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おかめとひょっとこ

よろしくお願い致します。



第二十話 おかめとひょっとこ



森の実家に戻ったエルルはイオにおかめの仮面を渡し、

「イオさんローブを深く被り、そのおかめの仮面を付けて下さい、」

イオは笑いを堪えながら、

「ぷっ!ぷぷっ!エルルさん何ですかこの見ているだけで笑えてくる仮面は!」

「その仮面の名前はおかめです、その仮面を着けている時はおかめさんと呼びます、」

イオはぶぅーっ!と吹き出しお腹を抱えてしゃがみ込む、

「ちなみに、僕の仮面はひょっとこです、

ひょっとこと、読んで下さいね、」

とひょっとこの仮面を着けイオに見せると、

イオは大爆笑しながら、

「ギャハハー!ハハハー!ヒィーヒイ、苦しい!エルルさん助けて!笑い過ぎて息が!息が出来ません!」

「おかめさん!エルルさんではなく、ひょっとこさんですよ!」

「ギャーァ!無理!無理です!ひっ、ひょっとこさん!」

「おかめさん、今回のワイバーン討伐は秘密裏に行います、決して素顔を見られてはいけません、分かりましたかおかめさん!」

おかめさんは肩で激しく息をしながら、

「ヒィ、ヒィ、分かりましたヒィ、ひょっとこさん、」

「では行きますよ、おかめさん!」


公爵家の中庭に夜にも関わらず主人様をはじめメイドの先輩達まで見送りに出て来ていて、仮面を付けた二人が出て行き、二人の仮面を見た瞬間大爆笑され、エルルが、

「僕の名前はひょっとこ、彼女はおかめ!」

と挨拶した瞬間、公爵家の皆の腹筋が崩壊しちゃったよ!アルク様が震えながら、地図を渡してくれて、

「エルル、ぷっ、気を付けて行くのだぞ!でどの様に伯爵領まで行くのだい?」

「公爵様!僕はひょっとこ!です!」

「ヒィ、ヒィ、ひょっとここっちを向かないでくれ!」

おかめさんが空飛ぶバイクを出しバイクに跨り、夜空に浮かぶ、ひょっとこもバイクを出し皆に手を振りながら浮かび上がるが、

皆は顔を背けて震えながら手だけ振っていたよ。


公爵家の中庭でエルルとイオが飛んで行った夜空をアルクが見つめ、

「凄い魔道具だな魔法の空飛ぶ馬とは、」

子供の様に目を輝かせるアルクにナタリアが、

「アルク残念なお知らせだけど、あの空飛ぶ馬はエルルとイオにしか乗れないわ、私達が乗ったら直ぐに倒れてしまうそうよ、」

「姉さん!あの二人は何者なの?」

「マーガレット、エルルは私の義弟でギルガスの執事、それだけよ今日は遅くなってしまったから泊まって行きなさい、あとエルルに任せておけば何も心配はないわ!」



アルマン伯爵家の馬車が夕方伯爵屋敷の玄関に着くと、執事だけでは無くノルドとノーラスまで玄関に立っていた。

馭者が素早く準備をして馬車のドアを開けると、メイドが後向きに何かを抱えて降りてきて荷物を降ろすと何やら荷をいじっている、どうやら椅子の様だが、

メイドは再び馬車に戻り夫人を抱えて降りてきて夫人を椅子に座らせる、

最後にエバが紙の箱を大切そうに抱え降りてきて、

「ただ今戻りました、義父様、ノーラス、」

「今帰ったわ!ノルド、」

「お帰り!フランご機嫌の様だがその椅子は何だい?」

「エルルが私にプレゼントしてくれた移動が出来る椅子よ!詳しくは部屋に入ってからにしましょう、」


部屋に入りメイドが入れてくれたお茶を四人で飲みながら、

「でフラン!エルルはどうだったのだ?」

「ノルドへの手紙に書いてあった容姿そのままだったわ、とても男の子には見えなかったわ、」

「で先程の椅子は?」

「あの子私が馬車から降りて来た時にはもうあの椅子を用意してたわ、足の悪い人達には画期的な椅子だわ、私にくれたのだからきっとあの子個人の物なのよ、」

「父上、私が王宮で彼女を見た時は変わった眼鏡をかけていましたよ、彼女がエルルだったかは判りませんが、でエバお茶会はどうだったのだい?」

「それがねノーラス!一言で言ったら、夢見てたんじゃないかと思っているわ、

お茶会の会場は見た事の無い作りのお部屋だったわ!お部屋の隅に厨房があって料理人がお菓子を作ってるのよ!」

「何だい、料理人をエバ達の前に出して調理させてただって!」

「ノーラス貴方うちの厨房と料理人をお客様の前に出せる?貴族の前でも堂々と調理が出来る厨房と腕、見た事が無い料理人の衣装!

マリー何て別人だったわ!」

「一体どんなお茶会だったんだい?」

マリーは机の上に置いていた白い紙の箱を開け、お供に付いて来たメイドに、

「今日見た様な皿はうちには無いけど似た様な皿を用意してちょうだい!」

メイドは直ぐに銀の平皿を持って来て、お土産のケーキを皿に乗せていく、フランチェスカはエルルから貰ったケーキの説明の紙を出し、

「今日のお茶会のお菓子はこれよ!総称するとケーキと言うらしいわ、この紙を見て、ケーキ一つ一つに名前があって詳しく説明まで書いてあるのよ、どれも絶品よ!」

「これが菓子なのか?まるで作品の様に美しいな、どれ一つ頂いてみるか!」

「ノルド!まって!そのケーキ私未だ食べて無いから食べないで!」

「義母様!私もそのケーキは食べていませんわ!」

結局全てのケーキを皆少しずつ食べあい、ノルドもノーラスもケーキの味の虜になってしまって、

「素晴らしい!この様な菓子をどうやって作るのだ?」

「ノルド、今日公爵夫人が仕切っていたけれど、実際は総てエルルが作ったお茶会のスケジュール通りに皆がそれぞれの役を演じていると言った感じを受けたわ、その位使用人達の立ち居振る舞いが完璧だったわ、で帰りがけにエルルに伯爵家に来た時にケーキを作ってねとカマをかけたら驚いた顔をしてたわ、」

「では、エルルはウチに来てくれるのかい?」

「ええ!貴方がマイラさんのお孫さんに公爵家への推薦状を書いて上げたじゃない、その子エルルの弟子になっているのよ、エルルがその子に逢えたのは貴方のお陰だと二人で近くお礼に来るそうよ、そうそうその子義姉様の若い頃にそっくりだそうよ、」

「それは楽しみだな!」

と満足そうにノルドは頷いた。



エルルは小さな魔法の灯りで地図を見ながら空飛ぶバイクに付いている方位磁針で方向を確認している、

並走するイオが、

「エルルさん、夜飛ぶのも気持ちよいですね、でさっきから地図を見て方向を少し変えたりしてますが、今夜は月も星も見えないのにどうやって方向を決めてるんですか?」

「おかめさん、僕はひょっとこです!方向はこのバイクのハンドルの真ん中の丸いガラスの中に針が付いているでしょ、その針の赤色の部分が常に北を指しているんです、」

「この手綱の根元で灯りが付いている所ですね!本当だ、少し向きを変えても針はずっと同じ方向を指していますよ!凄い魔道具ですね!」

「イオさん灯りは魔道具ですが方位磁針は魔道具では無いですよ!まぁまた次の機会に詳しく説明しますね、さあ夜明けまでに鉱山に着きますよ!」

と、エルルは魔導バイクの速度を上げ真っ暗な夜空を北に向かった。


モントン伯爵領のピレッツェ鉱山の近くの炭鉱夫の街ピレッツェに夜明け前からモントン伯爵と義息子のオージュ、私兵騎士団三十人、伯爵領の冒険者ギルドが集めた冒険者二十人が町を守る壁の前に集まり、町の防衛の為の話し合いをしている、

騎士団や冒険者の中には怪我をしている者がチラホラ見える、

じつは昨日鉱山近くの山にワイバーン討伐に出かけたのだが、予想以上のワイバーンの数に命からがら逃げ帰ってきたのだ、

奇跡的に死者が出る事は無かったが、町近く迄ワイバーンに追われ、運良く日没でワイバーンは巣の方に帰っていったが、日の出と共に討伐部隊を追って町を襲いに来るかもしれないと、町の警備についている、

伯爵が大きな声で、

「ワイバーンに対して町を守る壁は無意味だ!怪我をしている者達は住民を大きな建物の中に避難させ、その者達を守れ!騎士団は長槍と大盾を持ち密集陣形で、迎え討つ!

冒険者殿達は各自対応して頂きたい!

守り切れぬと判断した者は速やかに退避してくれ!」

伯爵の指示の元各自がそれぞれの持ち場で待機をし、日が昇りきった頃二匹のワイバーンが町に飛来した、冒険者チームの弓師と魔法使いが見事な連携で、一匹のワイバーンを足止めし、もう一匹のワイバーンを騎士団の長槍で応戦しているが、飛んでいるワイバーンには攻撃が届かない、指示を出すため少し離れた所にいた伯爵を密集陣形の中から飛び出してきた者が突き飛ばす、直後その場に砂埃が舞い上がり伯爵は地面に倒れ込むが直ぐに顔を上げ振り返る!

二匹のワイバーンに集中していて、新手のワイバーンの接近に気付けなかった、

一人集団から離れていた自分が狙われたのだろう、突然の乱入に騎士団の陣形は崩されながらも巧みに大盾を使い何とか二匹のワイバーンの相手をしている、良く見れば先ほど自分が立っていた所に、自分と同じ伯爵家の紋章が入った鎧を纏う義息子のオージュが倒れていて、騎士団員達が必死に大盾で守っている、

冒険者がオージュの所に駆け寄りオージュを引きずり建物の影に入る、

騎士団長が大声で、

「主人様!ここはお任せを!若様を!」

「団長!すまぬ!」

すぐさまオージュの所に駆け寄り、

「オージュ!」

伯爵が声をかけてもオージュからの返事はない、オージュの鎧を外していた冒険者が顔をしかめ重い口調で、

「領主様、意識を失っていますがちゃんと息をしてます!大きな外傷もありませんが、この腰の鎧ごしの切り傷が問題です!鎧の繋ぎ目にワイバーンの尾の棘が刺さっていました、切り傷の周りの肌が緑に変色している事から、ワイバーンの尾の毒を貰っています!

ワイバーンの毒は遅延性ですが、神官様の治療でも身体の麻痺が残る厄介な毒です、

しかもこの町には神官様が居ません、私は治癒担当の冒険者ですが、毒状態の治療は出来ません、」

モントン伯爵は地面に膝をつき、両手で顔を覆う、何と言う事だ!私を庇ってオージュが!

寝かされていたオージュが目を開け周りを見渡し伯爵を見て安心したのか微笑んで、

「義父上、無事で良かった肝が冷えましたよ」

「馬鹿者!私のせいでお前が!私はマーガレットや孫達に何と言ったら良いのだ!

オージュ!必ず助ける!直ぐに領都に行く馬車を用意させる!」

「義父上!私も貴族、領民を残して行く事など出来ましょうか!」

その時ワイバーンと戦っていた冒険者達から歓声が上がる、見るとワイバーンが地上に横たわっていた、冒険者達は直ぐさま二匹のワイバーンと戦っていた騎士団に合流しようとしたが、新たに三匹のワイバーンがけたゝましくギャーギャーと吠えながら飛来してくる!

伯爵の隣にいた冒険者が、

「領主様、これはマズイあの三匹が合流したら守りきれない!」

モントン伯爵バーグルは自身の剣を引き抜き騎士団のほうに駆け出した。



「おかめさん、夜が開けましたよ、モントン伯爵領に入っています、」

「えっ!私眠ってましたか?エルっ、ひょっとこさん!」

「ええ操縦しながら寝てたから驚きましたよ、怖かったので途中からは僕が遠隔操作しましたが、」

「ありがとうございます!ひょっとこさん夜通し飛んだのでお腹が空きましたね、」

エルルはどんな時もマイペースなイオに笑いながら、

「イオさん!これから狩るワイバーンのお肉って、凄く美味しいって知ってました?

うちは昔から、竜種が狩れた時は外で焼肉をして食べてたんですよ!熱した炭の上に網を置き上にワイバーンのお肉を置くと脂が溶け出してそれはもう、岩塩だけでも美味しいのですが、うち秘伝のタレをつけたら最高に美味しいですよ、」

「さあ!ひょっとこさん朝食はワイバーンの焼肉ですよ!ちゃちゃっと片付けちゃいましょう!」

「そうですね、おかめさん僕もお腹が空いて来ましたよ!って、おかめさんあそこの町!ワイバーンに襲われてますよ!」

「わっ!本当だ!戦っている人達もいますよ!」

「マズイですよおかめさん!新手が三匹飛んで来てます!多分守りきれない、おかめさんは降りたら直ぐに結界を張って下さい、僕は伯爵を探して加勢の許可を取ります、」

「ひょっとこさん、こんな時に許可が必要なんですか?」

「冒険者が戦っている以上獲物の横取りは御法度ですよ、許可を貰わないとワイバーンが食べられませんよ!」

「それは大変です!私のお肉が!ひょっとこさん早く許可を貰って下さいね、直ぐ結界にワイバーンを閉じ込めちゃいますから!」

「じゃあおかめさん飛び込んだら直ぐにバイクを消して結界を張って下さいね、行きますよ!」


剣を抜きバーグルが駆け出すと、突然騎士団員と冒険者がいる所が半球体の何かに包まれる、ワイバーンが攻撃をしてくるが半球に

攻撃を阻まれている!魔法なのか?

良く見れば魔法使いが好むローブのフードを深く被り面妖な仮面を付けた二人が立ってキョロキョロ周りを見渡しバーグルを見つけると、一人が

「貴方がこの場の責任者の方か?」

問い掛けられたバーグルはその仮面をよく見た所、この様な時なのに笑いが込み上げる、必死に我慢しながら、

「いかにも、この辺りの領主をしている者だ!」

「私は旅の魔法使いひょっとこと申す、加勢する許可を頂きたい、あとこちらが狩ったワイバーンは総て頂く!宜しいか?」

ひょっとこと聞いたバーグルは小刻みに震えながら、

「願っても無い申し入れ感謝する、ご助力願おう、そちらが討伐されたワイバーンは勿論そちらの物だ!」

ひょっとこと名乗る者がもう一人の魔法使いに合図を送ると、同じローブを来た者が攻撃をしていたワイバーンの一匹に手をかざすと、ワイバーンは球体に覆われる、

覆われたワイバーンは苦しそうにもがき出し、やがて球体の中で倒れると忽然と姿が消えてしまった、皆が驚いている間にもう一匹のワイバーンが球体に捕まる、

皆の視線が球体に捕らえられるワイバーンに注目する中、バーグルの目はひょっとこを追っていた!しかし半球体の外へと出たひょっとこをそれ以上目で追う事が出来なかったが、ワイバーンが次々地面に落ち消えていく、球体の中のワイバーンが消えた後には冒険者達が倒したワイバーンだけが残っていた。


「領主殿ワイバーンは以上か?」

「ご助力感謝する魔法士殿、貴方達が居なければ町を守ることが出来なかった、昨日鉱山付近の山に討伐に向かった時、斥候が八匹のワイバーンを確認している、少なくとも後二匹のワイバーンが居ると思う、」

「分かりました、ではそちらも私達が討伐しても宜しいか?」

「ありがたい魔法士殿!私は急ぎ領都に戻らねばならない!義息子がワイバーンの毒に侵されてしまったのだ、義息子の治療が終わり次第必ず戻って来る、その時に今回のご助力の礼をさせてくれ!」

その場に居たもう一人の仮面の魔法使いが、

「ひょっとこさんは超高位のお医者さんでもありますよ、息子さんを見て貰ったらどうですか、あっ!私の名前はおかめです、」

またまた伯爵はおかめを見て吹き出しそうになるが、それ以上に高位の医者と聞いて、

「それは本当かぜひ頼みたい!こちらへ、」

伯爵に付いて建物の影に入ると鎧を外された若者が騎士達に囲まれ声をかけられている、バーグルが、

「皆少し下がってくれ、オージュを医者殿に診てもらう、」

ひょっとこがオージュの前まで出るとオージュは、ぶっーっと吹き出し、騎士達も仮面の二人を見て震えながら笑いを我慢している、

「すまない魔法士殿、貴殿の面を見ると何故か笑いが込み上げてしまう、」

ひょっとこは大丈夫だと言うように片手を上げ、

「私の名前はひょっとこ、旅の魔法使いです、ワイバーンから毒を受けたと聞きましたが、傷口を見せて下さい、」

ひょっとこはオージュの傷口を確認するとバーグルに向かって、

「体内に毒が入っています、この毒に対して効果的な治療は血清を使うことです、私はワイバーンの毒の血清を所持しています、大変貴重な薬なので金二百枚になりますが宜しいか?」

バーグルは驚き、

「その様な安値で貴重な薬を譲ってくれるのか?神官に治癒を頼めば桁が違うお布施が必要だぞ!しかもワイバーンの毒は治癒しても身体の麻痺が残ると聞いたが、」

「領主殿血清は魔法では無く医術です、血清と言う薬品を直接体内に入れます、」

「ひょっとこ殿に任せよう!オージュを救ってくれ!」

ひょっとこは頷きオージュに血清を注射して、腰の切り傷に治癒魔法をかけ、一瞬で切り傷を癒す、

「もう大丈夫ですよ、毒も心配要りません、」

ひょっとこのもう大丈夫との言葉に呆けているオージュとバーグルにひょっとこは地図を出し、

「領主殿ワイバーンの巣はどの辺りか教えて欲しい、」

と聞く、ひょっとこの言葉で呆けていたバーグルとオージュはひょっとこの出した地図を見て驚き、オージュが話かけようとしてバーグルに手で制され、バーグルが地図を指差して、

「この辺りだひょっとこ殿!私は貴方達に何と礼を言って良いのか薬代も直ぐに用意しよう、」

「礼など不要です、治療の報酬も頂きますし、ワイバーンを総て頂いています、」

「では私達に何か出来る事は無いか?」

ひょっとこは少し考え、

「では私達がこれから狩ってくるワイバーン一匹と、鉱山から採れるミスリル鉱と交換して頂きたい、」

「こちらとしては願っても無い申し入れ、承知した、ここからだと少し距離があるが、馬などの手配は必要無いのか?」

「はい、魔法使いですから!ではワイバーンを狩ってきますね、」

と言って可笑しな仮面を付けた二人は鉱山の方角に歩いていった。


仮面の二人が去った後、冒険者の代表が、

「領主殿、あの者達は何者ですか?二人共只者では無いですよ、」

「分からない、だが助かった冒険者殿達も御助力感謝する、ギルドより成功報酬を受け取ってくれ、目的達成の証明書を出そう、」

「ありがとうございます、私達も救われましたよこれから皆でワイバーンを解体して領都のギルドに運びます、」

冒険者達が解体したワイバーンを数台の荷車に乗せ領都に向けて出発するのを見送ったバーグルはオージュに話かけられる、

「義父上、あの仮面の者達が持っていた地図、気づかれましたか?」

「ああ、あの地図にはギルガス公爵家の紋章が透かしで入っていた、そんな大切な地図を旅の魔法使いに渡す事などあり得ない、つまりあの仮面の二人は公爵家の者だ!」

「仮面を付けていましたが、声や背格好から二人共少女の様な印象を受けました、」

「二人共恐ろしい程の使い手だ!ワイバーン五匹を瞬殺だからな、その上高位の医者と言っていたが、お前の怪我に治癒魔法も行使した、治癒担当の冒険者が、目を見開いて驚いていたぞ毒に侵された傷を一瞬で治癒したと、」

「義父上、だとするとあの噂は本当なのでしょうね、公爵家の騎士団長の肩が治っだと言う、」

「そうだな、きっとマーガレットが、マリーに騎士団長を貸してくれと頼んだのだろう、でギルガス公爵が私達のために秘密裏に二人を寄越してくれたのだろう、」



仮面を外した二人がワイバーンの巣の隣で炭をおこし上に網をセットしてワイバーンで一番脂の乗った部分を乗せる、

「イオさん表面を炙る程度でも大丈夫ですよ、最初は岩塩だけでいきましょう!」

イオが箸で肉を口の中に入れしばらく固まった後、

「エルルさん!ヤバイですよ!このお肉ヤバイ!口の中で溶けますよ!」

「でしょ!でしょ!イオさん、じゃあこっちの秘伝のタレに付けて見て下さいよ!」

イオは焼いた肉にエルル秘伝のタレを付け口に入れうっとりしながら、

「ワイバーンって美味しーいっ!」

って、周りの山に向かって叫んじゃってたよ。









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