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お茶会の準備が出来ました。

よろしくお願い致します。



第十八話 お茶会の準備が出来ました。



ナタリアはアルクの鼻をつまんで、

「アルク!貴方は親不孝者よ!母親の顔を忘れるなんて!」

「母上!母上なのですか?あの酷い癖毛は如何されたのです?」

「何ですって!貴方は小さい頃から人の気にしている事をずけずけと言っちゃうんだから、」

ナタリアは摘んだアルクの鼻を力強く捻る、

「は、母上!痛い!痛いれす、」

「義母様、どの様にして髪を、いえ!その様な事よりどう見ても私より若く見えますよ、」

「おばあ、いえ、ナタリア母様、とてもお綺麗です!」

ナタリアはアルクの鼻から手を放し、

「ありがとう、ナターシャ、もう身体は大丈夫なの?」

「はい、伯父上に治して頂きましたので大丈夫です、」

「それは良かったアイリスも目を大切にするのよ、ナルゼはちゃんとお利口にしてた?」

「はい!おばっ!は母様もちろんですとも!ですが母様はなぜズボンを履いてみえるのです?」

「ズボンではなくて、パンツと言うそうよ、勿論女性用で移動が多い時はこの格好の方が楽なのよ、今朝もエルルの実家からエドの所に寄ってここまで来たのよ、」

アルクが鼻を抑えながら、

「では母上はこれから王都で暮らされますか?」

「いえ、行ったり来たりするわ!だから部屋を一つ用意してちょうだい、部屋は空っぽが良いわね、息子が改装してくれるでしょう!

本当だったら辺境領に連れて帰る所だけど、

可愛いい貴方達にお願いされては、断れないわ!た、だ、し!週に何日かは彼方に行って貰うわよ!あと、息子を貸してあげるのだから、イオは私が貰うわよ!イオはエルルとの修行と休み以外は私の付き人にするから、もちろんお給金は辺境伯が支払うわ、良いわよねギルガス公爵様!」

「分かりましたよ母上、ペレス!イオのメイドとしての席を抜いておいてくれ、まあ抜いたとしてもギルガスの使用人には違いないからな、

でエルル、夜会の準備の話を進めたいのだが、」

「分かりました、細かな打ち合わせの前に今日からお屋敷の改装に入ります、その前ににお母さんの部屋を作っちゃいますね、執事長空いている部屋に案内して下さい、

イオさんは僕がお母さんの部屋を改装する間に先日作ったお茶会用のケーキの見本を出して感想を聞いておいて下さい、」

「はい、分かりましたエルルさん料理長かロックさんにお茶だけ用意して貰いますね、」

「はい、お任せです!」



「執事長、この部屋で良いですか?」

「ああ、この部屋なら丁度家具も何も無い部屋だから自由に使ってくれ、」

「了解です!では改装を始めますね、」

エルルは部屋に入ると先ず白を基調とした壁紙を貼り、照明魔導具はエルルお手製の物に変え、床も暖かみのある木のフローリングを貼り変え、入り口の所に下駄箱を置きスリッパを用意する、

次に壁側に大きめの鏡台を作り、座りやすそうな椅子も二つ並べて、あとはとても座り心地の良いソファーセットと前世の記憶を思い出し作った天蓋付きベッドを設置する、衣装部屋はおしゃれな美容室に改装して衣装部屋の壁を大きな一枚ガラスに変え部屋から美容室が見える様にしてっと、おそらくすぐに必要無くなると思うけど、一応イオさん用に魔方陣を描けば完成だよ。


「料理長すいませーん、」

厨房の入り口から、見慣れない女性に呼ばれカーンは、

「どちら様かな、」

「料理長イオですよ、団らん室にお茶の用意をお願いします、」

「イオさんなのか!確かにその髪の色と瞳はイオさんだな判らなかったよ、お茶了解したよすぐに用意して持たせるよ、」

イオは団らん室に戻り試作品のケーキをテーブルの上に並べて行く、皆並べられていくケーキを見て、それぞれのケーキがまるで芸術作品の様に見えて、驚くがケーキの説明を書いた紙が置いてあり、それを読む女性の目つきが怖い、

そこにお茶のセットをトレーに乗せたスゥーが入ってきてテーブルにお茶の用意をするが、スゥーの目もテーブルの上のケーキに釘付けになっている、

スゥーがイオの前にも紅茶を出し、頭を下げるので、

「スゥー先輩私イオですが、」

スゥーはイオの顔を見直し、

「うそ!イオなの?お客様かと思っちゃったわ、別人に見えるわよ、」

スゥーは驚きながらも侍女長の横まで下がりこっそりと侍女長に、

「侍女長、美味しそうですね!あちらのイオと同じ格好をした美しい女性はどなたなのですか?」

「スゥー、大奥様よ!私も驚いたわ、それにしてもなんて美味しそうなお菓子なの、いったいどんな味がするのかしら?あとでイオに聞かなくてわね!」


「では皆様少しずつ食べていただき、気に入ったケーキを教えて下さい、ケーキの皿の前にケーキの名前と説明が書いてありますので、覚えていておいて下さいね、」

アルクを始め公爵家の方々がズラリと並んだケーキをわいわい盛り上がりながら試食している、

「あっ!ナルゼ貴女沢山食べ過ぎよ!そのケーキさっき食べてたじゃない!」

「姉上こそ、そこのミルフィーユと言うケーキを二回食べましたぞ!」

「貴女達喧嘩しない!一人一口よ!わかったわね!」

試食に加わらなかったナタリアに侍女長が、

「大奥様は試食されないのですか?」

「ええ、私はいつでも食べられるからいいわ、あとで部屋でゆっくり頂くわ!」

そこに部屋の改装を終えたエルルが戻って来て、

「お母さん部屋の準備が出来ましたよ、使ってみて不都合な所があればすぐに直しますよ、」

「ありがとう、エルルじゃあ私は一度部屋に行ってみるわ、イオ行くわよ!ペレス案内して頂戴!」

ナタリアがイオを連れて出て行くと、

「エルル!義母様はどうしてしまったの?私よりも若く見えるじゃない!髪も肌も別人の様だわ!」

エルルの肩を両手で掴みガクガクと揺さぶるマリーにアルクが、

「マリー!よさないか!エルルが白目をむいているぞ!母上の話は後だ、先ずはお茶会の準備が先だよ!皆一度座りなさい、」

アルクは皆を椅子に座らせ、

「エルル、大丈夫か?」

エルルは手で首の後ろをさすりながら、

「ええ、主人様大丈夫です!で試作品のケーキは如何でしたか?お茶会はこのケーキを使おうと思っています、」

「エルル、ゴメンなさい私ったら取り乱してしまって恥ずかしいわ、でケーキは大賛成よ、これだったら皆を驚愕させられるわね、あと今年も夜会のとりは公爵家になりそうね、」

「奥様、夜会を行う順番に何かあるのですか?」

「エルルその質問には私が答えよう、何処の貴族も見栄っ張りが多いと言う事だよ、もし最初にウチが夜会を開いてしまったらウチ以上の夜会を開かなくては、ならなくなってしまい、その後夜会を開く貴族家に恨まれてしまうよ、」

アルクは笑いながら話すが、なるほど公爵家の夜会の後で夜会を行うのは、確かに辛いかな、やっぱり暗黙の了解みたいなものがあるのかな、

「分かりました、ではケーキの感想を聞かせて下さい、」

「はい、はい!伯父上私はあのショコラと言うケーキが美味しかったです、また食べたいです!」

「二の姫様はチョコ好きの様ですね、」

「伯父上様、どのケーキも美味しかったです、私のお茶の時間のお菓子はケーキにして欲しいです!あっ、私はミルフィーユと言うケーキが好きです!」

「伯父上僕はどのケーキも美味しかったです!」

「ではお茶会の時のお菓子はケーキで良いでしょうか?」

「ええ、どのケーキも美味しかったから、エルルのお任せで良いわよ、」

「お茶会のケーキは料理長とロックさんに作って貰います、私は屋敷の改装に入りますので料理長達には使用人食堂の厨房でイオからケーキの作り方を教わって貰います、

で、奥様お茶会とは毎年どの様に行われるのですか?」

「そうねぇ、この国の上位貴族十二家の夫人が毎年この時期に集まり夜会の順番と日取りを決めるのよ、十二家だけど全ての家が夜会を開くわけではないわ、その年によって違うけれど六つ位夜会が行われるわ、でお茶会を開く家は毎年王都で人気の菓子職人に頼んだり、お抱えシェフにその家自慢のお菓子を作らせたりしてお茶会に出すの、お茶会のホストになった家は舌の肥えた夫人方を満足させないといけないから、毎年ホストの家は大変なのよ、でも今年は何の心配も無いわ!他の家の夫人達の驚く顔が目にうかぶわ!ふっ、ふふふ」

マッ、マリー様の顔が歪んじゃってるよ

こえー!怖いよ!貴族の裏の顔を見ちゃったよ!

「でっ!では他の奥様達をあっと驚かす、お茶会に致ますね、」

「そっ、そうね、エルルお願いねっ!」

急に笑顔になったマリーにお願いされ、エルルは怯えながら首をこくこくと縦に振っていた。


「こちらの部屋が大奥様のお部屋になります、」

とペレスが扉を開けて中に入ろうとすると、ナタリアが、

「ペレス!待ちなさい!この部屋は土足厳禁よ!」

ナタリアが部屋の中を覗くと、思った通り入り口の所にスリッパが並べてあり、ナタリア達はスリッパに履き替え部屋の中に入る、

ペレスは見た事が無い部屋に惚けにとられていたが、ナタリアとイオはエルルの実家を見ているので、同じ様な作りの部屋に驚きは無く、ナタリアは超御満悦で二人掛けソファーに寝そべり、

「ペレス!ご苦労様、着替えたいから下がって頂戴!あとこの部屋に入る者達にこの部屋は土足厳禁だと伝えておいてね、」

ペレスは、かしこまりましたと一礼して履物を変え出て行く、

ナタリアはイオに、

「ねぇ、イオ昨日エルルが用意してくれた私の服の中で部屋でくつろげる服はないかしら?」

「そうですねぇ、ワンピースとかも楽だと思うのですが、私は部屋にいるときはジャージで過ごしていますよ、こんなのです、」

と空間から黒のジャージを出しナタリアに見せ、

「私は黒ですが、大奥様はこちらの白で所々に金の刺繍がしてあり素敵ですよ、」

「じゃっ、ちょっと着てみようかしら、」

「では今着ている服は収納しておきますね、シャツは森の家で洗濯しておきますので脱いでこのTシャツに着替えて下さい、」

ナタリアがジャージに着替えくつろいでいると、部屋がノックされイオが扉を開けると、エルルが、

「お母さん部屋は気に入って貰えましたか?、衣装室を改装して美容室も作ってみました、」

「エルル!大満足よありがとう!」

「それは良かったです!でお母さんイオさんにお願いしたい仕事があるのですが、」

「かまわないけど、どんな仕事なの?」

「料理長とロックさんに先程のケーキの作り方を使用人食堂の厨房で教えて欲しいのです、僕はその間にお屋敷を改装しようと思いまして、イオさんお願いします、」

「分かりました、では行って来ます大奥様、」

とイオは頭をさげ、入り口まで行って履物を替えると自身で開いたゲートに入って行った。

「もう!イオさんも横着して!」

「エルル、イオも貴方だけには言われたく無いときっと思うわよ、」

「ではお母さん僕も行きますね、夕食は料理長に頼んでおきますので、主人様達と召し上がって下さい、イオさんは森の家でお風呂に入っていますが、お母さんはどうしますか?」

「もちろん私もイオと一緒に入るわ!」

「分かりました、イオさんに連れて行って貰って下さい、もしイオさんのゲートが開かなかったら、二人で手を繋いでイオさんがあちらの魔方陣に触れれば森の家に行けると思います、」

「わかったわエルル、お屋敷の改装を頑張ってね、」

エルルはにっこり笑うと音も無くスッと消え、ナタリアはエルル!貴方もじゃない!

と盛大に心の中で突っ込んだ。



エルルは屋敷の厨房に転移して、、料理長とロックに先程決まった話をする、二人はこれから厨房を改装すると言う言葉に目を輝かせ改装を見学したいと言ったが、イオから使用人食堂の厨房でケーキの作り方の指導をして貰って下さいと話したら、二人共駆け出していったよ。

エルルは廊下に出てお屋敷の大食堂と配膳室と厨房の入り口に、改装中に付きご迷惑をおかけしますと描かれたいつもの幕を張り、

三つの部屋の壁を全て取り払う、また壁が無くなる事で屋敷の強度が下がらない様補強する事も忘れ無い、

大きなホールになった部屋の隅に先ず厨房を作っていく、使用人食堂の厨房より大きめの厨房が出来上がり、これまた大きめのカウンターを付けパーティの時などの為にメイドや執事達が作業が出来るスペースも作っておく、エルルが前世で泊まった事がある高級ホテルのレストランのイメージだ、

ホールの方もイメージ通りの壁や床に張り替え、上品な椅子や机を並べて行く、

ふぅー、こんなものかな我ながら良い仕事をしたよ、流石に時間が掛かってしまったな後はトイレをちょちょいと改装して終了だよ。


お屋敷の全てのトイレを改装して廊下に出ると、ロバートさんとメイドの先輩達が主人様達の夕食を運んで行く所で、

「おつかれ様です、ロバートさん、」

「おつかれ様エルル、改装は終わったのか?」

「ええ、滞りなく終わりました、お手伝いしましょうか?どのみち僕も主人様の所に報告しに行く所でしたので、」

「直ぐそこだから良いよ、一緒に行って報告すれば良い、」


ロバートさんやメイドの先輩達が主人様達の配膳を済ませて食事が始まったので、

少し待ってから部屋に一礼して入り改装終了の報告をする、

「エルル、ご苦労様後で改装した所を見せてくれるかい?」

「ええ、構いませんが、明後日の本番までに向けて明日リハーサルを行いたいのですが

その時までのお楽しみでも良いですか?」

「ああ、わかった明日を楽しみにしているよ、」

「父上、私達は明日は学園があるのでリハーサルが見られません、ずるいです!」

それまで静かに食事をしていた、ナタリアが、

「貴女達のお仕事は学ぶ事よ、ちゃんと学園に行って来なさい!その代わり返って来たら、カーンに美味しいケーキを作って貰うから、わかったわね、」

「「はい!ナタリアお母様!」」

「では、私は料理長達と打ち合わせを致しますので失礼します、」


エルルが使用人食堂に戻ると、すでに仕事を終えたメイドの先輩達が食事を終え、料理長達が練習で作ったケーキをデザートに出して貰って大盛り上がりだよ。

エルルはカウンター越しに、

「料理長大盛況ですね、」

「はい、エルル様イオさんが丁寧に教えてくれましたからね、」

「お疲れ様、イオさん食事は食べましたか?」

「お疲れ様です、エルルさん料理長達が作ったケーキを沢山味見しましたのでお腹いっぱいです、料理長達のケーキ凄く美味しかったですよ、」

イオさんの言葉に料理長とロックさんは誇らしげな顔をしている、

「では料理長お屋敷の厨房の改装も終わっていますので、新しい厨房の確認をお願いします、基本的にはこちらと同じ作りになっていますので使い勝手が悪い所があれば言って下さいね、あと明日リハーサルを行いますので、主人様達の朝食が終わった後、打ち合わせを行います、」

「分かりました、エルル様!直ぐに厨房に戻り明日の準備を致します、」

料理長とロックさん話の途中から直ぐに厨房に行きたいのか、そわそわしていて話が終わったらすっ飛んで行っちゃったよ、

「イオさんはナタリア様をお風呂に連れて行って下さい、イオさんは辺境伯付きになったので、掃除は全て僕が引き受けます、」

「そんな!エルルさんに悪いです!」

「イオさん大丈夫だよ、魔法一発だから!」

「分かりました、その代わり森の家の清掃は私がやります!じゃあ大奥様の所に戻りますね、」

とイオが厨房から出て行くとエルルは、食堂で夢中でケーキを食べている侍女長の所に行き、

「侍女長!食事中にすいません、明日、 明後日のお茶会のリハーサルを行いますのでメイドの先輩を何人か回して頂けますか、」

「わかったわ、明日の朝礼までに決めておくわね、」

「よろしくお願いします、あとイオが辺境伯付きになりましたので、公爵家使用人寮の新人が担当する清掃は全て僕が引き受けます、女性用トイレとお風呂に立ち入る許可を下さい、」

「エルル、貴方だったら誰も文句は言わないわ!一応皆に話しておくわね、」



朝の朝礼の時間、執事長ペレスが、

「皆おはよう、すでに知っている者もいるかと思うがイオが昨日より辺境領付きとなり、大奥様の専属の付き人になった、仕事は変わるがギルカスの使用人である事には変わりないのでよろしく頼む、また今日は明日お茶会のリハーサルが行われるので担当になった者は後程新設されたホールに集合してくれ、以上!」

侍女長の周りでお茶会のホール担当になったメイドとエルルにイオが集まり食事をとりながら打ち合わせをしているとイオが、

「エルルさん、大奥様が今日リハーサルの時に大旦那様も連れて来たいと言ってみえましたが、」

「了解です、イオさんエド様のお迎えお願いしますね、」

そこに今回のお茶会のホールリーダーになったソフィアが、

「ねぇイオ、大奥様は今回のお茶会に参加なさるのかしら?」

「いえ、大奥様は参加なさりません、ですから今日大旦那様と共にリハーサルに参加したいとの事です、」

「分かったわ!じゃあ皆んな今日のリハーサルよろしくね、」

とソフィアの言葉と共に皆各自の仕事に戻って行った。


エルルがホールの厨房をカウンター越しに覗くとすでに、沢山のケーキが並べられていて、ロックさんが冷蔵庫に入れている、

「お疲れ様です、準備順調のようですね、」

「はい!エルル様この素晴らしい厨房で仕事が出来て俺っちは嬉しいです!」

「そうですよ!エルル様、素晴らしい厨房です!」

「ありがとう二人共、で二人もお茶会の時にご夫人方の目にとまる事もあるだろうから、このコックコートに着替えて!」

「エルル様、私達料理人にも衣装があるのですか?」

「もちろんです!うちの方では料理人の正装はこのコックコートですよ、早く着替えて!着替えて!」

「エルル様、似合っていますか?」

と、おっさんの上目遣いにエルルは倒れそうになりながらも、

「はい!とても似合っていますよ!」

「エルル様、俺っちの帽子と大将の帽子が違うのは何故です?」

「料理長の証しの様な物ですかね、さあお菓子を仕上げちゃいますよ!」

料理長達のケーキが仕上がると同時にメイドの先輩達が驚きと興味が入り混じった様子できょろきょろ見渡しホールの中に入って来て、

エルルはソフィア達にケーキの配り方や当日の立ち位置などを細かく指示をだしていく、

そこに執事長達と一緒に主人様達も入って来て、

「エルル、凄いぞここが本当に我が家なのか疑ってしまうほどだよ!」

「本当よ!エルル素敵な空間だわ!」

「ありがとう御座います、じきにエド様達もお見えになるでしょう、」

エルルが話終わるとすぐに、

「すまん、すまん遅れてしまったかな、」

と、エド様が作務衣姿にスリッパであらわれ、

「エド様、リハーサルだから良いですが、とても辺境伯様には見えませんよ、お休みの日の家でくつろぐおっさんにしか見えませんよ、」

ナタリアをはじめ周りの者達が一斉に、

ぶぅーっ!と吹き出す、

「息子よ、今日はお休みのおっさんなのだから仕方ないだろう、」

「ですがエド様、作務衣の上からその革のベルトはないでしょう!」

「何を言う!息子から貰った大切なベルトだぞ!何時も肌身離さず身に付けているよ!」

「父上、お元気そうでなによりです、」

「アルク、お前も元気そうだな、マリーも変わりないな?」

「はい、義父様子ども達も元気に学園に行っています、」

「うむ、話は手紙を貰ったから知っている、本当に息子が王都にいて良かった!」

「はい、義弟が居なかったらと、思うとぞっとします、」

「さぁ、皆様座って下さい、リハーサルを始めますよ!ソフィア先輩お願いします、」

ソフィアがメイドの先輩達に指示を出し、

先輩達は優雅な動きでお茶とケーキを見事に給仕する、

主人様達がケーキに舌鼓をうっていると、

カウンターに作られた棚に色々な種類の美しく飾られたケーキが並べられ、エルルが、

「皆様、ケーキのお味はいかがですか?カウンターに色々な種類のケーキをご用意いたしました、お好みのケーキをご満足していただけるまで、ご自由にお取り下さい、これが公爵家のお茶会のサプライズのケーキバイキングで御座います、」

「凄いわ!エルル!この味でさえ衝撃的なのに、その上食べ放題だなんて!」

「はい、食べ放題ですが、実際そんなに多くは食べられないですよ、たまに化け物かと思うくらい食べる方がいますが、ですから、サプライズその二で、このお持ち帰り用の紙箱にケーキを入れてお土産として持ち帰って頂きます、」

「流石は私の息子ね、参加した夫人達をここまで喜ばせるお茶会はなかなか無いわよ!」

「父上、父上は甘い物がお好きですから、お土産に持って帰られたらどうです、あちらの者達も喜ぶと思いますが、」

「アルク、ありがとう!そうさせて貰うよ、」

と、言いカウンターの方に歩いて行き、ケーキの前に立つと、ケーキが次々と消えてゆく、アルクは驚くまるでエルルやイオが使う収納魔法の様だ!

「収納魔法?」

エドモンドは悪戯っぽく笑い、

「辺境伯家の秘密だ!」

「エド!あなた全部しまっちゃったら、私がお代わり出来ないじゃない!ミルフィーユを出して頂戴!それとあちらに帰ったら皆んなにちゃんと分けるのよ!」

エドモンドはナタリアの前にミルフィーユを一つだし、

「ミルフィーユとはこれで良かったかな?」

「ええ、オッケーよ!あとマリー!貴女この後私の部屋まで来なさい!」

「はい、義母様!」

「よし皆ご苦労様!明日もよろしく頼むよ、」

メイド達がアルクの言葉に一礼する、

エルルが、

「では、リハーサルはこれくらいで皆さん明日の本番もよろしくお願いします、」

と、締めてリハーサルは無事終了したよ。






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