食堂での品評会?
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第十三話 食堂での品評会?
オーライド聖王国王都ヨツバルンにある王立魔術学園の学園長室で椅子に座る老人、名はノルド・ララ・フォン・アルマン前宮廷魔法士長であり現在は魔術学園の学園長だ、
ノルドは前ギルガス公爵よりの手紙を読み、逝ってしまった姉を思い涙を流す。
手紙には姉上に孫がいて、前ギルガス公爵エドモンドに自分達がいなくなった後、孫を頼むと言われ、孫の後見人となり養子にしているそうだ、
孫は剣聖のルコル姓を名乗り今は王都のギルガス公爵屋敷で執事見習いとして働いている、孫の名前はエルル、エルル・ルコルと言い黒髪黒目の美少女に見える男の子であるらしい、手紙の最後にはエルルがこの世ならざる知恵と英知を持ち、あらゆる魔法を使いこなし亡き剣聖と同等の強さを持つそうだ、最後にエルルを身内の者として一緒に守って欲しい旨が書かれていた、
ノルドは未だ見ぬ亡き姉の孫を思い目を閉じる。
不意に扉がノックされ、学園も終わったこの様な時間に何かと思って返事をすると、事務員の後からノウラスが入って来て、
「父上、いきなり済まない、」
とだけ話すと何も言わずに立っている、
ノルドは事務員に礼を言って退出させ、
「ノウラス、如何した?まずは座れ」
と来客用の椅子に座らせ自身もノウラスの問い面に座る、
「で、宮廷魔法士長のお前がそんな顔をして私の前に来るのだ、何かあったのだろ?」
ノルドに聞かれたノウラスはポツポツと語りだす、御前会議中に宰相が居眠りをして笑い話になったが、その後宰相がとても危険な状態である事が判り、宮廷医師長と共に何も出来ずにいる所に宮廷医師長の弟子を名乗る黒髪の少女が入ってきて、宰相の病状を見抜き頭の骨を切り取り脳内の出血部分を露出させ、ノウラスに治癒魔法を使わせたそうだ、しかもその治癒魔法に干渉したらしい、まるで幼い時に伯母上に魔法を習っていた時の様だったと話す、
「父上、今の話を聞いてどう思われました?私が気が触れたかと思われましたか?」
「いや思わぬ、ノウラスその時近くにギルガス公爵はおったか?」
「アルク殿ですか?そう言えばアルク殿は私に宮廷医師長が来たら経緯を説明してほしい、一度外すがすぐ戻ると言って出て行き、治療が終わったあと、戻らぬ少女を待っていたら帰ってきました、」
ノルドは満足そうに笑い、
「ノウラス、姉上がお前を助ける為に姿を変えて現れてくれたのだろう、」
「ノア伯母上がですか?伯母上はバレス辺境領の魔の森に住んでいるのでは、」
「辺境伯より連絡があり、三カ月ほど前に剣聖と共に冥府の神ソルス様の元に旅立ったそうだ、」
「ノア伯母上は亡くなられていたのですね、」
「ああ、辺境伯に孫を託されたそうだ、」
「父上、ノア伯母上には子供がいなかったはず、」
「うむ、姉上達の話によると、孫は赤子の時に魔の森深くで剣聖が見つけ、二人で孫として育てたらしい、S級冒険者クラスでないと住めない魔の森深くに赤子だぞ、赤子は女神様からの授かり者で自分達は孫が成人するまで育てる事が女神様からの贈り物だとまで言っていたそうだ、」
「父上、ではノア伯母上の孫は今は辺境伯の所にいるのですか?」
ノルドが不意に真面目な顔になり、辺境伯からの手紙をノウラスに渡す、
渡された手紙を読んだノウラスは、はっと顔をあげ、父の顔を見るとノルドは笑顔で頷いた。
エルルは夕食の準備を済ませ、サムにカキ氷を作って食べさせていると夜勤のメイドさん達が入って来て、
「あれ、エルル君今日王宮のお供じゃなかったの?」
「はい、僕だけ早上がりさせてもらいました、でサムの手伝いをしていたんです、」
メイド達は目を輝かせて、
「じゃあ今日の晩ご飯はエルル君が?」
「はい、僕がサムに作り方を教えた、メニューですよ!で今日の食後のデザートは、あの隅に作った屋台のカキ氷ですよ、食事が終わったらあの屋台に来て下さいね、」
「やったぁー」
とメイドさん達は喜び早速カウンターでトレーを受け取り席に持って行った、
「あれーエルルさんどうしてここに?奥様と侍女長にソフィア先輩が、屋敷のエントランスでエルルさんが帰って来ないって騒いでましたよ、」
「お疲れ様です、イオさん僕だけ早上がりで帰って来て、サムを手伝っていたんですよ!」
アニー先輩達が目を輝かせて、
「じゃあ今日の晩ご飯はなに?」
「今日は一番鶏の唐揚げとチャーハンにスープですねとても美味しいですよ、」
と夢中で食べている夜勤のメイドさん達の方を見る、
「あと今日はあそこの隅で屋台を出しているので食後によって下さいね、」
と言った時には皆カウンターに並んでたよ。
屋敷のエントランスでエルル達を待つ奥様の所にスゥーが来て、
「奥様、若様と姫様達の食事は済みましたが奥様は主人様とご一緒でよろしいでしょうか?」
「ええ、良いわよ!でも遅いわね何時もならとうに帰って来ているのだけど、」
執事長がエントランスに出て来て、
「まもなく帰ってみえますよ、」
と玄関の扉を開けると、屋敷の門が開く音が聞こえ馬車の音が大きくなり玄関の前で止まるとタログが馭者席より降りて来て馬車の扉を開けて頭を下げる、直ぐに中からロバートが降りて来てタログの横に立って頭を下げ、最後にアルクが降りて来て、
「マリー、君が迎えてくれるなんて、新婚以来だね、」
マリーはきょろきょろと周りを見て
「あなた、エルルは?」
「エルルは今日王宮で盛大にやらかしたので、早上がりで帰って来ていると思うが、」
「それを早く言ってちょうだい!!ソフィアエルルの所に連れて行って!」
侍女長が慌てて、
「奥様明日になさってはいかがです、主人様も戻られましたのでご一緒に食事になさって下さい、」
「あなた!先に食べてて私はエルルの所に行って来るから、良いわよね!」
マリーの迫力にアルクはただ首をかくかくとたてに振っていた。
エルルの屋台に夜勤のメイドさん達が来て、
「エルル君来たわよ何を食べさせてくれるの?」
エルルはカップに氷の山を作り、
「じゃぁーん!これですこの氷の山にお好きなソースを選んで下さい!おススメはイチゴと練乳のイチゴミルクですかね、」
「エルル君、どのソースも凄い色なんだけど、どんな味なの?」
「じゃあこのイチゴミルクを食べて見て下さい、黄色のレモンと、緑のメロンも美味しいですよ!」
エルルに勧められたイチゴミルク味を食べたメイドが、
「わっ!冷たくて美味しい!ねえ、貴女達皆違う味を選んで食べあっこしない?」
「そうねエルル君別々の味を作って!」
「はい、了解です」
エルルがそれぞれ違う味のかき氷を用意すると、食事を食べているメイドさん達が皆かき氷に注目していたよ。
マリーはソフィアに案内され侍女長と共に使用人寮の食堂に入り驚く、見た事がない様式の品のあるテーブルや椅子、昼の様に明るい室内、奥には厨房が見えるカウンターがあり、メイドが夕食を受け取っている、テーブルで食事を美味しそうに食べていたメイドが、マリーに気づき、
「奥様?」
その言葉に皆食事を止め席から立ち上がる、
「皆!食事中にごめんなさい、私の事は気にせず食事を続けてちょうだい、さあさあ、皆座って!座って!」
マリーはメイド達皆に声をかけ座らせると、
侍女長が空いているテーブルにマリーを連れて行きソフィアと共にに座らせ、
「奥様、少しお待ち下さい!あそこの隅で屋台を出しているおバカを呼んできますね、」
と、屋台の中でマリーが入って来た事に気付いていないエルルに、
「エルル、お疲れ様何のお店なのかしら?」
「あっ!侍女長お疲れ様です、食事は終わりましたか?今日はかき氷屋をやってるんですよ!甘くて冷たい氷菓子ですよ!」
「へえーそれは楽しみね、じゃなくて!奥様がいらっしゃってるわ、ちょっと来てくれるかしら、」
「えっ、奥様が食堂にですか?」
エルルは屋台から食堂に顔を出すとソフィア先輩が手をひらひら振っていた。
エルルがマリーが座るテーブルまで来て、
「奥様、この様な使用人の食堂までいらっしゃるなんて、何かございましたか?」
「ねえ、エルルこの様な使用人の食堂なんて言っているけど、私達のお茶会の会場にしても全然問題無いじゃない!」
マリーはジト目でエルルを見て、
「で、エルル今日の夕食のメニューは何かしら?皆凄く美味しそうに食べているのだけど、」
「今日は一番鶏の唐揚げとチャーハンにスープですね、」
「皆聞いた事が無い料理ばかりね、良かったら私にも、食べさせてくれないかしら、」
侍女長が慌てて、
「奥様!いけません奥様には、料理長が用意したお夕食がございます、」
「ずるいわ!マチルダ!皆があんなに美味しそうに食べているのよ、じゃあ正直に答えてちょうだい、貴女は私に用意された食事と、この食堂の夕食どちらも食べられるとしたら、どちらを食べる?」
侍女長は顔を背けて、
「御屋敷のお料理です、」
「嘘ね!屋敷の料理より食べたい食事って!エルルお願い用意して!」
エルルが侍女長を見ると、諦めた顔で頷いていたので、
「分かりましたご用意致しましょう、」
マリーは喜び、
「侍女長、ソフィア貴女達も一緒に食べましょう、皆で食べた方が美味しいわ!」
「でわ私達も食事を取って来ます、」
とカウンターに向かう、
エルルがマリーの前にトレーを置き、
「奥様おまたせ致しました、出来立ての熱々ですよ!」
マリーはホークとナイフで唐揚げを上品に切り分け口の中に入れて、
「なっ、何これ!美味しい!なんて柔らかいお肉なの?噛むと肉汁が溢れだすわ!」
ソフィアと侍女長も唐揚げを食べ、美味しさに驚いている、マリー様も途中から上品に切り分けるのをやめ、唐揚げをホークで刺しそのままかぶりついている、
スープを飲んでまた驚き、チャーハンを食べて味わった事が無い美味しさを堪能している。
侍女長が、
「エルル、このお肉と、穀物は凄く会うわね、私はパンケーキの次に気に入ったわ、」
エルルは笑いながら、
「侍女長はパンケーキが一番ですか、じゃあ普通のケーキとか食べたらきっと気絶しちゃいますよ、」
料理を夢中で食べていたマリー様が、
「貴女達、いつもこんなに美味しい食事をしてたのね、そう言えばナターシャがエルルが食べさせてくれたお菓子はこの世の物とは思えない程美味しかったと言っていたわね、」
エルルが周りを見渡すと夜勤のメイドさん達は仕事に行き、他のメイドさん達がエルルをじっと見ていてエルルは、
「奥様、すみません皆が待っていますので屋台に戻りますね、また後で来ます、」
エルルが屋台に戻るとアニー先輩を先頭にメイドさん達の行列が出来ていて、エルルは次々とかき氷を作っていった。
「父上、お帰りなさい!」
アルクの帰宅を知った子供達が屋敷の食堂に入って来る、食事を一人でとっていたアルクが、
「うむ、今日は王宮でトラブルがあって大変だったよ、三人共食事は済ませたのだろ、」
長女のナターシャが、
「はい父上 、で母上は如何されたのです?」
「ああ、マリーはエルルに用事があったらしくてな、今エルルの所に行っているよ、」
「えっ!母上が伯父上の所にですか?」
ナルゼの突然の問いかけに、
「ナルゼいきなりどうしたのだい?」
ナルゼは慌てて両手をぱたぱた振りながら、
「父上何でもありません、私は失礼させていただきます、」
と食堂から出て行った。
残ったナターシャが、
「父上、私も母上の所に行っても良いですか?」
「ナターシャ、マリーだけでなくお前まで行ったら、使用人達が休めないだろ、マリーも直ぐ帰って来るから、部屋で待っていなさい、アイリスもわかったな!」
ナターシャとアイリスはほっぺをぷぅーっと膨らませて食堂から出て行き、入れ替わりにペレスとロバートが入って来て、
「主人様、夜勤の者達も来ましたので、我々も失礼させていただきます、」
「御苦労、マリーが迷惑をかけるな、」
「いえ、きっとエルルが上手くお相手している事でしょう、では失礼致します、」
二人が出て行った後で、アルクは冷めてしまったお茶を飲み盛大にため息をついた。
マリーはトレーの上の食事を綺麗に完食して、
「凄く美味しい食事だったわ!料理長達が作る高級な食事とは違うけれど、癖になる美味しさだわ!ねえ、ソフィア他にどんな料理を食べているの?」
「奥様、いつもこの様な食事ばかりではありませんよ、エルルに時間がある時だけですよ、私も侍女長と同じでほんのり甘くて薄く焼き上げられたパンの上にバターを置き、上から蜂蜜をかけ、生クリームを添えたパンケーキが一番好きですね、あっ、ハンバーグカレーも大好きです、」
侍女長が周りでかき氷を美味しそうに食べるメイド達を見て、
「ソフィー、奥様と私にデザートを持って来てくれないかしら、」
「分かりました侍女長、エルルに貰って来ますね、」
ソフィアは屋台の前に行き、
「エルル君私達にもデザートを作ってくれるかな、」
「はい、喜んで!こちらのお勧めの味で良いですか?」
「どれも美味しそうだから、皆違う種類にしてくれるかな、あちらで奥様に選んで頂くわ、」
「了解です、直ぐ用意しますね、」
マリーのテーブルの上に色とりどりのかき氷が置かれ、
「奥様、お好きな物をお選び下さい、どれも美味しそうですよ!」
カラフルなかき氷を見てマリーの目が輝く!
「母上!母上!それはなにですか?」
えっ!皆が一斉に声の方に向く、
「ナ、ナルゼ!どうして此処に?」
ナルゼは目を潤ませて、
「母上がいらっしゃらなくて、父上に聞いた所こちらにいらっしゃると聞きまして、」
「まあまあ、ではあの隅の屋台に行ってエルルに好きな物を作って貰いなさい、」
ナルゼは目をパッと輝かせ、とたたたっと屋台に走っていく、
侍女長とソフィアは内心、二の姫様は他の御姉妹様達を出し抜いて来たのだと確信していた。
「伯父上、私にもあの美しい色のデザートを作って下さいませ、」
エルルは悪い顔をして、
「二の姫様、狙ってみえましたね、かき氷を作って差し上げても良いのですが、子供の姫様のお腹が冷えてしまうといけないので、姫様には、特別なデザートをご用意しますよ、奥様の所で待っていて下さい、」
ナルゼはばつの悪そうな顔をしながら、
「伯父上分かりました、」
とマリーの所まで帰って行く、
「あら、ナルゼ如何したの?」
エルルがトレーを持って来ながら、
「奥様、二の姫様ぐらいの子供はかき氷を食べると、お腹が緩くなってしまう事がありますので、特別にデザートを用意致しました、」
とトレーをナルゼの前に置く、トレーの上にガラスの器にのったプリンがあり上に生クリームが乗っていた、ソフィアが、
「二の姫様、プリンですか良かったですね、」
侍女長も、
「しかも生クリーム添えなんて羨ましいですよ、」
他のメイドさん達も、ナルゼのプリンを見て羨ましそうにしている、いつの間にか、執事長や、ロバートさん、ジャン先輩もカウンターからトレーを席に運んでいる、
「ねぇ、ナルゼお母さんにそのプリンを一口ちょうだい、」
「はいお母様、お母様のかき氷を一口下さるのなら、」
親子はお互いの口の中にプリンとかき氷を入れあい、うぅーんと、ほっぺを抑えている、エルルは失礼しますと、マリー達のテーブルについて、
「で奥様、私にどの様な御用でしたか?」
「そう!そう!美味しいデザートで忘れていたわ!エルル貴方に下着を見せて欲しいのよ!主人の許可は大丈夫よ!」
「えっ私の下着ですか?本当に?恥ずかしいので嫌です!」
ソフィアはぶぅーっと吹き出し、周りで聞き耳を立てていたメイドさん達も一斉に吹き出した、
「エルルの下着じゃなくて、貴方が持っている下着よ、わざと言っているわね!」
「奥様、まだ食事をしている男性も見えますので、少しお待ち下さい、」
「良いわ、おトイレに行って来るから、ソフィア案内して、」
「母上、私も行きたいです、」
ナルゼはソフィアに手を引かれてマリーと共に食堂から出て行く、
エルルはロバート達の所に行き、
「皆さんすいません、女性下着の品評会が始まってしまうようです、良かったら、脱衣場で酒盛りでもしませんか?うちの秘蔵のお酒と、摘みを出しますよ!」お風呂に入って美味しいお酒を飲みましょう!僕もこちらが終わり次第合流しますよ!」
執事長がものすごい勢いで、
「よし、行こうエルル、直ぐに行こう!」
とぐいぐいとエルルの腕を引っ張っていく、エルルは侍女長に直ぐ戻ると告げ、脱衣場に行き隅に小型の冷蔵庫を設置して、簡易テーブルを置き摘みの乾き物やチーズを並べる、
ジャン先輩は、冷蔵庫に感動していて、何度も開け閉めをしてるよ、
「ロバートさん、冷蔵庫にあるお酒は口当たりが良いですが、酒精が高いので、飲みすぎに注意して下さい、ちゃんと水と氷で割って飲んで下さいよ、執事長お酒好きの様なので、注意して下さい!エールの様なつもりで飲んだら倒れちゃいますよ!」
「わかった、気をつけるよお前も早く合流して来い、」
「はい、では後程、」
エルルが食堂に戻るといきなり、
「エルル!御屋敷のトイレも改装して頂戴!」
「あの、奥様落ち着いて下さい、私のお休みの日まで待って下さい、あと先約がありますのでそちらが終わってからになりますのでしばらく先になってしまいます、」
「そんな!あのおトイレを使った後で御屋敷のトイレには入りたくないわ、」
エルルは食事の片付けをしている厨房のサムに一言声をかけ、厨房と食堂を衝立でしきり簡易更衣室を並べてゆく、
その後色々な下着を着けたマネキンを並べていくと奥様やメイドさん達から、おおっ!
っと声が上がる夜勤のメイドさん達を除いて全員残っているみたいだよ、
「皆さん注目して下さい!こちらのマネキン達が着ている下着で気に入った物があれば声をかけて下さい、簡易更衣室を用意しましたので、試着して見て下さい、お値段も割引価格が書いてありますので、テーブルの上の注文用紙に名前と、マネキンに書いてある番号と希望の色、サイズを記入して下さい、後日用意させて頂きますので代金の用意もお願いします、あとこれから皆さんにクリーンの魔法をかけますので安心して試着して下さいね、クリーン!」
皆一斉にきゃっと声を上げる、イオさんやアニー先輩も真剣にマネキンとにらめっこをしていたが、クリーンの魔法がかかったら飛び上がるほどびっくりしてたよ、
奥様が一番高級素材の幻蝶のさなぎの繭から紡いだ糸を使ったちょっぴりエッチな大人の高級下着のマネキンを見て、
「エルル!これよ!これ、この下着の試着をするわ!色違いがあったら全て出して、」
エルルは悪徳商人の様な顔で揉み手をしながら、
「さすが公爵様の奥方様!お目が高い!白、黒、赤、紫、ベージュ、ピンクの六種類ありますがそれぞれ上下セットで金貨二十枚の所を、なんと!御身内価格で金貨五枚です!」
「エルル、貴方悪い顔をしてるわよ!でもこの下着上下で金貨二十枚でも破格の値段よ!私のお茶友達なら、金貨二百枚でも払うわよ!」
奥様、美人さんなんだから、そんなに鼻の穴を膨らませて力説したらダメだよ、
エルルはアイテムボックスの在庫を出す、勿論奥様に合わせてサイズ調整も忘れない、
奥様は下着を受け取ると一目散に更衣室に入って行く、
なんと侍女長とソフィア先輩も、お高い下着を着けたいと更衣室に入っている、
ナルゼ様が椅子に座り退屈そうにあくびをしていたので、焼き菓子の詰め合わせとお茶を出してあげたら凄く喜んで、もりもり食べているよ、
エルルは次々声をかけられ、オーダーされた下着を出していく、簡易更衣室も増設してフル回転状態だ!困った事は、
「エルル!エルル!ちょっと来て!」
と更衣室に呼ばれ、下着姿を確認させられる事だ、
「奥様、私は男ですので、勘弁して下さい、」
「大丈夫よ、エルルだったら裸を見られても何ともないわ!で最高の着け心地なんだけど、似合っているかしら?」
「はい、はい、とても似合っておいでです、きっと主人様もいちころでしょう!」
また何処かからエルルを呼ぶ声が聞こえる、
アニー先輩なんて待ちきれず下着姿で出て来ちゃったよ、
長い長い試着時間が終わり、今は各自テーブルの上で注文用紙に記入をしている、皆インクを付けずに書けるペンに感動していたよ、
結局全員サイズの微調整までさせられ、預かった下着にクリーンをかけて、後日お金と交換という事になったよ、
奥様達が侍女長に送られて帰り、エルルは食堂を一瞬で元に戻す、メイドさん達はエルルにクリーンの魔法をかけて貰ったので、お風呂はお休みにするそうだ、
エルルが脱衣場に入ると執事長達三人共死んだカエルの様に伸びていたよ。
ありがとうございました。