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お茶会

よろしくお願いいたします。



第十九話 お茶会


「ただいま戻りましたエド様を送ってきましたよ、」

「ご苦労様エルル、もうすぐマリーが来ると思うのだけど、明日のあの子が着る衣装の用意と、化粧品をお願いしたいのだけど、」

「はい、では適当に美容室にかけて置きますので選んで下さい、サイズなどの微調整は明日の朝伺います、あと化粧品はイオさんにもう一つ渡しておきますね、奥様専用では無いので使われて問題があればこれも明日の朝僕に教えて下さいと伝えておいて下さいね、」

「ありがとう、あと夜会が始まったら、私達のドレスもお願いね、」

「はい、他の皆さんが溜め息を漏らす様なドレスを用意しますね!」

「楽しみに待っているわね!」

「はい、今日は流石に疲れましたので一度戻らせていただきます、イオさん用があったら森の家に迎えに来て下さい、」

「はい、エルルさんわかりました。」


コンコン、と部屋の扉がノックされ、イオが扉を開けるとマリーが立っていて、

「マリー、待っていたわ入ってちょうだい、」

マリーはイオが用意したスリッパに履き替え部屋の中を見て固まってしまっている、

「奥様、こちらのソファーにお座り下さい、」

イオに案内されマリーはソファーに座ると、

「義母様、この部屋の中に居ますとまるで異国に来た様に感じます、」

「そうね、わかるわ!私もエルルの家に初めて行った時は凄く驚いたもの、で、呼んだのは明日のお茶会の衣装とお化粧よ!」

ナタリアの言葉を聞いたマリーの目が輝き、

「義母様!義母様の様な素敵な衣装と、化粧をして貰えるのですか?」

「ええ、ついでに髪も切って貰うと良いわ、イオお願い!」

イオは美容室の中に入りエルルの真似をして指パッチンをすると部屋の照明魔道具が点灯する、本当は魔道具に触れて魔力を少し流すのだが、エルルが空間魔法で魔力を飛ばし魔道具を使う所を見て、イオも真似をして魔力を飛ばしている、因みにイオは指パッチンをカッコ良いと思っている、

美容室の照明が点灯するとガラス越しに中が見えまた驚いているマリーにナタリアが、

「さぁ、マリー美容室に入って、まずはその化粧を全て落として貰いなさい、」

マリーは美容室の中に入るとイオの案内で洗髪用の椅子に案内され、渡された洗顔石鹸を使い化粧を落とす、イオはマリーの洗顔が終わったのを確認すると、椅子に魔力を流し椅子の背もたれを倒し仰向けになり驚くマリーを安心させながら洗髪をして行く、

「凄い仕掛けの椅子ね、驚いたわ!でも髪を洗って貰うのも気持ち良いわね、」

マリーの洗髪が終わるとイオはそのままエルル特製アロマオイルを使いマリーの顔をマッサージをして行く、

「義母様が貴女を付き人にした理由がわかる気がするわ!」

「マリー、イオはあげないわよ!」

「義母様!ずるいですわ、」

イオは椅子の背もたれを起こしマリーを大きな鏡に対面させて、

「奥様、どの様な感じが良いですか?」

「イオ、貴女にお任せよ義母様の様に可愛くしてちょうだい!」

「では奥様の軽くかかったウエーブを真っ直ぐにして、少し髪の傷んでいる所をカットさせて頂きます、」

「お任せするわ、」

イオは髪のカットを済ませると髪の癖を真っ直ぐに伸ばすエルル特製の薬液を髪に塗り専用の櫛を使い髪を真っ直ぐ伸ばす、しばらく待って髪をもう一度洗い、これまたエルル特製の保湿液を塗りもう一度髪を流す、髪を乾かした後、メイクセットを使いエルルに見せて貰ったファッション雑誌に載っていた、お目々ぱっちり自然派メイクを施して行く、

「奥様、目を開けても大丈夫ですよ!いかがですか?」

マリーは大きな鏡に映る自身を見て、

「えっ!これ私なの?」

「はい、奥様大変お綺麗です、」

「さあさあ!マリー明日の衣装をそこに掛けてある衣装の中から選びなさい、」


それからマリーが光沢のある深い赤ワイン色のこの国のドレスとは全く違う、体のラインを自然に美しく見せるドレスを選んだのは一時間後の事であった。


夜エルルが女性風呂の掃除へ行くとアニー先輩が掃除を始める所でエルルが、

「アニー先輩!お疲れ様です、掃除は僕がしますよ!」

「ダメよ!エルル君イオが辺境伯付きになった今私が掃除係にならないと、男性風呂が使えなくなっちゃうじゃない!それにエルル君も辺境領に行く時もあるでしょ!」

「なるほどアニー先輩僕の事まで考えてくれてたのですね、」

「それに女性風呂で洗面セットなんて出したら大変よ!ただでさえ最近先輩達に怪しまれているのよ、」

「アニー先輩男性風呂はともかく、洗面セットは先輩達に教えてあげても良いのでは?」

「えっ!教えちゃっても良いの?」

「はい、別に隠している訳でもないですし、買って貰っている訳ですから、ただこちらから勧めるのはどうかと思っていますが、」

「わかったわ、後でソフィア先輩達と、話しましょう!」

と言い掃除を始めようとするアニーに、

「アニー先輩、一瞬で終わらせますから!クリーン!」

エルルがクリーンを唱えると一瞬で浴室がピカピカになり呆れるアニーに、

「ほら一瞬でしょ!さあ男性風呂に行きますよ」


アニー先輩と脱衣所に入ると見計らったように侍女長とソフィア先輩が入って来る、

「お疲れ様です侍女長、ソフィア先輩!計ったようなタイミングですね、アニー先輩から聞きましたよ他の先輩達から怪しまれていると、」

侍女長はバツの悪そうな顔をして、

「そうね、流石にソフィアの髪を見たら誰でもおかしいと思うわよね、」

「先程アニー先輩と話していたのですが、洗面セットの事を侍女長から話されては?」

「話してしまって良いの?」

エルルはアニーと全く同じ反応をする侍女長に苦笑しながら、

「アニー先輩も同じ様にいわれましたが、僕は別に隠してないですよ!ちゃんとお金も頂いていますし、ただ自分から勧めるのはどうかと思っているだけです、」

「そうだったのね、わかったわ皆に伝えてみるわ!」

隣からソフィア先輩が、

「でねエルル君!男性風呂の様な改装は無理だと思うけれど、シャワーの魔道具ってなんとかならないかしら、朝の鍛錬の後とかシャワーを使いたいの!」

「ソフィア先輩!私もそれ思ってました!」

「エルル、今度は皆でお金を払うから、シャワーを着けてくれないかしら、」

エルルは少し考え、

「そうですねえ、先輩達が皆で使うとなると五つくらいは要りますよ、金貨五十枚の所を十五枚で改装しましょう、」

「じゃあ私がとりあえず立て替えて払うから改装してくれる?」

「ええ、皆さんがお風呂に入っている間に!」

「じゃ、お願いするわ!でアニーエルルの改装が終わったら、夜勤の子を除いて脱衣所に集合させて!」

アニー先輩は慌てて服を脱ぎ出し、

「じゃあ私直ぐにお風呂入って来るから、エルル君ちょっと待っててね!」

アニー先輩、話ながらすっぽんぽんになるのは勘弁してくださいよ!。


エルルは浴室に入り湯船の反対側の壁に仕切りを三つ作り仕切りの中の壁にシャワーの魔道具を埋め込んで行く、浴室の壁全体を清潔感のあるある薄い水色に貼り替え暗かった灯りの魔道具を明るい物と交換する、

こんなものかな、後はサービスで脱衣所の灯りと、大きな一枚鏡を貼り付けて鏡の下に棚をおき魔導ドライヤーを五つ並べて完成だよ、

あっ!壁にバスローブを掛けるハンガーを付けるの忘れてた、

エルルがハンガーを付けているとメイドの先輩達がぞろぞろと脱衣所に入って来て、皆明るさに目を細め大きな鏡の下の棚に並ぶドライヤーに注目している、

最後に侍女長達がバスローブ姿で入って来て、驚いている先輩達に、

「皆休んでいた所をごめんなさいね、エルルにお風呂を改装して貰ったの!エルル使い方を説明してくれるかしら、」

「はい侍女長、ではお風呂の中から、」

エルルが浴場のドアを開けると中を見た先輩達から歓声が上がる、

「湯船の反対側にシャワーを用意しました、お湯が雨の様に出る魔道具です、使い方を壁に貼っておきました、いつでも簡単に身体を洗う事ができますよ、」

ミオン先輩が、

「エルル君!凄い魔道具ね、もしかしてこの魔道具で髪や身体を洗うとソフィア先輩の様な髪になるのかしら?」

質問されたエルルはバスローブと洗面セットを取り出し、

「こちらの髪を洗うシャンプーと、髪に潤いを出すトリートメントを使うと個人差がありますが、髪がソフィア先輩の様になります、

新しく開発した物でしたので、髪や肌に異常が出ないか侍女長達に試して貰っていました、しばらく使って貰って大丈夫のようなので、この洗面セットとバスローブに名前を入れて銀貨七枚で用意させて頂きます、」

先輩達が次々と買うわ!私にもちょうだい!私も!と声がかかり、結局先輩達全員がお買い上げだったよ、で先輩達がいきなり服を脱ぎ出したので、

「ちょっ!わっ!先輩達いきなり服を脱がないで!」

と言いながらちゃっかりガン見しているのだが、ミオン先輩が半裸で

「みんなエルル君にだったら見せても良いと思っているのよ!」

「もう!勘弁して下さいよ、皆さんバスローブはあちらのハンガーにかけておいて下されば、掃除の時にクリーンの魔法をかけておきますから!」

先輩達いっぺんに浴室に入ってもシャワーの数は五つしかないんだけど、

「エルル君ありがとう、これで朝シャワーを浴びたり、夜勤明けにもシャワーが使えて嬉しいわ、」

「それではソフィア先輩失礼しますね、明日の午後からのお茶会お願いしますね、」

「こちらこそよろしくね!」


次の朝メイドの先輩達が数人朝礼に遅刻して執事長からお目玉を貰ってたよ、なんでもシャワーの順番が最後だったそうだ、

でも先輩達の髪が皆凄く綺麗になってたよ。



午後エルルは厨房で最終確認をして行く、

「料理長、ケーキの準備はオッケーですか?」

「はい!エルル様、ロックと共にに準備万端です!コックコートもオッケーです!」

「はい!大丈夫そうですね、緊張しないでリハーサルの時の様で大丈夫ですからね!」

「エルル君私達はどうかしら?」

エルルは今日の支給係のメイドさん達に渡したホワイトブリムにフリフリが付いたエプロン、勿論背後は大きなリボン付きだ!

何時もの僕の方ではメイドの正装と言っておいたけど、ある意味その手のお店の正装だから嘘は言ってないよ!

「はい!バッチリとても可愛いですよ!」

「でしょ!アニーなんて何時もこの格好をしたいと言っているわ、」

「もう少ししたら奥様も見えますのでよろしくお願いします!」



ナタリアの部屋でマリーの準備が終わり、美容室から出て来ると、ナタリアが、

「マリー綺麗よ!今日のお茶会の注目の的よ!」

「ありがとうございます、義母様イオがとても良い仕事をしてくれました、」

「私の付き人だもの、当たり前よ!」

そこに扉をノックする音が聞こえ、イオが扉を開けると侍女長が、

「奥様、お時間でございます、」

と言い頭を下げる、

「侍女長、どうかしら?」

顔を上げた侍女長はしばらく目を見開いたまま固まっていたが、

「奥様今日見える御夫人方で奥様だと分かる方はいらっしゃいませんよ!」

「でしょう、イオのお化粧は凄いのよ!」

「侍女長、早くマリーを連れて行って上げなさいな、エルル達が待っているわよ、」

「申しわけ有りません大奥様、で大奥様はいかがされますか?」

「私とイオはお留守番よ!皆さんが帰られたら、教えてちょうだい、」

「かしこまりました、」

「では、義母様行って参ります、」

と二人で出て行った。


玄関でエルルがロバートと共にお出迎えの為に立っていると立派な馬車が入って来て、二人の前に停まると、馭者が踏み台を抱え降りて来てドアの前に置きドアを開ける、

最初にメイドさんが降りて来て車内に手を差し伸べると、品の良いお婆ちゃんが手を引かれて降りて来る、その後豪華なこの国のドレスを来た女性が後に続いた、ロバートとエルルが一礼しロバートが、

「アルマン伯爵夫人、よくおいで下さいました、」

「ありがとう、年甲斐もなく甘みに惹かれて来てしまったわ、ごめんなさい私足が少し不自由なの、ゆっくりお部屋まで行かせて貰うわ、」

ロバートの直ぐ背後にいたエルルがいつの間にか椅子の様な物を置いていて、

「伯爵夫人様こちらにお座り下さい、お部屋までご案内いたします、」

夫人は椅子を出され少し驚いていたが、エルルに言われるまま椅子に座るとエルルに押された椅子がするすると動き出す、

ロバートさんに目配せをすると、頷き返されたのでエルルは車椅子を押してきっと若奥様だろう方とメイドさんを案内しながら屋敷の中に入っていく、

夫人は始め驚いていたが、慣れてきたのか、

「公爵家にはこんな便利な椅子があるのね、凄いわ、良かったら貴女の名前を教えて下さるかしら、」

「公爵家執事見習いのエルル・ルコルと申します伯爵夫人様、」

伯爵夫人は目を閉じ深く頷くと、

「貴女がエルルね、主人から聞いた容姿そのままだったから直ぐにわかったわ、貴女は私達の又姪に当たるわ、」

「はい、先日辺境伯様より教えて頂きました、大伯母様、」

「貴女が主人が自慢していた従姪ね、私はノウラスの妻のエバよ、」

「エルルでございます、伯従母様」

「伯従母なんて言わないで、身内なんだからエバで良いわ」

「エバ!エルルが困っているでしょう、後にしなさい、」

「はい義母様、」

エルルが扉の前まで来ると中からメイドの先輩達が扉を開け頭を下げている、その間を車椅子を押して進む、夫人とエバ様は部屋の中に驚いて口を開いたままだよ、

奥のテーブルからマリー様が、

「よく来て頂きましたアルマン夫人様、ギルガス公爵家のマリーでございます、」

「お招きに感謝するわ公爵夫人様、」

夫人の隣から、口を開けっ放しだったエバ様が、

「えっ!嘘っ!マリー?マリーなの?」

「貴女失礼よ!エバ!いくら学園の同級生だからって!」

「嘘っ!だってごめん!凄く綺麗でこの間会った時から見たら別人よ!それになんて素敵な衣装なの!」

「エバ!はしたないわよ!ごめんなさいね、公爵夫人、あと私の又姪がお世話になっているわね、この子は優しいのよ、足の悪い私の為にこんな便利な椅子を用意してくれたのよ、今日はこの子に会う為とお菓子に惹かれて来てしまったわ、」

「伯爵夫人様、わ・た・し・の義弟がお役に立てて良かったですわ、あとエルルはこう見えても男の子ですよ、」

「そうだったわね!あまりにも可愛らしいものだから、分かっていてもついね、」

やべぇー!怖ーよこの夫人会、なんて考えていたら、次々と豪華なドレスを着たご夫人方とお付きの方が入って来て皆あんぐり口を開けていたよ、最後に少し遅れた夫人が入って来てマリー様に睨まれてるよ、でもこの人マリー様によく似てる、


「皆さま今日は我が公爵家のお茶会に出席して頂きありがとうございます、これからの夜会のシーズンを力を合わせて乗り切って行きましょう!本日のお茶会は趣向を凝らしたお菓子を用意致しましたので、先に面倒なお話を終わらせゆっくりお茶を楽しみましょう、

お付きの皆さんにも席を用意してあります、エルル、」

メインの机から離れた所にもテーブルがセットされていて、

「お付きの皆様はこちらにお座り下さい、本日は公爵家の者達に全てお任せ下さい、」

と伝えると、メイド、料理人が深く頭を下げる、


日程や順番は直ぐに決まってしまい、今年の夜会は五つ開催され、予想通り公爵家は最後の開催となった。

話がまとまった所でメイドにより夫人方の前にエルル特製のハーブティーが用意され、続けて大きめの白磁の皿の上に小さめだが、美しい白の彫刻の様なケーキが置かれた、

「皆さま今日は我が公爵家の料理人が今作りましたケーキと言うお菓子を用意致しました、自慢のお菓子ですので、召し上がってみて下さいませ、」

「私はお菓子には目が無いの早速頂くわね、」

とアルマン伯爵夫人がホークをケーキに差し込み切り分けて上品に口の中に入れ、目を見開いて、

「素晴らしいお菓子だわ!この世の物とは思えない味だわ!」

と夢中で食べ出す、他の夫人方も夢中で食べると小さめのケーキは直ぐに無くなってしまう、

そんな時、料理長とロックがカウンターに作った棚に次々と色々な種類の小さめのケーキを並べて行く、夫人方の目は並べられて行くケーキにくぎ付けでしかもケーキには名前と味の紹介が丁寧に、書かれていてる、

マリーが席を立ち、カウンターの棚の前まで来て、

「皆様、今日のお茶会はバイキング形式で行わせていただきます、この様なトングという物をお渡し致しますので、机の上にある皿を持ち、こちらの棚のお好みのケーキをお好きなだけお取りになりお食べ下さい、」

皆が一斉にトングと皿を持ちカウンターに集まる、

エルルは直ぐにアルマン伯爵夫人の所に行き、

「大伯母様、こちらにご用意したケーキの詳細が描いてあります、ご希望のケーキがあれば私がお持ち致しますので、」

夫人はエルルの作ったケーキのカタログを見て目を輝かせながら、眼鏡を取り出し説明を読みエルルに注文して行く、

エルルがケーキを持って来ると、嬉々としてケーキを頬張る、

お付きのメイドさん達なんて腰を浮かせてカウンターのケーキを覗いちゃってるよ、

マリー様が、パンパンと手を叩くと、メイドさん達がカウンターの奥からケーキが三つ乗った皿をお付きの人の前にお茶と共に置いて行き侍女長が、

「公爵家からでございます、何時もお疲れ様です召し上がれ、」

顔を見合わせていたメイドさん達も一人が食べ出すと皆夢中で食べ出したよ、

エルルはカウンターに群がる夫人達をみて、

どの世界でもおばちゃんは凄いなと思っていると、先程遅れて入って来たマリー様似の夫人が、マリー様に何か耳打ちをしていて、マリー様も何か言っているよ、

ふと見ると大伯母様のお皿が空になりそうだったので隣に伺うと、

「エルル、悔しいけれどもう食べられないわ!こんな事なら、お昼を抜いてこれば良かったわ、未だ全種類の半分も食べて無いのよ、」

おばあちゃんその年で全種類食べれたら化け物だよなんて考えていると流石に皆食べられなくなったのか席に着き、マリー様が、

「公爵家のお菓子は如何でしたか?ご満足して頂ければ幸いです、未だ少しケーキが余りましたので宜しければご家族様のお土産としてお持ち帰り下さい、エルル!」

エルルはカウンターの横に行き料理長が出した白い紙の箱の中にケーキを入れて行きあっと言う間にお土産用の箱を夫人方の前に置いて行き、

「氷魔法で冷やして有りますが、生物ですので本日中にお召し上がり下さい、」

と言って頭を下げ、後ろに下がる、

先にお付きの人達が立ち上がり入り口の所に並び、マリー様に挨拶をした夫人から大切そうにケーキを抱えて笑顔で出て行く、


最後に残ったのはアルマン伯爵夫人とエバ様

それにマリー様似の夫人だ、

エバ様が、

「マリー、今度遊びに来るからそのドレスとかお化粧の事教えてね!約束よ!」

「分かったわまたね、伯爵夫人様ケーキはいかがでしたか?」

「とても美味しかったわ、今日来て良かったありがとう、エルル送ってくれるかしら、」

「はい、喜んで!」

と車椅子を押して部屋を出ると大伯母様が、

「エルル今日はありがとう、貴方のお陰で楽しい時間が過ごせたわ、主人なんて朝から付いて行くって言う事を聞かなかったのよ、だから近いうちに遊びに来てちょうだい、その時にまたケーキも作ってね、」

なんだかこのお婆ちゃんには見透かされている様だよ、

「はい必ず!伯爵様には僕の弟子を公爵家に推薦して頂いた恩義もあります、弟子と二人で近いうちにお礼に伺います、」

「確かマイラさんのお孫さんだったわね、」

「マイラさん、ノアさんにそっくりだったのよ、知ってた?」

「最近知りました、僕の弟子はイオと言うのですが、若い頃の祖母にそっくりだと言われています、」

話ながら椅子を押していると玄関まで来ていて、すでに伯爵家の馬車が止まっていた、

大伯母様が椅子から降りてメイドさんに抱えられながら馬車に乗る、

エルルは椅子を縦ににたたみ、馬車の中に入れて、驚く大伯母様に、

「大伯母様に僕からのプレゼントです、ですが、便利だと思って歩かないと本当に歩けなくなってしまいますので、適度に歩く事も忘れないでくださいね、」

馭者が扉を閉め馬車が出発しても大伯母様は窓から笑顔で手を振っていたよ。


部屋に戻ろうとしたらマリー様に呼び止められ、

「エルル、悪いのだけど片付けよりもアルクと一緒にこの子の話を聞いてくれないかしら、」

マリー様の後ろにいたロバートさんが頷くので、

「はいわかりました、でそちらのお方は?」

「私の妹のマーガレットよ、」

「マーガレットよ、可愛いい執事さん!」

「エルル・ルコルでございます、マーガレット様、」

「はいはい、挨拶が終わったのならさっさとアルクの所に行くわよ!」


主人様の執務室には執事長と、ナタリア様とイオさんがいて、部屋に入るなりマーガレット様が、

「姫殿下、王都にお戻りになっていたのですね、」

「マーガレット!殿下はやめてちょうだい!いつの話をしているの、」

やっぱりナタリア様は王族だったのか、ラスボス匂がプンプンだった物な!

「エルル!なんだか酷い事を考えてたわね!変な顔で私を見てたじゃない!」

「母上、マーガレットの話を聞きましょう、マーガレット何かあったのかい?」

「義兄上、実は我が伯爵領の鉱山にワイバーンの群れが住み着いてしまい、迂闊に鉱山に近寄れない状態になってしまい、魔石の採掘が滞ってしまっているらしく、領内より陳情がありまして、それを見た父上が二日ほど前に主人と私兵騎士団と共に飛び出して行ってしまい心配で、義兄上もしもよろしければ、身体が治ったと噂がある、騎士団長を我が家にお貸し願えませんか?」

「モントン伯爵領は王都より北へ三日の辺りだな魔石の鉱山とは有名なピレッツェ鉱山か、確かにウッディはワイバーンを討伐した事があるが、ウッディ一人では複数のワイバーンを狩る事は出来ないぞ!」

「そんな!父と主人とうちの私兵騎士団で複数のワイバーンを狩るなんて到底出来ると思えません、」

「仕方がないわね、私の元側仕えのマーガレットと息子の嫁の父親だもの助けてあげるわ、」

「本当でございますか、姫殿下!」

「それを辞めてちょうだい!私の可愛い息子が何とかしてくれるわ!」

「えっ!義兄上自らで御座いますか?」

「アルクにワイバーンが狩れる訳無いじゃない!末の息子よ、」

「姫殿下に末の息子様が?」

「エルル、どう出来そう?ワイバーンの群れらしいわよ、」

「半刻も有れば」

「マーガレット余裕らしいわよ、ただし!エルルの事は誰にも秘密にする事、それが出来るならエルルを少しだけ貸してあげるわ、」

「この可愛らしい執事さんがワイバーンを倒せるのですか?」

「貴女!エルルはうちのエドを剣で瞬殺出来る強さよ、ちなみにエルルは剣より魔法の方が得意なのよ!」

「お母さん、行くのは構いませんが、イオも連れて行きますよ、ちなみにイオもワイバーン位だったら、ワイバーンを無傷の状態で狩れますよ、」

「分かったわ、良いわね公爵様、」

「はいはい、わかりましたよ母上、エルル頼めるか?」

「はい、狩ったワイバーンを自分達の物にして良いなら、」

「マーガレット!面向は公爵家としては強力出来ないが、秘密裏に伯爵家を助けよう、くれぐれも我が弟の事で見た事全て秘密で頼むぞ!伯爵や旦那殿にもだぞ、」

「義兄上感謝いたします、お約束は必ず守ります、」

「では主人様、半刻後裏庭より出発致しますので一度失礼致します、イオさん一度実家に戻り準備しますよ、主人様地図の用意をお願いします、」

エルルはそう言い残しイオと共にその場から音も無く消えた。


半刻後裏庭にローブを深く被りおかめの仮面を付けたイオと、ひょっとこの仮面を付けたエルルが出て来て、公爵家の皆に大爆笑されちゃったよ。















ありがとうございました。

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