表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/62

昔の話を思い出す。

よろしくお願い致します。


第二話 昔の話を思い出す。


今から16年ほど前バレス辺境領の魔物が巣食う森のなか、昔、剣聖と呼ばれたお爺さんラルル・ルコルと、昔、大魔導士と呼ばれたお婆さんノア・ルコルが二人だけで住んでいました、お爺さんは山へ魔物狩りに、お婆さんは泉の辺りに薬草探しに行っていました、お爺さんが山で魔物を狩っていて、

ふと気付くと崖の上に神々しい光を纏った白銀の狼が、お爺さんを見下ろし、付いて来いとばかりに森の中へ入っていきます、お爺さんが狼の後を追って森に入ると狼は一本の大きな木の根元に座っていて、お爺さんが近寄っても去ろうとせず、ただじっと木の根元のくぼみを見ている、お爺さんが木の根元を覗き込むとそこには、お包みにくるまった赤ちゃんが居るではありませんか、お爺さんは驚き赤ちゃんを抱き上げ、赤ちゃんの状態を確認します、赤ちゃんはキャッ、キャッ、と笑いながら、小さな両手をお爺さんに伸ばします、お爺さんはその可愛さに堪らず小さな手に指を伸ばすと、キュっと小さな手でお爺さんの指を握り、アー、アー、小さな口で一生懸命にに話しているようです、

お爺さんが赤ちゃんをあやしていて、ふと気づくと先程まで隣にいた白銀の狼の姿は何処にもありませんでした。

お爺さんが赤ちゃんを連れて家に戻って赤ちゃんを見つけるまでの話しをすると、お婆さんはたいそう驚いていましたが、赤ちゃんの可愛さに一瞬でメロメロになってしまいました、

そして子供が出来なかった二人は赤ちゃんに

エルルと名付け、自分達の孫として育てる事にしました。

エルルはすくすく育って、五歳の頃にはお爺さんには、剣術を、お婆さんには魔法を習っていました、お婆さん曰く、

「エルルは、ボロ雑巾の様に何でも吸収しちまうさね、」

なんて言っちゃうんだ、ばあちゃん、そこはせめて手拭いぐらいにしておくれよ!!

と小さいながらも思ったものです、

で、この世界の人、獣人やエルフ、ドアーフもいるらしが、その一人一人に女神様より贈り物が有り、それは、力であったり、色々な能力であったりするらしい、他人の力や能力を聞いたりするのは、マナー違反だそうだが、爺ちゃんを見れば剣術って、直ぐにわかっちゃうよな!因みに婆ちゃんは魔法操作だろう、だいたい五歳くらい迄には自分で自覚するものらしい、婆ちゃんは、

「エルルはきっと、器用に違いないよ、何でも直ぐに出来る様になるからね、」

と、言うが自覚は無かった。

六歳くらいの時に夢をよく見る様になった、

夢の中で六歳位の自分は黒い鞄を背負って、学校へ行き、オッパイの大きな綺麗な先生に勉強を教えて貰っていた、

次の日、爺ちゃんにその夢の話しをすると、

「エルル、は夢のなかまで勉強するのか、えらいのぉ!で、先生のオッパイはどうじゃった?」

何ていわれた、

また夢をる、憧れのオッパイの大きな可愛い先輩に告白して、見事に撃沈し、枕を濡らす夢、

自分の手から、炎がでて魔法が使える設定の妄想をする夢や、異世界にいって自分がチート主人公になって、オッパイの大きな女の子達のハーレムを作る妄想をする夢、

青年の自分は、大きな研究施設で、薬品などに囲まれてパソコンのモニターと、にらめっこしていて、

隣には白衣のオッパイの大きな綺麗な上司がいる、この世界とは異なる世界で生活をする自分、

そして気づく、自分にはもう一人の自分の記憶がある事に、そして今、もう一人の自分が妄想して止まなかった、剣と魔法の世界に自身が転生したのだと!

エルルはベッドから飛び起き、叫ぶ!

「oh! ファンタスティック!!」

隣の部屋から婆ちゃんが、

「喧しい!何時だと思ってるだい!」

と、お叱りを受けた

その日よりエルルのチート人生が始まる、

エルルの女神様よりいただいた贈り物は、

創造と知識の泉、創造した物がそのまま出てきちゃうという、とんでもない能力で、しかもこの世界での製作レシピ付きという、至れり尽くせりの能力であった。


十歳になる頃には家の裏手に大きなドーム状の研究施設を作り、創造と知識の泉を使って日夜実験と、検証を繰り返し、わかってきた事がある、実はこの世界、前世の世界に比べて食材や資源が非常にに豊富な事だ、家の周りの魔物の森など、宝の山で、海産物以外の大抵のものが手に入る、

この世界は女神様が創られたと、爺ちゃんに教わったが、女神さまはとてもこの世界に生きる者を慈しんでいるのだろう、ただ、魔法が有り、余りにも便利な世界では、少しだけアプローチと言うか、考え方、物の見方を変えないと宝の持ち腐れになってしまう、

エルルは先ずは自分達家族の生活を、より暮らしやすく変えていく、爺ちゃんや婆ちゃんの生活も、ここ数年で随分変わって来た、

食生活も、エルルが作る異世界の料理の虜になっている、この国では米を食べる習慣がなく、エルルが知識の泉で調べると、前世の米にあたるものが、こちらの世界では、何処にでも至る所に生える雑草の様な扱いで、使うとすれば家畜の餌、白麦草って名前なんだけど、沢山採ってきて、パンの代わりにに食べるって言ったら、婆ちゃんが、

「エルル!私は家畜かい!」

って、怒ったけれど、その晩僕が豚の魔物の肉を薄切りにして、エルル特製醤油で焼いていると、爺ちゃんと婆ちゃんがテーブルでまだかまだかと、目で訴えているテーブルの上に肉とパンを並べ、自分だけは炊いたお米で作ったおにぎりを用意して、お肉とおにぎりを美味しそうに食べる、

婆ちゃんが、

「エルルや、その白いのは美味しいのかい?」

と、聞いたので、ちょっと意地悪く、

「婆ちゃん、家畜の餌だから、口に合わないかもしれないよ、」

と返すと、隣で二人の話しを聞いていた爺ちゃんが、どれっと、僕の真似をしてお肉と、おにぎりを食べ、

「こりゃあ、美味い!美味いぞい!エルル!」

と、夢中で食べるのを見て、婆ちゃんも一口食べ、見事な手のひら返しで、

「エルルや、これだけじゃ足りないよ、まだあるんだろ、持ってきな!」

なんて言っちゃってるよ、食後に出したデザートのプリンもこれまた婆ちゃんが、どハマりしちゃって、毎日違ったデザートを作らされちゃってるよ。


家も色々手を加えベッドは三人共、低反発マットレス付きベッドに変え、トイレも、便座式水洗トイレを設置、キッチンと、ダイニングに大きめの冷凍冷蔵庫も用意した、

色々手を加えたが、一番の自慢は中庭の露天風呂だ、これまた爺ちゃん、婆ちゃんのお気に入りで、お風呂から上がった後の冷蔵庫で冷やしたエルル特製フルーツミルクジュースを飲む事が、日課になっている、

一度、お風呂上がりの婆ちゃんに、アロマオイルマッサージをした所、これまた気に入っちゃって、お風呂の後毎回おねだりするので、今は何とか週一で我慢して貰っている。


人里離れた森の中で三人だけで暮らしているのだが、年に数回爺ちゃん達二人の知り合いと言うおっちゃんが、訪ねて来て爺ちゃんが狩で獲ってきた魔物の素材と、婆ちゃんが作った薬を買い取り、代わりに婆ちゃんが生活に必要な物を注文して持って来て貰っている、

おっちゃんの名前は、ジル、この森の中の家まで一人で来るのだから、それなりに強いのだろう、最近では爺ちゃんの獲って来る魔物の素材より、爺ちゃんが持ってるどう見てもバックより大きな素材をぽんぽんと出すバックや、家の中の物に興味深々で爺ちゃんにバックを譲って下さいと懇願している、爺ちゃんがジルおじさんに、

「このバックは儂専用じゃから、お前に譲っても使えんぞ、」

と、バックを渡すと、ジルおじさんはリュック型のバックを開けて中を確認するが、普通の空のバックで、爺ちゃんがバックを持って自慢げにバックに手を突っ込んで、愛用の剣を出して見せる、

「良いじゃろう、このバック、」

と、自慢げに言う爺ちゃんに、婆ちゃんが、

「そんなに弟子をいじめるもんじゃないよ、ただ、ジルよ、目利きのあんたならこのバックがとんでもないバックってのはわかってるんだろ、あとこのバックをエルルが作ってるって、」

ジルおじさんが頷くのを見て、

「ジル、あんたに頼みたい事があるさね、聞いてくれるんだったら、エルルに頼んでやっても、よいねぇ、」

ジルおじさんが真剣な顔で頷く、爺ちゃんの顔も怖いくらい真剣だ、婆ちゃんも頷き、

「この鞄の事は口外しないこと、あたし達が居なくなった後、エルルがあんたを頼った時には助けてやっておくれ、どうだい、」

ジルおじさんは真っ直ぐ爺ちゃん達を見て、

「師匠、エル坊はまだ幼い、師匠達がもしもの時には、エル坊を私の子供にと、考えていますが、多分エル坊は大丈夫でしょう、勿論これからも父親だと思ってくれれば良いよ、

エル坊は大人になったら、やってみたい事とか、あるのかい?」

ジルおじさんが笑顔で聞いてくるので、

「大きなお屋敷の執事になりたい、」

って言ったら、三人共以外そうな顔をしていたが、ジルおじさんが、

「エル坊に仕えられる奴がうらやましいな、」

「本当にあんたは変わった子だよ、まったく、」

エルルは研究室に行ったふりをしながら、アイテムボックスより肩掛け鞄を出し、居間にもどり、

「はい、ジルおじさんこの鞄に手を入れてみて、」

「この鞄を、良いのかい?」

と、ジルが、鞄の中に手を入れると、一瞬鞄が光る、

「ジルおじさん、登録完了だよ、持って帰る荷物に触ってある程度の大きさの物は入るよ、ジルおじさんは商人だから、爺ちゃん達の鞄より、沢山入る様になってるけど、鞄より大きな物の出し入れは気をつけてね、」

ジルおじさんは爺ちゃんから買い取った、魔物の素材を掴んで鞄に入れるイメージをするだけで、すっと素材が消えていく、また、鞄に手を入れて入れた物をイメージするだけて、鞄からにゅっと、出てくる、

ジルおじさんは、何度も何度も出し入れをした後、

「エル坊、師匠、ノア様、ありがとうございます、約束は私の命がある限り守ります、」

「そんな、ジルおじさん、オーバーだよ、こういう鞄って、あるんでしょう?」

「確かにあるよ、でもねそんな鞄は高難易度ダンジョンの奥深くの宝箱からしか出ないから、まず市場に出て来るこはないよ、闇オークションで目が飛び出る様な高値で取り引きされる事があるくらいかな、しかも、鞄じゃなく、古びた袋なんだ、」

と、ジルおじさんは自分の物になった鞄を愛おしそうに、撫で続けた。









ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ