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出発は夜ですよ!

よろしくお願い致します。

第三十五話



出発は夜ですよ!


「おはようございます、イオさん、カレンさん、」

「おはようございますエルルさん、」

「おはようございますエルル様、」


エルルが何時もの鍛錬に庭先に出て来るとイオがエルルに教わったストレッチをカレンに教えていて、

エルルはストレッチをしているカレンに、

「カレンさんの得意武器はアニー先輩と同じで双剣ですか?」

「はい、母が双剣が得意で母から教わりました、

エルル様は剣聖様から直接指導して頂いたのですよね、羨ましいです、」

言われたエルルは祖父ラルルとの鍛錬を思い出したのか遠い目をしながら、

「幼い頃から数えきれないほど斬られてきましたよ、お陰様で人並み位には強くなれましたが、」

話すエルルの背後から、

「当代の剣聖が何言ってんだい!」

「おはようございます姐様、

僕が剣聖なんて烏滸がましいですよ、」

「おはようエルル、謙遜かい?」

「まさか、僕は剣士かと問われたら魔法使いだと答えますよ、

あと先日も言いましたが僕の得意武器は刀です、」

「刀とは私の部屋に飾ってある美しい装飾の木剣の事かい?」

「姐様、木剣では無いですよ、」

と言いながら、エルルは空間から一振りの刀を出し、

「この子の名前は五月雨丸、僕のお気に入りの一振りです、」

とエルルは美しい装飾がされている鞘から刀身を抜いてリリル達の前に出す、

「エルル、鞘も美術品の様に美しいが、抜かれた刀身の美しさの前では鞘が霞んでしまう程の業物じゃないかい!」

「わかりますか!姐様お目が高い!」

「私はこう見えても産まれた時より王族をやっててちょっとした目利なんだよ、

で私の部屋の刀も刀身はこんな業物なのかい?」

「あの子の名前は秋桜、刃文がとても美しい刀ですよ、

姐様刀を使ってみますか?

姐様ならすぐに大剣豪になれますよ、」

「面白そうじゃないかい!

エルルが刀を教えてくれるのかい?

「先ずはゴーレムがお相手します、この鍛錬用の武器を姐様とカレンさんに渡しますので、

この柄を握って自分が普段使っている武器をイメージしながら魔力を流してみて下さい、」

エルルに渡された柄をを握るとカレンはアニーと同じ光の双剣を出現させ、

「エルル様、この双剣はアニーが持っている物と同じ物ですね、

先日実家に帰った時にアニーに自慢されました、」

「アニー先輩らしいです、じゃあカレンさんも僕が出すゴーレムと戦ってみて下さい、

アニー先輩から聞いているかも知れませんが、刀身が身体に当たってもすり抜けるだけで怪我はしませんから 思いっきり戦って下さいね、」

「エルル!エルル!私の剣を見とくれ、美しいだろう、」

とリリルは黄金色に輝く刀身を見せる、

「やっぱり姐様その色になりましたか、」

「なんだいこの金色の刀身がどうかしたのかい?」

エルルは水色の刀身の光剣を出し、

「この刀身、水色なんですけど本当はこんな色なんです、」

とエルルが言った瞬間刀身が輝く金色になる、

「でエルルどういう事だい?」

「魔力の種類の違いです、

大きく分けると男性の持つ魔力、女性の持つ魔力に別れます、あと極々稀にどちらの魔力でもない魔力の持ち主がいます、」

「もしかして私の魔力はそのどちらでもない魔力なのかい?」

「はい、とても珍しい魔力で、

正確には魔力では無い力かと考えています、

あっ!これはここにいる者の秘密にして下さい、」

「わかったよ、で私の相手のゴーレムは?」

「姐様の相手はこのゴーレムが務めます、」

と言ってエルルが地面を足でトンっと蹴ると武士の姿をしたゴーレムが出て来る、

そしてもう一度地面を蹴ると、双剣を持ったイケメン紳士がカレンの前に出現して、カレンに向かい頭を軽く下げる、

「ではお二人はそちらのゴーレム達と戦ってみて下さい、僕はイオさんの鍛錬の相手をします、」

「エルル、このゴーレム達は強いのかい?」

エルルはにやにやしながら、

「もしそのゴーレムを倒す事が出来ましたら、この異国の服の見本本から好きな服をプレゼントしますよ、

と前世のファッション雑誌をとりだす、」

「エルル!そのご褒美を忘れるんじゃないよ!」

とリリルは鼻からふんっ!と鼻息を出し気合いを入れレイピアを構え武士と相対する、

カレンも双剣を一度身体の前で合わせるとゴーレムに向かい低く構えた。


「エルルさん、リリル様達だけズルいですよ、私にもご褒美を下さい、」

「はいはい、イオさんは今練習している魔法で僕に触れる事が出来たら、プレゼントしますよ、」

「エルルさん、私だけ難しくないですか?」

「そんな事は無いですよ、この魔法は習得すれば接近戦でとても有利になります、」

「私こういう戦闘系の動きって苦手なんですよ!

それにこの魔法はゲートと言うよりエルルさんの転移魔法に近いんじゃないですか?」


今イオがエルルから教わっている魔法はエルルオリジナル縮歩と言う魔法で近接戦闘中に空間を移動する事で間合いに入って攻撃をしたり、

攻撃を避けたりする時空魔法を応用した技なのだが空間魔法以外は使えないと思い込んでいるイオはこの魔法の習得に苦戦していた、

「イオさん、転移魔法は時空魔法系の魔法と言われていますが、

どちらも使える者から言わせて貰えば、時空魔法と空間魔法は互換性があると思っています、

要は転移ができる時空系魔法士で魔力量が桁違いに多い者が空間魔法を使えるのではないかと考えています、

逆に言えば空間系魔法士は時空魔法を使う事が出来ると言う事です、

イオさんは空間魔法以外は使えないと思い込んでいる様ですが、今回の縮歩は短い転移なんですよ、

未だ完璧ではありませんがちゃんと縮歩が発動しています、今は戦闘では無く鬼ごっこいえ、オーガごっこ位に考えて下さい、」

「やっぱり転移だったんですね、

最初にエルルさんに付いて縮歩を行った時にゲートの魔法とは異なる感覚があったんですよ!これが転移魔法の感覚なんですね!

じゃあ行きますよ!エルルさん!」

と言ったイオはその場から消え、

エルルの背後に現れエルルに触れようとするがエルルも消え直ぐにイオの背後に立つ、

イオは振り向かずそのまま消え少し離れた所に現れ、

「エルルさんが魔法を使うのはズルいですよ!」

「イオさん僕は魔法は使っていませんよ、」

エルルの言葉にイオは、

「でもエルルさんいきなり背後に現れたじゃないですか、

一瞬背中が冷んやりして、思わず無意識にここまで来ちゃいましたよ!」

「イオさん僕は早く動いただけですよ、

あとイオさんちゃんと殺気を感じる事が出来たじゃないですか、

良い反応です!さあもう一度!」



双剣を持った紳士がカレンに一礼する、

カレンも低く構えた姿勢から身体を起こし頭を下げる直後カレンはゴーレム紳士の懐に飛び込み、

巧みに双剣を使い切り掛かるがゴーレム紳士は片側の剣だけでカレンの攻撃を軽々と受け流す、

「このゴーレム強い、」

瞬時にカレンは間合いを取り呼吸を整えながらゴーレム紳士を見ると、ゴーレム紳士はカレンをみて微笑んでいる、

カレンは双剣を構え直しもう一度ゴーレムに飛び込もうとするが、

ゴーレム紳士がゆっくり双剣を構えた様に見えた直後、

気付けばゴーレム紳士はカレンの目の前に現れ双剣の片方がカレンの胸に刺さっていた、

「キャァー!」

と声と共にカレンは胸を押さえ倒れこみ、

ゴーレム紳士は転げ回るカレンに優雅に一礼して光の粒となり消えていった。



リリルはカレンが倒れるのを見て、

「ほう、結構強いじゃないかい、

で私と対峙しているお前さんはその刀という武器を抜かないのかい?」

リリルに言われた武士ゴーレムは、

頭だけを少し下げ目で返礼し、刀の柄をに手をかける、

リリルはレイピアを構え集中する、

直後カァーンっと光剣同士がぶつかる高い音がしてお互いが弾かれた用に間合いを取る、

「あんた凄いね、抜刀したところが見えなかったよ、

危うくレイピアごと右手を持ってかれる所だったねぇ、」

とリリルはゴーレムを褒めもう一度構え直すと、ゴーレムも構え直し張り詰めた空気の中、

次の瞬間先程の様な甲高い音はせず、

リリルのレイピアがゴーレムの刀の柄を押さえていて、

リリルはニヤリとすると、そのまま身体をねじり武士ゴーレムを回し蹴りでふき飛ばす、

蹴り飛ばされた武士ゴーレムは光の粒となり消えていった。


リリルはまだ転がり回っているカレンに、

「カレン、あんたいつまで転がってんだい!なんともないだろう、」

カレンは我に帰ると、周りを見渡し赤い顔をしながら立ち上がり、

「ゴーレムに全く敵いませんでした、」

「まあ、励みなカレン、

で、エルル達は何をやってんだい?

「さあ?オーガごっこですかね、」


リリルが鬼ごっこをしている二人を見ると、

「ははは!イオさんこっち!こっち!」

「まってぇー!エルルさん」

と少女達が鬼ごっこをしてる様にしか見えないが、

カレンの目にはエルルとイオの二人が交互に消えたり現れたりしている様に見え、

エルルがリリルの前まで来て、

「姐様流石ですね、ちょっと待ってて下さい今終わります、」

と振り向いてイオに声をかけようとしたら、

イオはエルルの方を指差し、

「わっ!エルルさんの背後に私よりオッパイの大きな綺麗な女の子が!」

「えっ!何処ですイオさん!」

と振り返るエルルの肩にイオは背後から手を乗せ、

「なんちゃって!捕まえましたよエルルさん、」

エルルは顔を赤く染めながら、

「イオさん謀りましたね!」

リリルは呆れながら、

「あんた達朝から何やってんだい、

さあお腹が空いたよ朝ご飯にしようじゃないかい、」

「はい、姐様お母さんも起きて来てるはずですよ、」

「じゃあエルルさん、カレンさんと先に戻って朝食の準備をしておきますね、」

とイオはカレンと共に家の中に入っていった。


残ったリリルがエルルに、

「エルル、前から気になってたんだけど屋敷の裏庭にある白くて丸い建物はなんだい?」

「あの建物は僕の研究施設や、魔物の解体場と工房ですね、

姐様達が狩って来た魔物は僕が解体します、」

「エルル、あんた達は狩った獲物を空間魔法で持って来れるかも知れないが、普通の冒険者達はどうしてるんだい?」

「大物だったらその場で解体して、持ち運べる範囲で価値がある物を持ち帰るんじゃないですかね、

僕は丸ごと持って来ちゃいますよ、」

「エルル、私やカレンにはまだ解体は無理だよ、」

「大丈夫です、魔法の鞄を渡しますのでその中に入れておいて下さい、

後日僕がまとめて解体しちゃいます、」

「魔法の鞄だって!そんな物よく手に入れられたね、物によっては国宝級のアイテムだよ、」

「僕魔法の鞄を作ることが出来るんですよ、空間魔法と付与魔法でちょちょいとって感じですね、」

リリルは呆れながら、

「エルルあんたそんな事まで出来るのかい呆れたね、世に出したら大変な騒ぎになっちまうよ!」

「姐様、勿論世に出す事などしませんよ、僕が信用した人にしか渡していませんよ、

ギルドから戻ってきたら装備一式と共に渡しますね、」



エルル達が居間に戻るとナタリアが冷蔵庫から出したフルーツヨーグルトジュースをコップにそそぎながら、

「母様、エルルおはよう!遅かったじゃない、」

「おはようございます、お母さん、姐様と冒険者の事で話し込んでいまして、」

「おはようナタリー、朝から美味しそうな飲み物を飲んでるじゃないかい、私にも同じ物を出してちょうだい、」

そこにイオとカレンが朝食をトレーに乗せて運んで来る、

「今日の朝食は焼きたてクロワッサンとオムレツとサラダです、」

「おお!イオ美味しそうじゃないかい!早速頂こうかね!」

「母様、祈りが終わってからよ!」

皆が席に着き食前の祈りを済ませ、

朝食を美味しい美味しいと食べながら ナタリアがエルルに、

「エルル、食事が終わったら辺境屋敷に行くのよね、」

「ええ、着替え終わったら直ぐに出ますよ、」

「貴方達はあの珍妙な格好をするのかしら?」

「お母さん珍妙とは失礼な!

まあ確かに皆さんからよく笑われますけど素性を隠したいので、」

「で、母様とカレンはマスカレードなのよね、」

「なんだいナタリーもマスカレードになりたいのかい?」

「母様、私は母様達みたいな勇者では無いわ!」





エドモンドは執務室で入って来たエルル達を見るなり、

「ぶぅーっ!エルルなんだいその珍妙な仮面は?」

「エド様この仮面を着けている時はひょっとこと呼んでください、」

エドモンドは笑いを堪えながらエルルから顔をそらし、

「エルル、いやひょっとこか、その顔を近づけないでくれナタリーから聞いてはいたが見ているだけで笑いが込み上げてくる、」

エド様だけじゃなくメイドさん達も一生懸命笑うのを堪えていて綺麗なお姉さん達が凄い顔になっちゃってるや、

でもロータスさんだけは何時もの優しい笑顔だったよ、

「さあエルル、馬車を待たせているから早速ギルドに行くとしよう、

すでに先触れも出してある、」

「エド様ありがとうございます、

あとお屋敷の皆様に、

こちらの方が私の伯母にあたるリリル様であちらが先日紹介したカレンさんです、エド様はリリル様には公爵家の夜会の時にお会いしていましたね、」

「リリル様、お元気そうで何よりですな、」

「辺境伯様お世話になるよ、よしなに、」

「主人様、お時間が、」

とロータスの言葉に皆が玄関で待っていた馬車に乗り込み、見送りに出て来たナタリアが、

「エルル行ってらっしゃい、皆の事を頼んだわよ、」

「はい母様、お任せです!でも今はエルルではなくひょっとこですよ、」

「はいはい、分かったわ気をつけて行って来るのよ、」

ナタリアの言葉にエルル達は動き出した馬車の窓から手を振って応えた。


領都グランドバレスの中心街にあるギルドの辺境領支部に辺境伯家の馬車が到着すると、正面玄関にギルド職員が並んでいて始めにロータスが降りて行き、その後にカレン、イオ、エルル、リリルの順で降りて行く、

最後にエドモンドが降りて来るが、

その前に出て来た者達の格好に職員達が固まっていると職員の後ろからうちのウッディ団長並みのがたいの大きなスキンヘッドのおっさんが、

「領主様よくおいで下さいました、

副ギルドマスターのガボンです、

ギルマスが応接室で待っております、さあ皆様もこちらへ、」

ガボンさんの言葉に呆けていた職員さん達も動きだし、

ギルド支部の冒険者バレス出張所に入って行く、

出張所の総合カウンターには沢山の冒険者が並んでいて職員に囲まれながらおかしな格好をした者達が奥に入って行くのを皆注目している、

エルルの前を行くイオがエルルに小声で、

「ひょっとこさん、ここで私達は荒くれ冒険者にちょっかいをかけられるのが、お約束なんですよね、」

「イオさん異世界物の読み過ぎですよ、」

と二人が仮面ごしにボソボソ話しているとガボンさんが応接室のドアをノックすると中から扉が開き、

「皆様どうぞ中へ、」

とガボンさんに言われ応接室に入ると大きなテーブル越しに美少女が立っていて、

「ハンターズギルド、バレス出張所にようこそ私はギルドマスターのトルティア、こんななりだがそこのエドさんよりちょっぴりお姉さんなんだよ、

あんた達の事はこの国のギルド統括理事から連絡を貰っている、

まあ、それにしてもエドさん、また濃い奴等を連れて来てくれたね、」

言われたエドモンドは苦笑いをしながら、

「まあティアさん、ジルから聞いているとは思うが、訳ありの者達でね、

じゃあひょっとこ、紹介状をティアさんに、」

エルルはローブの中から紹介状を出し、

「はじめましてギルドマスター様、

私の名前はひょっとこ、隣から順に弟子のオカメ、伯母のプリンセスマスカレードに従者マスカレードです、

今日は冒険者登録をして頂きたく、王都のギルド統括理事より紹介状を頂いて来ました、よろしくお願致します、」

とぺこりと頭を下げ紹介状を手渡す、

エルルの自己紹介にトルティアさんとガボンさん以外の職員の人達は笑いを堪えるのに必死で、

お茶を出してくれた職員さんなんて自分の腿をつねっちゃってる、

まあ確かにここの領主が連れて来た者を笑う訳にはいかないよね、

トルティアさんはジルおじさんからの紹介状を読んで、

「話は分かったよエドさん、

なにこの業界素性を隠したい冒険者なんて巨万といるさ、まあ管理は血と魔力で行うから、見た目や名前などは問題にはならないよ、」

と言うトルティアさんが職員さんに目をやると職員さんが奥の部屋から魔道具らしき物を抱えて出て来て、

エルル達の前に手形の穴が空いた石版の様な物を置いて行く、

ガボンさんが、

「皆様は冒険者登録が初めてだと聞いておりますので説明させて頂きます、

先ずこれからお渡しするカードに名前を書く欄が有りますので登録したい名前を記入して下さい、記入が終わりましたら渡して下さい、こちらで測定器にセット致します、

その後測定器の手形の所に手を置いて頂きます、

手を乗せますと人差し指の先が当たる部分より血液採取用の針が出ますのでチクリとしますが、測定終了の魔石が光るまでは手を乗せていて下さい、」

ガボンさんの話を聞いて隣で固まっているイオにエルルは小声で、

「オカメさん大丈夫ですよ、僕が後からちゃんと治癒魔法をかけます、」

と言うエルルに、イオも小声で、

「ひょっとこさん、来ましたよ!第二のお約束!ここでギルド中が驚愕する結果が出るんですよね!」

エルルはリリルとカレンにエルル特性のペンを渡しながら、

「オカメさん、ハマり過ぎです!でも多分そうなっちゃうでしょうね、」

エルル達が名前を書いてカードを職員さん達に渡すとそれぞれの測定器の中にセットして行き、

「では皆さん測定器に手を乗せて下さい、測定時間には個人差がありますのでこちらが良いと言うまでは手を乗せていて下さい、」


エルル達が測定器に手を乗せている反対側のテーブルではトルティアさんの隣で職員さんがノートパソコンの様な形の魔道具を操作していて、

トルティアさんが魔道具を覗き込んでいる、

最初に測定が終わったのはカレンさんでカレンさんの測定器から金ピカのカードが出て来る、

トルティアさんが、

「最初は従者のお嬢ちゃんかい、

ほう、Aランクかい大したもんだね、頑張ればSランクも夢じゃ無いから頑張りな、」

トルティアさんの話を聞いたカレンさんは職員さんにカードの説明を受けているとリリル姐様の測定が終わり、トルティアさんは手元の魔道具を見ながら、

「私はお姉さんが一番最後だと思ってたんだけどねえ、紹介状を見て予想はしていたけど等級外だよ、

おっ、弟子のお嬢ちゃんも終わったみたいだね、

お嬢ちゃんも等級外だよ、お嬢ちゃんあんた凄いね、魔法職なのに魔力を全く感じないよ、魔法職の等級外なんて、ノアさん以来じゃないかねえ、」


イオさん達のカードの説明が終わった頃エルルの測定が終わり魔道具を使っていた職員とトルティアさんが驚愕している、

エルルの測定器から出てきたカードの色はリリルとイオの真っ黒な等級外とは違う紫色のカードで職員達も見た事の無い色のカードに驚いている、

「なんだいこりゃあ、全ての数値が測定不能だなんて、測定器が壊れてるんじゃなさそうだし、

嬢ちゃんあんたヒト種じゃないね?」

「ティアさん、詮索は止めてくれるかい、今回の事はタダの等級外だったって事で頼むよ、」

トルティアは呆れて、

「エドさん、等級外をタダのなんて事が既におかしいと思うがね、

職員には箝口令を出しておくが本部には丸特案件として報告させて貰うよ、」

深妙な顔で話あう二人を他所にエルル達は出来上がったカードをエルル特性ネックホルダーに入れ皆首からかけて見せ合いワイワイ盛り上がっている、

職員の人達には登録したての若い女性の冒険者達がギルドカードを取得して喜んでいる様にしか見えない、


その後エルル達はエドモンドだけを応接室に残して、ガボンさんの案内で朝の混みが嘘の様に冒険者がまばらになったギルドのホールで受付や、買い取り窓口の使い方を習った。

帰りの馬車の中で、

「エド様、ギルマスのトルティアさんって、ドワーフ族の方ですよね、

先日お会いしたマルティン妃殿下と感じが似ておいででした、」

「ああ、ティアさんは確かにドワーフ族だよ、旦那さんは高名な鍛治師でな今は単身赴任でこちらに来ているんだ、

ティアさんも元冒険者で、死神槌のティアと言う二つ名で恐れられた等級外冒険者だ、

ジルと共にパーティーを組んだ事があるんだが、旦那さんの作った特製の大槌を棒きれを振るう様に振り回して魔物を鼻歌交じりに倒して行くんだ、」

「やっぱり何処のギルマスも強いんですか?」

「一概には言えないが、ここは魔の森に接してる領のギルドだからな、代々等級外冒険者がギルマスをやっているね、」



夕食はエド様やナタリアお母さんと共にに辺境伯屋敷でジーンさんの料理をいただいたよ、

今は屋敷の僕達の部屋で、

「エルル、明日からナハリに行くのね、」

「いえ、お母さん魔法の馬を使うので今晩出発します、

流石に魔法の馬でもナハリまでは数日かかりますので、夜のうちに飛んで朝になったら転移で家に戻ります、

また次の日の夜ナハリに向けて転移した所から向かいます、

多分三日目の朝にはナハリに着くと思います、」

「エルル、これを持って行ってあちらの代官夫人ルチアに渡してくれ、

エルル達があちらに行く事は、既にアルクが伝えていると思う、」

「わかりました、代官様では無くて代官夫人様にですか?」

「まあ色々あってな、」

「分かりました、ではエド様お母さん行ってきます、お土産期待していて下さいね、」

「ええ、待ってるわ気を付けて行くのよ、イオもね、」

「はい行ってきます、と言っても私はエルルさんがナハリに着くまでカレンさんと森の屋敷でお仕事をします、」



森の屋敷に戻って温泉に入った後、

居間でリリルとカレンの冒険者装備を出して行く、

「これがマントに、ブーツ、帯剣用のベルトに防護ベスト、

あっ、これカレンさんの双剣、

姐様はレイピアで無く秋桜で良かったですか?」

「良いよ、今朝大体の使い方は分かったからね、それに私もカレンも最初っから無理はしないよ、」

「エルル様、こんな高価そうな双剣を頂いて良いのですか?使うのが怖いのですが?」

「カレンさん、それ山で採って来た鉱石から僕が作った物だからタダだから安心してつかってね、

あと二人のベルトに付いているポーチは魔法の袋だから、明日の朝イオさんに使い方を習って下さい、

僕はそろそろ出掛けます、」

「エルル気を付けて行っておいで、」

「行ってらっしゃいませエルル様、」

「行ってらっしゃいエルルさん、」

「はい、行って来ます、って言っても明日の鍛錬の頃には帰って来るのですが、」


その後中庭から空中に舞い上がるエルルを皆で手を振って見送った。


















ありがとう御座いました。

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