外弟子が出来ました。
宜しくお願い致します。
第三十八話
外弟子が出来ました!
夕食にはお客様歓迎用の料理が並べられ今は皆でワイワイ盛り上がりながら食事をしている、
リリカが森豚の角煮を頬張りながら、
「なんて美味しい料理なの!お肉が口の中でとろけるわ、」
シャルルもピザを手で掴み夢中で口に運び、
「ブリネンにもパンの上に少し炙ったチーズを乗せ食べますが、
このピザと言うオーライドの食べ物は比べ物にならない位に美味しいわ!」
「お姉ちゃんもシャルルにも言っておくけどこんな料理はここでしか食べられないからね、
宮廷料理や 王都の高級料理店に入ってもこんな料理は出てきやしないよ、
そう言えばお姉ちゃん私先日こっちに来て初めてギンを食べたんだけどエルルが作ったギンの蒲焼が最高に美味しかったんだよ、」
「オーライドではギンを焼いて食べるのですか?」
シャルルの言葉にイオは複雑そうな顔をして、
「シャルルさんオーライドでは川ヘビと言って食べる人は私の周りには居ませんでしたよ、
私も初めて食べて美味しさに驚きましたが、」
「イオさん確かにヘビの様に見えますが魚の仲間だと思いますよ、
それに栄養価が高いと言われていますよ、
シャルルさん先日作った物が残っていますので食べてみますか?」
「えっ、先日ってエルルさん食べても大丈夫なのですか?」
エルルはお重をにゅっと出し、
僕とイオさんの収納魔法には時間経過が無いので作り立てのほっかほかですよ、」
エルルがお重の蓋をあけると焼けたギンの香ばしい香りが立ち込め、
「なんだい!エルルまだ残っていたのかい!シャルル ギンが好きでなかったら私が食べるよ、」
「シャルル、私も食べるから半分は残しなさいよ!」
シャルルはギンの蒲焼きをホークで御飯と共にすくい口の中に入れ、
数回咀嚼した後、
「わっ!このギンの蒲焼きって凄く美味しいですよ!」
と夢中で食べ出す、あまりに美味しそうに食べるシャルルを見たリリカが、
「シャルル、私にも早く食べさせてちょうだい!」
奪い合う用に蒲焼きを食べる二人に、
「お姉ちゃん達まだ他の美味しい料理があるんだからギンの蒲焼きだけでお腹いっぱいにしちゃったらもったいないよ、」
リリルの言葉にギンの蒲焼きをほとんどたいらげていた二人が他の料理を見渡し、
「なんて事!ギンの美味しさに食べ過ぎてしまったわ、」
「私もまだ食べていない料理が沢山あるのに!」
「お姉ちゃん最後にデザートが出て来るから今お腹いっぱいにしちゃうと、いくら甘い物は別腹でも食べられなくなっちゃうわよ、」
「そうだったわ!あの至高のお菓子が私を待っているのよ!エルルさん私にお菓子を出して頂ける?」
「上皇陛下、私の事はエルルとお呼び下さい、
イオさん陛下にデザートをお願い、」
「エルルさん、プリンアラモードで良かったですか?」
「あっ!良いですねぇ、僕もお願いします!」
イオがリリカとエルルの前にプリンアラモードを出すと女性陣の目がプリンアラモードに釘付けになる、
目の前に置かれたプリンアラモードに目を輝かせたリリカが銀のスプーンでプリンの上に飾られた生クリームと共にプリンをすくい口に入れじっくり味わった後、
片手で頬をを抑えながらふるふると首を振り、
「なんて美味しさなの!至福のお菓子だわ!」
「イオ、お姉ちゃんのプリンも美味しそうだけど私は夜会の時に食べたチョコレートパフェを頼むよ出せるかい?」
イオはリリルの前に絵の長いスプーンと美しいガラスの器に入ったチョコレートパフェを置き、
「リリル様チョコレートパフェです、シャルルさんとカレンさんは何にしますか?」
シャルルはリリカのプリンとリリルのパフェを見比べなから、
「そんなぁ!どちらも凄く美味しいそうでどちらかを選ぶなんて、
イオさん私イオさんにお任せします、」
「じゃあシャルルさん私とプリンとパフェを半分こで二つとも食べますか?」
「イオさん!是非!」
食事を済ませ皆が居間のソファーに座りくつろいでいる、
そこに片付けを済ませたイオとカレンがお茶を持って来るとエルルが、
「皆さんに一つ報告です、
先程シャルルさんから僕に弟子入りしたいとお願いされましたので喜んで受ける事にしました、
ただシャルルさんはブリネンの魔法士団でお仕事をされていますので、
イオさんの様な内弟子ではなくお仕事が休みの時にこちらに渡り一緒に鍛錬をする外弟子になります、
勿論シャルルさんのお母様の大公爵閣下の許可が頂いていませんのでまだ借りのお話ですが明日にでもシャルルさんと共に大公爵家に行こうと思っています、」
「シャルル良かったじゃないかい、エルルはお願いされれば先生にはなってくれるがまず弟子にはして貰えないんだよ励みな!」
「はいリリル様、改めましてシャルル・ルコルと言います、
皆さんも宜しくお願いします、」
「イオ・タリスマンです、シャルルさん宜しくお願いします、」
「この家の使用人のカレン・ブランと言います、カレンと呼んで下さい、」
「シャルルこの子は元々私の近習でね、
私が崩御した時にこちらに付いてきたんだよ、」
「宜しくお願いしますイオさんカレンさん」
話がひと段落した所でリリカが、
「シャルル貴女は良いわねいつでもここに来れるなんて羨ましいわ、」
「お姉ちゃんもう上皇なんだから来たい時に遊びに来れば良いじゃない、
エルルとイオをお姉ちゃんの部屋に一度招けば連絡さえしてくれれば迎えに来てくれるよ、」
「リリル、貴女も知っているでしょうブリネン王宮奥は転移結界が張ってあるのを!直接の転移は無理よ、」
「あ、それエルルとイオは大丈夫だからお姉ちゃんもナハリからこちらに来る時転移じゃなくてゲートをくぐって来たんじゃない?」
「ええ宿の部屋から隣の部屋に行く様な感覚でこちらに来たわ、」
「じゃあ帰りはエルルに送って貰ってお姉ちゃんの部屋まで付いて来て貰えば良いんじゃない、
あとカレン、私の部屋にお姉ちゃんの布団を用意しておくれ、」
カレンは頷き皆に頭を下げ居間から出て行く、
「じゃあシャルルさんは囲炉裏部屋にお布団を用意しますね、
私も部屋から布団を持って来てシャルルさんと一緒に囲炉裏部屋で寝ます、
」
「了解です、僕は作りたい魔道具があるので研究室に行きますね、
お休みなさい、」
「おはようイオ、シャルル、」
「おはようございます、私はこれからコッコ鳥の卵を取りに行って来ます、」
と言ってイオは魔導バイクを取り出し跨る、
「イオあんたなら心配無いけど気を付けて行ってきな、」
リリルの言葉に浮かび上がったバイクからイオは頭を下げシャルルに手を振り森の中に飛んで行く、
イオに手を振り返しているシャルルにリリルが
「シャルル、ジャージが似合ってるじゃないかい、」
「おはようございますリリル様、
このジャージと言う服はとても動きやすいですね、皆さん朝の鍛錬の時はこの格好なのですね、」
「この服は楽だからね私は部屋でゴロゴロする時もこのジャージを着ているよ、
でシャルル、エルルからコレを預かって来たよ、今日あの子は朝の鍛錬を休むと言ってお風呂に入りに行ったよ、
徹夜でもしたのかねぇ、」
と言いながらリリルはシャルルに光剣を渡す、
「リリル様これは?」
「光剣と言う鍛錬用の魔道具だよ、
あんたの何時も使っている剣をイメージしながらその柄をにぎって魔力を流してみな、」
シャルルが魔力を流すと黄色く光る細身の刀身が現われ、
「わっ!何これ魔法剣?!」
リリルも自身の使い慣れたレイピア形の光剣を出し、
カレンも双剣型の光剣を出す、
「シャルルこれは鍛錬用の剣だから身体に当たってもすり抜けるだけだから寸止めは要らないからね、
思っ切りかかって来な、カレンと同時に相手してあげるよ、」
カレンは双剣を構えながらシャルルに、
「シャルルさん、あの剣で斬られても身体を刀身がすり抜けるだけなのですが、本当に斬られた様な錯覚を起こすんですよ、
私なんて斬られた後しばらく地面を転がり回っていました、とにかく叫んじゃう位に気持ち悪いんです、」
カレンとシャルルはリリルに向かい光剣を構えお互いの目で合図を送り合う、
「うっ、凄い威圧ですカレンさんはなんともないのですか?」
「慣れですよ!あそこに立っているのはオーガクイーンだと思って 最初から全力で挑んでください!」
カレンの言葉を聞いたリリルはこめかみをピクピクさせながら、
「カレン私が何だって!そんなにソルス様に会いたいのかい?」
「シャルルさん!リリル様から距離を取って!」
とカレンが言った時にはリリルはカレンの目の前にいて上段からレイピアを振り下ろす、
カレンが両手の双剣でレイピアをガードするがリリルが振り下ろしたレイピアに弾き飛ばされそのままレイピアがカレンを両断する、
「キャァー」
と悲鳴を上げカレンは地面に倒れ込み目の前で両断されるカレンを見たシャルルは
「ヒィー!」
と思わず悲鳴を上げてしまう、
リリルはシャルルにそれは凄い笑顔で、
「さあ次はあんたの番だよ、」
リビングにリリル達が戻って来るとエルルとリリカが楽しそうに雑談していて入ってきたシャルルにエルルがニヤニヤしながら、
「シャルルさん初日から盛大に叫んじゃいましたね、」
エルルの言葉に目に光の無いシャルルが、
「私、三回も首ちょんぱされたんですよ、まともに切り結ぶ事も出来ませんでした、」
「シャルルさん僕も爺ちゃんに数え切れないくらい首ちょんぱされましたよ、
さあ僕が朝食の用意をしておきますので、お風呂に入って汗を流して来て下さい、」
エルルがベーコンエッグにサンドイッチとサラダにチョコホットドリンクを用意して待っているとイオが、
「わっ!チョコホット!良いですねエルルさん、」
「お帰りなさいイオさん、たまに飲みたくなるんですよねこれ、」
リリル達もお風呂から上がって来て、
「また美味しそうな食事ね、飲み物は凄い色だけれど、」
「カッカロの実を使った飲み物ですよ、」
「エルル!早く食べようじゃないかい、お姉ちゃん感想は食べた後にしなよ、」
食事を食べ出すとシャルルとカレンの光を失っていた目が輝き、
「このチョコホットドリンクって昨晩食べたパフェの味がします、」
「ええ、どちらもカッカロの実を使ったチョコレートを使っています、
こんなお菓子も有りますよ、」
とエルルは板チョコをとりだす、
「わっ!エルルそのチョコレート少し出しておいてくれるかい、今日のおやつにしたいんだよ、」
「はい了解です!僕はこれからナハリの市場に行って八つ足を仕入れて来ます、
イオさんはリリカ様の髪のお手入れをお願いします、」
「エルルさっき話していたでしょう、
リリルが姉なら私の事もリリカ姐さんで良いと、」
「お姉ちゃん、流石に姐さんは無理があると思うよ、叔母さん位にしておきなよ、」
「リリル失礼しちゃうわ!貴女とは十歳しか違わないのよ!」
ぎゃあ〜ぎゃあ〜と言い合う姉妹に、
「姉様達お二人共僕の大切な姉様達です!
イオさん姉様達の事を宜しく後で屋台も手伝って下さいね、
あとシャルルさんこれシャルルさんの魔力を貯める魔道具です、
こちらに転移した日に魔法の練習が出来ないのは困りますからね、」
と言って複雑な魔法式が模様の様に入り魔法式の中心に大きな魔石が三つ並んでるミスリルの腕輪を渡す、
「こんな高価そうな魔道具を頂いても良いのですか?」
「シャルルさん昨晩僕が作った魔道具だからただなんですよ、その魔道具は常にシャルルさんから魔力を少しずつ吸収して魔力を貯めておく事が出来ます、
また貯めた魔力で魔法を行使する事も出来るんですよ!
あと常に魔力を吸収される事で自身の魔力量を増やす事も出来ちゃう優れものですよ!」
「凄い!じゃあ貯まった魔力で転移出来ちゃうんですね!」
「はい、誰かを連れて転移しても大丈夫ですよ、
付いている魔石の色が緑の時はほぼ満たん状態で半分位になると青くなり、紫を経て赤になると空の状態になります、 昨晩のうちに僕が少し魔力を注入しておきましたので二つの魔石が満たん状態になっています、
ですから今は緑の魔石が二つと赤の魔石が一つなので魔力が三分の二程度溜まった状態になっていると言う事なので魔法を行使する時の目安にして下さい、
最後にこの魔道具の注意点はこの魔道具自体が補助具の役目もします、
今まで使っていた補助具を使うと腕輪に溜まっている魔力では無く今まで通り自身の魔力を使ってしまうので気を付けて下さい、」
シャルルは美しい装束品の様な腕輪を右腕にはめうっとりとした顔で腕輪を眺めているとリリカが、
「シャルル、貴女その腕輪は国宝クラスの魔道具よ、しかもその付いている魔石があり得ない代物だわ、」
エルルはリリカの言葉を聞いて、
「あちゃー!リリカ姐様は鑑定士ですか秘密にして下さいね、」
とエルルは人差し指を口に当てしぃー
のポーズをする、
リリカはころころ笑いながら、
「私は武器や魔道具専門で人物鑑定は出来ないわ、だからリリルが乗っていた空飛ぶ馬やベルトに付いたポーチに興味深々よ、」
自身の力を隠さないリリカの言葉を聞いて驚くイオが、
「ブリネンの方々は本当に女神様の贈り物を隠さないのですね、」
「この国ではギフトの事を女神様からの贈り物と言っているのですね、
ブリネンでは自身の長所として、大半の者は公開していますよ、私は訳あって公開していませんが、」
「おや、あんたも訳ありかい?私達とは違うようだがねぇ?」
「大した事では無いのです、家族の者にしか言って無いのですがここの方達になら、
私治癒士なんです!」
きょとんとするエルルやイオにリリルが
「そう言う事かい、教会に聖女見習いで入るのが嫌だったんだね、
ブリネンの大半の娘達の憧れの職業なのに、」
「姉様聖女見習いってブリネンには聖女様がいらっしゃるのですか?」
「そんな大それた物じゃないよ、勿論神職を目指す子もいるが大半の子は花嫁修業の様な物だよ、
教会で治癒術師として二年働けば聖女の肩書きが貰えるのさ、
そしてブリネンの男達はその聖女と言う肩書きを持った女性をありがたがるだよ、
エルル、あんたが思っている聖女様とは別物さ、聖女様は本物なのかは分からないけれど、
この大陸のイスタリア帝国の中にあるジオラフト市国の女神教大本山にいらっしゃるよ、」
話を聞いてエルルは思う、
前世のバチカン市国みたいな物なのかな、一度行ってみたいけれど先ずは王都の大聖堂からだよね、
エルルが考え混んでいると、
「エルル!エルル!仕入れは良いのかい?」
「あっ!そうだった!直ぐ戻りますので行って来ます!」
と言ってローブを羽織りエルルは転移していく、
見送ったリリカが、
「シャルル、貴女にもお願い港の宿屋の護衛隊長に手紙を渡して来てくれないかしら、」
「シャルルさん私宿屋まで送りましょうか?」
「ありがとうイオさん、この腕輪を試してみたいので自分で行きます、
陛下この書状で宜しいでしょうか、」
「お願いね、あとここにいる時はリリカよ、」
シャルルは書状を抱えると頭を下げて転移して行った。
「おじさん!八つ足入ってる?」
「おお!嬢ちゃん多分嬢ちゃんが来るんじゃないかって大量に仕入れておいたぞ!」
「流石おじさん!全部頂戴!」
「ははありがとよ!今日も屋台を出すんだろ、」
「うん!そのつもりこれから帰って直ぐに仕込み!」
「あとロッツアの奴が俺が持って行った八つ焼きにハマっちまってな知り合いの業者仲間から削り節を集めて嬢ちゃんに売るって意気込んでたぜ、」
「有難いよ!削り節八つ焼きだけじゃなく色々使ってるんだ!帰りに寄るよ、」
「なあ嬢ちゃん今日は生きの良いゲソも入ってるぞこれも人気薄だから普段はあまり仕入れないんだが、
魚屋の勘で嬢ちゃんは絶対買うって仕入れたんだ、」
と行って奥から大きな桶を持ってくる、
その中には前世のイカが沢山入っていてそれを見たエルルは大興奮で、
「おじさんありがとう!全部頂戴!
あとこれお裾分け、」
と言っておにぎりを二つだす、
「相変わらず嬢ちゃんは凄い魔法士様だな、なんだこの石みていの食えんのか?」
「うん!穀物の中に海流魚と削り節がそれぞれ入ってるんだ食べてみて、」
ドッヂは恐る恐るおにぎりにかぶりつき、しばらくもぐもぐと噛み目を見開いて、
「美味え!嬢ちゃん美味えぞ!この海流魚どんな調理がしてあんだ?
こっちは八つ焼きにかかってた削り節に味付けがしてあんのか!美味え!
なあ嬢ちゃんほのかに磯の香りもするんだが?」
「そんなに美味しかった?屋台の時に一緒に出そうかな、」
「本当か?今日も買いに行くぞ、」
「今日はおにぎりは無理かなおじさんありがとうまた仕入れに来るね!」
と手を振りエルルは乾物屋でもおにぎりを渡し削り節を大量に仕入れて帰って行った。
エルルが帰って来るとリリカはイオに髪を切って貰っていて、リリルはソファーに寝そべり例のレディース物の絵物語を読んでいる、
掃除をしていたカレンに、
「カレンさん手が空いたらで良いから仕込みを手伝ってくれませんか?」
「エルルさんいつでも良いですよ、」
じゃあ八つ足の塩揉みからお願い!
あとシャルルさんは?」
「リリカ様の書状を護衛の方達の所に持って行かれましたよ、」
「了解です!僕は仕込みをしながら皆のお昼を用意します、」
エルルが厨房で削り節を削っていると、
「エルル、どうかしら?」
と髪をストレートにして肩の辺りで切りそろえたリリカが立っていて、
「姐様僕のお母さんに似ていらっしゃいます、」
「その様ねリリルやイオにも言われたわ、私の姪なのだから似ていても不思議じゃないわよ、」
エルルは買ってきたゲソを取り出し前世で食べた事があるイカそうめんを作くりながら、
「お昼まではまだ時間が有りますが、お昼に合わせて屋台を出したいので、少し早いですが昼食を用意しました、
僕達は先にお昼にしますが、姐様達はどうされますか?」
「リリルどうする?私達もエルル達と食事にする?」
「ついでに私達も食べちゃおうよ、」
そこにシャルルも居間に入って来て、
リリカを見て目をパチパチさせ、
「ただ今戻りました、リリカ様護衛隊長より書状を預かって来ました、
一瞬何方かと思ってしまう位変わられましたね、」
と言いながら書状をリリカに渡す、
「口頭でも良かったのに、」
と書状を受け取り目を通す、
「これでしばらくここでゆっくり出来るわね、
エルルお昼にしましょう、何を食べさせて頂けるのかしら?」
「ジャァーン!こちらのゲソそうめんとおにぎりですよ、
こちらのゲソをホークですくってお汁に浸して食べて下さい、
おにぎりはそのままかぶりついちゃって下さい、」
囲炉裏部屋のテーブルでエルルとイオは器用に箸を使いゲソそうめんをちゅるちゅる美味しそうに啜り、
カレンはツナマヨおにぎりをもぐもぐ美味しそうに食べている、
「エルルゲソを生で食べるのははじめてだよ、美味しいじゃないかい!」
「姐様ゲソはあしが早いので新鮮な物以外は生で食べちゃ駄目ですよ、
今度はお寿司も良いですね、」
「エルルさん私お寿司食べたいです、」
「はい、例のおじさんの所で魚の良い所を買って作りますよ、」
「エルルさんはこれから屋台を出すのですか?」
「ええ、昨日から市場にある公園で八つ焼きの屋台を出してるんです、
夕方前には帰ってきますので帰り次第シャルルさんの実家にご挨拶に伺いたいです、」
「はい、私は構いません、
あと良かったら屋台を手伝わせて下さい、」
「良いのですか結構大変ですよ、僕達はとても助かりますが、」
「でしたら是非お手伝いさせて下さい!」
食事を済ませたエルル達はジャージに着替えエプロンを付け、
「姐様、カレンさん行って来ます!」
とエルルはいつもの裏路地に転移して広場へ行くと広場には沢山の人が集まっていて、
「イオさん凄い人ですね何か催し物でもあるのでしょうか?」
「エルルさんもしかして皆さん八つ焼きを待ってるんじゃないですか?」
「もしそうならシャルルさんに来て貰って正解でしたね、」
エルル達は人混みの中を昨日屋台を出した場所まで来ると、
「おお!嬢ちゃん達来たのか、えらい事になっててな、」
「おじさん今日もよろしく、早速準備するから、」
と一瞬で屋台を取り出し屋台の中に入いると集まっていた人から響めきが起こる、
「僕が焼いて行くからイオさんは仕上げでシャルルさんは会計を御願いします一つ銅貨五枚です、その下の箱にお釣り入ってるのでよろしく!
じゃあ始めますよ!」
「 嬢ちゃん俺は五個くれ仲間に頼まれてな、」
「ありがとうございます!銅貨二十五枚です!」
「私は三つよ!」
「はい!銅貨十五枚です、」
と三人で長蛇の列をさばいて行く、
よく列を見ると公爵家の騎士さんがお客さん達を誘導してくれていて皆きちんと順番待ちをしてくれてたよ、
お昼の時間が終わる頃には列もかなり短くなっていて、
「シャルルさん一番後ろのお客様で店じまいにします、この立札を立てて来て下さい、」
シャルルは立札を立てて騎士さんたちに御礼を言っている、
最後のお客様が帰って行くと騎士さん達が、
「エルル様お疲れ様です、凄いお客様の数でしたね、」
「お疲れ様です助かりました、ありがとうございますこれ良かったら皆さんで食べちゃって下さい、ちょっとだけ失敗しちゃってお客様には出せない物なのですが味は変わりませんので、」
「良いのですか?昨日夫人や代官様が美味しそうに食べていたと屋敷で噂になってたんですよ、頂きます!」
エルルは作り置きしていた八つ焼きを騎士に渡し一瞬で屋台を片付けると市場の方に帰っていった。
森の家に戻ったエルルは、
「ただ今戻りました!イオさんシャルルさん先にお風呂入ってきて、僕は皆の夕食を用意してアイテム ボックスの中に入れておくのでイオさん食事の時に皆さんに出して下さい、
デザートはイオさんにお任せです!」
「了解です!エルルさんパパッとお風呂入って来ちゃいますね、」
「エルルお帰り、屋台はどうだった?」
「姐様大盛況でしたよ、イオさんとシャルルさんがいましたし、公爵家の騎士さん達が手伝ってくれたんです、」
「良かったじゃないかい!これからブリネンに行くのかい?」
「ええ、夕食の支度をしてから出かけます、」
「エルル、私がブリネンに戻ったら私の部屋のおトイレを改装してくれないかい、
ここのおトイレに慣れてしまうとブリネンのおトイレではちょっと、」
「姐様建築ギルドで改装工事をしてくれますよ、オーライドでは今あの様式のトイレが流行りつつあるみたいです、
姐様の部屋は僕が送って行った時にちょちょいと改装しますね、」
イオがお風呂から上がってシャルルの髪を切りメイクもばっちり済ませると
エルルもお風呂から上がってきて、
「シャルルさん雰囲気変わりましたね、その服もとても似合っっていますよ、」
シャルルは頬を赤らめ、
「エルルさんイオさんに可愛くして貰いましたこの可愛らしい衣装もありがとうございます、」
「シャルルさんじゃあこれも、」
とエルル達とお揃いのローブを渡す、
「わっ!このローブはじめて見た時から素敵だって思っていたんです!」
嬉しそうにローブを羽織るシャルルに、
「さあ、行きましょう!」
と皆に手を振りながらエルル達は転移していった。
ありがとうございました。