少し高かったかな、
宜しくお願い致します。
第二十六話 少し高かったかな、
「エルル今回の登録は多いな、」
「ええ、服飾ギルトに調理ギルドと今回は夜会の前に出しておこうとおもいまして、」
「どちらも大騒ぎになりそうだな、例のトイレかなりの問い合わせが入っているらしいぞ、」
「お茶会の時に上位貴族の奥様達が絶賛していたそうですからね、あとジルおじさん統括
理事になったんですね、」
ジルは少し不貞腐れながら、
「誰かさんがギルドに大量の特許を譲ってくれているおかげで俺のギルドに対する貢献度は天井知らずでね、」
「流石に僕の出す特許を一般の窓口で出す訳にはいきませんよ、」
「まぁそこは同意見だが、お陰で他国のギルド理事達から賢者なんて呼ばれてな、」
「ぷっ、自業自得ですね!」
「エルル!どこがだ!」
二人が話しているのはエルルが公爵家の面接を受けたギルド総合庁舎の中にある統括理事の部屋で、表向きはエルルが公爵家のお使いでジルの元を訪ねている事になっている、
「で、ジルおじさん数字の導入はどうなっていますか?」
「ギルド内では数字を使う者が増えたが、いかんせんお役所に出す書類にまだ数字が認められていないからな、二度手間になってしまっている、」
「いつもジャン先輩が嘆いていますよ、数字が認められれば仕事が半分になるのにって、」
「まぁその件は閣下達が頑張ってくれるさ、」
「主人様と宰相閣下達がですか?」
「ああ、うわさでは今年の夜会が終わる頃迄には数字が認められるようになるって事だが、」
「主人様から相談を受けたら協力しますよ、」
「エルルが協力しなければならない様な事にならないと良いがな、」
「あっ!あと僕とイオを冒険者登録したいのですが、本名でなくても登録が出来ますか?」
「ああ、訳ありの者も多いからな名前や顔を隠す者もいるな、登録時に魔道具で血と魔力が登録されるから、名前や見た目はあまり重要では無いよ、あと犯罪歴も読み取られるから、冒険者カードを持っていて、カードが赤くなっていない者はそれなりに信用され、他国へ入国する時も、カードを魔道具にかざすだけで入国出来るぞ、」
「ここでも登録出来ますか?」
「エルル、お前とイオさんは多分等級外ランクになる、いわゆる化け物ランクだな、因みに化け物ランクのカードはこんな色だ、」
とジルが胸から真っ黒のカードを出す、
「ジルおじさん、最初は低ランクの冒険者に成るのでは?」
「エルル、冒険者に登録する時に誰もが必ずしも低ランクとは限らないだろ、登録魔道具が正確にランクを測ってくれるよ、」
この世界人の管理は何気にハイテクなんだな知らなかった、どんな仕組みになっているのだろう、前世の記憶に引っ張られている分、自分はこの世界をアンバランスだと感じてしまう、
「ではジルおじさん今度イオと一緒に登録に来ますね、」
「いや、エルルお前たちは辺境領の冒険者ギルドで登録した方が良い、王都では目立ち過ぎる、
辺境領のギルマスとは旧知の仲でな、紹介状を書くから紹介状を持ってエドモンド様に付いて行って貰うと良いよ、
だが、冒険者登録をして何をするんだい?」
「連休にダンジョンに潜りたいんです、ダンジョンには男のロマンがあるじゃないですか!」
「エルルに男のロマンと言われても、それにイオさんは女の子じゃないか!」
「ジルおじさん、今イオの方がダンジョンに入りたがってますよ、」
今イオは異世界ダンジョン物の小説にハマっていて、今回の事もイオがダンジョンに入りたいと言い始め、エルルもダンジョンに入った事が無いため、二人で連休に冒険者登録をしてダンジョンに潜ろう!先ずは冒険者登録から!と言う事になったのだ。
「じゃあジルおじさん紹介状は御用聞きの子にでも渡しておいて下さい、」
「わかったよ、エルルまたうちにも遊びに来てくれ、皆がエルルに会いたいとうるさくてな、」
「あっ!ジルおじさんゴメン!忘れてたやっ!」
エルルはにゅうっと大きな包みを出し、
「これお裾分け、皆さんでどうぞ」
と言いながら机の上に包みを置く、
「また大きな包みだな何が入っているんだい?」
「先日ワイバーンが沢山狩れたので、ワイバーンのお肉のお裾分けです、」
ジルはしばらく固まっていたが、
「エルル、こんなに沢山良いのかい?」
「ええ、沢山狩れましたので、皆さんで召し上がって下さいね、」
ジルは鞄に包みをしまい、
「エルルありがとう、皆きっと凄く驚くぞ、」
「じゃあジルおじさん、久し振りに街に来たので市場を見て帰りますね、」
エルルは市場の中を歩き魔の森では手に入らない食材を見て回る、
まあ大半の物は魔の森で手に入るがこの王都の市場には近隣の領から毎日入って来る色々な食材が所狭しと並んでいて毎日お祭りの様な雰囲気だよ!
エルルの家がある辺りの森で採れる食材は全て超高級食材だが採取出来る者は極少数の化け物クラスの冒険者で馬車で一ヶ月程かかる王都の市場に出回る事は一部の貴重な薬草を除けばほとんど無い、
エルルが地域の特産品を見ていると一際大きなお店の軒先に公爵家の騎士さんが一人立っていて、
「お疲れ様です、ウィルオップさん!」
「わっ!驚いたエルル先生じゃないか!」
「こんな所でどうしたんです?」
「料理長達の護衛任務中さ、」
「ウィルオップさん病気完治していますよ、」
「良かった!ありがとう先生!お付き合いしていた娘さん達もお医者様に見て貰い僕の財布はすっからかんですよ!でも先生、女の子の中に病気にかかって無かった娘がいたんですよ!」
「きっとその娘さんは身体の中に耐性が出来たのでしょう、ウィルオップさんモテモテですね、」
「ありゃあ!エルル様じゃないですかい!」
「ジルムお疲れ様料理長のお供かな?」
「ええ、仕入れは料理長に全て仕切って頂いてやす、この店は頼んでおけば騎士団本部まで届けてくれるんでさあ!」
店の中から店長らしき人を連れた料理長が出て来て、
「エルル様こんな所でお会いするのは珍しいですね、何か探し物でも?」
「うん、普段手に入らない食材があったら買っておこうと思ってね、」
話を聞いていた店長らしき人が、
「カーン様、こちらの方は?」
「このお方はうちの先代様の息子様だ、」
「大変失礼しました姫様、王都で珍しい食材を探されているとお聞き致しましたが、是非当店の氷室を一度見て頂きとうございます、
海で獲れた魚をその場で氷魔法で凍らせた物を王都に運び氷室に保存しているのですが、貴重な氷魔法の使い手に高額で仕事を依頼したため、魚が高額になって買い手がつかず、頭を抱えていまして、」
エルルは店長の言葉を聞いて、
「素晴らしい!店長さんですか!是非魚を見せて頂きたい!」
「私は雇われ店長でして、直ぐに商会の会頭を呼んできます、」
と慌ただしく建物の中に入っていき、直ぐにおばさんを連れて来て、
「お待たせ致しました姫様、わたしはモルガン商会の会頭をしています、ベルレッタと申します、うちはアズビー商会の食品部門を担当しています、」
「エルル・ルコルと言います、エドモンド様は確かに私の後見人ですが、今の私は公爵家の執事見習いですよ、アズビー商会のジルおじさんには幼い頃からお世話になっています、
で魚を取ったその場で冷凍して保存し輸送する事をベルレッタさんが考えたのですか?」
「いえ、亡くなった主人が考えてた事です、」
「素晴らしいアイデアだと思います、ぜひ魚を見せて下さい、」
「ではこちらに、」
「料理長、僕はこれから魚を見せて貰うので料理長とジルムはどうする?」
「私はお供させて下さい、」
「あっしも!」
「じゃあウィルオップさん、二人は僕が送るから、屋敷に戻って伝えてくれるかな、」
「はい、先生承りました!」
店の奥の氷室にはいると、エルルはメガネをかけ、凍った魚が並べられているのを見て目を輝かせる、
マグロに似た魚は海流魚、カジキに似た魚は一角魚、カツオに似た魚は堅魚、サバは青背魚か!
あと前世の記憶よりどの魚も大きく感じる、この世界の名前は見た目が名前になっているケースが多いな、状態や鮮度も問題無しと、
仕事が丁寧でちゃんと仕事をする魔法士さんの様だ、
「腕の良い魔法士さんに依頼されたのですね仕事が丁寧です、これとこれとこれを下さい!おいくらですか?」
「この大物ばかりよろしいのですか?全部で金貨百七十枚になりますが、」
「はい、もちろん頂きます!」
エルルは肩掛け鞄の金貨の入った皮袋からお金を直接払ったら驚かれちゃったよ、
高額なお金のやり取りはギルドの銀行部門のカードまたは所属しているギルドカードを決済用の魔道具に通すだけらしい、もちろんギルドにお金を預けてある場合だが、
確かに今まで高額な支払いをした事は無かったな、考えてみれば重い硬貨を沢山持ち歩ける訳ないよね、皆ギルドの銀行にお金を貯金しているのか、
皆は僕が知っている物だと思っているのだろう、なんだか文明を知らない原住民みたいだよ!実際魔の森奥深くに住む原住民だったんだけど、
「はい、確かに頂きました、どちらにお運び致しましょう、」
「ここで頂いていきます、」
「えっ!」
「魔法使いなので魔法でちょちょいと!」
大きな魚が次々と消え唖然とするベルレッタさんに、
「秘密にして下さいね、あと海の魚についてジルおじさんも呼んで一度お話をしましょう、せっかくの素晴らしいアイデアです!必ず大きな事業になりますよ!あと僕は男ですからね、」
ベルレッタさんは驚きを通り越して固まっていたが、
「エルル様とお呼びすれば良いのですか、お話お待ちしています、」
「様は要りませんよ、夜会のシーズンが終わるまでは待っていて下さいね、」
店から出たエルルは脇道に入り、
「料理長、ジルムまたお裾分けを持って行くからね、じゃあそれぞれ送るからこのゲートの中に入ってくれるかな、」
とゲートを開き屋敷と騎士団本部に二人を送り自身は自宅に転移する、
自宅に戻ると、ナタリア様とイオさんがいて、
「お母さん、イオさんこっちに来てたんですね、」
「エルル、お帰りなさい今本を返して新しい本を選んだ所よ、イオのお勧めはダンジョン冒険物だそうよ、」
「ええ、今イオさんダンジョンにハマってますからね、今度一緒にダンジョンに入ろうって事になってますよ、」
「エドが若い頃ダンジョンに入った事があると言っていたわ、でエルルは何をしに帰って来たの?」
エルルは一角魚を取り出し、
「じゃあ〜ん!海の魚を手に入れました!これからこの魚をさばこうと思いまして、」
「わっ!エルルさんとても大きな魚ですね!美味しいんですか?」
「まぁ見てて下さいよ!」
エルルは一角魚に結界を張ると、オリジナル魔法氷温解凍をかけマグロ包丁を取り出し一角魚をさばいていく、
見事な切り身のブロックがいくつも出来てイオが、
「エルルさん!お肉みたいでとても美味しそうです!じゅるり、」
「イオさんちょっとだけ味見して見ますか?」
「良いのですか!エルルさん!」
「はい!新鮮な海の魚なのでお刺身でたべます、はいこれ醤油と薬味!」
「エルル!イオだけずるいわよ!私にも食べさせなさいよ!」
「お母さんちゃんとありますから!」
エルルは二人に脂の乗った一番良い所を皿に乗せ出す、
「先日の節の子の様にして食べるのね、」
ナタリアが箸で器用に薬味を乗せ醤油に漬け食べて、
「わっ!海の魚を生で始めて食べたけど美味しいじゃない!」
「エルルさん魚の身もとろけますよ!」
エルルも刺身を口に入れて、
「美味しい!ちょっぴり高かったけど買って良かった!今晩はお刺身定食にしようかな、」
その晩、公爵家の使用人食堂で出したお刺身定食は大好評であった。
数日後、屋敷のホールでマリー主催のお茶会が開かれエバ様をはじめマリー様の親しい奥様達が集まっていた、
最近マリー様は貴族夫人の中でカリスマ的存在になっていて、毎日お茶会へのお誘いの手紙が届いている、
「マリー今日はお茶会に誘ってくれてありがとう、マリー知ってた?ギルドでケーキのレシピが公開されたって、うちの料理人もレシピを買って作ったのだけど、とてもじゃ無いけど私がここで食べたケーキとはかけ離れていたわ、」
「エバ様、王都で有名な菓子店もケーキを売り出して毎日凄い行列が出来ているそうですよ、
執事が手に入れて来たケーキを食べてがっかりしてしまいました、あと御用商人に今年の夜会用のドレスの見本を見せて貰ったの、どれも斬新なデザインだったのですが、姉さんのドレスを見た後だと、何だか品が無くて、姉さん!今日の服も凄く素敵じゃない!妹の私にも素敵なドレスをお下がりで良いから頂戴!」
「マーガレット!ずるいわよ!マリー衣装だけじゃ無くて、化粧も教えて!この屋敷の使用人の子達、正直に言って私達より髪が綺麗よ!」
他の御夫人がたも、目を輝かせて、マリーを見ている、そんな中マリーと共に公爵夫人である、スパロン家のイセリナが、
「あの、マリー様今日先生はいらっしゃいませんの?」
「イセリナ様、先生とは?」
「先日うちの娘を治療して頂いたお礼をしたいのですが、」
「私の弟の事ですわね、厨房で作業をしたいと言っていたから、もうじき来ると思いますが、主人がディアナさんとても綺麗だったと言っていましたわ、」
「先生とお弟子さんに綺麗にして頂いたと自慢しますの!主人と帰って来た時娘の変わり様に驚いてしまいましたわ、次の日学園で皇太子殿下も大変驚かれたそうですわ、先生はマリー様の弟様でしたのね、」
「義父様の養子ですの、」
「私の又姪なのよ!」
「エバ様のお身内の方でしたの?」
「エバ!エルルは私の可愛い弟よ!」
ホールの扉がノックされ、控えていたソフィアが扉を開けると、エルルが立っていて、
「奥様、エルルが入室を希望していますが、」
「良いわ、入りなさい、」
エルルは皆の前で深く礼をして奥の厨房に向かおうとするが、マーガレットに呼び止められ、
「可愛い執事さん、主人を助けてくれてありがとう、二人共元気に帰って来たわ、」
エルルはにっこり笑い、ぺこりと頭を下げる、
凄く大人しそうな清楚な夫人が、
「貴女が公爵家のお医者様だったのね、お会いするのは二度目ですけど、私はスパロン家のイセリナよ、先生娘がお世話になりました、娘が先生とお弟子さんの事を自慢しますの、先生!宜しかったら私も娘の様に美しくして下さいませ、」
「イセリナ様!抜け駆けはズルいですわ!エルル私も綺麗にして欲しいわ!」
「はいはい!エバ落ち着いて、エルル厨房でしたい作業があるのでしょう、私達に構わず作業に入りなさい、」
エルルが頭を下げ厨房に向かうのをずっと目で追う夫人達とホールの隅の席に座るお付きのメイドさん、何故か何処の家も侍女長クラスの人が集まっちゃってるよ、」
エルルが厨房に入ると料理長とロックさんが目を輝かせて待っていて、
「エルル様!先日の魚ですね!」
エルルは二人にニヤリと目で応え、調理台の上に見事な海流魚を出す、
ホールの方からも、驚きの声が上がりマリー様が、
「エルル、それは先日使用人の子達が食べた海の魚かしら?たいそう美味しかったそうね、」
と、ジト目で見てくるマリー様に、
「先日の一角魚も美味しいですが、この見事な海流魚には負けますよ、」
と、エルルは答えながらマグロ包丁で一角魚をさばいて行く、
「エルル、私達近くで見ても良いかしら、」
「ええ、海の魚の解体なんて中々見れませんから、ソフィア先輩こちらのカウンターの前に奥様達の椅子を並べて貰えますか、」
夫人達は目の前で見事に解体されて行く海流魚に大はしゃぎで、
エルルが脂の乗った身の部分を夫人達の前にどん!と置くとマリーが、
「エルル!魚なのにお肉の様で凄く美味しそうね、」
「奥様凄く美味しいですよ、先日ファーセルの方達と食べた節の子の様にお刺身で食べると最高なんです!」
上流貴族の奥様達が口を半開きにしちゃって目をギラギラさせながらエルルが切り分ける切り身を見ている、
エルルが悪戯っぽい顔をして、
「食べてみます?」
と聞くと奥様達が、マジですか!って顔で返すので、カウンターの上を一瞬で綺麗にして奥様達の前に美しい和紙を敷き、厚い木の板とお茶が入った湯呑みに薬味と醤油が入った小皿を置いて、最後に一人一人おしぼりを渡して行き、
マリー様以外はちょっぴり緊張しちゃってる様だ、
エルルはそれぞれの木の板の上に切り身を並べて行って、
「薬味を少し乗せ醤油を付けてお召し上がり下さい、」
皆マリー様の食べ方を見よう見まねで食べ、海の魚の美味しさに驚き夢中で食べていると刺身は直ぐに無くなってしまい、皆捨てられた子犬の様な目でエルルを見て来る、
エルルは酢飯を出し、次々寿司を握り、子犬の様な目をした夫人達の前に並べて、
「握り寿司と言う料理です、お行儀が悪いかも知れませんが手掴みで、醤油を少し付け召し上がって下さい、」
エルルは次々握り寿司を作って行き、
「侍女長、お付きの皆様方にも、」
と、お付きの方達にもお寿司を振る舞うと皆さん奥様達の前にもかかわらず大歓声をあげ、お寿司を夢中で食べてるよ!
「皆様海の魚はいかがですか?」
「エルル、私お肉より海の魚の身の方が好きかも!」
「エルル!私お代わりが欲しいわ!」
「私もよ!」
「皆様そんなに召し上がったらお夕食が食べられなくなってしまいますよ、特にマリー様!今晩は海流魚の刺身ですよ!」
「姉さん!今晩泊めて!」
「マーガレットいきなり何を言い出すの!」
「だって私執事君の料理を食べた事無いんですもの!」
「あの、私も主人が自慢していた先生の料理を食べてみたいですわ、」
マリーは呆れた顔で妹達を見ていたが、エルルに、
「ねえエルル、少し早いけど皆に夕食を用意してくれないかしら、出来る?」
「奥様、皆様にも言っておきますが、私より料理長の方が料理が上手ですよ!これから料理長達と夕食をパパッと作っちゃいますから少し待ってて下さいね、」
エルルは料理長とロックに献立を説明して、
料理長とロックでお吸い物と海流魚丼を作りエルルは堅魚を取り出しあっという間にさばき堅魚の切り身のブロックを火で軽く炙り堅魚のタタキを作り細ネギに似た野菜を細かく刻んでポン酢をかけて完成っと、
「お待たせしました、海流魚丼と堅魚のタタキです!召し上がれ、」
マリー達が食事を始めるとエルルは餡蜜にアイスクリームを乗せ、
「ソフィア先輩、お付きの方達に持って行って下さい、」
「わかったわ、エルル君今晩私達にも餡蜜を出してね!」
エルルがサムズアップで答えると侍女長や他の先輩達もサムズアップで返した、
お付きの方達ソフィア先輩の出した餡蜜を食べて固まっちゃってるよ!そんなお付きの方達を見たマーガレット様が、
「今日うちここに来る前に誰が付いて来るかで大揉めで侍女長が来てるの、」
「うちもよ!それに義母様まで付いて行くって言い出して大変だったわ!」
と、エバ様が言っている横でイセリナ様が、
「あの先生、うちの侍女長が美味しそうに食べている物は何ですか?」
「あれは餡蜜のアイス乗せですね、奥様方にも食後のデザートに出そうと思っています、」
「先日主人が食べたと自慢していた甘味ですわね」
「はい、ですが今日の餡蜜にはアイスクリームが乗っていますよ、ファーセルの方はアイスクリームが食べられないので先日は餡蜜だけでしたが、」
「エルル!この堅魚のタタキも美味しいわ!」
「でしょ!奥様僕もタタキは大好きです、」
奥様達あっという間に食事を済ませ、早く早くと目で訴えるのでデザートを出すと皆餡蜜を食べ幸せそうな顔をしてたよ。
後日イオさんとナタリア様とアイスクリームを乗せた餡蜜を食べていてイオさんが、
「エルルさんアイスクリームが乗った餡蜜って美味しいですね、」
「ちょっとした贅沢ですよ!」
話している二人にナタリアが、
「そうそう!エルル私のお供で王城まで付いて来て欲しいんだけど、」
「先日も主人様のお供て行ってきましたよ、
分かりました!お供しますよ、」
「ありがとう!宜しくね!」
何気ない会話であったが、その時ナタリアとイオの目が怪しく光った事に、エルルは気付かなかった。
ありがとうございました。




