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ルコル家の人々

宜しくお願い致します。

第三十九話


ルコル家の人々


「キャァー!」

「ごめんなさいナンシー、お掃除中だった?」

突然目の前に現れたシャルルに掃除をしていたメイドのナンシーは驚きで叫んでしまうがシャルルだと分かると、

「ひっ姫様?お戻りになられたのですか、そちらのお方は?」

「この方はエルル・ルコルさん私のはとこよ、」

「ルコル?ブリネンで大公爵家以外の方はルコル姓を名乗れないはずでは?」

「エルルさんはオーライドの方よ、剣聖ラルル・ルコル様のお孫さんよ、」

「エルルと言います、宜しくお願いします、」

「私達の様な使用人に挨拶など無用でございます、」

と頭を下げるナンシーに、

「僕は平民ですので気遣いは無用ですよ、今日は大公爵閣下にお会いしたくまいりました、」

「そうなのよ母様は?」

「お食事前ですので皆さんサロンにいらっしゃいます、」

「わかったわ!エルルさん付いて来て下さい家族を紹介します、」



大公爵家のサロンでは大公爵サララ、

夫のターチル、長女ミルル、次女クララがサロンの椅子に座りこの場に居ない三女シャルルの話をしている、

「母様!昨日シャルルがルコルを名乗る女の子を連れて転移して来たと言っていましたが、あの子が人を連れて転移して来たらその場で倒れちゃうんじゃない?」

「ミルル シャルルが連れていた女の子はローブを着ていて私の知らない魔法を使っていたわ、伯父上の孫だと紹介されたの、」

「伯父上様とはお婆ちゃんの大好きな剣聖様ね、耳が腫れる程剣聖様の話を聞かされたわ、

でも剣聖様のお孫さんが魔法使いなの?しかも母様が知らない魔法って、」

「お姉ちゃんシャルルが帰ったら詳しく聞けば良いんじゃあない?父様今回の件王宮ではどうなっていまして?」

「私達高位文官の一部の者は今回の件を把握しているよ、

私は陛下の執務室に呼ばれてシャルルを上皇陛下のわがままにつき合わせて済まないと陛下より言葉をかけていただいたよ、

まっ、シャルルは時空魔法士だからいざという時は陛下と共にいつでも帰って来れるのが一番の理由だと思うが、女性で騎士団中隊長クラスの剣の腕と大公爵家の者だという安心感もあったからじゃないかな、

勿論影で腕利きの特務の者達に護られているそうだから心配ないよ、」

「あの子自身も伯父上に剣を習えるかもと考えたんじゃないかしら、」

「シャルルならありそうね、でもあの子感が良いから、今悪口言ってたでしょ!って転移して来ちゃうかもよ、」

「ははは ありそうで怖いよ、」

「ふふふ、そうね、」


コンコンと扉がノックされ部屋の隅に控えていたメイドが扉を開けると、

「ただ今戻りましたわ、」

と言ってシャルルが入って来るのを見て四人共に吹き出しそうになり皆凄い顔をしている、

「皆どうかしたの?変な顔しちゃって、」

「なんでも無いのよシャルル貴女が突然現れたから皆おどろいちゃったのよ、

で後ろの方は昨日紹介して貰った方かしら?

大公爵の言葉にエルルは着ていたローブを脱ぎその場で収納すると一歩前に出て、

「昨日は失礼致しました大公爵閣下、ラルル・ルコルの孫のエルル・ルコルと申します、」

と言ってぺこりと頭をさげる、

着ていたローブを一瞬で消した事に驚いたサララだが直ぐに気を取り直し、

「大公爵家へようこそ伯父上様はお元気かしら?」

「祖父ラルルは祖母と共にソルス様の元に旅立ちました、」

「そうでしたか、では我が母や叔母上達と彼方で楽しくやっている事でしょう、ご両親様は?」

「私は赤子の時に魔の森深くで祖父に拾われ孫として育ちました今はギルガス公爵家でお世話になっています、」

「ギルガス家と言えば確かリリス殿下の姫殿下が嫁がれた家でしたわね、」

「はい、エドモンド様とナタリア様には私の後見人になって頂いています、」

「そう、とても可愛らしい娘さんだもの周りの皆が放っておかないでしょうね、

ごめんなさい話が逸れたわね私はサララ・ルコルよ、この国で大公爵をやっているわ、

で旦那のターチルと、長女のミルル、

次女のクララよ、」

「エルル・ルコルです、宜しくお願い致します、

あと私は男にございます、」

エルルの言葉に皆が固まっているとシャルルが、

「母様私エルルさんに弟子入りする事にしたの!

でも私にはブリネンでお仕事があるからお休みの日に指導して頂く外弟子にして頂いたの今日は母様の許可を貰いに帰って来たの、」

「シャルル、君の悪い癖だよ今サララとエルルさんが話している所じゃないか少し待っていなさい、」

とシャルルを注意するターチルにシャルルが一言、

「父様は黙ってて!!」

と返されターチルは小さな声で、

「はい、」

と答える、サララはエルルに向かい、

「エルルさん娘はああ言っていますが、」

「一応祖父と同じくらい剣を使う事が出来ます、

でも僕いえ私は魔法の方が得意でしてどんな魔法でも使う事が出来ます、」

今まで黙って話を聞いていた長女のミルルが、

「ねえそれって剣聖様と同じ位強くって剣より魔法の方が得意って事でしょ、君可愛い顔して凄いのね、」

といきなりお色気むんむんのお姉様に抱きしめられ頭をなでなでされちゃったよ、

「お姉ちゃん!はしたないわよ!エルルさんを離しなさい!

ごめんなさいね、ばかな姉と妹で、

私はクララ・ルコル、ルコルの次代よ、さっきローブが消えたのは収納魔法ね、」

エルルはミルルの腕の中で真っ赤になりながら、

「はい空間魔法ですね凄く便利なんです、」

ミルルは腕の中のエルルに頬ずりしながら、

「エルル超可愛いわ!凄く良い匂いがして髪もさらさらだし肌も艶々だわ!

って、シャルル!貴女その髪や化粧何?

よく見たら凄く綺麗になってるじゃない!

それにその超高価そうなローブはエルルとお揃いじゃないの?」

「お姉ちゃん良いでしょう、同じ弟子のイオさんに綺麗にして頂いたの、

それにこの服も可愛いいでしょ!」

とローブを脱いで部屋着のワンピースになる、

「何それオーライドの服なの?

シャルだけずるいわ!」

「貴女達!いい加減にしなさい!

お姉ちゃんエルルさんを離しなさい!」

と言ってエルルをミルルから奪い取り自身もエルルに頬ずりしながら、

「本当に可愛いいわ!こんな可愛いい男の子最高だわ!」

「母様まで!エルルさんは私の師匠なんだから!」

「あらシャルル、エルルさんは私の可愛いい従姪よ!

シャルルがエルルさんに弟子入りする事は認めてあげるわ!でも独り占めにはさせないわ!」

「閣下、皆さん私の事はエルルとお呼び下さい、」

「じゃあエルル閣下なんて呼ばないで身内なのだからサララと名前で呼んでちょうだい、貴女は可愛いい私の息子よ、」

「ありがとうございますサララ叔母上様、」

「エルルがブリネンにいる時は私が貴女の母よ、叔母では無く母と呼んでちょうだい、」

「分かりましたサララ母様、」

とエルルはサララにキュッとしがみ付くと、サララはぶぅーっと鼻血を出したが顔はとろけそうな程幸せそうであった。


執事さんが食事の用意が出来ましたと

伝えに来るとエルルの取り合いをしていた女性陣にターチルが、

「エルル君食事にしようブリネン料理を楽しんでくれ、」

「父様、エルルさんの家とうちの料理ではレベルと言うか、」

「シャルルさん僕ブリネン料理は初めてだから楽しみです、母様これお土産です食事の後のデザートに出して下さい、」

とエルルはケーキの入った大きめの紙の箱をとりだす、

シャルルが、

「わっ!ケーキ嬉しいです!見て良いですか?」

と言って箱を開け中を見てうっとりしながら、

「ケーキがいっぱい!どれを食べようか迷っちゃう!」

「エルルこれお菓子なの?細工物の様に綺麗ねシャルルは食べた事があるみたいね、」

「母様上皇陛下が虜になってしまわれる程の至高のお菓子よ!」

「食後が楽しみだわ!さあ食事に行くわよ、」


テーブルに着いたエルルは美しい酒瓶を出し、

「お父上様へのお土産です、酒精が強いお酒なので水や氷で割って飲んで下さいね、」

「おお!有り難い!早速飲もうじゃないかと言いたい所なんだが、」

「あなた又なの?」

「ああ、」

「お父上様それは手術しないと治りませんよ、内痔核と言うお尻の病です、

私の見立てでは既に脱肛していらっしゃいますね、」

「君は医者殿なのか?どうして分かったんだい?」

「私は治癒魔法も使えますが、医術の心得もあります、お父上様はお会いした時より何度も腰を浮かせ座り直して見えました、痔を患っている方が良くされる仕草です、」

「シャルルに聞いているかもしれないがシャルルは治癒士でね、いつも治癒魔法をかけて貰っているのだよ、」

「魔法と言う物はとても便利な物ですが治癒魔法は病気には効きにくいと言われていますでもそれは間違いです、

術者がその病気の事を理解せず直し方も知らない者が治癒魔法を行使しても痛みを取っているだけで病を治している訳では有りません、」

「君は凄いなその若さでうちの宮廷医師の上を行っている、

医者殿は腫れのひく薬草をお尻の穴に貼って治癒士に魔法をかけて貰えと言うんだ、」

「間違いでは無いと思いますが、それは症状を抑えているだけで治してはいませんよ、お父上様さえ良ければ私が手術致しますが?痔は根治が大切です、」

「エルルかっこ良いわ!超高位のお医者様の様だわ、」

「母様私のお師匠様だものかっこ良くて当然よ!」

「エルル君、手術とはどんな事をするのだい?」

「簡単な手術ですよ、お父上様のお尻の悪い所を切り落とし、落とした部分に治癒魔法をかけて終了です、

手術が終わればそのお尻の痛みとさよなら出来ますよ、」

「切り落とすと言うのが怖いが治療をお願いしたい、」

「承ります、手術は明日の朝行います、主人様は食事後このお薬を飲んで下さい、手術の為にお腹の中にある物を全て出すお薬です、

あとお父上様の使われるおトイレも改装しますね、お薬が夜明け前位に効いてくると思いますが、ブリネンのおトイレでは大変そうなので、」

「エルルさん父様のおトイレをエルルさんの家のおトイレと同じ物にすると言う事ですか?」

「ええ、お薬が効いてきたらしばらくおトイレに入る事になりますから、」

「エルルさん私の使うおトイレを改装して下さい!父様は改装した私が使うトイレを使って!」

「シャルル、君が良いなら私はそれでも構わないが、それでも良いかいエルル君?」

「はい、僕は大丈夫です後で場所を教えて下さい、その場で改装しちゃいます、」

その時シャルル以外の女性陣は普段絶対言うはずの無い事を言い出したシャルルは何かを隠していると確信していた。


ブリネンの食事は素朴な味付けでほっこりした美味しさだったよ、食後のデザートを持って来たメイドさん達の目がケーキに釘付けで執事長さんが、

料理長がケーキについてご御教授下さいませと言っております、と言われたので、

多分ギルドでレシピが公開されていますので一度確認して下さいとお願いして執事長さんに、

「これ皆さんで召し上がって下さい、」

とケーキが入った箱を二つ出したらメイドさん達から歓声があがっちゃったよ、

サララお母様達はケーキを食べ感動して直ぐににお代わりをお願いしちゃってる、

食事が終わると、

「エルル素晴らしいお菓子だったわ、

うちの者達にまでありがとう、」

サララお母様の言葉と共に執事長をはじめメイドさん達が一斉に頭を下げる、

「いいえ、サララお母様こちらこそご馳走になりました、お父上様こちらがお薬です、今のうちに飲んでおいて下さい、

シャルルさんおトイレに案内して下さい、

おトイレの改装が終わりましたら僕は一度戻りますね明日の朝一番でお父上様の手術をいたします、

お父上様薬を飲んだ後は手術まで水以外の物は口に入れないで下さいね、」

「エルルせっかくだから泊まっていきなさい、お母さんが一緒に寝てあげる!」

「母様なに言ってんのよ、エルル若いお姉ちゃんと一緒に寝ましょうね、」

「二人共なに言ってんのよ、ごめんなさいねエルル今晩は私と一緒に魔法に付いて語り合いましょうね、

勿論私のお部屋でね、」

「もう!皆んな何言ってんのよ!

エルルさんおトイレはこっちよ、

改装が終わったらオーライドにもどりましょうね、」

エルルがシャルルに案内されシャルルの部屋の向かいにあるトイレまで来ると後から大公爵家の者達がぞろぞろ付いて来る、

「どうして付いて来るのよ!」

「どうしてってこのおトイレ私とクララも使うからじゃない、

エルルに使い方を教えて貰うためよ、」

エルルはトイレに入ると得意の土魔法を使い付いていた便器を外し取り出した便座を取り付ける、

そして手洗い用に置いてあった桶などはメイドさん達に片付けて貰いフローリング風の床に変え壁にお洒落な簡易化粧台を付ける、

「はい完成です!座ってようを達するトイレです一応壁に使い方を書いておきました、

オーライドでは最近このタイプのおトイレが流行っているそうですよ、」

「エルル素晴らしい魔法の才能だわ!

貴女は間違いなくルコルの者よ!

このおトイレも素敵じゃない早速今晩から使わせて貰うわね、」

「母様このおトイレは私達のおトイレよ、」

「あら、うちのおトイレだもの誰が使っても良いでしょ、」

と言い合うサララ達に、

「じゃ母様私達帰るわね、」

と言ってシャルルはエルルを連れて転移して行く、

エルル達が去った後クララが、

「あの子エルルを連れて転移したわ、

それに杖も使ってなかった、シャルルの魔力量ではあちらで魔力枯渇を起こして倒れちゃうはずよ、」

と不思議がる妹にミルルが

「あらクララ気付かなかったの?

あの子見た事も無い大きな魔石が三つも付いた美しい腕輪をはめてたわよ、

隠してた様だったけど、」

「魔力を補う魔道具?使い切りでないなら国宝級の魔道具だわ、

しかも魔力量に少し不安がある時空魔法士のシャルルにはぴったりの魔道具じゃない、」





森の家でカレンがお茶を出していると居間にエルル達が入ってくる、

「お帰りなさいエルル様シャルルさん、今お茶を用意しますね、」

「ただいま!カレンさんお願いします、」

「おかえりエルル、ルコルの本家はどうだった?」

と姉妹でお喋りをしていたリリルがエルルに問いかける、

「ただいま戻りました姐様、皆さん優しい方ばかりでサララお母様にシャルルさんの弟子入りの件も認めて頂けました、」

と答えるエルルにリリカがニヤニヤしながら、

「サララお母様?エルル、ルコルの家で随分と気に入られたみたいね、」

「陛下、気に入られるどころではありませんでしたよ!母様とお姉ちゃん達皆でエルルさんの取り合いだったんですよ、」

「シャルここではリリカよ、

でもサララ達の気持ちも分かるわ、

こんな可愛らしい男の子だもの私も息子にしたいくらいよ、」

とリリカは座っていたソファーの横にエルルを座らせきゅっと抱きしめる、

「お姉ちゃんエルルは娘の息子よナタリーがやきもちを焼いちゃうわよ、」

エルルはリリカの腕の中からするりと抜け出しカレンからお茶を受け取ると厨房から出て来たイオに、

「イオさんただいま、明日の相談があるのですが、」

「おかえりなさいエルルさん、何でしょう、」

「明日シャルルさんのお父様の手術をする事になりました、

で相談とは明日の屋台の件なのですが、」

「お休みにしますか?」

「いえ、楽しみにしていてくれるお客さんもいますので僕が今晩のうちにお好み焼きを作って共有ボックスに入れておきますので明日屋台で売って欲しいです、

あとカレンさんに明日屋台のお手伝いをして貰いたいのですが姐様良いですか?

ちゃんと姐様のポーチに昼食を入れておきますよ、」

「構わないよ私達の事は気にせずカレン行っといで、」

「じゃあ僕は早速お好み焼きの準備をして来ますね、」

「エルルさん手伝いますよ、」

「私もお手伝いします、」

「私も!」



厨房に入ったエルルはお好み焼きに必要な食材を調理台の上に並べて行き、

「イオさんはキャベットを細切りにしていって下さい、

カレンさんは糸引き芋をすり下ろして下さい、

シャルルさんは小麦粉とダシ汁と卵を混ぜて下さい僕は森豚とゲソの下処理をして行きます、


エルルは下処理を終え小さめのボールに皆が処理した材料を適量入れ、

「じゃあ他のボールにこの見本のように材料を入れて軽く混ぜて下さい、

あっ!八つ焼きの時に使った天かすも入れましょう、

僕は奥の鉄板でどんどん焼いて行きます、

イオさんは仕上げをお願いします、

基本的には八つ焼きと同じですから、」

と言いながら広い鉄板の上で次々お好み焼きを焼いて行く、

「まずは豚玉からです、イオさんが仕上げたお好み焼きをカレンさんは二つ折りにして行って下さい、

シャルルさんは出来上がったお好み焼きをそこにある専用の厚紙の中に入れていって下さい、

厚紙に豚玉、ゲソ玉、ミックスと書いてありますので間違え無いようにお願いします!」

次々と焼き上がって完成して行くお好み焼きを見た女性陣が、

「エルルさんこのお好み焼きって料理も凄く美味しそうです!」

と大量に並んだお好み焼きを見て目を輝かせている、

「では明日のお昼はお好み焼きにしましょう、チーズとか入れるともっと美味くなりますよ!」

と今焼いているお好み焼きにチーズを入れると、

「エルルさん私お腹空いて来ちゃいました!私は豚玉のチーズ入りが食べたいです!」

「エルルさん私も!」

「えっ!この時間から粉物ですか?」

エルルの言葉に三人は顔を寄せ合いボソボソ相談を始め、

「エルルさん明日の準備が終わったらミックスのチーズ入りを三つお願いします!

大丈夫です!明日の朝鍛錬頑張りますから!」


エルルは明日の屋台の準備を全て済ませると自分達の昼食にお好み焼きを作り共有ボックスの中に入れ最後にイオ達の夜食用を焼き上げ、

「はいっ!チーズ入りミックスお待たせ!」

とエルルが少し小さめのお好み焼きを三つイオ達の前に出す、

「わぁ!美味しそうエルルさんありがとうございます!私達が後の片付けもやっておきますのでエルルさんは先に上がって下さい、」

「ありがとうございます!じゃあお言葉に甘えて先にお風呂入って寝ますね、

あっ!この梅酒って甘いお酒なのですがお好み焼きと一緒にどうですか?このしゅわしゅわのソーダ水と氷で割って飲むと美味しいですよ、」

と、梅酒が入った酒瓶とソーダ水に氷を出す、

お酒と聞いたカレンとシャルルが、

「エルル様ありがとうございます!凄く美味しそうなお酒です!楽しみです!」

「私も甘いお酒って興味があります!」


そしてイオ達三人はお好み焼きを美味しい!美味しいと食べ、

梅酒ソーダの口当たりの良さに気付けば三人で梅酒の瓶一本を空けてしまい調子に乗ったイオがワイバーンの卵で作ったプリンとシュークリームを出しペロリと平らげた三人は朝の鍛錬をさぼる事になる、



「おはようエルル、珍しい今日は一人かい?」

「おはようございます姐様、イオさん達朝方まで盛り上がってたみたいですよ、だから今日はお休みですかね、」

とエルルはとても悪い笑顔でリリルに答え、

寝坊したイオ達が朝風呂に慌てて行けば脱衣場にあの体重計が三つ置いてあり、イオ達の悲鳴が森の家に轟いた。


お風呂から上がってきた三人はテーブルの上でエルル特製フレンチトーストに生クリームをたっぷり塗って幸せそうに食べているリリルとリリカに、

「「おはようございます」」

と挨拶するとリリルがニヤニヤしながら、

「あんた達昨晩は盛り上がってた様だね、お風呂で悲鳴なんて上げてどうしたんだい?」

「リリル様聞かないで下さいませ、」

シャルルが答え、そこにエルルが出来立てのフレンチトーストが乗った朝食プレートを三つ持って来て、

「おはようございます皆さん、

昨晩は遅くまで手伝って貰いありがとうございました、」

と言ってとても良い笑顔で挨拶をする、

「もう!エルルさんは悪魔です!」

と言いながらもイオはフレンチトーストを幸せそうに食べ、ダイエットは明日からです!私はやれば出来る子です!と呪文の様に呟き、

その呪文は直ぐに三つになった。



エルルはいつものお医者さんスタイルに着替え、

「では僕は今日シャルルさんのお父様の治療に行って来ます、

治療の後シャルルさんにブリネンを案内して貰おうと思います、海洋国家のブリネン自慢の市場も行ってみたいですね、夕方前にお父様の術後の確認をして戻って来ます今晩はお寿司にしましょう、僕がお寿司屋さんを開きますよ、」

「分かりました、私はカレンさんと広場でお好み焼き屋さんです!

夜のお寿司屋さんを楽しみにしています!」

「私はお姉ちゃんを連れて魔の森の浅い所までバイクで遊びに行って来るよ!」

姐様バイクって絵物語の読み過ぎだよ!

「エルル私もリリルが着ていた服を用意してくれないかい?」

とリリルが読んでいる絵物語の一巻を抱えたリリカが目をキラキラさせている、姐様貴女もですか!

「わっ、分かりました姐様じゃあこれ、あとリリル姐様あまり浅い所は冒険者が入っていますので、見られない様に注意して下さいよ!

じゃあ行ってきます!」

とエルルはゲートを開きシャルルと入って行った。



シャルルが自身の部屋に戻るとシャルルを待っていたかの様にナンシーが扉をノックして中に入って来る、入って来たナンシーはエルルを見て驚いたが一礼して、

「皆様がお待ちで御座います、」

と告げる、

「えっ、お姉ちゃん達王城と学園は?」

「はい、旦那様が心配だとおっしゃって王城と学園に遅刻すると使いの者を、」

「魔法士団長と学園教師が何やってんのよ!ナンシー父様の所に案内して、」


ナンシーに案内され昨晩のサロンに入ると少しげっそりしたターチルにサララ、ミルル、クララが待っていて入って来たエルルの格好に少し驚く、

「おはようエルルその格好は何?」

「おはようございます皆様、うちの方ではお医者さんはこの格好なんですよ、お父上様ちゃんと薬が効いた様ですね、早速手術の準備を致しますどちらのお部屋で致しましょう?」

「エルル君私のお腹の中はすっからかんだよ、私の寝室でお願いしたい、」

「承りましたでは母様姉様はこちらでお待ち下さい、」

「えっ!エルル私達見ちゃダメなの?

シャルルだけズルいわ!」

「シャルルさんは治癒術師ですよ、色々勉強して貰います、

あと今回の手術は男性のお尻ですよ、

お父上様が嫌がられますのでダメです、」

「そんな!あなたお尻ぐらい良いわよね!」

「父様!私の学者としての見聞を深めるために我慢して下さいませ、」


「エルル君すまない僕は構わないから見学させてやってくれたまえ、」

「お父上様宜しいのですか?お尻の穴とか見られちゃうんですよ、

まさか皆さんそちらの特殊な趣味が!」

と言いながらエルルは自身のお尻を押さえる、

ミルルがプッと吹き出し、

「はいはい、エルル大丈夫だから父様の部屋に行くわよ!」

とエルルの手を取りターチルの寝室へ連れて行く、

エルルは部屋に入るとベッドの隣のスペースに特殊な手術台を出し、

「じゃこれから皆さんにクリーンの魔法をかけます、母様と姉様たちはこのマスクもして貰います、」

と言ってマスクを渡しクリーンの魔法をかける、

全員からひゃっと言う声が上がりマスクをしたサララから、

「エルル凄い爽快感ね、」

エルルは衝立を出し、

「皆さんは衝立の向こうで手術の準備が終わるまで待っていて下さい、

クリーンの魔法は身体だけではなく着けている物全てを除菌と言うか綺麗にします、今は部屋全体にもこの魔法がかかっています、」

エルルはもう一つ衝立を出すと、

「ではお父上様は着ている物を全て脱いでこの手術台に跨るように寝て下さい、」

ターチルは言われた通りに服を脱ぐとしがみ付く様な形でうつ伏せになる、

エルルはターチルの腰の上辺りに魔物の麻痺毒から精製した麻酔を打ち、何時もの穴の開いたシーツをターチルにかける、

「お父上様既に下半身の感覚が無くなっていますよね、」

「ああ、エルル君先程腰辺りから痺れ出して今は感覚が全くないよ、」

「はい、ではお父上様には少しの間眠って頂きます、目覚めた時にはお尻は治っていますので、」

と言っていつも使う睡眠香をターチルに嗅がせる、ターチルが眠ったのを確認すると、

「では皆さんこちらに、シャルルさんには魔法も使って貰いますので僕の隣へ、」

エルルの雰囲気が違っている事に気付いた皆は指示通りの所に立つ、

「ではお父上様の患部摘出手術を行います、」

と言ってターチルのお尻の周りに結界を張り、返しが付いた棒の様な物を肛門に差し込みゆっくりと引き抜くと服の袖をひっくり返した様に肛門の内部が外に出て来る、

エルルは腫れ上がっている痔核の部分を確認して、

「わっ!お父上様は大痔主様ですね、

この腫れ上がった痔核の部分をこの特殊な繊維の糸でキュッとむすんで、スパッと切りおとします、

あちらこちらに有る小さな痔も焼いて行きます、」

とエルルは手術を説明しながら指先に作った小さな火球で小さな患部を焼いて行く、

「よし、ではシャルルさん僕が切り取った部分と焼いた部分に治癒魔法をかけてください、

よーく周りの部分を見て同化する様なイメージで治癒魔法をかけます、」

シャルルは滴っている汗に気が付かない位集中して腕輪をはめている手から治癒魔法を流す、

「シャルルさん良い感じですよ、もう少しこんな感じで、

そうです!もう大丈夫ですね、」

と言ってエルルはターチルの肛門を体内に戻し浮遊魔法でターチルをベッドに運び布団をかける、

「母様手術は無事終わりました、お父上様はしばらくしたら目を覚まされると思います、」

と言ってサララ達を見ると全員の目がアニメのハートに見える様な熱い眼差しでエルルを見ていて、

「エルル!素敵よ!ドキドキしちゃうわ!」

と言ってミルル姉様に抱きしめられる、

「ミルル、貴女達は早く出仕しなさい、ほらエルルを離しなさい!」

「ちょっと!母様達エルルさんは治療の後なのよサロンに戻って休んで貰わなくては、」

クララの言葉で解放されたエルルは白衣を脱いで治療台を片付け眼鏡をはずす、

「僕は全然大丈夫ですよ、シャルルさん大丈夫ですか?」

「エルルさん私一度戻ってシャワー浴びてきても良いですか?」

「ええ、構いませんよ後ほど案内をお願いします、」

「じゃあ行って来ます少しだけ待って下さい、」

と言って転移して行く、

「エルル色々聞きたいのだけど先ずはサロンに移りましょう、」


サロンに戻ると執事さんがお茶を淹れてくれていて、

「先生、いえエルル様旦那様を治療して頂きありがとうございました、」

と深々と頭を下げられ、

「ちょ、辞めて下さい僕もギルガス家で働く執事見習いなんですよ、

今は長期休暇中なんです、」

エルルの話を聞いたサララが、

「エルル、あなた公爵夫妻の養子じゃないの?」

「エドモンド様とナタリア様は隠居され今は僕の実家がある辺境領の領主様です、今はアルク様がギルガス公爵様ですね、

僕は大きなお屋敷の執事になる事が小さな頃からの夢だったんですよ!」

「エルルが執事をしてくれるなんて、ギルガス公爵家は何て羨ましいの!」

「母様は僕の家族じゃないですか!」

とエルルがサララの手をキュッと握る、

途端サララは真っ赤になるがとろけそうな笑みを浮かべ、

「そうよ!エルルは可愛い私のエルルよ!」

「母様エルルを独り占めしないで!」

「ミルル貴女早く王城に出仕なさい!ターチルはもう大丈夫なんだから、クララも生徒さん達が待ってるんでしょ!」

「ミルル姉様王城に出仕なさるのなら僕を王城近く迄連れて行って下さい、

一度王城迄行けば上皇陛下をお送りする時便利なんです、」

「エルル!良いわよ直ぐ着替えて来るから、モーリー馬車の準備を、」

「姉さんずるいわエルルを独り占めしないで、」

エルルはアイテムボックスから可愛らしい箱を出し、

「クララ姉様これ僕が昨晩作ったお弁当です、パンを食べる様にパクッとたべちゃえます!魔法で収納してたから作りたてのほかほかですが、冷めても美味しいですよ、一緒に美味しいお菓子も入れてありますのでお菓子は午後のお茶の時間にでも食べて下さい、」

「わっ!エルルありがとう嬉しいわ、」

とエルルをキュッと抱きしめると、

「私も出るわ」

とクララ姉様はウインクをして部屋から出て行く、

「エルル行ってしまうの?」

「母様王城の場所を覚えに行くだけですよ、直ぐに転移して帰って来ます、」

「そう、分かったわ気を付けてね、」

「はい、行って来ます母様、」



「あれ、シャルルさんどうしたの?」

「イオさんもまだこっちだったのですね、」

「はい、昨日と同じ昼少し前には出ますが、」

「私エルルさんの手術のお手伝いをしたのですが汗びっしょりで、ここのお風呂を体験しちゃうと家のお風呂では、」

「そうですね、ここのお風呂を知ってしまったら他のお風呂は辛いですよね、」

「ねえイオさん私がお風呂から上がってイオさんに時間があったらまたメイクを教えて貰えませんか?」

「はい、洗濯も終わっちゃったので良いですよ、今日はちょっぴりお姉さんメイクにしてみますか?」

「はい!イオ師匠!」












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