姐様デビューする!
宜しくお願い致します。
第三十七話
姐様デビュー!
「姐様、本気ですか?昨日までプリンセスマスカレードにハマっていらっしゃったのに、」
「マスカレードも良かったんだけれど断然こっちの方が面白いんだよ!」
と、レディースヤンキーの純愛漫画を手にしている、
エルルは期待満面の顔てこちらを見ているリリルに顔を引きつらせながら内心、
姉様そのお年でデビューなさるのですか!
八つ焼きを食べ終わりエルルもお風呂から上がり居間に戻るとリリルがニヤニヤしながらエルルに、
「エルル、約束の見本本の服の相談なんだけれどね、」
「ああ忘れてました!ありましたね、」
「でこの絵物語の衣装でも良いかい?」
と、漫画の見開きに載っているカラーの挿絵を見せる、
エルルは構いませんよと答えながら漫画を見て、ぶぅーっと吹き出す、
そこにはサングラスを掛け、特攻服を纏いバイクに跨る主人公の女総長が描かれていて話は冒頭に戻る、
「なんだい、無理なのかい?
あとグラサンと私の空飛ぶ馬もこのバイクみたいにシボハンにしておくれ、
あっ!木刀は要らないよ私には秋桜が有るからね、」
あっ、姐様やべえーよ!ぱねぇーよ!
戦乙女がグラサン特攻服でシボハンの魔導バイクに乗って魔物を狩るなんて、
間違っても人は狩っちゃ駄目だよ!
そしてグイグイ顔を近づけて来るのはやめて!
「ああ!分かりましたよ、明日の朝迄に準備しておきます、
僕は姐様の準備が終わったらナハリの宿屋に帰りますから、
イオさんはどうしますか?」
カレンと共に片付けをしていたイオは、
「エルルさん私は宿屋のベッドより自分のお部屋のベッドが良いのでこちらで寝ます、
明日の朝エルルさんを起こしに行きますね、」
「あとイオさんとカレンさんお願い事して良い?」
「はい、エルル様なんなりと、」
「じゃあ今晩のうちに多目にご飯炊いておいてくれるかな、
炊き終わったら飯櫃に入れて共有ボックスに入れておいてくれる、」
「分かりました朝までに入れておきます、」
「おはようございますエルルさん!朝ですよ、」
エルルは潜っていた布団から顔だけを出して、
「おはようございますイオさん、
すぐ支度しますね、」
とエルルはベッドから起き上がり自身にクリーンの魔法をかけシャツとパンツ姿になると、
「イオさん食事は?」
「私はリリル様達と頂いて来ました、リリル様エルルさんが用意した衣装を見て凄く喜んで見えましたよ、」
エルルは何時ものローブを羽織りながら、
「それは良かった、じゃあイオさん早速の岩場がある海に向かいましょう、岩海苔を採取したいのです、」
エルル達は昨日訪れた市場の裏路地に転移すると、早朝にもかかわらず市場は人で賑わっている、
「エルルさん市場で何か買って行きますか?」
「いいえ、今日は予定が詰まっていますので海を目指しましょう、」
海辺に来た二人は小高い岩壁から下を覗き込み、
「イオさん、生えてますよ岩海苔が岩場迄転移しましょう、」
「うわっ!何ですかエルルさんこの岩にびっしり着いた緑の物は、」
「これが岩海苔です、この辺りの岩一面に付いている海苔を全部集めちゃいますよ!」
「エルルさん何だかぬるぬるしますよこの大きな桶に入れたら良いのですか?」
「はいイオさん頑張って!」
エルルがせっせと岩海苔を集めていると、桶いっぱいに岩海苔を入れたイオが、
「エルルさんこっち側は全部取っちゃいましたよ、」
桶を見てギョッとするエルルに、
イオは大きな胸を張って、
「こんな具合に海苔と岩の間に手を入れて、岩の表面に結界を張るイメージをするんです、
でその結界を岩から剥がし纏めるイメージをすればこんな具合に、」
と岩から綺麗に剥がされた岩海苔が球体に纏められていてエルルの桶の上で結界を解く、
イオさん天才か!
「凄いですねこれだったら直ぐ集まっちゃいますね、
じゃあイオさん僕は集めた岩海苔を魔法で洗って乾燥させちゃいますよ、
エルルは水魔法で大きな球体を作りその中に集めた岩海苔を全て突っ込む、
岩海苔は水球の中でぐるぐる回り、回っている間にエルルが用意したマス目の付いた大きな四角い笊に洗い終わった岩海苔を満遍なく綺麗に並べ、
風魔法と火魔法を使って乾燥させて行く、
エルルは乾燥して出来上がった板海苔に軽く塩を振り最後に火魔法で軽く炙りマス目に沿ってチョキチョキ切れば板海苔の出来上がり!
エルルが作業を済ませせると簡易テーブルを取り出して昨晩頼んでおいた飯櫃をひとつ取り出す、
「エルルさん何を作るのですか?」
目を輝かせて聞いて来るイオに、
「イオさん僕朝ご飯まだなのでおにぎりを作って食べようと思って、」
と言いながらモルガン商会で買った海流魚で作ったツナを前世のニンニクに似た匂球根とオリーブの実に似た植物から作ったオイルに漬けておいた瓶の中からツナをボールに取り出し軽くほぐしながらマヨネーズと和える、
次に手にクリーンの魔法をかけ、
ボールに塩水を用意して手に少し付け飯櫃からご飯を適量取り出し中にツナマヨを入れておむすびを結んで行く、
結んだおむすびに海苔を巻いたら完成っと!
ずらりと並んだおむすびのひとつをつまみ、
ぱくりと食べる、ツナマヨばかうま!海苔も自家製だけどパリパリでうまうま!
っと隣を見ればイオさんがヨダレをだらさんばかりに僕の手に持つおにぎりをガン見していて、
「エルルさん!私も食べて良いですか?」
「ええイオさんどうぞ、」
イオはおにぎりを最初から二つに割おにぎりを美味しい!と食べている、
ふと海を見ると大きな立派な船が数隻港に向かうのが見え、
「イオさん見て見て!大きな船が港に向かっていますよ!わっ!結構な数ですよ!」
「エルルさん!これマジ旨です!なんて料理なんですか!」
イオさんは船団より食べ物なんだね、
「おにぎりや、おむすびと言う料理です、今迄海苔が無かったから出来なかったのですが、今日大量に海苔を作りましたので!
今日はツナマヨを具材にしましたが、あっ!おかかもあった!
まあこんな感じに色々な具材を入れて食べる事が出来、携帯食としてもとても優秀です、日持ちはしませんが、」
「エルルさん!おかかって何ですか!」
イオさん!顔が近い近い!
「昨日作った削り節をって、作った方が早いですね、」
とエルルは削り節を出しその上から醤油をかけ和える、
和えた物を具材にしておむすびを作る、
「これはおかかおにぎりです、イオさんお昼に取っておいて公爵屋敷に行きましょう、海苔の説明と屋台の許可を貰います、」
「分かりましたおかかおにぎり楽しみにしています、
あっ、ツナマヨももう一つ付けて下さいね、」
公爵屋敷に転移して来ると屋敷の中わ文官さん達が慌ただしく動いている、
メイドさんに案内され代官執務室に入ると、
「エルル様、バタバタしていて申し訳ありません、港からブリネン商船団の入港の報せが有りまして、」
「先程海で船団を見ました、ブリネンの船だったのですね、」
「普段からブリネンとの行き来は多いですが今回の船団は規模が大きいため、手続きも多く文官達が走り回っています、」
ルチアさんが話している途中ち扉が開きストーキンさんが息を切らせて入って来て、
「エルル様がいらっしゃったと聞いたから、研究室からすっ飛んで来たよ!」
呆れたルチアさんが、
「貴方!ノックもせずに失礼よ!」
「ごめん!ごめん!
でエルル様本日は?」
「はい、海苔と言う海産加工物を持って来たのですが、お忙しい様なら後日でも構いません、あと今日これから市場の広場で屋台を出す許可が頂きたいのですが、」
「ほう、屋台ですか大丈夫ですよ構いません、
でどんな屋台なのです?」
「貴方!勝手に話を進めないで!
エルル様主人が申し訳ありません、
では申し訳ありませんが海産加工物の件は後日詳しくでもよろしいでしょうか、
屋台の方は主人が言いました様に問題ありません、」
「ありがとうございます、ではこちらが作って来た海苔と言う物です、作り方と用途に関しては後日詳しく説明します、
屋台は八つ足を使った料理の屋台を出しますこっちはこんな料理です、」
とエルルは板海苔と昨晩作った八つ焼きをだす、
ストーキンは八つ焼きに興味津々で楊枝の刺してある八つ焼きを口の中に入れる、
「あっ、ストーキンさん中は熱々なので気を付けて食べて下さいね、」
ストーキンさんは口をハフハフさせながら八つ焼きを食べると、
「これは美味しい!食べた事が無い食べ物だ!いくらでも食べられるぞ!」
と、楊枝で新しい八つ焼きを刺し口の中に放り込む、
「貴方私にも残して下さいよ、」
とルチアさんがストーキンさんに言われるがストーキンさんは八つ焼きの味に感動していて聞こえているのかいないのか、
さらにもう一つ口の中に放り込む、
エルルはもう一つ八つ焼きを出し、
「気に入って貰えて良かったです、
もう一つルチアさんに、
あと海苔に付いてはまた話に来ますね、」
「エルル様ありがとうございます、私の昼食にさせて頂きます、」
エルル達は頭をぺこりと下げてその場から宿屋の部屋に転移する、
部屋で動きやすいジャージに着替え、エプロンを付け市場に転移した。
「おじさん、隣で店出しても良い?
おじさんの所飲み物屋さんだからうちとは被らないから、
うちは八つ足を使った料理の屋台だけど、」
「嬢ちゃん達、俺は構わんがちゃんと許可取ってんだろうな、」
「うん、大丈夫ちゃんと許可貰ってるから、」
一瞬で屋台を立てあんぐり口を開く男をよそに直ぐに八つ焼きを作り始める、
エルルの見た事の無い屋台に、昼を求めにやって来た者達が集まって来て、
美少女二人が作る八つ焼きを見ているその中の勇者が、
「お嬢ちゃん、その八つ焼きを一つ貰おう、」
「ありがとうございます!銅貨五枚です、今仕上げますのでちょっとだけ待って下さいね、」
とエルルが焼いた八つ焼きをイオがソースを塗り削り節をかけマヨネーズをかけ、
「はい、八つ焼き一つお待たせです!」
男は銅貨を払うと、
「おっ!美味そうじゃないか!」
エルルが八つ焼きを起用に丸めながら、
「中は熱々だから気をつけてね!」
と声をかける、他の者が見守る中男は八つ焼きを食べ、
「うめぇー!こりゃ美味え!嬢ちゃんもう一つ追加だ!」
「はい、ありがとうございます!銅貨五枚です!」
勇者の態度に俺も私もと、皆列を作って屋台の前に並んで行き、
皆の美味しい!美味しい!の言葉につられ、気付けば長蛇の列が出来ていて、エルルとイオは手際よく客をさばいて行く、
「嬢ちゃん達、これ約束の魚だ、昨日の今日でここに店を出すなんて、本当に公爵家の関係者だったんだな、」
「わっ!おじさん来てくれたんだ、魚ありがとう!じゃイオさんおじさんに二つサービスして!」
「良いのか嬢ちゃん?」
「うん、おじさんには昨日世話になったからそのお礼、」
「ありがとな嬢ちゃん話し込むと他の客の迷惑になるから行くわ!良い魚が欲しかったらまた店に顔出してくれや、」
とおっさんは手を振り帰って行った。
「イオさん!今並んでる人の後ろにこの看板を立てて来てくれる、
材料がピンチ!」
イオは列の最後尾に材料切れの為、
本日の営業は終わりました、
ありがとう御座いました。
と書いた看板を立て二人で残りの客をさばいて行く、
やがて最後のお客さんに八つ焼きを出し終わるとエルルは鉄板を掃除しながら、
「イオさんお疲れ様、未だ早いけど材料が無くなっちゃったから宿屋に帰って儲けたお金で何か食べましょう!」
「はい、凄いお客さんの数でしたね、あんなにあった材料が全て無くなっちゃうなんて、」
二人で話していると隣の店のおっちゃんが、
「嬢ちゃん達もう店終いか、
まあ凄い客だったからな、今日は便乗でうちの飲み物が売れたからな、
ありかとよ!これうちからな、」
とフルーツの果実水を渡され、
「ありがとう!おじさんこの飲み物冷やして売ったらもっと売れると思うよ、」
自身とイオのカップの中に氷を浮かせ唖然としているおっちゃんに頭を下げ、屋台を一瞬で片付け市場の裏に帰って行った。
二人が宿屋の部屋に転移した直後、エルルはイオの口に手を当て、もう一つの手を自身の口の前にしっ!のポーズを取る、
そして結界を張ると、
「イオさん、この建物何者かに盗聴されてます、」
「えっ!エルルさんここ宿屋ですよ、」
「ちょっと気になるので少しこのままでいましょう、危なくなれば干渉します、一応着替えてローブを羽織って下の食堂に行きましょう、」
部屋から下に降りると食堂は沢山の人で混んでいて空いていた奥の丸テーブルに座り給仕係のお姉さんが、
「混んでてごめんなさい、今日外国からのお客様でいっぱいなの、もしかしたら相席お願いする事になるかも、」
「お姉さん構いませんよ、声かけて下さい、僕はこのブリネンの紅茶を下さい、イオさんは?」
「私も同じ物を、」
と頼み紅茶が運ばれて来るとエルルはこっそりマドレーヌを出しイオとしばしくつろぐ、
「かわいい魔法士様達相席宜しいかしら、」
イオとエルルが声の主に顔を向けると品の良いおばあちゃんが自分達と同じぐらいの歳の美少女をを連れ笑顔で話しかけて来る、
「はい、どうぞ外国の方々ですか?」
若い美少女が、
「ええ、今日港に着いた船でブリネンから、お二人はこの国の魔法士様?」
「はい、隣は私の弟子です、」
「貴女達相当な手練れの様ね、
そのローブに弟子の方など全く魔力を感じないわ、」
「シャル、そうなのこんなに可愛らしいお嬢さん達なのに、
ごめんなさいお嬢さん自己紹介が未だだったわね、私はリリル、リリル・ルコルよ、」
と言われた途端イオは飲んでいた紅茶を盛大に吹き出し、エルルも目を丸くしている、
「私はシャルル、シャルル・ルコルよ、この国には私の大伯父上様に会いに来たの、」
益々目を見開く二人にリリルと名乗る夫人が声をかけようとしたのをエルルが手で制し、
「お二人は沢山の護衛の方々を連れてお出でですか?
もし知らない方々でしたら公爵家の使用人としてその方々を今すぐ拘束致します、」
今度は彼方の二人が目を見開き、リリルと名乗ったおばあちゃんが、
「代表の者出ていらっしゃい、」
の言葉に食堂の隅で食事をしていた紳士が立ち上がりおばあちゃんの前まで来ると何も言わず片膝をつく、
「私の部屋に行きます、付いていらっしゃい、公爵家の方々も宜しいかしら、」
黙って頷くエルル達を連れてこの宿屋で一番高級な部屋に入る、
おばあちゃんはエルル達をソファーに座らせると入り口で立つ紳士に、
「娘にはバレちゃってたみたいね、
で何人で見張っていたの?」
答え無い紳士にエルルが、
「食堂の中に十人、外に十五人が宿屋を護衛する様に、」
紳士は目を伏せ何も答え無い、
「貴女相当な魔法士の様ね、それだけの人数を拘束出来るなんて、
お名前を伺っても?」
「はい、私はエルル、エルル・ルコルと申します、」
エルルの言葉におばあちゃんだけでなく、シャルルと名乗った女の子も一人だけ立っている紳士まで驚いている、
そしておばあちゃんが小声で、
女神フィーネス様に感謝をと呟くと
「貴女はラルルの娘いえ、お孫さんかしら、」
「はい、孫として育てられました、
今は公爵家でお世話になっています、」
「そう、では公爵夫人のナタリアさんに連絡を取る事が出来るかしら、
」
「ナタリア様の旦那様は公爵位を主人様に譲られ、今は辺境伯として辺境伯領にいらっしゃいます、」
「そうですか、ではもし知っていたらで構わないから、この国の皇太后様はお元気かしら?
貴女ほどの方なら私が誰なのか気付いているのでしょう、」
「申し訳ありません、ナタリア様の話ではこの国では皇太后様になられますと後宮奥の離宮に入られ表には一切出て見えず、王族の方以外はお会い出来ないと伺っています、」
「そうなのですか、それは残念です、でしたらラルルに会う事は出来ますか?」
「祖父ラルルは少し前にソルス様の元に旅立ちました、
あと、私もリリル様に会って頂きたい方がいます、
その方もリリル・ルコルと言う私の伯母に当たる方です、」
「そこの者私はこの者と少し話がしたい席を外してくれぬか、
この者が本気になればとっくに皆ソルス様の前に並んでおる所よ、
後、不粋な真似はするでないぞ、」
男は一礼して部屋から出て行く、
「イオさん一応お願い、」
イオは部屋の中に結界を張ると、エルルにサムズアップをする、
エルルは片膝をつき、
「ブリネンの上皇陛下とお見受け致しました、リリス様は今はリリル・ルコルと名乗られ私の姐様として私の実家で暮らしています、バレス辺境領の魔の森の中の家ですが、今すぐお連れする事も出来ますが、」
今までずっと黙っていたシャルルが、
「貴女も時空魔法士なの?」
「イオは空間魔法士で僕はどの様な魔法も使えます、
イオさん森の家に戻ってお客様の準備をしてくれるかな、
姐様達未だ狩から戻ってないかもしれない、」
「わかりましたではお先に、」
とゲートを開き中に入って行く、
呆けている二人に
「今僕たちはたまたま休暇でこちらに来ていたんです、シャルルさん僕たちは血は繋がっていませんが身内になるのですよね、
先程貴女も時空魔法士と聞かれましたが良ければ僕をブリネンに連れて飛んで貰えませんか?」
「エルルさんでしたわね、飛んでも良いのだけれど、私、貴方を連れて飛んだら三日ぐらい寝込む事になるわ、」
「それなら大丈夫だよ、僕と手を繋いで飛べば僕の魔力で飛べるから問題ないよ、」
「じゃあ今すぐ行く?」
「うん、行く!いく!」
「では上皇陛下しばらくお待ち下さいませ、」
と言ってエルルとシャルルは転移して行った、
エルル達が転移したのは大公爵家のシャルルの部屋で、
「わっ!ここがブリネンのシャルルさんの部屋なんだ、これで何時でもブリネンに来れるよ、」
「エルルさん、貴女凄いわね、ブリネンまで私を連れて飛んでなんとも無いなんて、
私魔力を全然使って無いわ、」
その時扉が開き、
「シャルル!貴女どうしてここにいるの?
お姉ちゃんがシャルと上皇陛下が二人だけでオーライドに向かったと大騒ぎしてたわよ!」
「母様、戻ったら詳しく話すから、
あっ、この子はラルル様のお孫様でエルル・ルコルさん、これからここにちょくちょく来るからよろしくね、
エルルさん私の母よ、
「はじめまして大公爵閣下、私はラルル・ルコルの孫のエルル・ルコルと申します宜しくお願い致します、」
話に付いていけず口をパクパクさせている大公爵を他所にシャルルは、
「じゃ、エルルさんあいさつも終わったから帰るわよ、じゃあまたね母様!」
とエルルを急かせエルルが出したゲートの中に入って行き、エルルもぺこりと頭を下げてゲートの中に入って行った。
「あら、もう帰って来たの?」
「はい、大公爵閣下にご挨拶して来ました、
これからは何時でもブリネンと行き来出来ますよ、」
「エルルさん帰りは転移ではないですね、」
「ええ、空間魔法のゲートですね、」
「空間魔法なんて希少中の希少魔法、おそらくブリネンには空間魔法士は居ませんわ、」
「シャルルさん続きは僕の家で話しましょう、
上皇陛下もこちらのゲートの中へ、私の実家に繋がっています、」
エルル達がゲートから出て来ると森の家の玄関先で、
「この森が魔の森ですか?
普通の美しい森にしか見えないわ、」
「この家は強固な結界が何重にもかかっていますので結界の中でしたら安全ですが、
結界の外はSランク冒険者クラスでないとこの森の中は歩けませんよ、
ですからこの家を訪ねて来る方は限られていますね、」
パラリ ラリ ラリ ラリラリラー!
突然某有名マフィア映画のテーマ曲と共にグラサンに白の特攻服を着た黒髪ロングの女性がシボハンの空飛ぶバイクにニケツをして空から降りて来る、
そしてエルル達の前に停まり、
「エルルお帰り!お客さんかい?」
と声を掛けるがとなりの驚きで口をポカンと開けている老夫人を見て、
「リリカお姉ちゃんなのかい?」
リリカお姉ちゃんと呼ばれた老夫人は少し驚いて
「エルルさん、こちらの方は?私の事を知っていらっしゃるようね、」
リリルは
「お姉ちゃん!何言ってんだい妹を忘れる程耄碌したのかい?」
リリルの言葉にリリカは真っ赤になり、
エルルとシャルルは笑いを堪えるのに必死で両手で口を押さえている、
リリルはサングラスを外し、
「お姉ちゃん懐かしいねえ、オーライドに来れたという事は今は上皇陛下って所かい?」
エルルが二人の間に入り、
「姐様、変装されているのだから上皇陛下にはリリス様だと分かりませんよ、早く魔導バイクを片付けて下さい屋敷に入ってゆっくり話しましょう、
カレンさんイオさんが準備してるから手伝いを宜しく、」
「はい直ぐに、」
とカレンは屋敷の中に入って行き、
リリルは魔導バイクをポーチにしまう、
「凄い!収納魔法?」
リリルはシャルルを見て
「エルルこの子はお姉ちゃんの孫かい?」
「姐様、僕のはとこにあたるシャルルさんですよ、
さあ上皇陛下もシャルルさんも大した所では有りませんが中に入って下さい、」
「リリス、貴女変装でそんなに若くなれるの?その見た目本当にエルルさんと姉妹に見えるわよ、」
「まあお姉ちゃん、ゆっくり話すよ、」
居間に入ったら入ったでまた固まってしまった二人だが、
今はイオが出したケーキに夢中になっている、
「リリカお姉ちゃん、私外で狩をしてたからお風呂に入ろうと思うんだけど一緒にどう?
自慢の露天風呂だよ、お風呂に浸かりながら話そうよ、」
「ねえリリス、オーライドのお屋敷は何処もこうなの?
このお菓子なんて女王だった私でも食べた事が無い至高のお菓子だわ、お代わりが頂きたいのだけど、」
「お姉ちゃん夕食前だから我慢して、きっと夕食も気に入って貰えるよ、夕食の後のデザートでまた出てくるしね、さあお風呂に行くよ、」
エルルはテーブルの上を片付けているイオとカレンに、
二人共姐様達と一緒にお風呂に入ってマッサージまで宜しく、
さあシャルルさんもどうぞ、着替えも用意しておきますので、」
「エルルさんも一緒にどうですか?
私貴女達と色々話をしたいです、」
「シャルルさん、僕は男ですから一緒には入れませんよ、」
エルルの言葉に固まっているシャルルにイオが、
「さあシャルルさん行きましょう、私はエルルさんだったら一緒にお風呂に入っても良いんですけど、
」
「イオさん!僕は恥ずかしいから嫌です!」
「ふぅーリリスここは最高ね、
で貴女はあの子の魔法でそんな姿になっているの?羨ましいわよ、」
「魔法なんてかけてないわ、髪を真っ直ぐにして黒く染めただけだよ、」
「貴女自分がいくつだと思っているの、」
「お姉ちゃんの十歳下かな、
お姉ちゃん私達の初代様の言い伝えを覚えてる、」
「突然なんだい、確かハイヒューマンで聖女だったとか戦乙女とかの話かい?」
「そう、それ私はハイヒューマンって種族で戦乙女の称号を持っててね、
エルルは私の事を先祖返りしたんじゃないかって言うんだよ、
上手い事言うだろ、」
「驚き過ぎて言葉が出ないわ、隠していたの?」
「まさか、息子を産んだ後に種族と称号が変わっていてね、
父ちゃんがソルス様の所に行ってからは、人前に出る事も無く離宮で暮らしていた所に娘がエルルを連れて来てくれてね、
表向きは崩御した事にしてここで
リリル・ルコル、エルルの伯母として暮らしているのさ、」
驚きながら話を聞いていたシャルルが、ぷっ と吹き出し、
「リリス様は間違い無く上皇陛下の妹殿下で御座いますよ、
上皇陛下もこの旅で私の伯母のリリル・ルコルと名乗ってオーライドまで来たのです、」
「私なんて宿屋で紹介して頂いた時に飲んでいた紅茶を盛大に吹き出しちゃいましたよ、」
「イオさんだったかしら、その時の二人の顔は可笑しかったわ、
そう言う事だったのね、
でも貴女も凄い魔法士様の様ね、
美しい女の子にしか見えないけれど、」
「お姉ちゃん、この屋敷でカレン以外は皆化け物ばかりだよ、
イオ腕輪を外してやりな、」
「リリル様、慣れてない方々には厳しいかと、
私も最初はイオさんの魔力に当てられ気を失いかけました、」
「お姉ちゃんそう言う事らしいよ、
まあ弟子がこのレベルなんだエルルあの子は特別な存在だよ、」
「あの、リリル様は狩をしていらっしゃったとか、魔法と剣のどちらで魔物を狩っていらっしゃるのでしょうか?」
「あんたは確かエルルのはとこだったね、
ルコルの家の者なら魔法士だろ、
剣術にも興味があるのかい?」
「リリル様申し遅れました、
私の名はシャルル・ルコルと申します、シャルルとお呼び下さい、
こちらには大伯父上様に剣術を教えて頂きたく、ブリネンより来ました、」
「シャルル、ラルルは逝ってしまったが当代の剣聖に弟子入りして、魔法も剣術も習うと良いだろう、」
「それはエルルさんが当代の剣聖だと言う意味でしょうか?」
「まああの子は否定しているが、間違い無く当代の剣聖だよ、
あと魔法に至っては神様レベルだと私は思っているよ、
私やカレンはエルルが創り出したゴーレムと鍛錬をしていて刀って武器を使い始めたんだけどあんたも一緒にどうだい、」
「お風呂から上がったらエルルさんに相談してみます、
あとリリル様先程収納魔法を使ってみえましたが、
リリル様も空間魔法士なのですか?」
「あれは収納魔法ではないよ、
私の魔力は化け物並だけど魔法は苦手でね、収納魔法が使えるのはエルルとイオだけだよ、
シャルルがエルルの弟子になってエルルに認められたらその秘密を教えて貰えるだろうよ、」
温泉から上がりバスローブ姿でリリカはイオよりアロママッサージを受け目をとろんとさせながら、
「リリス貴女はずるいわ、いつからこんな暮らしをしているのよ、
あとうちの家系の酷い癖毛をどうやって治したのよ、」
「お姉ちゃん引っ越して来たのは最近で私も娘に同じ事を言ったよ、
髪はこちらにいる間にイオに頼みな 、メイクもして貰えば二十は若く見えるよ、」
リリカは自身をマッサージしているイオに、
「イオさん!私もリリスの様にしてくれないかい!」
「上皇様、私の事はイオとお呼び下さい、
髪の件は時間が有れば明日にでも、」
「わかったわイオ!約束よ!そして私の事はリリカと呼んでちょうだい、」
エルルが用意した衣装に先に着替えたシャルルが居間に戻るとエルルがテーブルに食事を並べていて、
シャルルに気付いたエルルが、
「シャルルさん、夕食の準備が出来てますよ、姐様達が来たら食事にしましょう、」
「エルルさん、オーライドの下着って凄過ぎますよ!
こんな下着付けちゃったら今までの下着なんて付けられませんよ!
それにこの可愛いい部屋着の着心地も最高です、
お料理も凄く美味しそうです!」
「いっぱい食べて下さいね、
爺ちゃんの身内の方に会うの初めてだから嬉しくって!」
「私もラルル様にお会い出来なかったのはとても残念ですがエルルさんに会えました、
エルルさん私を貴女の弟子にして下さい!」
ちょっとだけ驚いた顔をしたエルルはすぐにっこり笑い、
「はい、分かりました。」
ありがとうごさいました。




