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公爵家の夜会前編

宜しくお願い致します。



第三十話 公爵家の夜会前編



「エルル、石庭の中に建てた美しい天幕は何だい?」

「今日の夜会で特別なお客様達をもてなす所ですよ、王族の方達がお忍びで参加されますので、」

「なるほど他の貴族のためにか、お忍びとは言え王族がいてはどうしても気を遣ってしまうからな、」

「お屋敷の方は主人様にお任せして、こちらはエド様お願いします、

もちろん僕とイオもこちらを手伝います、」

「ああ、わかった私とナタリーでもてなそう、」

屋敷のホールから出た庭で話すエルルとエドモンドの所にイオとナタリアがホールの扉から出て来て、

「エルル素敵な天幕ね、御伽噺に出てくる天使様の仮宿はこんな感じなのかしら、よく見ると白じゃなく光ってるじゃない!」

「お母さん、夜はもっと綺麗ですよ!」

「エルルさん不思議な形ですね、何かこう光の幕が空に向かって巻いてるって感じです!」

「イオ貴女美味い事言うわね、エルル中も見せてくれるかしら、」

「はい、じゃあこちらから、」

エルルが天幕まで続く小道を進み天幕に近づくと天幕の一部がスルスルと捲り上がり中に入ると天幕の中は外と同じぐらいの明るさだが暖かみのある優しい明るさで、

天幕の中央にドーナツ型のカウンターテーブルが鎮座していてその周りを座り心地が良い上質な椅子がカウンターを囲む様に並べられている、

中を見て呆けている三人に、

「このカウンターの中に僕とイオさんが入り

二人でお客様を接待します、

基本この天幕の中で王族、またはそれに準じる方を接待します、

王族の方々には屋敷の玄関より庭に作った特別な通路を通ってこちらに入って頂ます、

そちらの方が殿周りの方達も警備がしやすく、他の貴族の方々も気を遣わなくてすみます、」

椅子に座ってエルルの説明を聞いていたナタリアが、

「エルル、コーデリアスとディアナ嬢はどうするの?先日のスパロン公爵家夜会で二人のお披露目があったそうだけれど、うちでもお客様に挨拶無しと言う訳にはいかないわよね、」

「主人様と相談しましたが、別室にて待機して頂いてご挨拶がすみ次第ホールの扉からこちらに来て頂く予定です、」

「陛下はどうなっているのだい?」

「エド様、陛下は警備の都合上到着の時間、警備の人数などは全て秘されているそうです、」

「エルルかイオが迎えに行けば簡単なんでしょうけどね、」

「お母さん、それしちゃったら僕とイオさんは犯罪者になっちゃいますよ!」

「やーねぇー冗談よ、でも母様がジュリアスに私も変装して付いて行くってわがままを言って困らせたそうよ、さすがに無理よねエルル?」

お母さん!その貴女なら何とかなるわよねって期待する様な目はやめて!

エルルはすがる様な目を向けて来るナタリアをジト目で見ながら、

「リリル姐様の髪を真っ直ぐにして僕と同じ黒に染め、目の色を変えるカラーコンタクトと言う物を入れたらバレないんじゃないですか?でついでに僕の伯母ですと紹介してはどうです、」

「分からない言葉もあったけれど、先日作った設定ね、旦那さんに先立たれ母の弟を頼ってオーライドに来たって言うやつね!

エルル私ちょっと母様の所に行って来ても良いかしら?」

「こちらの準備は終わっているので構いません、森の実家でリリル姐様の髪を真っ直ぐにしていて下さい、

イオさん、髪が終わったら連絡下さい、後は僕も手伝います、」

「じゃあエルルさん行ってきます、後で連絡しますね、」

イオは手を振りながらゲートに入って行き、

残されたエドモンドが、

「エルルナタリーが無理を言って済まないね、」

「エド様全然無理じゃないですよ、家族思いの優しいお母さんですよ、宮廷料理長の件も、実家の王家と公爵家どちらの事も考えていらっしゃいます、」

「うむ、うちが出す料理は宮廷料理長が手伝っていたって事が大事な訳だな、」

「はい、両家にとって都合が良い勘違いを貴族の皆様はなさるはずです、

エド様、僕はホールに行きますがエド様はどうされます?」

「私はアルクの所へ行くよ、エルルまた後でな、」



エルルがホールに入るとホール担当になるメイドの先輩達と料理長達が打ち合わせをしていて、エルルが入って来た事に気付いた料理長が、

「エルル様外の準備は終わられたのですか?」

「うん、あちらは準備万端だよ!ホールの方は?」

「料理の下ごしらえは終わっています、叔父貴がエルル様に料理の味見をして欲しいと言っていましたが、」

「えっ、本当?じゃあちょっと中の厨房のぞいてくるね、」

エルルが奥の厨房に顔を出すと、ロックさんが、

「エルル様ちょうど良かった、親方の作った料理を味見してみて下さい、」

「先日エルル様から頂いたレシピ帳を見てアレンジしてみたのです、」

エルルは小皿の上に乗っているパイをつまみ食べてみて、

「わっ!僕の知らない香草が入ってる!パイの風味が変わっていて美味しいです!」

モルズは微笑んで、

「エルル様でも知らない食材があったのですね、

この香草はファーセルの駐在大使に頂いたファーセルの特産品だそうです、」

エルルは嬉しそうに、

「料理長!美味しい料理をいっぱい僕に食べさせて下さいね、

あと、コックコートが似合っていますよ、」

モルズは恥ずかしそうに、

「年甲斐もなくはしゃいでしまっていますよエルル様、」

エルル達が話している所に厨房の裏口からサムが大きな籠を抱え入って来て、

「おまたせいたしやした、賄いをお持ちいたしやした、」

「あっ、サムありがとう、警備の騎士さん達には?」

「へい、兄貴も手伝いに来てくれていやして、兄貴が騎士の皆様に配ってまさぁ、」

「じゃあホールに皆を集めて食べながら今日の段取りをしちゃおう、」

「先程侍女長様が皆を集めて来ると言ってやしたので、直ぐお集まりになると思いまさぁ、」

そこに執事長をはじめ、侍女長にロバートさんジャン先輩にメイドの先輩達もホールに入って来て、執事長が

「エルル、またせたか、」

「いえ、執事長私の方の準備は終わっています、サムが賄いを持って来てくれてますので食べながら今晩の段取りの確認をしていきましょう、」

「うむ、では皆各自食事を食べながら自分の割り当てられた係りの確認をしていってくれ、」



王都ヨツバルンのゴースロ大使館の客間でゴースロ大使スカチフ、ゴースロ皇太子パスカトフ、皇太子妃マルティンの前でラン・ファンファンが、

「殿下、お久しぶりでございますな、以前お会いした時は兄弟子の結婚式でしたかの、」

「おお、公爵と姫殿下の結婚式であったな、

今宵はその公爵家の夜会に招待されていての、

そう言えば先日そちらは公爵家に行かれたのであろう、食生活の違う国の接待でターナス殿はさぞ苦労したのではないか?」

「それがじゃ殿下、兄弟子に面白い養女が居りましてな、その娘の作る料理に殿下もテュカ様も心奪われ、その日以来今晩をどれだけ楽しみにしていらっしゃる事か、」

スカチフとパスカトフはプライドの高いファーセル人それも皇族が心奪われる料理と聞いて驚く、

「ターナス殿が心奪われたとな!

奇遇だが我も宰相家の接待で出された酒に心奪われてしまったわ、あまりの美味さに宰相家が用意したその酒を全て飲み干してしまっての、スカチフを通じて先方に酒を譲って貰おうとしたのだが、希少な酒だったらしく断られてしまっての、」

「ほう、殿下がそれほど惚れ込む酒ですか、

儂は酒はあまり好きではないが、うちの殿下もあちらで出された酒の美味さに驚愕しておいででしたぞ、大使館に帰り土産に貰った酒を飲み、あまりの美味さにしばらく固まってしまい、毒でも入っていたのかと殿周りが慌てましたぞ、

その後転移の出来る近習に土産に貰った酒と菓子を持たせ本国に送ったら、

その者青い顔をしてふらふらになりながら陛下と妃様の書状を持って半日で返って来ましてな、手紙には酒と菓子を買えるだけ買って早急に送れと書いてあったと、」

と楽しそうに話すランに、

「それは今宵が楽しみだな、妃よファーセルの殿下達が心奪われる料理楽しみではないか、」

「はいアナタ、私最近この王都で流行りのケーキと言うお菓子が気に入っていまして今晩もあの有名店のケーキが出して貰えると良いのですが、」

「マルティン様、先に有名店のケーキなる物を食べておいて良かったですな、

私は食べられませんが、知り合いの高位貴族の夫人が公爵家の料理人が作ったケーキを食べその美味しさに感動し、王都で有名な菓子店がケーキを売り出したと聞いて喜び使いを出して購入して食べたところ、自分が食べたケーキとは似ても似つかぬ物だったと言ってがっかりしておりましたぞ、」

「ラン殿!それは本当ですの?」

と言って見た目は美幼女に見えるマルティンが幼女らしくない怪力でランの方をガシガシ揺する、

「き、妃よ落ち着け今宵を楽しみにしていれば良い、

でラン殿今日は?」

「殿下、申し訳無い話がそれましたな、

一つは今宵の夜会ファーセルが殿下達の案内役を致しましょう、儂が殿下達の護衛をいたします、もちろんそちらからも殿周りを出して頂いても構わない、」

「ファーセルの剣姫の護衛とは光栄だな、

ではこちらからは腹心の殿周りを数人だけ連れて行こう、」

「承りました、後ほど殿下と共にお迎えに上がりまする、あともう一つ見て頂きたい物がありましての、」

ランはお付きの者が出した箱から上等な布に巻かれた美しいレイピアを取り出し、

「殿下、殿下御自身もゴースロで名高い名工のお一人、是非このレイピアを見て頂きたい、」

「ほうレイピアですか、誰か!誰か我の眼鏡をもて!」

「殿下、目を患っておいでか?」

「なあに、鍛治士の職業病だ、我は未だ良いが、陛下はかなり悪い、国一の医者や、大神官にもみせたが、鍛治士の宿命なのか治らぬ、」

殿周りが持って来た眼鏡をかけるとパスカトフはレイピアを手に取り軽く振る、

「素晴らしい剣だラン殿はこの剣をどこで、」

「亡き師匠の形見でな、殿下ならこの剣を作った者を知っているかと、」

「そうか剣聖の形見とな、残念じゃが我が国の鍛治士ではない、

腕は超一流じゃが、使っておる金属が二流じゃ多分オーライド産の金属じゃ、本当に惜しいゴースロ産の金属で打てば間違いなく国宝クラスだ、

どれつかに作者名が彫ってあるかもしれん、

どれどれ、うーむ、エルル・ルコル と彫ってあるの、」

ぶぅーっ!驚いて吹き出すランに、

「ラン殿如何した!」

「いや!何でもない、名前に少々心あたりがあっての、殿下すまぬがここで見た事秘密に願えんか、」

「其方がそう言うなら構わぬが、」

「感謝しますぞ殿下、では後程迎えに上がりまする、」



「さすがイオさん、リリル姐様の髪真っ直ぐになってますね、」

エルルがリリルの髪を染めながらお茶の用意をしているイオを褒める、

「ありがとうございます、エルルさんお屋敷の準備は終わりましたか?」

「ええ、後はお母さんと奥様の支度だけですよ、」

「エルル、母様のわがままに付き合ってくれてありがとう、

母様こちらに来てもわがままばかり言ってはダメよ!」

「なんだいナタリー、良いじゃないか、久しぶりにテュレイカ殿やマルティン殿達に会えるんだ、特にテュレイカ殿がどんな顔をするか楽しみだね、」

「そうよ!エルル!テュレイカ様に母様を見られたらバレちゃうじゃない、」

「ナタリー、大丈夫さテュレイカ殿エルルの称号を読んでしまったのだろ、だったら大丈夫さ、私に気付いても彼女は絶対他人に漏らさないよ、」

「お母さん、多分大丈夫ですよ、イオさんは魔道具で魔力を抑えるのと同時に常時薄い結界に覆われていますので、全く読めない状態になっています、

でも全く読めない事が見る事の出来る者からしたら、一番恐ろしいと感じてしまうのです、姐様はあえてそのままでいきましょう、

僕の事覗いちゃったエッチなお婆ちゃんが姉様を覗いた時の顔を僕も見たいです、」

髪を染め終わったリリルが悪い顔をして、

「エルル、あんたも悪ね、」

「姐様には負けますよ、えへへへ、」

「ふっふふふ、」

「エルル、貴女達そうしてると姉妹にみえるわよ、それも悪の姉妹に、」

そうあきれるナタリアに、

「お母さん、未だ完璧では無いですよ、

姐様こっち向いて目を開いて、

ほら目を閉じちゃダメです、」

「えっ!何?エルル何するの!わっ!やっ!えっ、そっちの目もかい?」

「はい、オッケーです、どうですお母さん、完璧でしょ!」

「わっ!リリル様の目がエルルさんと同じ色になっちゃってますよ!本当に姉妹に見えちゃいますよ!」

「本当だわ、凄い魔道具ね、」

「お母さんこれは魔道具ではなくてただのお洒落道具ですよ、本当は眼鏡の代わりに使う物なんですよ、

わっ!もうこんな時間、イオさんお母さんを連れてお屋敷へ、きっと奥様がやきもきして見えますよ、

僕はお姉様を仕上げてそちらに行きます、」

イオが慌ててナタリアを連れてゲートの中に入って行くのを見送ると、エルルはリリルに上質な生地の濃紺色のスーツを出し、

「姐様ナタリアお母さんがよく着ている衣装は如何ですか?それともドレスの方が良いですか?」

「あのズボンを履く格好かい?

うん!あれが良いよ、カレンもね、こっちに来たらイオが普段着ている衣装を着たいと言っていたね、」

「分かりました用意しておきますね、

じゃあ姐様これ、」

「なんだい?着せてくれないのかい?」

「姐様、お姫様じゃないんだから、ご自分で着て下さい、あと僕は男の子ですよ、」

「エルル、私はこう見えてもお姫様だったんだけどねぇ、」

「今は僕の姐様ですよ!」


・・・・・・・


「エルルどうだい、似合っているかい?」

「姐様格好良いですよ、あと髪を結いあげちゃいましょう、」

大きな鏡に自身を映し色々なポーズをとっているリリルに、

「姐様、ほら急いで戻りますよ、お客様がいらっしゃる時間になってしまいます、」


エルルがナタリアの部屋に転移して来ると、

部屋の中でこの国の王様がお母さんに叱られていて驚き、王様も突然現れた黒髪の姉妹に驚いてるよ、

「お母さん、そちらの方は陛下では?」

「あっ、エルルお帰り、そうよ弟のジュリアスよ、この子転移が出来る宮廷魔法士にここまで送らせたのよ、かわいそうにその魔法士の子のびちゃってるわ、」

エルルは片膝をついて、

「陛下、エルル・ルコル ともうします、今は辺境伯様にお世話になっていて、こちらで執事として働かせて頂いています、」

「其方が姉上の養子か?其方始めてでは無いな先日姉上のお供をしておったな、」

「そうよ、ジュリアスこの子が私の養子のエルルよ、あとこの子男の子よ、」

「お母さん、他の方達は?」

「イオはそこで美容室の片付けをしているわ、他の者達は皆下がらせたわ、」

「で姉上もう一人あちらの者は?」

黒髪の美女がジュリアスの前に出て、

「陛下、貴方の母のリリス・バチュラ・ブリネンよ、」

呆けているジュリアスに、

「ジュリアス、ナタリーにも怒られてたみたいだけど、いくら一番安全だからって魔法士が可愛そうじゃない、」

「その声、本当に母上!それにその特殊な魔力の波動は間違いなく母上、何故こちらに?」

「公爵家の夜会に参加出来るように、ナタリーに連れて来て貰ったのよ、実の息子が分からない位の変装だから良いでしょ、あと先日話した設定で皆に紹介するわ、」

「やれやれ、そこの娘、エルルとか言ったの

随分規格外な娘の様だが、母上や姉上に振り回されて大変であろ、」

「ジュリアス!私の可愛い息子の前で私達の悪口かしら、」

「陛下、私の優しい母様と祖母様でございます、」

「優しい娘よ、母上と姉上を頼むよ、」

エルルが深く一礼していると扉がノックされ、イオが扉を開くと執事長がエドモンドと共に立っていて、エドモンドが、

「陛下そろそろ客が到着し始めます、陛下は如何されますかな、」

「ジュリアス、今日私とエドはエルルが用意した庭の天幕で外国の王族の方達の接待をするわ、未だお客様が居ないうちに自慢のホールと庭を見て天幕に行かない?」

「姉上!正気か?他国の王族を庭の天幕で接待するなど、外交問題になります!」

「ジュリアス、ちゃんとうちの庭や天幕を見てから言ってちょうだい、因みにエルルはファーセルの皇太子殿下と妃殿下のお気に入りよ、」

「義兄上、大丈夫なのですか?」

「陛下、息子を信じて下さいませ、きっと今日お帰りになる頃には陛下も息子にめろめろですぞ、」


ジュリアスが屋敷のホールに入るとアルクを始め公爵家の者が皆片膝をついて、ジュリアスを迎えるがジュリアスはホールの中を見て固まってしまいナタリアが、

「陛下、皆陛下のお言葉を待っています、」

「ああ、すまぬ美しい部屋に見惚れていたわ、公爵、今宵は世話になる、皆も立ち上がり各自の仕事に戻るが良い、」

アルクを始め公爵家の者が深く一礼して立ち上がり皆持ち場に戻って行く、

ジュリアスがホールのガラスの壁の向こうに見えるライトアップされた庭を見て、

「なんと美しい、庭が光に照らされ昼の様だ、この壁のない部屋も見た事が無い作りだ、」

壁に向かって歩き出すジュリアスにアルクが、

「陛下、それより先はガラスの壁にございます、御気を付けを、」

「なんと!本当だ確かに、姉上!庭に見える美しい光の渦の様な物、まさかあれが天幕ですか?」

「ええ、さあジュリアスここは貴族達の夜会会場よ、私達はあの天幕に行くわよ、そちらから庭に出られるわ」


ジュリアスがエルルに案内され光る小道を天幕に向かって歩いて行く、夜光る天幕は夜空に登る光の渦の様に見え夜の静寂さの中に神々しささえ感じる

「ジュリアス、母様美しいでしょう、中に入ればもっと驚く事になるわよ、」

「姉上、私は夢を見ているのか?」

エルルが天幕の入り口で手をかざすと天幕がするするめくり上がり中に入ったジュリアスとリリルはただ口をパクパクさせていて、二人共ナタリアに手を引かれ椅子にすわる、

カウンターの中に入ったエルルとイオにナタリアが、

「ジュリアスはお酒が良いかしら、母様は?

イオ!今日のメニューがあったらちょうだい、」

イオは何も無いところからにゅっとメニューを出しナタリアに渡す、

「空間魔法?」

驚くジュリアスに、

「この子はエルルの弟子のイオよ、この子が本当の私のお気に入りの付き人よ、で何を飲む?」

「この紙に酒や料理が載っているのか、凄いな全て精密な絵と紹介が事細かく書いてあるのか、」

興味深くメニューを読むジュリアスの隣でリリルが、

「エルル、私は未だ酒より先日のしゅわしゅわした飲み物をお願い、味は任せるよ、」

直ぐにエルルがリリルの前にストローが付いた飲み物を出し、

「柑橘の実を絞った炭酸ジュースです、これを甘笹の蒸留酒で割って飲んでも美味しいですよ、」

「陛下、お決まりですか?」

「うーむ、これ程種類があると、予は甘党でな其方のお勧めを頂こうか、」

エルルはジュリアスの前に浅めのグラスを出し大きな氷をグラスに落とす、次に美しい四角の瓶の中の琥珀色の酒をグラスに少し注ぎ、小皿にチョコレートを二つ置く、

「陛下、ブランデーと言う種類のお酒です、お酒自体も甘みがありますが、一緒にお出しした菓子がお酒に良く合います、あと酒が強う御座いますのでちびりちびりと飲んで下さいませ、」

「ほう、珍しい酒と菓子だどれ、

うっ!これは強い酒だっ、しかしなんだ口の中で酒が消えてしまいほのかな甘みが残る、

ではこの菓子は、

むっむ、これはまたほろ苦く甘い、

食べた後にこの酒を飲むとたまらんな!」

夢中になって菓子を食べ酒を飲むジュリアスに、

「ねぇ、ジュリアスそんなに飛ばして食べちゃあダメよ、未だ他のお客様達が見えてないわ、」

「姉上、姉上は何時もこの様に美味しい物を食べておいでか?

国王より良い食事をしているとは、」

「でしょう!ジュリアスだから私が言ったじゃあない、私もこの夜会に連れて行けと、

ナタリーはずっと自分だけ美味しい物を食べてたのよ!」

「母様!人聞きの悪い事息子達の前で言わないでちょうだい、」

ナタリア達の掛け合いを楽しげに聞いていたエルルが、

「エド様、お客様がお付きの様です、」

「じゃあエルル、二人で迎えに行くとしよう、」

「はい、エド様、」














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