夜会のシーズン
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第十六話 夜会のシーズン
「エルルさーん!」
魔の森の家に戻ったイオがエルルを探しているとエルルは、厨房で料理を作っていて、
「お帰りなさいイオさん、お屋敷の方は如何でしたか?」
イオが屋敷の出来事を説明しすると、
「イオさん、ごめん!もう一度戻って執事長に明日の朝料理長達も食堂に来て貰って一緒に主人様達の朝食を作りたいと、伝えてくれるかな、」
「はい、じゃあ行って来ます!あっエルルさんお風呂は温泉に入っても良いですか?」
「ええ構いませんよ、でも彼方のお風呂掃除が終わってからですよ、」
イオさんはサムズアップをしながら帰って行ったよ。
王都のアズビー家の居間でジルと息子の二人がエルルが置いて行った酒を飲みながら、
「しかし美味い酒だなおやじ、俺はエルルは美少女にしか見えなかったぞ、あんな美少女が森の大賢者だったなんて!」
「いやおやじ、そんな事よりこの便座の設計図と、取り付け方の説明書は何時も通りギルドが特許を買い取るのか?」
「ああ、買い取り次第建築ギルドに紹介するつもりだ!今は公共工事が少ないから彼奴ら喜ぶぞ!」
「買い取り次第と言うが大賢者はお金を取らないのだろ?彼程の知識があれば巨万の富を手に入れる事だって出来るはずだ!」
「ショーン、大賢者にはお金なんて意味が無いんだよ、きっとエルルにはこの世界で手に入れられない物の方が少ないのではないかな、」
「なぁおやじ!今は公共工事が少ないのは分かるが何故彼等が喜ぶ事になるんだ?」
「これから夜会のシーズンが始まる、公爵家のトイレを使った貴族は我先にと、建築ギルドに訪れるぞ!貴族の噂は商人を介してあっと言う間に世間に広まる、こちらの資料には庶民用の簡易便座の製作法迄描いてある、ある意味一大事業になるはずだ!建築ギルドの奴等は泣いて喜ぶぞ!」
「食事も家の者から使用人まで全ての者が大賢者の夕食に胃袋を掴まれてしまったな、」
「ああ、料理人がエルルの事を神様見たいに崇めてたな、」
「クレオ、またそのうちエルルが調味料のレシピをギルドに譲ってくれるさ!」
「そうだなおやじ!この美味い酒の作り方も教えて欲しい物だ!」
親子三人が少しだけしんみりした所で、ショーンが、
「なぁおやじ、いい加減に師匠から譲られた本を見せてくれないか?」
「えっ!ショーン本って何?」
「兄貴手伝え!二人がかりでおやじを潰すぞ!」
五分後三人はジルとクレオの奥さん二人の前で正座をしていた。
イオが執事長の所に行くとペレスはお風呂に向かう所で、
「イオ、済まないが料理長の所まで行って説明してくれないか、多分まだ厨房にいると思う、」
イオは分かりましたと頭を下げ、屋敷の使用人通路から厨房に向かうと夜勤の先輩が、
「あれ、イオどうしたの?」
「先輩、私料理長の所に用がありまして、」
「偶然ね、私も主人様から、明日の朝食は必要無いと言付けを頼まれたの、」
「先輩私もその件についてなので私が料理長に伝えます、」
「イオ、ありがとう助かるわ!」
「はい、任せて下さい!」
と、イオは大きな胸をドンと拳で叩き廊下をずんずん進んで行った。
「料理長、このスープ本当にサムが作ってたんですか?」
「ああ、私がサムから直接貰って来たんだサムが作っていたよ、」
「俺っちの知らない香辛料を使っている?元宮廷料理人の俺っちが知らない調味料?異国の物なのか?」
「ロック、私も全く解らなかったサムもエルル様に教えて頂いたそうだ、」
「大将エルル様とは?」
「エルル様は先代様のご養子様だそうだ、今は公爵家の執事として働いているそうだ、」
「ご養子様が執事ですかい?でその方が料理をサムに教えたと?」
「料理だけじゃ無いんだ!厨房や食堂も改装されたそうだ、厨房や食堂を見て自分がどうかしてしまったのではないかと思ったよ、」
「俺っちも一度食堂を見てきて良いですかい?」
「あのーすいませーん、料理長みえますか?」
カーン達が振り向くと厨房の入り口に見た事が無い少女が立っていた。
「君は?」
「新人メイドのイオです、主人様と、執事見習いのエルルさんからの伝言があります、まず主人様は朝食は不要だそうです、エルルさんからは明日使用人食堂の厨房で一緒に主人様の朝食を作りたいとの事です、」
「イオさんだったね、今からエルル様にお会いする事は出来るかい?」
「料理長すいません、エルルさんは辺境領の魔の森の実家に居ますので、今は会う事は出来ないと思います、」
「確か君はエルル様の御弟子さんだと聞いたが、」
「はい、弟子でもあり主人様よりエルルさん付きのメイドを拝命しています、」
話を聞いていたロックが、
「イオさんだったかな、ちょっと待ってくれ!今エルル様は辺境領の魔の森の中の実家にいると言わなかったか?」
イオはごく当たり前の様に、
「はい、言いましたが、」
「どうやって連絡を取り合っているんだい?それに明日の朝までにどうやってこの王都の屋敷まで来るんだい?」
「エルルさんはどの様な魔法でも行使する事が出来ますので、実家と使用人寮の距離は無いに等しいです、私も空間魔法を行使する事が出来ますので先程彼方から来ました、あっ!これ公爵家の秘密ですので他言しないで下さいね、」
口をパクパクさせ言葉を発せないロックの横でカーンが、
「話は分かった!明日の朝日の出前にそちらの厨房へ行くとエルル様に伝えてくれ、あと出来たらで良いが君のクレープと言う甘味を食べさせてはくれないか?ここにある材料は何を使っても構わない、」
「はい、構いませんよそこの調理台を貸して下さいね、」
イオは調理台の上にクレープの生地と必要な具材を何も無い空間から取り出し、あっという間にクレープを二つ作り、
「お待たせしました、生クリームのクレープです、今公爵家で大人気のなんですよ!」
カーンとロックの二人は料理人らしく見た目、匂いを注意深く観察してからクレープを食べ、
「美味いなロック!俺は明日からもう一度料理を勉強して宮廷料理人達が羨ましがる料理人になってやる!」
「大将!俺も負けませんよ!」
と盛り上がっている二人を見てイオは、
「料理長、私は失礼します、では明日厨房で、」
とイオはぺこりと頭を下げ出て行った。
イオがエルルの部屋をノックすると返事がありジャージ姿のエルルが顔を出す、
「エルルさん、料理長に直接伝えて来ました、明日朝来て貰えるそうです、」
「お疲れ様ですイオさん、お風呂掃除に行きましょう!」
エルル達が女性風呂の清掃を終わらせて男性風呂に行くと、侍女長とアニー先輩の他にソフィア先輩が増えていたよ、ソフィア先輩が、
「エルル君、わたしにも洗面セットをお願い!あと今日はエルル君に髪を乾かして欲しいな、」
と言い、ウインクをバチッと決める、
エルルが、侍女長とアニーをジト目で見ると、アニー先輩は横にぶんぶんと首を振り、
侍女長は横を向き視線を合わせない、
エルルは洗面セットをソフィアに渡し、三人がお風呂に入っていくと、
「イオさん、温泉入って来て良いですよ、後は僕がやって置きます、」
「良いのですか、エルルさん!」
「ええ、構いませんよ、冷蔵庫の中のフルーツ牛乳も飲んでも良いですよ、そのかわりに今度大量に作って貰いますからね!」
「はい!任せて下さいエルルさん!ではお休みなさい、」
イオが帰って行きしばらくしてから三人が出て来て、
「あら、エルル君イオはどうしたの?」
「イオさんには先に上がって貰いました、」
「イオお風呂は良かったの?」
「はい、大丈夫ですよ、それよりソフィア先輩の髪を乾かしちゃいますよ!」
エルルに髪を乾かして貰ったソフィアの髪は見違える程美しくなりアニー先輩が、
「ソフィア先輩、それはマズイですよ!髪変わり過ぎです、」
ソフィアは髪を手ですきながらうっとりと、
「そうかしら、アニーもそう思う?私もそう思うわ!」
エルルが長い長い女性達の会話を聞き流していると救世主のジャン先輩が入って来て、
「はいはい、侍女長皆を連れて出て行って下さい、ここは男性風呂ですよ、」
ジャンの言葉にエルルは心の中で、
おーっ!勇者ジャン、剣士ジルの血を引きし者よ!と何処かの王様みたいな台詞を考えていると、ソフィア先輩が、
「ありがとうエルル君お休み!チュッ!」
といきなりほっぺにキスされちゃったよ!
慌てるエルルを見てアニー先輩は笑って手を振り出て行き、侍女長も笑いを堪えながら出て行ったよ、もしほっぺにキスしたのが侍女長だったら、ソルス様に会えそうな気がするよ!
「ジャン先輩!助かりましたよありがとう御座います、女性の方は気付いていませんが、冷蔵庫にフルーツ牛乳が入っているので、お一ついかがです?」
「ありがとう、エルル頂くよ!掃除は僕がしておくから、エルルも上がって良いよ、」
「ありがとう御座います!ジャン先輩明日の朝の朝食を期待して下さいね、」
ジャンはすっぽんぽんで手を振り浴場に入って行った。
日の出前の食堂の厨房で料理長とロックがサムに厨房の機材の使い方を教わっている、ロックは初めて見る厨房に目を丸くしていたが、サムの言葉を一言たりと聞き逃さないよう必死にメモを取っている、
「おはようございます!」
かけられた言葉に料理長とロックが食堂を見ると、黒髪の美少女がカウンター越しに見えサムが、
「エルル様おはようございます、カーン様とロック様が来てみえまさぁ!」
「初めまして、料理長、ロックさん、エルル・ルコルです、」
二人は昨晩のイオと変わらない美少女がエルルと名乗るが、自分達が思っていたイメージと合わず、戸惑っているとエルルが、
「料理長、先ずは私とサムが使用人の朝食を作りますので見ていて下さい、」
エルルはサムと共に、サンドウィッチと、ポテトサラダにコーンスープを作って行く、勿論この世界にはポテトやコーンは無く岩芋のサラダにたぶたぶの実のスープなのだが、
エルルは一つ一つ工程を丁寧に説明して行き、料理長やロックの質問にも丁寧にに答えた。
出来上がったサンドウィッチは茹でタマゴを細かく刻んでマヨネーズとあえたタマゴサンドに、森豚の厚切りスモークハムを挟んだハムサンド、フルーツと生クリームを挟んだフルーツサンドを各二つずつトレーの上の皿に置き、スープとサラダを乗せ四人で食堂で試食をする、
「エルル様、どのパンも美味しいですね、私にはパンに物を挟んで出すと言う概念が有りませんでした、」
料理長がパンを味わいながら凝り固まってしまった料理に対する意識を変えようとしている、
「大将!パンそのものから違いますよ!俺っちが焼いたパンとは全く違うパンだ!サムが焼いたんだよな?」
「へい、昨晩仕込んで朝、型に入れて焼き上げやした、」
「サム、昨晩仕込んでではロックさんに伝わらないよ!公爵家は確か平原小麦を引いた粉を使っていましたね、その粉にヌウヌウ水牛の乳から作ったバターと水、山房の実を使って作った菌を良く混ぜて、練り上げた物を一晩寝かせるんです、すると寝かされた生地は倍くらいに膨らみ、その生地を型に入れ朝オーブンで焼き上げます、」
ロックは一字一句間違えない様メモを取りながら、
「ではエルル様、パンにも色々な種類があるのですか?」
「お菓子を含めれば数え切れない種類がありますよ、ロックさん、料理長!時間がありません、お二人には主人様達の朝食を作って貰いますよ!メニューはこちらでレシピがこれです!サム、昨晩のカレー残して置いてくれたよね!」
エルルの指示で料理長とロックが料理を作って行く、当然エルルやサムより料理が上手でサムがヨダレをまた垂らしちゃってるよ、
「サム、僕達は先輩達の食事の準備をするよ!」
しばらくするとメイドさん達が食堂に集まって来て最後に執事長が入って来る、
「皆おはよう!今日は少し早く集まって貰って悪いな、この後こちらで主人様達が朝食を取られる、私達も早めに食事を済ませて仕事に入る!お詫びでは無いがエルルがサムと共に朝食を作ってくれたぞ!」
メイドさん達から歓声が上がり皆カウンターに並び、サンドウィッチが乗ったトレーを席に持って行き、サンドウィッチを夢中で食べ、スープを飲み驚いている、
料理長はカレーパンを揚げながら、
「エルル様、食べている者を見ながら料理が出来るとは最高ですね!」
「料理長、うちの方では、料理人は料理のショーをお客様に見せながら料理するんですよ!今年の公爵家の夜会は料理ショーのコンセプトでいきませんか?」
「画期的ですがなんだか恥ずかしいですね、」
「エルル様!俺っちがやります!やりたいです!」
「エルル、盛り上がっている所済まないが、そろそろ主人様達をお招きしても良いか?」
話し込んでいていつの間にかメイドさん達は仕事に向かい執事長と侍女長だけが残ってたよ、
「はい、大丈夫ですよ給仕は僕がします、あっ!食堂も清掃しますね!クリーン!」
エルルは一瞬で食堂をピカピカに磨き上げた。
しばらくすると主人様達がソフィア先輩に案内され食堂に入って来て、主人様とアイリス様はあごが外れてしまったのかと思う位、口を開いて固まっていたよ!
「おはようございます、主人様、皆様、使用人食堂へようこそ!」
「おはようエルル、見た事が無い様式の食堂だな、華美では無いが品があり落ち着くな、」
「ありがとうございます、これより料理をお持ち致します、」
アルク達の机にはすでにナイフやホークが用意されている、エルルはお盆の上にお洒落な薄いガラスのカップを乗せ運んで来て、
「お待たせしました、フルーツ入り乳の発酵ジュースです、」
ジュースを飲んだ皆は美味しいと、絶賛してエルルがこのジュースはお通じが良くなりますと、説明するとマリー様と、ナターシャ様がお代わりをたのまれたよ、
その後皆にも出した、たぶたぶの実のスープと野菜を沢山練り込んだムースを出す、
美味しそうにムースを食べるナルゼ様に、
野菜のムースだと説明するとびっくりしてたよ、
最後にサンドウィッチやカレーパン、ソーセージを挟んだホットドッグが乗せた大皿を置き、
「色々なパンをご用意致しました、どのパンも自信作ですのでお召し上がり下さい、最初は熱々のカレーパンがおススメですよ、」
皆エルルに勧められたカレーパンを食べる、
主人様は夢中でカレーパンを食べると、
「エルル!このパンはお代わりは無いのかい?」
「御座いますが、他のパンも美味しいですよ、」
「わかった、他のパンも食べてみるとしよう!」
結局アルク様は全てのパンを平らげ、カレーパンをお代わりしてたよ、そんな公爵家の皆様を侍女長、執事長、ソフィア先輩が物凄く食べたそうな顔をして見てたよ。
「エルル、ご馳走さま美味しかったよ、マリーがここで御夫人方のお茶会をしたいと言い出したのもわかるな、」
「主人様今日の朝食もいつも通り料理長とロックさんが作った料理ですよ、御夫人方のお茶会も公爵家のお屋敷で行われた方が良いかと思います、主人様のご許可があればお屋敷の厨房と隣の部屋を改装してお茶会や、夜会の会場に出来る様にしますが、」
「この料理はエルルでは無く料理長が作ったのかい、」
「はい、やはり料理長やロックさんは私と違って料理のプロです!私の提案したレシピをより美味しく作っていただけました、」
「では屋敷の改装の件だが、流石に無償では無いのだろ?」
「はい、お屋敷の全てのトイレの改装も合わせると、金貨二千枚ほどになりますが、お話如何ではかなりお安くしますよ、」
「詳しく聞こう!」
「はい、夜会のシーズンが終わりましたら私とイオを少しの間、公爵領のナハリに行かせて欲しいのです、」
「ナハリか海に面した港町だな、ナハリに何かあるのかい?」
「私は魔の森深くに住んで居ましたので海を見た事が無く、海産物を大量に仕入れたいのです、後あちらで公爵家の新たな事業がおこせるかもしれません、」
「エルル、海産物を大量に仕入れても魚や貝は直ぐに悪くなってしまうぞ、」
エルルは少し悪い顔をして、
「私とイオは空間魔法が使えますのでどれだけ仕入れても、新鮮な状態で保存することができますよ、あと私とイオが領都のお屋敷に一度寄ればいつでも行き来出来ます」
「なるほど公爵家にとっても良い事ばかりか、エルル認めよう!で改装費をどの程度まけてくれるのだい?」
「ありがとうございます!金貨二百五十枚で手を打ちましょう!」
「よし!わかった屋敷の改装費と、夜会のアイデア料として金貨三百枚払おう!皆が驚く夜会にしてくれ!」
料理長カーンがアルクの所まで来て、
「主人様いかがでしたか?エルル様に教わった料理は私の料理人人生を変える物でした、」
「料理長とても美味しかったぞ!エルルに沢山の料理を習いさらに美味しい料理を私に食べさせてくれ!」
「はい!主人様!」
その時ロバートさんが食堂に駆け込んで来て、
「主人様!ギルドの緊急連絡網を使って辺境領より手紙が届きました、」
アルクはロバートから手紙を受け取り封蝋を開き手紙を一瞬見ただけで、どんどん顔の色が青くなって行き、心配したマリーが、
「あなた大丈夫!顔が真っ青よ!辺境領で何かあったの?」
アルクの周りにいる使用人達にも緊張が走る、アルクはマリーに手紙を見せる、マリーもまた青い顔になり手紙を落としてしまう、
執事長が
「主人様手紙には何と書かれていたのです?」
ペレスは失礼しますと手紙を拾い中を見るとそこには、
(アルク!この手紙を読んだら五分以内に私の所にエルルを寄越しなさい! ナタリア)
とだけ書かれていた。
「主人様、とりあえずナタリア様の所に行って来ます、奥様夜会の順番を決めるお茶会はいつですか?」
「エルル五日後よ、」
「分かりました、遅くても二日前までには戻ります!後イオを魔の森の実家で待機する様伝えてください、では行ってまいります、」
エルルがグランドバレスのエドモンドの執務室に転移すると、凄く疲れた顔をしたエド様が執務机に突っ伏していたので、
「おはようございます、エド様!アルク様の指示により参上致しました、」
「おお!おおお!エルルやっと来てくれたか助かった!エルルが王都に行ってから、ナタリーがエルル!エルルと、毎日大変で先日アルクからの手紙を読んで私が王都に行くからと言い出してな、ではエルルに迎えに来て貰いなさいと告げたら、ギルドの緊急連絡網を使って手紙を出したんだ、部屋にいると思うからロータスに案内して貰ってくれ、」
「はいエド様、ナタリア様は一度自宅にお招きしますね、自宅で元気になって貰ってから王都の屋敷に帰ります、あとこちらの屋敷に僕と弟子の移動のための部屋が欲しいのですが、」
「エルル!弟子を取ったのかい?」
「はい、とても優秀な弟子ですよエド様が見たらきっと驚きますよ、」
「わかった楽しみにしているよ、ロータス早急に部屋の用意も頼む、孫達にお願いされてはエルルの独占は出来ないが、週に一度位はこちらにも顔を出してくれ!」
「はい!承りましたエド様!」
ロータスの後に付いて屋敷の廊下を歩くエルルが、
「ロータスさんってロバートさんのお父さんだったんですね、」
「はいエルル様、息子はお屋敷の仕事をこなせていますか?」
「はい!仕事を丁寧に教えて下さいますよ!僕の尊敬すべき先輩です!」
「その様に褒めて頂きありがとうございます、こちらの部屋は空いていますので、ご自由にお使いください、」
「ありがとうございます、部屋の中も少し改装する事になりますが良いですか?」
「はいご自由にお使いください、」
とロータスさんは頭を下げ、また廊下を歩き出す二階に上がって直ぐの部屋の前でロータスさんが部屋をノックをして、
「奥様、エルル様がお迎えにに見えました、」
ガタガタ、ガッシャーンと扉の向こうから凄い音がしてしばらくしてから、扉がゆっくり開き中からにゅぅーっと手が伸びてきて
「エルル!待っていたわよ!もうこの手は離さないから!」
と言ってロータスさんの手を一生懸命握っちゃってるよ、ロータスさんの後ろから、
「ナタリア様お久しぶりです、エルルですお迎えにに来ましたよ!先ずは僕の実家に行きましょう、紹介したい者がいます、
「あらまぁ大変!慌ててロータスの手を握ってしまったわ!エルル久しぶりね、もぅ!お母さんでしょ!後は貴方に任せるわね、」
「了解です、エド様に部屋を用意して貰っています、そちらから実家に飛びますね、」
「久しぶりのエルルの家ね、いつ来ても素敵な空間だわ!」
そこにイオがお茶とお菓子が乗ったキャスターを引いて来ながら、
「初めまして大奥様、エルルさんの弟子のイオ・タリスマンでございます、」
「エルルが紹介したいと言っていたのは貴女の事ね、」
「はいお母さん、イオと呼んで下さい、彼女も魔法の天才で空間魔法の使い手です、僕とイオにとっては王都も辺境領も魔の森もお隣みたいな物ですよ、」
「よろしくね、イオ、貴女女の子なのにズボンを履いてるのね、でもそのシャツとズボン女性が着てもカッコ良いわね、」
「はい!大奥様、凄く着心地が良くて弟子の時はこの格好をしています、」
「お母さん、このイオのズボンはちゃんと女性様の型なんだよ、僕の所では女性もズボンっていうかパンツと言うんだけど普通に履いているよ、イオさんジャケットも着てみて!」
「はい、エルルさんこんな感じて良いですか?」
とイオは空間からジャケットを出して着て見せる、
「イオ!貴女も本当に凄いのね、流石私の息子の弟子だわ!ねえエルル公爵家に行く時は私もジャケットとパンツが良いわ!あと早速温泉に入りたいわ!イオ貴女は女の子だから洗って頂戴!」
「はい、大奥様喜んでお供致します!」
「じゃあお風呂上がったら教えて下さいね、イオさんにもアロママッサージを覚えて貰います!」
「ああ〜っ本当にこのアロママッサージって最高ね!身体がとろけそうよ、」
エルルはイオにマッサージの仕方を教えながら二人でナタリアにマッサージをする、
「エルルさん、大奥様とても気持ち良さそうですよ、私にもアロママッサージして下さい!」
「イオ!ダメよ、一度このマッサージをして貰ったらエルル無しじゃ生きて行けなくなっちゃうわよ!あとエルル私の髪、癖出てきてる?」
「未だ大丈夫だと思いますが、後でもう一度ストレートパーマをかけておきますか?」
「ええ、お願いするわ!後あれから一ヶ月以上経ったけれど私の化粧品はできてる?」
やべぇーすっかり忘れてたよ!でも肌があまり強くなかった婆ちゃんの化粧品は大丈夫みたいだったから、問題ないかな、
「では、髪の後で化粧品も試してみましょう!」
イオは瞬きもしないでパーマやメイクをみている、目は初めてエロ本を見た爺ちゃんの目だ!
「どう?イオ私綺麗になった?」
「大奥様!美し過ぎですよ!エルルさん!弟子の私も美しい方が良いでしょう!私にもメイクセットと、メイクのテクを教えて下さい!」
「エルルこんな可愛い弟子なのだから、イオにも化粧品を作ってあげなさいな、私もイオと一緒にメイクのテクを習うから、」
二人共テクってどこで覚えたの、テクって不良のテクじゃ無いんだからもう!
「はぁ、分かりました明日教えますよ、明日!後明後日には公爵家に戻って夜会の準備をしますからね!」
ありがとうございました。