレシピをギルドに買いに行き料理人に頼む位だからね、」

 エルルは目を輝かせ、

 「僕も甘い物は大好きですよ!

 モーリーさんとは気が合いそうです、」




 焼き肉パーティーが終わり今は大公爵家のサロンでイオと共にお茶を飲んでいるとサララが、

 「エルル今日はありがとう、

 うちの子達の喜ぶ顔が見れて嬉しかったわ、」

「そうだねサララ貴重なお肉と美味しいデザートそれに至高のお酒で僕も幸せだったよエルル君、」

エルルはバタバタ手を振り、

 「ルコルの家の人達に喜んで貰えて良かったです、まだまだ沢山お肉が残っていますので何時でも声をかけて下さいね、」

 ミルルがシャルルとイオが楽しそうに話しているのを見て、

 「ねえシャル貴女の髪やお化粧イオさんに教えて貰っているんでしょ?」

シャルルは結い上げていた髪を解いて自慢げに、

 「そうなの、髪はカットして貰ってお化粧を教わっている所なの、」

「イオさん私の髪もカットして貰えないかしら、あと私もイオさんの様なお化粧の仕方を教えてほしいわ、」

「はい私で良ければ今カットしますか?

 それと私の事はイオと読んで下さい、」


「嬉しい!お願いするわイオ!」

シャルルがミルルに、

 「お姉ちゃん良かったね、あっちでイオのカットはすっごく人気で予約待ちになってるんだって、」

「シャルそんな事ないよ、今私休暇中だからだよ!

 エルルさんここに簡易美容室を出しちゃっても良いですか?」

エルルはサララに、

 「サララ母様ここに簡易美容室を出しても良いですか?」

「美容室?勿論良いけれどミルル!貴女だけずるいわよこういう時は私からでしょ!」

「じゃあイオさん二台並べて僕はシャンプーとトリートメントを手伝うから、」

とエルルは大きな姿見と簡易洗髪台に椅子を出しサララを座らせ、

 「サララ母様こちらの洗髪台でこのオイルを使って化粧を落として下さいその後洗髪していきます、」

隣りではミルルが洗顔をしていて先に洗髪が終わったサララの髪をエルルが乾かしているとクララが、

 「エルル凄いわ母様の髪が艶々になっているわ!

 洗髪の時に使っていた薬液がシャルの言っていたシャンプーかしら、」

「はい、あと洗髪の後使ったのはトリートメントですねリンスを使う場合も有りますが今回は傷んだ髪を僕がちょちょいとヒールしながら乾かしてるんです、」

 「エルル母様達の次は私もお願い、」

「はいクララ姉様、

 イオさん交代しましょう僕がミルル姉様の髪を乾かしますので母様のカットをお願いします、」

 「了解です、サララ様何かご希望はありますか?

 ルコル家の皆さんの髪は癖がほとんどないので毛先の方に軽く癖を付けても雰囲気が変わりますよ、」

「面白そうねお任せするわ、」


そして三人のカットが終わりイオがサララの顔にメイクをしながら両隣りのミルルとクララに説明をして行き二人は自身で化粧をするメイクを終えたサララにターチルが、

 「サララ普段の君も美しいがとても綺麗だ、」

「まあ貴方ったら正直なんだから、」

「サララ母様も姉様達もとても美しいですよ、」

「もう!エルルまでそんなに誉めても何も出ないわよ!」

 鏡に映る自身に呆けている姉二人にシャルルが、

 「お姉ちゃん達すっごく綺麗になったよ明日職場の人達誰だか判らないかも、」

 シャルルの言葉に二人は、

 「今晩化粧を落とすのがおしいわ!」

「明日も同じ様に化粧ができるか不安だわ、」

と鏡に映る自身に見入っている、


イオが片付けを始めるとサララ達を見ていたメイド達が慌てて片付けを手伝い始めエルルも簡易美容室を収納し、

 「イオさん片付けが終わったらお暇しましょう、シャルルさんはどうしますか?」

「私は明日仕事が有りますのでこちらに残ります、

 また休暇の日に伺わせて下さい、」

「はい待ってますねでは皆様また!」

 「エルル本当に今日はありがとう、

 ここは貴方の家なんだからいつでも気軽に来なさい、」

と笑顔で手を振るサララとルコル家の者に手を振り返しその場から転移した。



 エルルとイオが居間に入るとリリルとリリカが蒸留酒を飲みながらチョコを食べていて、

 「エルルお帰りゆっくりだったね、」

「ええ彼方で盛り上がっちゃいまして、カレンさんとユユは?」

「先に休むって寝室さ、」

リリカが、

 「エルル夕食のスパゲッティー凄く美味しかったわ他の味もたべさせてね、」

 エルルはサムズアップをしながら、

「はい了解です、

 イオさんお手伝いありがとう先にお風呂入って来て!

僕は研究室にいきます姐様達お休みなさい、」

「はいお先です!お休みなさいエルルさん、」

「私達も寝るとするかねお姉ちゃん、

お休みエルル、」




数日後エルルは久しぶりに公爵家使用人寮の厨房で、

 「はいサムこれ食べてみて、」

と夜明け前の厨房で朝食の支度をするサムにおにぎりを渡す、

 「エルル様こいつは白米を握った物ですね包んでいるのは葉っぱですかい?

うっ!中に具材が!こいつぁうめえ、

魚の身をほぐした物にマヨネーズですかい?

 いや匂根の油漬けの風味も!」

エルルはパチンと両手を合わせ、

 「流石サム海流魚の油漬けをマヨネーズで和えたツナマヨって具材でこっちは堅魚の削り節の醤油で和えたおかかって具材だよ、

 今日の朝食はこのおにぎりと、お味噌スープにだし巻き卵にしても良いかな、」

サムは目を輝かせ、

 「へいエルル様!お手伝いしやす!」


しばらくするとメイドの先輩達が入って来て厨房のエルルを見るなり、

 「エルル君お帰り!待っていたわ!」

と一斉にカウンターに駆け寄る、

 「おはよう御座います、もうちょっとだけお休みを貰います、

 今日はお屋敷である会議に出る為に来たんです、」

アニーが、

 「聞いているわ、先代様や代官様もいらっしゃるんでしょ?」

「ええ、代官様は僕がエド様はイオが迎えに行きます、

あとアニー先輩カレンさんが今週は帰らないと母様に伝えて欲しいそうです、」

 「分かったわ休みの日に連絡しておくわ、

 でも母さんの凄くがっかりする顔が見えそうだわ、

 先日帰った時お姉のお土産のケーキを自慢してたから、」


エルルがメイドに囲まれて話をしていると侍女長マチルダ執事長ペレスがソフィアとロバートを連れ食堂に入って来てペレスが、

 「皆おはよう今日はエルルも帰って来ているな、

 知っていると思うが今日はお昼に屋敷のホールで会議があるお身内の方ばかりだが気を抜く事のない様に、」


執事長の朝礼が終わるとメイドの先輩達が一斉にカウンターに並びエルルとサムが朝食の乗ったトレーを渡して行く、列の最後のジャンが、

 「エルルおはよう、こないだ家に戻ったら父さんや母さんにお寿司を自慢されたよ、今度食べさせてくれないかい?

 前夕食にお刺身って料理を食べさせてくれたじゃないかあのお刺身の味が忘れられなくてね、

 お寿司って料理は何でも色々な刺身をご飯と共に握った物だとか聞いたよ、」

「ジャン先輩このおにぎりって言う食べ物も美味しいから食べてみて、

 お寿司は仕事に戻ってから休みの晩にでも作ろうかな、」

「エルル楽しみにしているよ、」

とジャンはトレーを持ってテーブルに戻って行きまわりを見たら皆夢中でおにぎりを頬張っちゃてたよ。



 朝食を食べていたリリルが、

 「イオ今日はナタリーの所に行くのだったね、」

「はい、王都のお屋敷で行われる会議にエドモンド様とナタリア様をお連れします、」

「じゃあ今晩はナタリーが来るわね、」

と悪戯っぽく笑うリリルにイオも笑顔で

 「はい私もそう思います、」

 と答えリリカが、

 「それは楽しみね、私もリリルの娘に早く会ってみたいわ、」

そんな会話の隣りでユユはエルルが皆に用意したサンドイッチを作る時に余ったパンのミミを揚げ砂糖をまぶした物を手と口の周りをべちゃべちゃにしながら美味しそうに食べ、

 「ピィ〜」

と鳴きカレンに口の周りを拭いて貰う仕草がまた可愛く残っているパンのミミをリリルが面白がって食べようとすると羽と尻尾をふりふり、

 「ピィー!ピィー!」

と抗議し可愛さと面白さに皆がぷっと吹き出した。



 イオが辺境領の部屋に転移して来ると待ち構えた様にメイドさんが入って来て、

 「イオ待っていたわ、今日も朝から奥様がエルルはイオはと大変なの!」

そんな先輩メイドの言葉に苦笑しながら自分達の部屋を出てナタリアの部屋に行けばいきなりナタリアに抱き付かれ、

 「ああ!待っていたわイオ!迎えに来るのが遅いわよ、」

「はいすいません、お休み中ですが彼方此方へとバタバタしてまして、」

「まあ良いわ!早速森の家に連れて行って頂戴、」

そんな二人の会話に扉の外から、

 「ナタリー何を言っているんだいこれから王都の屋敷の会議に行くんだよ、」

「エド!わかってるわよ冗談よ!でも今晩からしばらく私彼方に行くから!」

と言うとナタリアは鼻からふんっ!と息を吹き出しエドモンドはやれやれと言う様に、

 「イオ、ナタリーの準備が出来たら彼方に送ってくれ、」

 と言い残しエドモンドはナタリアの部屋を後にした。



 公爵家のホールに案内されたクレオとベルレッタは自分達の常識から外れた室内に驚く、

 二人共国一番の商会と言う事で数多の貴族屋敷、王宮にも出入りした事が有ったがこの様に驚いたのは始めてだ、

 メイドから座って待つ様に言われたが貴族相手に座って待つ訳にもいかず、

 「侍女様少し彼方のお庭を見せて頂いても宜しいでしょうか?」

スゥーは笑顔で、

 「はい、ガラスの壁が御座いますのでお気を付け下さいませ、」

 と言って奥のカウンターの方に下がった。

 

 アルクの執務室にエルルがストーキンとルチアを連れて来て、

 「主人様ストーキン様とルチア様をお連れ致しました、」

「ああ、エルルお疲れ様今日は身内の者だけの会議だその様にかしこまらなくて良いぞ、」

アルクの隣りのマリーも、

 「そうよエルルそんな他人行儀の挨拶はやめて頂戴、」

 エルルの背後からストーキンが、

 「アルク久しぶりだね、先程迄ナハリに居たからここが本当に王都だと信じられないよ、」

「ストーキンたまにはルチアを手伝って代官の仕事もするんだぞ、」

「アルク様もっと言ってやって下さいませ、最近はエルル様と屋敷の庭に小屋を作り中で何やらやっている様で、」

「ルチア、エルル君と今日話す新しい事業の為の馬車を試作していたんだってば!」

 

そこにペレスが扉をノックして入って来て、

 「主人様先代様がいらっしゃいました、」

と頭を下げ後からナタリアが飛び込んで来てエルルに抱き付き、

 「もうっ!エルル母親を放ったらかしにするなんて悪い子ね、」

とエルルの頬を両手で引っ張る、

 後からエドモンドが、

 「ナタリー止めなさいエルルの可愛いい頬が伸びてしまうよ、」

エルルは頬を引っ張られたまま、

 「色々いそがしかったんですよ、爺ちゃんの実家の事とか、」

アルクが呆れ、

 「母上客人を待たせて有りますホールの方へ行きましょう、」

「そうだったわね、」

 とエルルの頬から手を離すが今度はエルルと手を繋ぎホールに向かう、


 「待たせてしまったかな、」

とアルクがクレオ達に話しかけて庭を見ていたクレオが、

 「素晴らしいお部屋と見事な庭に感動しておりました、」

アルクは、

 「ははは、この部屋も外の庭も弟が改装した物でねクレオ君もエルルと親交があるのだろ、」

「はい、従兄弟として接して頂いています、」

「今日は宜しく頼む、そちらの婦人は?」

先程から頭を少し下げていたベルレッタが、

 「閣下私はモルガン商会のベルレッタと申しますアズビー商会の食品部門を担当させて頂いています、」

ストーキンがアルクの背後から、

 「久しぶりだね婦人君のお陰で今回の事業を始める事が出来るんだ、」

「その様な事は御座いません、全てエルル様のお考えで御座います、」

エルルと手を繋いだナタリアが、

 「アルク皆さんに座って頂いたら、エルル仕切って頂戴、」

「分かりましたナタリア母様ではこちらへ、」

とアルクを中心に皆が見渡せる様に座るとエルルが書類の束を配って行き、

 そこには今回の事業の説明が詳しく書かれ公爵家とアズビー商会それぞれ出るであろう儲けの予想まで試算してあった、」

しばらく資料を見ていたアルクが、

 「なるほどうちが出資し商会が出した利益の一部とナハリの税が儲けになるわけだな、

 アズビー商会としては如何かな、」

「閣下既に父と話を付けて来ています、アズビー商会はこのお話をお受け致します、」

「騎士爵は既に了解済みか、

 ではストーキンナハリの方は?」

「領民特に海産物に携わる者達にとっては願っても無い話だと思うよ、

 最初は王都との間で商売が試験的に行われるがどんな内陸の領にも新鮮な海産物を届ける事が出来るんだ、

僕はエルル君が見積もった以上の利益が生まれると思っているよ、

 アルクも刺身を食べたんだろ、」

「ああ、海の魚が王都で生で食べられる様になるのだな、父上はどう思われます?」

「既に公爵はアルクだお前が決めれば良い、」

「ではクレオ君正式な契約書面を商業ギルドを通じ結ぼう宜しく頼む、」

と手を差しだすとクレオはアルクの手を握り返し、

 「閣下宜しくお願い致します、」

ストーキンが、

 「資料の最後にも書いてある様に冷凍魚の取り扱いは商業ギルドが出す資格を持つ者とするようギルドに手が回してある、

 これから先多くの商会が参入して来た時の考えられるトラブルの芽は最初に摘んでおかないと、

 勿論調理する料理人もだ生物を取り扱う以上これもギルドの資格制にした方が良い、

 何難しい試験を受ける訳では無く講習みたいな物だねエルル君、」

「はいストーキンさん!素晴らしい対応だと思います!流石僕が尊敬する学者様です、

 今日はこの新しい事業の成功を願ってお寿司と言う料理を用意しました、奥様とクレオさんは食べた事があると思いますがこう言った料理も王都で食べられる様になりますよ料理長お願いします、」

 エルルの合図に料理長が寿司桶をカウンターに出しメイドが皆に配って行く、

 寿司桶と共に小皿に醤油と水根を擦り下ろした物が置かれ皆寿司桶の中を見て驚いたがマリーは、

 「エルル私は海流魚のお刺身しか食べた事が無かったけれど他のお魚と並べると美しいわね、」

「これは旨い!」

とストーキンさんはすでに寿司を食べ始めていて奥さんのルチアさんから肘で小突かれちゃってたよ、


 会議の後の会食も終わりクレオさんとベルレッタさんが帰ると早速ナタリアが、

 「さあエルル帰るわよ!」

と言い出しアルクが、

 「母上せっかくエルルが帰って来ているのだから今日はこちらでゆっくり過ごして下さい、」

 アルクとナタリアの前にストーキンが出て、

 「伯母上、アルクこれからエルル君は僕と共に馬車職人達と打ち合わせがあるからナハリに帰りますよ、」

 ナタリアがエルルを見て、

 「エルル本当なの?」

 エルルは頷き、

「ええ冷凍庫付き馬車が大詰めなんです、夕食までには帰りますよ、

 イオさんエド様とお母さんを宜しく、」

「了解ですエルルさん、」

 「分かったわ彼方で待ってるわね、

じゃあイオ、エドと私を送ってちょうだい、

アルクまた来るわね!」

アルクは少し残念そうに、

 「はい母上、父上もいつでもお気軽にいらして下さいお待ちしています、」

ナタリアとエドモンドがゲートに入って行き、イオも頭を下げてゲートの中に入って行く、するとマリーがエルルに、

 「私もエルルの家に行ってみたいわ、」

「奥様、休暇が終わったら伯母を紹介しますのでその時にご招待いたします、」

エルルの背後からストーキンが、

 「さあエルル君ナハリに戻ろう、職人達が待ってる、」

 と急かせ、

「分かりました、では主人様皆様失礼致します、」

とエルルは頭を下げストーキンとルチアを連れ転移した。



 エドモンドをグランドバレスの屋敷に送った後イオとナタリアが森の屋敷に戻り居間に入って来て、

 「母様やっと帰ってこれたわ、」

ナタリアの言葉にリリルはぷっ!と吹き出し、

「ナタリーあんたもお姉ちゃんと同じ事いうんだね、」

ナタリアはリリカに気付き、

 「母様こちらの方は?」

リリルは悪戯っぽく、

 「ナタリーが歳を取るとこんな感じになるのよ、」

リリカも笑いながら、

 「貴女がナタリアね、

 始めまして私はリリカ・バチュラ・ブリネン、

 リリスの姉よ貴女の叔母に当たるわ、」

 「叔母上様?ではブリネンの女王陛下?」

とナタリアは目を丸くしている、

 「私は引退してただのお婆ちゃんよ、

 ここに居るのは休暇みたいなものね、」

「お姉ちゃん引退しても上皇陛下じゃない、」

 奥から掃除をしていたカレンも居間に入って来てナタリアに頭を下げる、

 ナタリアの背後からイオが、

 「カレンさんユユは?」

「ユユはお昼寝してますよ、」

とユユの巣を指差す、

 ナタリアはカレンが指した指の方を見ながら、

 「イオ、ユユって誰?」

 イオが答えるより早くリリルが、

 「うちの新しい家族さ、

 未だ赤ちゃんなんだよ、」

「ナタリア様この巣の中を除いて見て下さい、」

とイオは居間の隅のユユの巣を覗き込みナタリアも巣の中を覗くとユユは丸まり上から布団を掛けて貰い気持ち良さそうにすぴぃーすぴぃーと小さな寝息をたてている、

 それを見たナタリアが小さな声で、

 「イオ、ドラゴンじゃない!

 しかも神龍種じゃない!」

背後からリリルが、

 「うちにふさわしい家族だろ、

 さあユユが起きちゃうといけないからこっちでお茶でも飲みな、

 カレンナタリーにお茶を、」


 ナタリアはソファーに座りお茶を飲み一息つくと、

 「もうっ!私のいない間に色々な事があった様ね、

 こんな楽しそうな事を教えなかったエルルは帰って来たらお仕置きよっ!」

 と盛大にに拗ねた。

 

 

ありがとうございました。

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