お肉!
宜しくお願い致します。
第四十二話
お肉!
エルルが厨房でカレンとイオと夕食の仕度をしていると居間から、
「キャァー何ですかこの子すっごく可愛い!!」
と声が聞こえてくるイオが、
「エルルさんシャルルさんの声ですよね、」
「その様ですね明日お休みなのでしょう、
カレンさん一人前追加して下さい、」
「分かりましたエルル様、」
と言って準備していたすき焼きの具材を足していく、
エルルは居間に行くとシャルルがユユを抱きしめていて、
「シャルルさんいらっしゃい、」
「エルルさんやっと休みが取れました!新しい家族のユユちゃん凄く可愛いですね、
あっ!これを女王陛下から預かって来ました、」
とユユをソファーに座らせエルルに書簡を渡す、
「エルル何を貰ったんだい?」
とリリルもエルルが開いた書簡を覗き込む、
そこには先日のワイバーン討伐のお礼が書かれ女王自らお礼を伝えたいので王城に登城して欲しいと書かれていた、
「シャルルさん了解です、
でいつ行けば良いのですか?」
「エルルさんさえ良ければ明日にでも、」
「分かりました明日はワイバーンを解体してギルドに素材を売却しようと思っていますので午後からでも良いですか?
ついでと言ったらなんですがサララ母様に明日の晩焼き肉をしませんかと伝えて貰えますか?」
「分かりました一度家に戻り母に伝えますあと父に明日出仕した際に午後から登城すると伝えて貰います、」
と言い転移しようとするシャルルに、
「シャルルさん待って食事の仕度が出来てるから食べてって!」
囲炉裏部屋で鉄鍋の中に軽く脂をひきワイバーンの薄切り肉とネギに似た野菜を入れ軽く焼いた所に割り下ツユを入れるとジュゥ〜と音と共に良い匂いが立ち昇りリリルが、
「食欲をそそる良い匂いだねぇ、」
と鼻をひくひくさせていて、
エルルはコッコ鳥の生卵をボールに入れ軽く混ぜると小鉢の中に分け皆の前に並べて、
「はい姐様この玉子に絡めて食べてみて、」
とエルルは軽く焼いた肉と野菜を箸でつまみ皆の小鉢に入れて行く、
子犬の様な目で肉を見ていたリリル達は玉子に絡めた肉と野菜を同時に食べ、
「エルルさん!やばいですよ!バカうまです!肉お代わり下さい、」
とイオは小鉢をエルルに差し出す、
隣りを見ればシャルルとカレンも小鉢を差し出していてエルルは、
「はい、どんどん鍋の中で煮ていきますので好きな具材を食べて下さいね、」
とエルルが話している間にリリルは最近練習中の箸で肉をごっそり拐って行く、
「リリル様お肉ばかり取り過ぎです!」
とカレンが突っ込むが、
「カレン早い者勝ちだよ、」
と言い合う間にイオとシャルルも残った肉を自身の小鉢に確保していてエルルはお肉を出しながら、
「沢山あるので慌てずゆっくり食べて下さいちゃんと野菜もお肉と一緒に食べないとダメですよ、
あと締めに鍋の中にうどんを入れますすき焼きの締めのうどんって凄く美味しいんですよ、」
「キュゥー!キュゥー!」
とユユもテーブルの上でお腹が空いたと抗議する、
「はいはいごめんねユユはこれだよ、」
最近こっそり作ったチーカマスティックを出すとユユは小さな羽根をパタパタはばたかせ小さな両手でチーカマスティックを起用に掴みもぐもぐと頬張り、
「ピィ〜!」
と満足気に鳴く、
気付けば鉄鍋の中の具材が無くなりかけていてエルルは慌ててお肉と野菜を足す、
「エルルさんこのお鍋料理凄く美味しいです!」
「エルルもっとお肉をいれな!」
「姐様うどんが食べられなくなっちゃいますよ!
」
と言いながら具材を足した後エルルは鉄鍋の中にウドンを入れしばらく煮込み、
「はい!うどんの出来上がりです!」
と言って皆にうどんを配る、
うどんを見たイオが、
「エルルさんラーメンやお蕎麦とは違う麺ですね、」
「はい、このうどんもラーメンや蕎麦と同じで色々な食べ方があるんだよ、」
とエルルが説明した後は皆が夢中でうどんを啜る音だけが鍋が空になるまで続いた。
シャルルは結局皆と一緒に温泉に浸かりパジャマに着替えた後イオとお揃いのパーカーを羽織ってブリネンの自身の部屋に転移して来る、
廊下に出てサロンに向かおうとすると隣りの部屋からクララが出てきて、
「あらシャル帰って来たの?姉さんからオーライドに行ってると聞いていたわ、」
「母様と父様にエルルさんからの伝言を伝えに来たの、」
「そう、でシャルのその格好は?」
「彼方で食事とお風呂を済ませた後だからもう寝巻なの、」
クララはシャルルに近寄って、
「変わった服だけど可愛らしいわねそれに凄く良い匂いがシャルからするわ香水?」
「お風呂で使った石鹸やシャンプーの匂いじゃないかな、」
「シャンプーって何?」
「シャンプーは髪を洗う液体石鹸の事よ、
洗髪した後にリンスって言う薬液を髪に馴染ませるとこんな感じに髪が艶々になっちゃうの、」
「何それオーライドで買えるの?」
「オーライドではもうすぐ売り出されるんじゃないかなって話を聞いたわ、
ちぃお姉ちゃん母様は?」
「食事も終わって皆サロンにいるわよ、」
シャルルはメイドが開けた扉からサロンに入り、
「ただいま帰りましたわ母様 父様、」
「お帰りシャル今日はエルルの所にお泊まりじゃなかったの?」
「エルルさんからの伝言を伝えに来たの先ず父様明日登城されたら陛下に午後からエルルさんを連れて行くと伝えて下さい、
あと母様エルルさんが約束の焼き肉明日でも良いか確認して来て欲しいと頼まれたのどう?
準備はエルルさんが全てして下さるそうよ、」
「それは楽しみだわ!なんて言ってもワイバーンだものね、」
「シャル明日登城したら兄上と陛下に伝えよう、
でシャルは食事は済ませたのかい?」
「ええ、この世の物とは思えない至高の料理を頂いたの、」
シャルルの話を聞いたミルルが、
「そう言えば上皇陛下もエルルの所の食事を絶賛していらしたわ、
ねえシャルその衣装や髪もだけどエルルはどんなお屋敷に住んでいるの?」
ミルルの隣りのクララも、
「シャル貴女の最近してるその腕輪よく見せてくれないかしら、」
「姉さん達いっぺんに話されても困っちゃうわ!
エルルさんの所は大きなお屋敷じゃ無いけれど素敵な所よ異国と言うだけじゃない感じがするの、ナハリの宿の特別室もブリネンとたいして変わらなかったから森のお屋敷はオーライドでも特別な所だと思うの常人では辿り着けない所にあるお屋敷だからお客さんは限られた人達だと思うわ、
あとちぃお姉ちゃんこの腕輪は常に私の魔力を少しずつ吸収しているから出来るだけ外したくないの、
それにこの腕輪は私以外の人には宝飾品でしかないそうよ、
上皇陛下は国宝級の魔導具と仰っていらっしゃったけれど私の魔力を貯めておける魔導具で補助具でもあるの、
絶対秘密にしてね、」
とシャルルはクララの前でパジャマの袖をまくり上げ腕輪が付いた腕を差し
出す、
クララは着ていたガウンのポケットから眼鏡を出しシャルルの腕を取り腕輪をまじまじと眺め、
「これよく見たら模様じゃ無くて魔導式ね、凄いわ学園の魔導式の教授が見たら感動して涙を流すレベルの美しい魔導式よ、」
「ちぃお姉ちゃん私そろそろあっちに帰りたいんだけど、」
「ねえシャル私も連れて行ってくれないかしら、」
「お姉ちゃん勝手に連れて行く事は出来ないわリリル様もいらっしゃるし、」
「リリル様ってあの黒髪の女性ね、エルルは姐様と呼んでいたけれど、会議の時に上皇陛下をお姉ちゃんと呼んでいらしたわよ、」
「お姉ちゃん私からは話せないの、陛下がお話しになるまでまってて、
あと髪や化粧の事は明日私の姉弟子にあたるイオさんもこちらに来ると思うからその時色々聞こうよ!
お姉ちゃん達にイオさんを紹介するね凄く綺麗だからびっくりすると思うよ、
じゃあ明日お昼過ぎにエルルさんとこっちに来るから、
おやすみなさい!」
と言ってシャルはその場からすっと消える、
残されたサララが、
「ミル貴女はそのリリルと言う方にお会いしたの?」
「ええ、エルルと同じ黒髪黒目の女性で見た目は私より少し年上かな、
でその方も常人を逸脱した強さだったわ、
しかも上皇陛下をお姉ちゃんと呼び陛下も少しも気にしていらっしゃらない所を見ると彼方で王族またはそれに準じる方ではないかしら、」
「そう、明日エルルが話してくれるかもしれないわね、
明日は私もエルルと一緒に登城するわ!放っておいたら上皇陛下と陛下にエルルを盗られちゃいそうだわ、」
「母様私が一緒に行くから大丈夫よ!」
そしてターチルは何時もの妻と娘達の言い合いを執事が止めるまで長々と聞く事になった。
シャルルが、森の家に戻るとイオ達が明日の予定を話し合っていてシャルルが入って来た事に気付いたカレンが、
「お帰りなさいシャルルさん、」
「ただいま戻りました、エルルさんが見えない様ですが、」
リリルが、
「お帰りシャルル、エルルはやりたい事があるからと裏の研究室さ、
シャルル明日午前中は暇なんだろ私達の狩に付き合いな、」
「はい、リリル様と狩が出来るのはとても勉強になります!
でも私ではこの森だと足手まといかと、」
「シャルルあんたは剣の腕はカレンとほぼ同じ位のレベルだから何とかなるさ、」
シャルル達の会話に、
「シャルルさん大丈夫だと思いますよ、
これシャルルさんのポーチです、」
と居間に入って来たエルルがポーチの付いたベルトを渡し、
「シャルルさんポーチの中に手を入れてみて、」
シャルルがポーチに手を入れるとポーチが光り、
「はいシャルルさん登録終了です、そのポーチは魔法の鞄でシャルルさんと僕とイオさん以外の人にはただの革のポーチですがこの部屋位まで物を入れられますよ、
姐様とカレンさんも同じポーチを持っていますので使い方のコツとか習って下さいね、」
シャルルは顔を輝かせ、
「凄い!魔法の鞄なんて夢を見ているみたいです!」
「シャルル良かったじゃないかい!」
「あとシャルルさん武器はどうします?
レイピアも有りますが刀も有りますよ、」
と朱色の美しい鞘に入った刀を取り出し、
「この子の名前は暁丸乱れ刃が美しい刀ですよ、」
と抜かれた刀身を見たシャルルは、
「綺麗まるで美術品の様、
エルルさん私刀を習いたいです!リリル様宜しくお願いします、」
「シャルル私も刀を使い始めたばかりさ一緒に習おうじゃないかい、
エルル明日は朝から四人で狩に行って来るよ、」
「分かりました僕もお昼迄には戻りますね、
あっ、でも刀だけだともしもの時に心配だからこのレイピアも持って行って下さい、
僕はもう少し解体室で明日の準備をしますので皆さんお休みなさい、
ってユユは?」
「エルルさんユユはふかふかベッドの上で夢の中ですよ、」
とイオはユユの巣に目をやる、
エルルが巣の中を覗くとユユは女の子らしくなく仰向けでお腹を見せて寝ていてエルルは小さな毛布を出しユユにそっとかけた。
朝先に食事を済ませた女性陣が装備を身に付け今日はリリルが特攻服の上からユユが入ったリュックサックを背負いユユは首から上だけをリュックの口から出している、
シャルルは暁丸をポーチに収納するとイオに、
「イオさんイオさんの得物は何ですか?」
イオはローブの前を開けて両脇の拳銃形の魔導具を見せ、
「私の武器はこれです魔物を結界に閉じ込める武器なんです、
説明は難しいので後で実際に使って見せますね、」
「はい、楽しみにしています」
「よし!じゃあいこうかね、
カレンは私の後ろに乗りな!シャルルはイオの後ろに!」
エルルは仮面を付けギルドの買取窓口まで来てギルド証を見せると受付のお姉さんはひょっとこの顔を見てぷっ!と吹き出しお待ち下さいと慌ててカウンターの奥に消え、しばらくすると副ギルドマスターのガボンさんが出て来て、
「お待たせしましたひょっとこさん、今日は買い取り希望だとか、」
「はいガボンさん、
けっこう量があるのでここでは出せません、」
買い取り受付のお姉さんは手ぶらのひょっとこを不思議そうに見ていたが、未だ少し肩がぷるぷる震えちゃってるよ、
「ではこちらへ、」
とガボンさんに付いて行くと倉庫に案内され、つなぎに大きなエプロンを着けた職員さん達が集まって来て仮面のエルルを見て皆爆笑しながら、
「副マス何ですかこの子は?」
「馬鹿野郎!お前達が気軽に話せるようなお方じゃねえんだぞ!ぶっ飛ばされたくねえ奴は黙って運搬用の敷板持って来い!」
とガボンさんの一喝に職員さん達は慌てて敷板を敷いて行く、
「すいませんひょっとこさんこの敷板の上に出して下さい、」
エルルはリリルやカレンが狩った魔物を次々と並べて行きそれを見た職員さん達は石の様に固まっちゃってるよ、
そこにギルドマスターのティアさんも入って来て並んでいる魔物を見ると、
「ひょっとこの嬢ちゃんこれまた凄いね、」
「ギルドマスターお疲れ様です、
こちらは全て買い取りで山ごとにマスカレードと従者のカードに入金をお願いします、
でこちらは既に解体を済ませた素材の買い取りをお願いします、」
とエルルはワイバーンの素材を並べて行く、
あまりに見事に解体された素材を見た解体担当の職員さん達が、
「すげぇ、これワイバーンの素材だぞ!一体何匹分なんだ!」
そしてエルルが特殊個体の革を出すと、
「やべえ!やべえのが出て来たぞ!
多分特殊個体の革だ!しかし何て腕の良い仕事しやがる」
とどよめきがおこりティアさんが、
「ひょっとこの嬢ちゃん支払いは商談がまとまってからになるけど良いかい?
とてもじゃないが手持ちの資金じゃ払えない嬢ちゃんこのギルド始まって以来の大商いになりそうだよ、」
「構いません、全て売却でお願いします、」
「肉は売却に出さないのかい?
肉もかなりの値段で売れると思うよそれに肉は干物にするか、氷結魔法で凍らせ無いと長く持たないよ、」
「空間魔法の収納は時間経過が無いので問題無いですよ!お肉は美味しくいただきます!」
「そうなのかい、それは羨ましいねえ!」
と言うティアにエルルは大きな包みをにゅっとだし、
「ギルドマスターこれお裾分けギルドの皆さんで食べて下さいね、」
「ひょっとこの嬢ちゃんまさかワイバーンの肉なのかい?」
「ええ当たりです、」
エルルとティアの会話に聞き耳をたてていた解体職員達が、
「うおーっ!ワイバーンの肉の差し入れだぞ!」
と騒ぎ出すとガボンさんにまた一喝されちゃってたけど強面のガボンさんの顔がゆるんじゃってたよ。
「この辺りで良いかねぇ、イオ降りる前に腕輪をしな、」
とリリルは魔導バイクを降下させながら自身も腕輪を着ける、
森の開けた所に降りるとリリルとイオは魔導バイクを片付け皆が得物を出し
「じゃあシャルルは先ずは刀に慣れる所からだよ私の刀の使い方を見てな、」
「はいリリル様、」
と答えリリルの後に付いて森の中に入って行く、
リリルとイオが腕輪を付け魔力を隠しているので周囲を魔物に囲まれている様に感じシャルルが、
「イオさんこの威圧感なんとも無いのですか?
ユユもリリル様のバックの中に引っ込んじゃってますよ、」
リリルは背中のバックをシャルルに向け、
「シャルルユユはただリュックの中が気持ち良くて寝てるだけだよ、」
イオが、
「私元々戦闘が苦手でこういうのに鈍感なんです、
危なくなったら結界を張りますので大丈夫ですよ、
あっ!森豚発見!」
とイオは脇のホルスターから魔導具を引き抜き少し離れた所で木の子を食べている森豚を結界に捕らえると森豚は結界のなかで暫くもがきその場からスッと消える、
シャルルは何が起きたか分からずイオに、
「イオさん何が起きたのですか?
もがいていた森豚がいきなり消えましたが?」
「結界の中の空気を抜いて窒息させたんです、
でその後空間魔法で引き寄せそのままアイテムボックスに収納したんです、」
とさらりと説明するとリリルが、
「シャルル前にカレン以外は化け物だと言ったろ、
イオと対峙して結界に閉じ込められたらその時点で終わりだよ、
閉じ込められる前にイオを倒そうとしても常に薄い結界に守られているから攻撃も通らない、
あの結界が切り裂けるのはエルル位の者さ威圧感が全く無い所がイオの一番怖い所さイオ、シャルルと対峙してシャルルの背後に回り込んでみな、」
「リリル様酷いですよ人を化け物みたいに、
シャルルさんいいですか?」
「はい!大丈夫です、」
とシャルルは刀からレイピアに持ち替えイオと向かい合う、
直後シャルルは背中にイオの拳銃形魔導具を当てられ、
「何?目で追えなかった!」
「シャルル目では追えないさイオは転移したのだから、」
「リリル様これ時空系の魔法ですが転移じゃ無くて縮歩ってエルルさんのオリジナル魔法だそうです、
この魔法は転移より魔力を使わないので剣や刀を使うシャルルさんが覚えたらきっと凄く強くなれますよ、」
シャルルはイオの手をギュッと握り、
イオさんぜひ私にその魔法を教えて下さい!
時空魔法にこんな使い方があるなんて!」
夢中でイオに頼むシャルルを見たリリルが、
「じゃあ今日シャルルはここでイオにその魔法を教えて貰いな、
私とカレンでもう少し奥まで入って魔物を狩って来るよ、」
と言い残し森に入って行った。
「シャルルさんじゃあ手を、魔法を何回か繰り返し行います、」
イオはシャルルを連れパッパッパッっと縮歩を繰り返す、
「シャルルさんどうですこれが縮歩です、」
「イオさん何て言ったら良いのか分からないけど転移したい所をイメージしながら使う転移魔法と違って感覚で行う魔法って感じですかね、」
と言ってバッバッバッっと素早く縮歩を繰り返す、
「シャルルさん凄い!もう習得しちゃったんですね、」
「イオさんやりました!これ剣士には喉から手が出るくらい習得したい魔法です、
私に時空魔法の素養を与えて下さった女神フィーネス様に感謝を、」
とまたバッバッバッっと剣舞の形に合わせる様に縮歩を行い、
「イオさん私の事はこれからシャルと呼んで下さい、」
「じゃあシャルルさんはイオで、」
シャルル達が森の家に戻るとエルルが昼食の、準備をしていて、
「お帰りなさい狩は如何でした?」
と今日の成果を聞くエルルにシャルルが、
「エルルさん聞いて下さい!私縮歩が使える様になりました!」
「イオさんもでしたが一日で使える様になるのは凄いですね!
剣術や刀術に絡めると爆発的に強くなりますよ、」
興奮してエルルに話すシャルルにリリルがリュックからユユを出しカレンに渡すと、
「さあシャルルその汗臭い体を流しに行くよ、」
とシャルルの後頭部に手刀を落とした。
昼食はエルルが用意した前世の喫茶店で食べたナポリタンスパゲティーで
鉄板に玉子が敷かれその上にスパゲティーがのっている、
「スパゲティーと言う麺料理です、
この料理も色々な種類があるのですがこの料理はホークで食べて下さいね、
後ユユにはこのサラミスティックね、、」
とエルルはユユにサラミを渡し自身はスパゲティーをくるくる起用に巻取り口の中にいれ幸せそうな顔をする隣りではユユも幸せそうな顔をしながらサラミをかじり、
そんなエルル達をを見た他の者達も夢中でスパゲティーを巻取り口の中に運び
エルルと同じ幸せそうな顔をするが、皆口の周りにケチャップソースをべったり付けていてエルルは笑いを堪えるのに必死であった。
「イオさん夕方からブリネンのルコルの家でお手伝いをして欲しいのですが良いですか?」
「はい、オッケーですよ何を手伝いましょう?」
「今晩ルコルの家の庭で焼き肉パーティーを行います、その時のお手伝いと庭でクレープ屋さんを開いて欲しいんです、」
「エルルさん私もお肉食べて良いんですよね、」
「勿論です、沢山食べて下さいね、
姐様達は如何しますか?」
「エルル私は今日は遠慮しておくよ、で良かったら昼食べたスパゲティーと違うスパゲティーを夕食に用意してくれないかい?
カレンはどうする?イオが彼方に行く時に付いて行っても良いよ、」
「いえ、私もリリル様とユユとお留守番します、」
エルルは立ち上がり、
「じゃあ姐様達の夕食を用意しておきますね、
あっ!もしかしたらリリカ様がいらっしゃるかも少し多目に用意しておきますね、」
エルルとシャルルがルコルの屋敷に転移して来てサロンに入るといきなりサララ母様に抱きしめられ、
「あー!エルル待っていたのよ!」
「もう!母様エルルさんが困ってるじゃない!離れて!」
「エルルいらっしゃい今日は私が城まで案内するわ、お昼に父様からの使いが来て、陛下の方も大丈夫だそうよ、」
エルルはサララの腕の中から、
「ミルル姉様了解です、
これから向かいますか?」
「ええ、馬車も玄関に待たせてあるわ、
それとシャルル貴女何故ズボンを履いてるの?
とても仕立ての良さそうな服だけど男装?」
「ズボンじゃ無くて女性物のパンツよ、」
とシャルルは言いながらにゅっとローブを出して羽織りそれを見たサララが、
「貴女その魔法!」
「母様エルルさんに魔法を教えて頂いたの詳しくは秘密、」
その後結局全員で馬車に乗り込み王城に向かい城の来客用の馬車寄せで待っていたターチルが、
「何だい学園があるクララ以外皆で来たのかい?」
「ええターチル陛下の所まで案内してちょうだい、」
王城の廊下をルコル家の者に囲まれ護られるように移動するエルルを見た騎士さんや文官さん達が不思議そうな顔をした後頭を下げてすれ違う、
ターチルの案内で王宮内の応接室に入ったエルル達を、女王リリア上皇リリカ宰相チャーチルが待っていて、
エルルが入って来るなり飛び付きそうになるリリカをサララとミルルがガードして、リリアも母リリカを抑える、
そしてエルルは片膝を付き頭を下げ、
「女王陛下、エルル・ルコルお召しにより参内致しました、」
「よく来てくれましたブリネンの恩人よ、
膝など付かずそちらの席に、」
と自身の対面の椅子を勧めエルルが座るとちゃっかりサララとミルルもエルルの両隣りに座る、
「大公爵今日は其方を呼んだ覚えは無いが、」
「あら陛下他国で暮らす息子が異国の王城に呼ばれたのです母親が付き添うのは当然ですわ、」
と平然と答えるサララに宰相は苦笑して、
「まあ陛下も閣下も今日は其処のルコルの者に礼を告げるので御座いましょう、
エルル君だったね私は宰相チャーチル、
ブリネンを救ってくれてありがとう、」
「そうね私ブリネン女王リリア・バチュラ・ブリネンが其方に千万の感謝を、」
「もったいなき御言葉で御座います女王陛下ブリネンの騎士団並び魔導師団あっての結果で御座います、」
堅苦しいやり取りを聞いていたリリカが、
「ああ、もう良いでしょう堅苦しい挨拶は終わりよ、
エルルありがとう!で私の部屋に付いて来て、」
とエルルを連れ出そうとするリリカに、
「母様まだ話は終わっていませんわ、
ごめんなさいねエルル何か欲しい物は無いかしら、」
「いえ女王陛下沢山魔物が狩れてお小遣いが貯まりましたのでとてもラッキーでした、
あっこれ王族の皆さんで召し上がって下さい、」
と置かれていたテーブルからはみ出す程のワイバーンの肉の包みを出す、
チャーチルが、
「これはもしかしてワイバーンの肉かい?」
「はい、宰相様直ぐに氷室に入れて頂ければかなり保ちますので、」
サララが、
「宰相様我が家も夕食の支度が有りますのでこの辺りでお暇させていただきますわ、」
リリアが直ぐに、
「大公爵其方達が用意する訳ではあるまい、」
「ええ今日はルコルの者と使用人達まで全員エルルにおよばれしますの、」
サララの言葉にリリカが、
「大公爵私の約束が先よ、先に屋敷に帰りエルルを待っていなさい、」
サララが、
「エルル本当なの?」
「はい、上皇陛下おトイレのお話ですね、」
「ええそうよ、」
「分かりました、母様僕は上皇陛下のおトイレを改装した後そちらに向かいますので先に戻っていて下さい、
あと今日僕の弟子も手伝いに連れて来たいのですが良いですか?
僕は転移しますので僕の方が早くルコルの屋敷に付いてしまうかも知れませんね、
シャルルさん母様の了解が取れたらイオを迎えに行って貰えますか?」
「エルル分かったわ屋敷で待っているわ、
勿論弟子の子の件もシャルに向かわせるわ、
では陛下私共はこれにて失礼させて頂きますわ、あなたはどうなさるの?」
部屋の隅にシャルルと共に座っていたターチルが、
「宰相、私も今日は帰宅してよろしいか?」
「ああ、ターチルお前達が羨ましいよ、」
「兄上達も今宵はワイバーンの肉になるのでは、」
「ああそうだな料理長に頼む事としよう、」
サララ達が部屋を出た後エルルはリリカに連れられ王族の居住区に入りリリカの部屋まで来ると当たり前の様に付いて来たリリアとチャーチルに、
「何故貴女達まで付いてくるのかしら?」
「あら母様私は大公爵のおかげで少しもエルルと話せませんでしたわ、
それに母様の事をお願いしないと、」
リリカははぁーとため息を付いた後女官が開いたドアから中に入り四人でテーブルを囲む、
さっそく女官にお茶を用意させようとするリリアをエルルが制し、
白磁のティーセットを並べて紅茶をセットして行き、皆の前にこれまた白磁の平皿を並べ銀のホークを置き最後に苺のホールケーキを出す、
勿論この世界の苺に似たフルーツでファーセルのラン様の土産で貰った紅の子と言うフルーツだよ、
エルルがケーキをカットしようとするとリリカが、
「エルル私のは大きくカットして頂戴!」
と子供の様な事を言うリリカに笑いながら広めにカットしたケーキをリリカの前に置きリリアとチャーチルの前にも並べ、
「外国の言葉でケーキと言うお菓子です、
最近オーライドの王都のお菓子店でも売り出されているようですよ、」
と説明している間にリリカ様はケーキを夢中で食べていてリリア様もケーキを食べうっとりしちゃってるよ、
「では私はおトイレを改装して来ますね、」
と言ってエルルは女官に案内してもらいトイレの改装をちょちょいと済ませテーブルに戻ると、三人共お皿のケーキは綺麗に無くなっていて、
「エルル素晴らしいお菓子だったわ、母様が貴女の所に行きたがるわけね、」
「エルル改装は終わったのかい、」
「はい、何時でも使えますよ、」
「ありがとうじゃあ私を彼方に送ってくれないかい?」
「僕は構いませんが、陛下宜しいのですか?」
「先日からずっとこうなのよ、しばらく預かってくれないかしら、」
「多分そう仰るだろうと姐様にリリカ様の食事も預けて有ります、
ではこちらからお入り下さいうちの玄関に繋がっています、」
とエルルがゲートを開くとリリカが、
「じゃあリリア何かあったらシャルに伝えて頂戴直ぐに帰って来るから、
」
と手を振ってゲートの中に入って行くリリカを見送ったエルルに、
「お世話になるわね、叔母上にもよろしく伝えて頂戴、
あと私も一度招待して頂けるかしら、叔母上や従姉妹達にも会ってみたいの、」
「承りましたでは、近日中にご招待させて頂きますね、」
「ありがとう楽しみに待っているわね、」
「はい、では宰相様陛下この場から直接帰らせて頂きます、」
とエルルは頭を下げゲートを出し中に入っていった。
エルルがシャルルの部屋に転移して来るとジャージに着替える所だった下着姿のシャルルとイオがいつも通り、
「あっ、エルルさんお帰りなさい、」
「わっ!ごめんなさい着替え中でしたか、」
とエルルは慌てて後ろを向く、
「エルルさんだったら見られても触られても問題ないですよ、」
イオの触られてもの所にぴくりと反応したエルルだったが、
「もう!イオさんサララ母様の所で待っていて下さい僕もジャージに着替えて直ぐ行きます、」
屋敷のサロンにはクララも学園から帰って来ていて、シャルルがイオを連れて入って来るとサララが、
「シャルルそちらの方がエルルのお弟子さん?」
イオは頭を下げ、
「エルルさんの弟子のイオ・タリスマンと申します、」
「シャルルから聞いてはいましたが、
とても美しいお嬢さんね私はサララ、夫のターチルに長女のミルル次女のクララよ、」
皆が挨拶を済ますとクララが、
「シャルルさんはアルマンの方かと思いましたわ、
うちの学園にオーライドからアルマン家の子が留学していてイオさんと同じ髪と瞳の色はアルマン家以外は珍しいと聞いていたの、」
「私も一応親戚筋になるのです、」
「そう、やはりエルルの弟子なのだから貴女も相当な手練れなのでしょうね、」
「ちぃお姉ちゃんイオは凄い魔法士よ、私なんか瞬殺だったんだから、」
ミルルが、
「本当に綺麗ね、魔力を全く感じない完璧な魔力管理なんて凄いわね、」
「あの私人より魔力が多いので、魔力が漏れ出さない魔導具を付けているだけで魔力の管理とか出来ないんです、」
そこにジャージにエプロン姿のエルルが入って来て、
「お待たせしましたサララ母様準備は先日の庭で良いですか?」
「お帰りエルル、先日の庭に皆を集めてあるわ!さあ皆行くわよ、」
屋敷の庭に出て来ると料理人の人達とメイドさんがテーブルや食器などを用意してくれていて執事長のモーリーさんが、
「エルル様こちらで用意出来る物はご用意させて頂きました、
他にも何かあれば何なりと仰って下さい、」
と使用人皆で頭を下げる、
「助かりましたありがとうございます、」
とエルルは笑顔で応え次々焼き台を出しあっと言う間に焼き肉の準備をしてしまう、
使用人さん達が驚いていると中から料理人さんらしい人達が、
「お手伝いさせて下さいませ、」
と言われエルルはカット済みのお肉や野菜に色々な調味料を出し、
「ありがとうございます、では使用人さん達にこちらの食材をどんどん焼いて行って下さい、
あと各種調味料を用意しましたので皆さんお好きな調味料を使って食べて下さいね、
お勧めはこの我が家秘伝のタレです、」
と言ってエルルは焼けた網を軽く脂身で擦りお肉を焼いていく、
そして軽く炙ったワイバーンの霜降り肉を秘伝のタレに付け隣りで見ていたミルルに、
「ミルル姐様はい!あーんして、」
とエルルはミルルの口の前に箸で肉を持って行く、
恥ずかしかったのか赤くなったミルル姉様はパクッとお肉に食い付き、
上質な肉と絶品のタレを楽しむ様に咀嚼すると、
「何これ!こんな美味しいお肉食べた事ないわ!」
エルルはミルルの反応を見てにっこり笑い、
ふと隣を見ればサララ母様とクララ姉様が雛鳥の様に口を開けてお肉を待ってたよ。
つづく
ありがとうございました。




