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リアルエルフは初めてです

今年もよろしくお願い致します。



第二十五話 リアルエルフは初めてです



「エルル素晴らしい庭だな!森の家の中庭を見ているようだ、」

「花壇なども美しいですが、僕はこの庭の感じが好きなんです、」

「ファーセル人の驚く顔が見えそうだ、」

「今回はエド様達も参加されるのですね、」

「ああ、ファーセルの皇太子と皇太子妃は面識があってね、今回はエルルがもてなすのだろ、」

「はい、ファーセルの方達に喜んで貰えると良いのですが、」

エルルとエドモンドが新しく作った庭で話をしている所にロバートが屋敷の方から歩いて来るのが見え、

「お疲れ様です、ロバートさん、」

「お疲れ様エルル、大主人様、主人様が談話室でお待ちです、」

「よし分かった行こう、」


談話室に入るとアルクが、

「父上、先程宰相の使いが来て、ファーセルからの客人は夕方の到着になるそうです、」

「主人様、ファーセルの方の人数は分かりますか?」

「ああ、皇太子と皇太子妃それに大使殿と大使殿の実家の姫と、殿回りの者達が四人だそうだ、

あと宰相も案内役として参加するそうだが、あいつエルルの料理が食べたいから、普段は絶対しない様な案内役を買って出たのだろう、」

話を聞いたエドモンドは苦い顔をしているのでエルルが、

「エド様そんな顔をしてどうされたのです?」

「いや、大使殿の実家の姫とはランの事だ、エルル預けてあった物を用意しておいてくれるかい、」

「爺ちゃんからラン・ファンさんへの包みですね、直ぐに出せますよ、」

「頼んだよ、あの婆さんは何かと勝負勝負と煩いからエルルが巻き込まれないか心配だな、」

「お婆ちゃんなんですか?」

「ファーセル人から見たらぴちぴちの百六十歳らしいがね、今は二百歳近いのではないかな、」

「エルフ族って本当に長生きなんですね、でラン・ファン様は強いのですか?」

と、エルルは目を輝かせてエドモンドを見ると、

「純粋に剣の腕なら当時は私の方が上だったが、ファーセル人はそもそも魔法が得意で剣術に魔法を加えて使う魔法剣士と呼んだ方が良いかな、」

「oh!魔法剣士!何てファンタジー!」

「エルル、何を言っているか分からないが師匠の孫だと知ったら、必ず指導してやると言って来るぞ!」

「はい!とても楽しみです、僕も魔法剣士になります!」

「分かった、分かったからいつもするその顔は辞めなさい、」

エルルとエドモンドの話を呆れながら聞いていたアルクが、

「では、エルル夕方までに準備を済ませてくれ、うちからは父上、母上にマリーと私だ、」

「承りました、お母さんとマリー様はイオにまかせますね、今日の料理は特別なので僕が厨房に入ります、楽しみにしていて下さい、後、侍女長にメイドの先輩達を何人かホールのお手伝いに回して下さいと伝えて下さい、」

ロバートさんが頷くのを見て、エルルは主人様達にぺこりと頭を下げフッとその場から消えた。



王都ヨツバルンのファーセル大使公館の貴賓室で大使であるラドナス・ファン・ファンが高価な椅子に座るファーセル皇太子、ターナス・フォレス・ファーセル、皇太子妃ティュレイカに、

「殿下、宰相閣下の使いの者が、夕方前に閣下自らお迎えに上がる旨を伝えてきました、また公爵家の訪問人数も聞かれましたので伝えました、」

「うむ、ご苦労じゃったの!ギルガスの家はエドモンドの坊主から代変わりをしたらしいの、」

「良くご存知で!今は息子のアルク殿がギルガス公爵ですな、」

「なあに、ランがエドモンドは引退して辺境に引きこもったと言っていたからの、」

「なるほど、ランは以前この国にいた剣聖に剣を習っていましたからな、エドモンド殿とは兄弟弟子でしたな、」

部屋の扉がいきなり開き、

「何やら私の話が聞こえましたぞ!」

「ラン!御前だぞ!」

入って来たのは、ザッ!エルフで見事に輝く金髪に緑色の瞳と中性的だか品があり美しい女性だ!まあここにいる他の者達もこの国の者からすれば皆同じ様に見えてしまうだろう、男女共中性的美形で瞳の形と髪型、女性は胸の大きさで、違いが分かるだろう、ランは大きな瞳に、お約束の貧乳だが皇太子妃ティュレイカは開いているのか分からない位の糸目に爆乳であった、

「失礼致しましたな殿下、呼ばれた様であったので、」

「ああ、決してそなたをそしっていた訳ではないぞ、今日訪れるギルガス公爵家の話をしていた所でな、」

「エド殿の所ですな、私が少し国に帰っている間に伴侶にしても良いと思っていたラルル様がソルス様の元に召されたと、連絡を貰いましてな、人とは本当に儚い時間を過ごしているのですな、」

「あと、我が妻よ決してこの国ではその眼を使うでは無いぞ、この国は治療以外の人に対する魔法に煩い、それに女神より頂いたギフトを詮索するのもタブーだ、」

「分かっていますよ、私だって興味ある者を見る時にしか使いません、この国に私が惹かれる様な者が居るともおもえませんが、」

「なら良いが、くれぐれも慎重にな、まあ、私もこの国での食事にはあまり期待しておらんが、」

「全くですな、それだけがこの国の大使としての仕事で辛い所ですな、

では殿下迎えの者が来るまでもう少しお待ちを、」



エルルはホールの机や椅子を片付け前世に行った高級和食料理店を想像しながら、庭に面する大きな強化ガラスを背にカウンターを作り、離れた所にももう一つカウンターを作る、それぞれのカウンターにお客様用の椅子を並べていき、

「料理長はそちらのカウンターの中に入って貰い、これから教える料理を直接お客様に出して下さいね、カウンターが小さめなのは、お付きの人達だからです、ロックさんは厨房でそれ以外の料理を用意して、先輩達に出して下さいね、」

「分かりました!エルル様ですが肉も魚も使わない料理とは興味がありますね、」

「これレシピと今日のお品書きだよ、作り置き出来る物もあるから作っちゃおうよ!」

エルルが料理長達に料理の説明をしていると、ロバートさんと、侍女長にミオン先輩達が入って来て、ホールの中を見て驚いている、

「エルル先日のホールを見た時のガラスの壁や庭にも驚いたけれど凄いわね、今日は私とミオンとスゥーがお手伝いするわ、」

「ありがとうございます、でも侍女長自らですか?」

「ええ、皆やりたいと大変だったわ、今日もメイド服を変えるのかしら、」

侍女長達の期待する様な目に、

「ええ、今日はお出しする料理に合わせた衣装に着替えて貰いますが、料理と同じでこの国の衣装では無いので、僕が着付ける事になりますが良いですか?」

「何言ってるのエルル君!私達エルル君に下着姿や裸を見せてるじゃない、今更よ!」

エルルは遠い目をしながら部屋の隅に簡易更衣室を出し、

「ではあの中で着替えて下さい、料理長達は料理に入って下さい、」


エルル達が更衣室に入ってしばらくすると、げっそりとしたエルルと、濃紺の仲居さん姿の次女長に小豆色の仲居姿のミオン先輩達が出て来て料理を作っていた料理長達を驚かせちゃったよ!

エルルは侍女長達に何時もとは少し違うお盆を使った支給の仕方を教えて行く、料理の下ごしらえも終わったので、

「侍女長、これ今日お出しするデザートの一つです、お一ついかがです?」

エルルが出したのはお饅頭で先輩達も饅頭を食べ、

「あっ!美味しいわ!これ乳も卵も使って無いのよね、何だか優しい甘さね、」

「あと、その中に入っている餡子で作ったこんなお菓子もありますよ、」

と、エルルが見せたのは白餡を着色して見事な花を模ったお菓子で、

「エルル何だか食べる事が惜しい見事なお菓子ね、」

「この節の木の串を使って、このお茶と一緒に食べて見て下さい、」

エルル達をずっと見守っていたロバートが扉の所へ行き、扉を開けるとナルゼとアイリスが立っていて、ロバートが、

「 若様、二の姫様覗き見とは公爵家の方として品がありませんな、」

二人はロバートから目を反らせながら、

「伯父上が料理を作っていると聞いて気になってな、」

ナルゼの言葉にロバートがこめかみを押さえているとエルルが、

「若様、姫様、内緒ですよ!」

と紙に包んだお饅頭を渡し、口の前に人差し指を当て、しぃ〜としてみせ、こくこくと頷いた二人は包みを大切そうに握り廊下を走って帰って行った、

「エルル!お前は若様や姫様達に甘い!」

「僕くらいは良いではないですか、はい!ロバートさんにもお饅頭」

「エルル!私は子供じゃないぞ!まったく!」

と言いながらもロバートさんお饅頭を美味しそうに食べているよ、

「それでは皆さん!最終確認をしますよ!」



屋敷のナタリアの部屋では美容室の中でナタリアとマリーがイオにメイクをして貰いながら、

「今日はソフィアがホール担当では無いのね、」

「ええ、侍女長にいつも貴女ばかりだから今日は他の子に変わってあげなさいと言われまして、」

マリーは笑いながら、

「でも侍女長はホール担当してるのよね、」

「そうなんですよ!お茶会の時は支給服に髪飾りやエプロンでしたが、今日はどんな衣装なのでしょう?」

「この間の髪飾りと、エプロンは結局皆がエルルから購入して、外に出る時に着けているそうじゃない、御用聞きが他の貴族家の侍女達から聞かれて困っていると聞いたわよ、」

ナタリアの髪を整えていたイオが、

「私もあのブリムと、エプロンは着けて見たかったです!」

「イオ、貴女貴族より上等な服を毎日着ているじゃない、貴女が向こうで着ている服を皆が見たら驚くわよ、」

「義母様、いつも帰られるエルルの家とはどの様な所なのですか?」

「魔の森の奥深くにあって、一般人では行く事は出来ないでしょうね、エドやジルは一人で行ける様だけどとても素敵な所よ!」

「私も連れて行って下さいませ、」

「その内エルルが連れて行ってくれるわよその時まで楽しみに待ってなさいな、」

イオは二人の髪をツインシニヨンにして、化粧を済ませると、アイテムボックスから、ドレスが沢山かかったハンガー付きの台車を出し、

「今日のドレスです今日はファーセルの方に合わせ植物をイメージしたドレスですが、

ちょっぴりセクシーな物になってるそうですよ、」

エルルが用意したドレスはイメージ的にはチャイナドレスで腰までスリットが入ってセクシーだか、全てのドレスが薄い緑色で薄く植物や花の模様が入っている、

マリーとナタリアが選んだドレスに着替えるとイオは二人のドレスと同じ色のシニヨンカバーを付け、

「ナタリア様、奥様支度が整いました、エルルさんのイメージ通りに仕上がったと思います、」

「奥様!異国の姫様の様ですね、」

「うふふ、そうかしら!でもこの腰の下まで入ったスリットは高すぎでは無いかしら下着が見えそうで恥ずかしいわ、」

「エルルさん曰く、そこがこの衣装の良い所だと言っていましたよ、」

コンコンと扉がノックされソフィアが扉を開けるとロバートが、

「会場の準備が整いました、主人様方もホールでお待ちです、」

「分かりましたロバート、今行きます、」

「じゃあ行ってくるわねイオ!」


ナタリア達がホールに入るとエドモンドとアルクがエルルと共にに打ち合わせをしていて、アルクがマリー達に気付き、

「マリー!素敵なドレスだが、少し刺激的過ぎないかい、」

「私も少し恥ずかしいのだけど着心地は最高よ、」

「まあまあ、アルクヤキモチかしらお熱い事で良いわね、ねぇエルル私達どうかしら?」

「とても良くお似合いですよ、」

「そお?あら侍女長達の衣装も変わっているじゃない、」

「はい、今日お出しする料理に合わせた給仕服になっています、お母さん達のドレスとはまた違う作りの服ですね、」

「エルル貴方のその格好は?」

「僕は今日あのカウンターの中から皆様の料理をその場で作りお出ししますので料理人の衣装ですよ、

あっ!主人様、エド様お客様がお付きの様です、」

エルルが告げると直ぐにホールの扉が開き

ホールの中にいた全員が皆片膝をついて待つと、ホールの中に宰相を先頭に皇太子達が入って来る、

ホールの中を見て皆一瞬動きが止まるが、流石は皇族、宰相の後に続きアルクの前まで来るとアルクが、

「殿下!我が公爵家にようこそ、心ばかりの接待しか出来ませぬが、ごゆっくりとお過ごし下さいませ、

申し遅れました!私はアルク・フランツ・フォン・ギルカスでございます、隣は妻のマリーでございます、」

「閣下の御招きに感謝を!」

皇太子がアルクに挨拶をするとアルクの隣からエドモンドが、

「殿下ご健勝そうで何よりですな、」

「エドモンド殿其方は少し老いたな、しかし殿下は美しいままであるな、なぁ我が妻よ、」

「本当でございますね、前回このお屋敷で殿下のウエディングドレス姿を見た時より美しくなられた様ですわ、それにお二人の衣装には凄く興味がありますわ!」

「アルク殿、もう堅苦しい挨拶も終わった、ここからはただの異国の客人として扱ってくれれば良い、恥ずかしい話だがこの部屋の中や外に見える庭に少々心おどらされておる、

さあ、皆もいつまでも片膝など付いてないで、立ち上がるが良い、」

「では殿下食事の時間まで少し時間がございます、お庭をご案内いたしましょう、」

皇太子が外に出る為に殿回りが先に庭に出ようとして、皆ガラスの壁にぶつかっちゃって、大使様が苦笑いをしてるよ、

エド様の所に美しい女性が来て、

「エド殿久しいな、エド殿がそれだけ老けたのだ、師匠が召されるはずじゃの、」

「ラン!紹介したい者がいる、エルルこちらへ!」

エルルがランの前に来てぺこりと頭を下げる、

「ランこの者は私の養子でエルル・ルコルと言う、師匠達の孫だ、」

「エルル・ルコルともうします、祖父より預かっている物がございますこれを、」

ランは包みを受け取りながら、

「ムスメが師匠とノアの孫とな、」

「はい、赤子の時に魔の森奥深くで祖父に拾われ孫として育てられました、」

「我がファーセル皇国も面しておる深き森じゃの、」

「はい、祖父達が亡くなるまで森に住んでおりました、」

ランはエルルの話をうんうんと聞きながら包みを開き、中から出て来た美しいレイピアを手にして、

「なんじゃ!この剣は!ムスメ!この剣を師匠はどこで手に入れた?」

このレイピア実は爺ちゃんから頼まれてエルルが作った物なのだが、正直に答えて良いか分からずエドモンドを見ると、エドモンドは目でお前か?と訪ねて来るので、こくこくと頷くと、エドモンドがランに、

「ラン、師匠の形見の剣を詮索するのは良くない、」

「そんな事は百も承知じゃ!だがこの剣は我が国にも三本と無い宝剣に勝るとも劣らない

魔法剣だ、」

ランは剣を構えて魔力を流すと刀身の周りに風がまとわり付き刀身が見えなくなる、

アルクに案内され庭に出ようとした皇太子達も足を止め、ランが手にした剣に驚いている、

エドモンドはエルルを半目で見ながら、やらかしたな!おい!って顔をしていたが

「ラン無粋な詮索は無しにして庭を見に行こうではないか、師匠から頂いた剣を大切にな、」

あからさまに話題を変え様とするエドモンドに、

「エド殿も出所を知っている様ですな、まあ良いが、この部屋といい、庭も儂の常識から外れておるぞ!

でエド殿ムスメの剣の腕は如何程かの?」

「純粋に剣だけでも私が瞬殺されてしまうよ、」

「エド殿を瞬殺だと!エド殿がいくら老いたと言っても瞬殺とは、それにその言い振りからして、」

「ラン、息子は剣より魔法の方が得意なんだよ、それに全盛期よりは流石に老いたが、この国でまだ息子以外には負けぬよ、」

「面白い!面白いぞ!ムスメ!儂と模擬試合をせぬか?勿論ムスメが得意だと言う魔法も有りだ、」

目を輝かせ、二つ返事で承諾しようとするエルルの口をエドモンドが押さえながら、

「ラン、後皆様もし模擬試合でエルルが勝ちましたらここで見た息子の事を決して他言しないと、約束して下さいますなら息子をお相手させましょう、」

ラン達の会話を興味深げに聞いていた皇太子ターナスが、

「ラン、面白いではないかエドモンド殿その約束私が聞き受けた!皆も話は聞いていたであろう良いな!」

その場にいた皇太子以外が全員片膝を付き頭をさげる、

皆が庭に出るとターナスがエルルに向かい、

「よし童よ我が国の中でも屈指の魔法剣士だ遠慮はいらん、誰か木剣を持て!」

ターナスの言葉にエルルが片膝をつき、

「殿下、公爵家では鍛錬に木剣では無くこの光剣を使います、この剣を使って試合を行いとうございます、」

と言ってエルルは剣の柄より水色の光の刀身を出現させる、

「なんと!魔法の剣が鍛錬用であるか、」

エドモンドがエルルの隣から、

「では殿下、息子がランと模擬試合をする前に私と息子で少し打ち合う所をお見せ致しましょう、」


皆が見守る中エルルとエドモンドがお互い礼をして剣舞の様な打ち合いを始めると皆から歓声が上がる、やがてエルルとエドモンドは打ち合いを終わらせお互い礼を行い、二人共ターナスに向かいもう一度礼をする、

「エドモンド殿、童よ美しい打ち合いであった」

ターナスがまだ話している横からランが、

「よし!ムスメよ次は儂の番じゃエド殿その剣を貸してくれるか、」

「ラン様光剣はその持ち主で無ければ使えません、それに今回のラン様と私の使う光剣は魔法が付与出来る特別製です、勿論光剣が身体に当たってもすり抜けるだけで怪我もしませんし、魔法はエフェクトだけになりますが、当たれば魔法を受けた様な錯覚をしますではこちらを、柄を握り自身の剣をイメージしながら魔力を流してみて下さい、」

ランは剣の柄の部分を握り魔力を流すと黄色に光るレイピアの刀身が出来て、

「おお!面白いぞムスメ!では始めるかの!」

ランとエルルが礼をすると、ランは剣に雷魔法を纏わせ黄色に光る刀身がビリビリと放電している、エルルは目を輝かせ、自身の剣にも雷魔法を付与しランに斬りかかる、

「ほう、ムスメ雷が使えるとは、」

ランがエルルの剣を受けると雷同士がバリバリと音を立て反発し合う、

ランが風魔法を自身に纏わせ自身の間合いまでエルルに突っ込んで剣を突き出す、

皆からみれば、ランが消えていきなりエルルの前に現れた様に見えているだろう、ランのレイピア型の光剣がエルルの胸を刺した様に見えたが、ランは直ぐ様その場を跳びのき、

ランが居た場所を青い炎を纏った剣身が襲う、

「既に残像であったか、青い炎とはこれまた、」

跳びのきながらランはまた風を纏いエルルとの間合いを取るといきなり現れたエルルに斬撃を放つ、エルルが再び雷を纏った剣で斬撃を切り裂くがいきなりエルルの背後にランが現れ風を纏った剣身がエルルに襲いかかる、が今度はエルルが消えてランの背後に現れ斬りかかるが、突然エルルが攻撃を辞め皆が見ている方に向かい一瞬手をかざす、

刹那ランのレイピアがエルルに襲いかかるり、エルルがぎりぎりの所で消えてランから少し離れた所に現れる、

「ムスメ!私の前で邪魔が入ったとはいえ、余所事とは良い度胸よ、」

エルルはランにぺこりと頭を下げ、

「ラン様もお気付きになられたのですね、では本気で行かせていただきます、」

エルルの雰囲気が一瞬で変わりランの頬を冷や汗がつたう、

「ムスメ!師匠以上の化け物よ!」

と言い自身の身体に纏った風魔法を強化して風の鎧を身に纏う、

「ぎゃあ〜!」

次の瞬間ランの悲鳴が庭に響きわたりランが庭を転げまわる、

「ラン様!斬られた様な気がしているだけですよ、なんともないでしょ、」

地面を転がり回っていたランが起き上がり、

周りを見渡し赤い顔をしながら、

「ムスメ!私の負けじゃ、」

エルルはランに深く一礼して、

「ラン様、ありがとうございました、お勉強させて頂きました、」

「ふん!しかし本当に斬られた様に感じたのう、」

「はい、ラン様私は幼少の頃より祖父にこの剣で数えきれぬ程斬られてまいりましたよ、」

エルルの瞳が暗くなっているのをランが哀れそうに見ていると、

「童よ、ランを倒すとは見事!皆も約束通り童の事を他言する事を禁ず、良いな!」

皇太子ターナスの言葉に皆沈黙で答え、アルクを始め公爵家の者達が頭をさげる、

「閣下、庭の案内を頼む、」

「では殿下私の弟と共にご案内いたしましょう、」

「ほう、童がこの庭を案内するか!」

エルルはターナスに頭を下げ、

「では殿下こちらの小道へ」

皇太子を先頭に皇太子妃が続き石庭をみて、

「色々な屋敷で庭を見て来たがこの様な庭は見た事が無い、絵に残し父上や長老達に見せたいものよ、」

「殿下!絵は流石に無理でございますが、魔道具で絵の様に残せる物がございますよ、

さあ橋の所にお妃様とお並びください、」

ターナスとティュレイカがいしの橋の所に二人寄り添い立つと、エルルは写真機の魔道具を構え、

「殿下!妃様この魔道具に注目して下さい!はいっ!ありがとうございました!」

エルルが写真機より硬い紙の様なものを引き抜き、ぱたぱたと振りながら、

「殿下こちらを、」

と、渡された紙を見たターナスが、

「なんと!なんと見事な精密な絵だ!まるで鏡に写した自分を見ている様だ!」

「あなた私にも見せて下さいませ、」

ティュレイカが皇太子の手から写真を奪い取り、

「これが私ですか、確かに毎日鏡で見る私そのままですね、」

「おお!ティュカ様儂にも見せてくれ!

いや!ムスメ!儂も描いておくれ!儂はあの見事な節の木林の前で描いておくれ!」

「分かりましたラン様、ではあちらを背にはい!そのまま!はい、動いても大丈夫ですよ、」

エルルが写真機の魔道具から紙を引き抜きぱたぱたと振ってから、写した写真を見ると、

残念なお胸をこれでもかっと張った美しいエルフが写っていて、

「ムスメよ!早う!早う見せよ!」

ランはエルルの手から写真を奪い取り、

ほほーっ!相変わらず美しいではないか!なんてブツブツ独り言を言っているよ、

「主人様、記念に皆様全員の写真を撮りませんか!記念に全員にお渡し出来ますよ、」

「良かろう、準備してくれ!あと今日は主人では無く兄と呼ぶ様に、」

「分かりました兄様、」

エルルがターナスを中心にお客様達をてきぱきと並べて写真機に三脚を立て、

「はい!皆さましばしそのままで!」

と自身もエドモンドとナタリアの間に入り魔道具が赤く光るのを確認して、

「はい!ありがとうございました、お帰りの時迄に今写しました写真を皆様にご用意致します、」

宰相の隣に立っていた大使ラドナスが、

「宰相殿もお人が悪い、この様な画期的な魔道具があるのでしたら、我が国にも輸出して頂きたい、」

宰相ローレンスは苦笑いをしながら、

「ギルドを通じてはからせましょう、」

と答えたが、全く頭を抱えたくなる、ローレンス自身が初めて見聞きした魔道具できっとエルルのオリジナルなのであろう、後日エルルと相談が必要になりそうだ。

節の木林の中の小道を歩いていると、エルルが不意に林の中に入り節の子と呼ばれる前世の竹の子を抱えて出て来る、節の子を見たターナスが、

「童!節の子ではないか、しかもまだ若い物ばかりそれを如何する?」

「殿下、勿論食しますお料理にも使いますが、若い物は生で食すと美味しゅう御座います!」

「童!今宵の晩餐正直期待しておらなんだが、どうしてどうして他国で節の子が食べられるとは!」

エルルはにやにやしながら、ポケットから出す振りをしてアイテムボックスから松茸に似たキノコを出す、

「なっ!なんと!赤針の木の子ではないか!」

「はい!殿下僕、いえ私はこの木の子を手で裂き火で軽く炙った物に柑橘の実を絞った物をかけて食べる事が好きでして、」

「童よ!早う食事にしようではないか!儂はもう辛抱たまらん、閣下如何か?」

「殿下のお心のままに、」



皇太子一行はホールに戻ると次女長達がエルルの指示通り、カウンターに和紙に植物の透かしが入った紙を人数分ひき、漬け物の小鉢、煮物の小鉢、湯呑みにお箸やホークを並べているアルクが、

「殿下、今宵の晩餐はこちらのカウンターで召し上がっていただきます、いささか型破りな晩餐になるかと思いますがご容赦ください、」

ターナスは一番にカウンターの正面の席に着き、

「皆!早う座るが良い!晩餐を始めようぞ!」

ターナスの隣にティュレイカが座りその隣にラン、ナタリア、マリーとすわる、

反対にはアルク、ラドナス、ローレンス、エドモンドとすわる、最後にカウンターの中にエルルが料理人衣装で入り、ぺこりと頭を下げ、

「今日の晩餐は公爵家の料理人と私でおもてなしをいたします、お箸をご用意いたしましたが苦手な方はフォークかナイフをお使い下さい、まずは先程の節の子のお刺身から、」

エルルはカウンターの中のまな板の上で節の子を短冊状に切り分け、ターナスを始め、次々並べていく、次女長達が頭を下げながら、醤油と、薬味が乗った小さい皿を置いていき、

「節の子に薬味を少量のせ醤油につけてお召し上がり下さい、」

ターナスが待っていましたとばかりお箸を器用に使い薬味を少しのせ、醤油に一瞬浸し口に入れようとした所、隣のカウンターより殿回りが、

「殿下!お待ち下さいませ!他国でお毒みもせずに一番に食されては困りまする!」

「たわけ!この様な洗練された食事に無粋な物言いは辞めるが良い!我より先に味合う事許さぬ!」

と言いながら節の子を口に入れ、目を見開き、

「童!薬味は水根の実を擦り下ろした物じゃな、だがこの黒いタレはなんじゃ!節の子の味を薬味と共にに引き立てておる!なんたる美味!」

「それは醤油と言う豆から作った調味料でございます、多様な使い所のある調味料でございます、殿下次はこちらを、」

次にエルルは赤針の木の子の炙り物と、豆腐に味噌を塗って焼いた串付きの田楽を出す、

ターナスは美味い!美味い!と大喜びで

ティュレイカは田楽がお気に召したのか、

豆腐の田楽を食べたのち、もじもじしていると、その横からランが、

「ムスメ!この田楽とか言う料理をもう一皿頂こう!」

「はい!喜んで!」

と、直ぐにティュレイカの前に田楽の乗った皿を置き、文句を言いそうなランの前にも田楽を出す、

次女長達が空いている皿を下げ、ツユの入った深皿と、塩の乗った皿を並べて行き、エルルが、

「お次は前に置いてある食材でお好みの物を言って下さい、その場で天ぷらにいたします、お塩か、ツユを付けてお召し上がり下さい、」

「では童、我はそちらの菜の物と、芋を頂こう、」

ターナスは目の前で揚がる天ぷらに釘付けで、エルルがターナスの前の紙の乗った皿の上に乗せた菜の物と芋の天ぷらをツユに付けて食べ、

「衣に絡んだツユが絶品じゃ!童!ある食材を全て揚げて行くが良い!我が全て食してみせよう!」

「殿下、まだまだ料理は続きます、食べられなくなってしまいますよ、」

「何と!これ以上美味い物を出すと!ここは控えておくとしよう、」

「ムスメ!儂は、つぶつぶの実の天ぷらお代わりじゃぁ!」

隣から小さな声で、

「あの、私も、」

エルルは笑顔で、

「はい!喜んで!」

エルルは二人に、つぶつぶの実の天ぷらを出し、その横で珍しく大人しい二人に、

「お母さん、お姉様お静かですが如何されたのです、」

「いやあねぇ、エルル私達はそんなに飛ばして食べたら最後の甘味が食べられなくなっちゃうじゃない!先に甘味のメニューを出しなさいよ!あるんでしょう?」

お母さん姉さんヤン姐じゃないんだから、綺麗な二人がそんな顔しちゃダメだよ!

そんな会話を耳聡く聞いていたラン様が、

「何!甘味じゃと抜かったわ!ムスメまだ料理は出るのか?」

「はい、まだ汁物と炊き込みご飯が出ますが、その後の甘味はこのお品書きの中からお好きな物をお選び下さい、」

ランはお品書きを見て震えだす、

「何と!絵と味の詳細まで書いてあるではないかそれもこんなにたくさんの種類が、

饅頭、餡蜜、団子に羊羹、わらび餅、だと!お代わりなどするのではなかった!」

隣を見るとティュレイカもお品書きを見て震えてる、

隣でターナスが炊き込みご飯を美味い!美味いと!食べながら、

「我が妃よ、如何した?この様に美味い食事国では食べられんぞ、」

「あなた!だから私は悩んでいるのです、この食事をとった後の甘味に!」

そしてランもティュレイカも炊き込みご飯と汁物を美味しさの余り完食してしまう、

ナタリアと、マリーが餡蜜にわらび餅を頼み、美味しそうに食べるのを見て、

「ナタリア殿、その餡蜜とは美味しそうですな、それにわらび餅は如何ですかな、」

「ラン様、どちらも至高の味でございますよ、饅頭や羊羹は息子に土産として包ませますよ、」

「それはありがたい!ではムスメ!餡蜜を頂こう!」

「では私も餡蜜を、」

女性陣が甘味を夢見心地で食べている時、男性陣は焼き豆を摘みに穀物の蒸留酒を呑み、大いに盛り上がった。


「閣下!今日は馳走になったな、是非こちらにいる間にもう一度呼んで欲しいものだ、」

「今年も夜会を開きますので、是非参加して下さいませ、」

「楽しみに待っているとしよう、あと童よ、其方一度我が国を観に来ぬか?童の様に才ある者は見聞を広げた方がよい、我がファーセルに招こう!」

「殿下ありがとうございます、この国で自分磨きが終わりました時には是非!」

「うむ、楽しみに待つとしよう、」


ファーセルの客人達が帰った後、ホールの片付けをしていると、先程までにこにこしていたエドモンドが真剣な表情で、公爵家の者を集め、

「エルル、確認しておきたいが、今日ランと模擬試合をしていた時、ティュレイカ様に

世界を見通す瞳で見られたな、 」

「エド様気付かれていたのですか、ラン様も気付かれていましたが、僕はお会いした瞬間から気付いていました、瞳の発動は僕がラン様に斬りかかった絶妙なタイミングでしたね流石です、」

「あの方の目は昔から有名でな、エルル、ステータスや贈り物を読み取られたと思うかい?直ぐに対処していた様だが、」

「僕のステータスや贈り物を読み取る事が出来る者は居ないと思いますよ、たとえそれが世界を見通す瞳でも、ただ名前と称号までは読まれたでしょうね、」

いつの間にかホールに公爵家の者が全て集まっていて、イオさんも凄い心配そうな顔をしている、

「称号は不味いな、女神から頂いた名前の様な物だ、」

「大丈夫ですよ、ティュレイカ様は絶対他人には言えません、絶対にです!」

「エルル、そんなに凄い称号なの?」

「ええ、お母さん僕の口からも絶対言えないですよ、」

「それは当然の事だと思うけれど、」

「とりあえずは問題が無さそうで安心したよ、」

「心配をおかけしてすいません、」

ナタリアはエルルを抱きしめ、

「息子の事を親や家族が心配するのはあたりまえよ、今晩は私が一緒に寝てあげるから、」

エルルはえっ!と言う顔して、アルクが、

「母上、エルルは成人した男性ですよ、」

「まぁ!アルク貴方だって大きくなるまで、母上!母上と、私のおっぱいを触って一緒に眠っていたじゃない!」

アルクはぶっーっど吹き出し、

「母上!いつの話をしているのです!勘弁してください!」

そんな当主を見て屋敷の中は暖かい笑いで包まれた。



ファーセル大使公館に向かう馬車の中、ランが馬車を風魔法で包み、驚くラドナスを他所に、

「ティュカ様やって下さいましたな、ムスメは気付いて居りましたぞ!」

ターナスとラドナスが、目を見開き、

「妃よ、本当か?」

「あなたゴメンなさい、あの子に興味が出てしまって、」

「やってしまった事は仕方がない、私とて童の事は知りたい、で如何であった!」

ランも真剣な顔でティュレイカを見ている、

「読めなかったの、」

「何!其方の瞳で読めぬとな!」

「ええ、名前しか読めなかったわ直ぐにあの子にカーテンの様な物を引かれてしまって、私の瞳以上の存在なのでしょう、公爵家が何か言って来る事は絶対にないと思うわ、」

「であるか、益々面白い童よ、」

と言って土産に貰った蒸留酒を撫でた。


ティュレイカは心の中で思う!ステータスが全く読めなかった事は本当だ、

しかしティュレイカはエルルの称号を見てしまった。


エルル・ルコル 称号 ・聖人(女神フィーネスの御子)



















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