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休日なのかな?

よろしくお願い致します。



第十話 休日なのかな?


「あら、私は、どうしたのかしら、」

「おはようございます、一の姫様、お加減はいかがでしょう、」

「ソフィア、私、昨晩酷い腹痛がして、」

「はい、姫様は、大変危険な状態でしたが、

エルルが、姫様を治しましたので、もう大丈夫ですよ、」

「ソフィア、エルルとは、昨日父上が食事の時に言っていた、お爺様の養子になられた方ですね、」

「はい、ですがエルルは今は、公爵家の執事見習いで、私の同僚です、」

「そうなのですか、父上はエルルは公爵家の至宝だ、とまで言われましたが、」

「はい、エルルは、大変優秀な医者でも有り、高位の治癒術師でも有り、剣の達人で超高位の大魔導士ですよ、」

「伯父上は凄い方なのですね、で、ソフィア、先程より気になっていたのですが、その格好は何ですか?見た事も無い派手な赤い服ですね、」

「姫様、酷い!私の私服です、昨晩姫様が大変だと聞いて、部屋から、エルルと飛んで来たのですよ、」

「ごめんなさい、父上や、母上にも心配をかけてしまったわね、」

「奥様は先程までいらっしゃいましたが、お疲れのご様子でしたので、今は自室で休んで頂いています、主人様は、執事長達と、朝の会議中でしょう、」

不意にナターシャが、起きようとすると、

プゥーっと可愛い音がして、ナターシャは真っ赤になっている、ソフィアは、気付かないふりをして、

「もう少ししたら、エルルが診察に来ます、エルルの診察が終わったら食事ですよ、」

コンコンと、扉がノックされ、メイドが頭を下げて、入って来る、

「おはようございます、一の姫様、お加減はいかがですか、」

「おはよう、スゥー、ええ、昨晩のお腹の痛みが嘘の様に無いわ、」

「それは良うございました、」

「おはよう、スゥー、食事は済ませた?」

「はい、済ませて来ました、」

と、ソフィアにむかって、サムズアップをした。



アルクの執務室で、

「ペレス、マチルダ、昨晩は世話になったな、今日エルルは何をしている、」

「昨日迄の出向に、帰ってからの姫様の治療、と、流石に疲れているかと、本日は休暇を取らせました、あと、これを、」

執事長ペレスがソフィアから渡された騎士団員、全員のカルテを、アルクに渡しす、

アルクはカルテに、目を通しながら、

「昨晩も、直接エルルの治療を見たが、凄まじい力量だ、カルテにも書いてあるが、アレなら、ウッディの肩も治せるわけだ、今日は、よく休ませてやってくれ、」

と、主人様に、言われた三人は、内心焦る、

エルルは、休むどころか、皆に超絶美味しい食事を作っています、など、口が裂けても言えない、


エルルが公爵屋敷の裏にある使用人用の入り口を入ると、イオと、アニーが、大きな洗濯籠に、シーツを入れている、

「お疲れ様です、アニー先輩、イオさん、」

「エルル君、お疲れ、朝食、最高だったわ、今もね、イオと、二人で昼食をどちらにするか、悩んでたのよ、」

「そうなんですよ、エルルさん、ホットドッグセットもすごく食べてみたいんだけど、

パンケーキセットが、美味しずぎて、悩んでるんです、」

「イオさんは、甘い物が好きなんですね、じゃあ、昼食には、おやつ用の焼き菓子を小袋に入れて出しちゃいますよ、休憩時間にでも食べて下さい、」

イオは、目を輝かせ、

「本当ですか、エルルさん、じゃあホットドッグセットにしようかな、でも、パンケーキが、」

「イオ、さあ、洗い場に行くわよ、エルル君、お昼楽しみにしているわ、」

と、大きな洗濯籠を抱え、屋敷の外に出て行った。


エルルは昨晩来た姫様の部屋の前まで来ると、いつもの眼鏡に白衣のお医者さんスタイルになり、ドアをノックする、

直ぐにドアが開き、中からスゥー先輩が、

「いらっしゃい、エルル君、中で姫様と、ソフィア先輩が、待っているわよ、」

エルルは、ベットの横まで来ると、ベットの上で身体を起こし座っているナターシャに、

「おはようございます、一の姫様、お加減は良い様ですね、私は執事見習いの、エルル・ルコルでございます、」

ナターシャは、自分がイメージしていた伯父像と、あまりにもかけ離れていて、どう見ても十五歳の自分と変わらない容姿の女の子に、戸惑っていると、ソフィア先輩が、くすくす笑いながら、

「姫様、姫様が思っていたエルルのイメージと、違っていましたか?」

どうやら図星だったらしく、慌てて、

「ちょ、ソフィア、何を言っているの!」

ナターシャは、未だ自分が担がれて、いるのではないかと、思いながらも、

「初めまして、伯父上、ナターシャでございます、伯父上の事は、父上より聞いています、昨晩は、危ない所を助けていただき、ありがとうございました、」

「姫様、私は公爵家に仕える、執事見習いでございます、エルルとお呼び下さい、」

と、言って微笑む、

「ですが、伯父上は私の命を救って下さった、お医者様でもあります、呼び捨てになど出来ません、」

「では一の姫様、私が執事服を着ている時は、エルルと呼んで下さい、それ以外の時は、ご自由にお呼び下さい、あと朝食を持ってきましたが、」

すかさず、ソフィア先輩が、

「エルル、確認が取れてるわ、あと、姫様、私達だけの時は、エルル君って、呼んでいます、姫様もエルル君と呼んでみてわ、」

エルルは、鞄に手を突っ込んで、透明な薄いガラスの大きなコップの様な物を取り出し、

ナターシャの前に出すと、ナターシャや、ソフィア達も驚く、コップの中にわ、沢山の種類のカットされたフルーツが美しく水の中を漂う様に浮いている、コップはよく見ると、下から、4分の一は白くなっている、エルルは、スプーンを付けてナターシャに渡すと、

「伯父上、いえ、今はエルル先生、この美しい瓶の中に入ったフルーツを水の中からすくって食べるのですね、」

エルルは、少し意地悪く、

「姫さま、フルーツだけを食べるのは、難しいですよ、全部すくって食べて下さい、」

ナターシャは、エルルの言葉に疑問を感じながらも、スプーンを入れて、えっ、っと、驚く、水ではなく、透明な何かだ、少しだけスプーンにすくい、口に入れて、心地よい冷たさと、甘さに驚く、スプーンを深く差し込み、フルーツと、同時に食べると、くだものの甘さと絡んで、口に運ぶのが、止められない、ソフィアと、スゥーが、

「姫さま、美味しそうですね、羨ましいです、」

「ソフィア、スゥー、ごめんなさい、美味しくって手が止まらないわ、えっ、底の白い部分は、これは甘いミルクかしら、混ぜて食べたら、たまらないわ、」

エルルが、

「姫様、それはフルーツゼリーと言う食べ物です、底の方は、ミルクプリンですね、」

「エルル先生、私こんなに美味しい食べ物を食べた事がありません、もうすぐ無くなってしまうのが、残念です、」

「食欲もあるようで、安心しました、もう大丈夫ですよ、私は帰ります、スゥー先輩、後をお願いします、」

ソフィア先輩も、立ち上がり、

「姫様、私も退出させて頂きます、姫さまがとても美味しそうにお食べになるので、私もお腹が空いてしまいました、」

と、笑う、ナターシャは、

「エルル先生、ソフィア、ありがとう、エルル先生、また遊びに来て下さいね、必ずですよ、」

「はい、というか、私はこのお屋敷の執事見習いですから、明日よりこちらのお屋敷にいる事が多いと、思いますよ、」


エルルと、ソフィアが食堂に戻ると、サムが頼んでおいた、白麦草の束をウィンの所から貰って来ていて、説明書を読みながら、全自動精米機に入れている、ソフィア先輩は、食堂の変わり様に、驚いていたが、直ぐにテーブルに付き、

「エルル君、私の朝食を出して!」

エルルは、トレーを二つカウンターの奥より持って来て、

「はい、ソフィア先輩、パンケーキセットと、ホットドッグセットのどちらにしますか、先輩の選ばなかった方を僕が食べます、今朝メイドの先輩達はパンケーキが多かったですよ、」

「じゃあ、私もパンケーキセットにしようかな、」


ソフィア先輩は、パンケーキセットを夢中で食べている、エルルは、パンケーキの皿の生クリームの横にスッと、丸いアイスクリームを出し、驚くソフィア先輩に、エルルは、口の前に人差し指をおき、しぃー、としながら、

「ソフィア先輩には、いっぱい助けて貰っているので、サービスのアイスクリームです、皆には内緒ですよ、」

と、言い、ウィンクをする、

ソフィア先輩はアイスクリームを食べ、目を輝かせて、

「ヤバイは、これ、」

ソフィア先輩、綺麗な女の人が、そんな顔して、ヤバイなんて、言っちゃダメだよ、

エルルは顔を引きつらせながら、

「ソフィア先輩に気に入って貰えて良かったです、僕は、厨房に戻りますね、もう少ししたら、昼食の時間になります、」

ソフィア先輩は、エルルの言葉に、アイスクリームを食べながら、サムズアップでかえした。


厨房に入ったエルルに、

「エルル様、白麦草の実の部分を魔道具にいれやしたら、こんなのになりやした、」

と、白米を見せる、

「オッケー、ちゃんと精米出来てるね、じゃ次は、これを炊くよ、平行してカレーも作っていこう、」


しばらくすると食堂にカレーの良い香りがし出すと同時に、メイドさん達が入って来て、カウンターで、どちらを頼むか悩んでいる、エルルがメイドさん達の目の前で、バームクーヘンを切り袋に詰めて、トレーにのせ、

「バームクーヘンと言う焼き菓子を付けます、仕事の休憩時間にでも、食べて下さいね、」

メイドさん達は大喜びで、お菓子が付くのならと、ホットドッグセットを選び、肉汁いっぱいのホットドッグを、美味しい、美味しいと、食べ、バームクーヘンの入った包みを大切そうに持って、仕事に戻っていく、

アニー先輩と、イオさんも、戻って来て、

カウンターで、

「エルルさん、私、昼食が気になって、仕事が手に付きませんでしたよ、私、悩みましたけど、ホットドッグセットをお願いします、」

エルルは、イオの前で、バームクーヘンを切り分けながら、

「イオさん、仕事はちゃんとして下さいね、はい、これ、約束の焼き菓子のバームクーヘンです、」

と、ホットドッグセットのトレーに乗せる、アニー先輩も、ホットドッグセットを頼み、二人でホットドッグを夢中で食べていた。


エルルが、ハンバーグの作り方をサムに教えていると、執事長、ロバートさん、侍女長、ジャン先輩が、入って来て、カウンターの前まで来て、執事長が、

「私は朝と同じホットドッグセットで、

ロバートはパンケーキセットで良かったな、」

聞かれたロバートさんは、はい、と答え、ジャン先輩が、

「エルル、僕もパンケーキセットを貰おうかな、」

「はい、じゃあこれを、で、この包みには、バームクーヘンっていう焼き菓子が入っていますので、休憩時間にでも食べて下さい、」

「わぁ、エルル、ありがとうで、お願いが有るのだけど、仕事が溜まっていてね、今晩遅くなりそうなんだ、夕食をとって置いてくれないかい、」

「分かりました、カウンターの上に出しておきますね、」

最後に、侍女長が、

「エルル、私はパンケーキセットで、出来たらクリームを多目でお願い、あと、もうすぐ御用商人が来るから、サムにお茶を用意させて、」

エルルは、侍女長のリクエスト道理に生クリームをもう一山盛り付け、バームクーヘンの入った包みをトレーにおき、

「はい、侍女長スペシャルです、」

と、渡すと、凄く喜んで貰えたよ、


サムと、ハンバーグを焼いていると、食堂に、なんとビックリ!ジルおじさんが入って来て、残っていた侍女長の所まで来て、挨拶してるよ、

「いつもご贔屓にしていただき、ありがとうございます、アズビー商会です、」

侍女長は、ビックリして、

「なぜジル様が?」

ジルおじさんは、

「エルルが王都にいる間に、会っておこうと思ってね、」

エルルは、お茶と、焼き菓子を乗せた皿をトレーに乗せて、二人の所まで来ると、

「ご無沙汰してます、ジルおじさん、はい、お茶と、焼き菓子、」

「エルル、久しぶりだね、師匠の話は、エドモンド様からの報せで知ったよ、師匠らしい最後だったと、」

と、ジルおじさんは、寂しそうに話す、侍女長が、

「ジル様は、エルルと面識があったのですか?」

「ええ、エルルが赤子の時から知っています、ラルル様と、ノア様を除けば、私が一番付き合いが長いでしょう、私の末の息子の様なものですよ、」

「そうだったのですね、エルルは幼い頃から今の様だったのですか?」

ジルは笑いながら、

「いえ、エルルの幼い時は、鼻を垂らして、いつもノア様に甘えてばかりの甘えん坊さんでしたよ、」

「ちょっ、ジルおじさん、辞めてよ、僕成人したんだよ、恥ずかしいよ、」

「何だか、それを聞いて安心したわ、で、ジル様、今朝御用聞きに伝えた魔石の件ですが、」

「はい、こちらに、」

と、鞄から、袋に入った魔石を取り出して、

テーブルの上に並べて、

「で、侍女長様、この様な魔石を個人で大量にお求めになり、何に使われるのです?」

「ジル様、個人では、有りません、女性使用人全員で購入するのです、お安くして下さいませ、」

「女性全員で、魔石を?」

エルルが、

「ジルおじさん、トイレに使うんだよ、ジルおじさんも、うちのトイレ、知ってるでしょ、僕が男性トイレを改装したら、評判良くて、女性トイレも改装する事になったみたい、」

話を聞いた、ジルおじさんが、急に商人、しかも悪い商人の顔になり、

「侍女長、分かりました、息子と、末の息子の様なエルルがお世話になっているのです、

魔石はお勉強させて頂きます、話によっては、差し上げても良いですよ、」

侍女長の目がキラッリーンと、光り、

「続きを、」

「はい、エルルがお休みの日に、うちのトイレをこちらと同じ様に改装して頂けるなら、

改装費と、してこの魔石は差し上げます、」

侍女長は、満面の笑みでこちらを向き、

「エルル、聞きましたか、」

と言うが、笑顔で細められた目は、断るなよと、語っていた、ジルおじさんが、

「では、商談成立ですねと、侍女長に手を差し出し、侍女長と、硬い握手をする、さらに侍女長は、魔石の入った袋を渡して来て、

「じゃあ、エルル、お願いね、」

このババア、婆ちゃん並みにこき使いやがってと、内心思いつつ、引きつった笑顔で、

「了解です、ジルおじさん、じゃあ次の休みの日にね、」

ジルおじさんは、凄い笑顔で、

「じゃあ、次の休みに待ってるよ!」

と、ウインクをする、オヤジのウインクを見たエルルは、

お前は斬る、必ず斬る!と、心に誓いながら、トイレに向かった。


エルルが出て行った後、ジルが、

「おお、この焼き菓子はマドレーヌ、しっとり甘くて美味しいですよね、」

と言いながら、ジルの前に出された皿から、マドレーヌを、ひょいと掴んで、口に放り込んで、頬を緩ませる、侍女長が、マドレーヌをガン見している事に気付いたジルは、

「侍女長、良かったらお一ついかがですか?」

侍女長の顔がぱっと明るくなり、すぐに赤くなって、

「申し訳ありませんジル様、あまりに美味しそうなお菓子で、」

ジルは、笑いながら、

「そうですね、エル坊、いや、エルルが十歳前後の頃には、ルコル家の食事は、全てエルルが作っていましたよ、それがもう、皆絶品ばかりで、ルコル家に行商に行くのが、私の楽しみでした、」


不意に使用人寮の廊下から、

「伯父上、伯父上、エルル伯父上はおいでか!」

と、声が聞こえ、侍女長が、びっくりして、立ち上がりかけると、食堂の入り口に十歳くらいの少女が、食堂のなかを見て目を丸くしている、

「二の姫様、なぜこの様な所に、」

二の姫と、呼ばれた少女も、驚いて、

「あっ、侍女長、なぜこんな所に、」

「なぜでは、ありません、お一人でみえたのですか?」

二の姫様は、胸を張って、

「いかにも、伯父上にお逢いしたくてな、」

「二の姫様、エルルは今日はお休みの日です、明日から、お屋敷に上がりますので、明日までお待ち下さい、」

「侍女長、私は、先程姉上様の見舞いに行った時に、姉上様から、伯父上の話を聞いて、私も、その、ゼリーなる食べ物が食べたくて、あと今日は、メイド達が変だ、皆、美味しかった、だとか、また食べたい、だとか、

皆で、姉上も食べた、美味しい食べ物を食べているのでは、ないか?」

侍女長は、内心このお転婆姫は、鋭い!当たらずもとうからず、などと考えていると、

「侍女長、お客人か?」

「姫さま、このお方は、ジル・アズビー騎士爵様です、」

「これは失礼しました、騎士爵様、私は、ナルゼ・フォン・ギルガスでございます、」

「姫様、私は今はただの商人、ジルとお呼び下さい、」

と、挨拶を交わしたナルゼの目は、ジルのテーブルの上のマドレーヌに、釘付けで、侍女長に、

「さあ、姫さま、お送り致しますので、お屋敷に帰りますよ、主人様にここに来ていると、知れたら大変ですよ、」

と、言われ、ナルゼの目が泳ぎまくっている所に、


ただ今戻りましたと、エルルが入って来て、

ナルゼを見て、侍女長に、

「侍女長、この方は?」

「エルル、二の姫様のナルゼ様です、貴方に逢いたくて、こっそりお屋敷を抜け出して来てしまったみたいなの、」

エルルは、ナルゼに向き直り、

「執事見習いのエルルです、二の姫様、私に何か御用でしょうか?」

ナルゼは、しばらく、きょとんと、していたが、

「エルルって、貴女が、伯父上なのですか?」

「二の姫様、確かに私は、エドモンド様に後見人になって頂いていますが、今は、公爵家の使用人ですので、エルルと、お呼び下さい、」

ナルゼは、エルルの所まで来ると、

「伯父上は、姉上様と同じぐらいの、女性にしか見えません、エルル姉様と、お呼びしてもよろしいか?」

ぶぅーっと、吹き出すジルおじさんをひと睨みしてから、

「二の姫様、私は男です、せめてエルル兄様にして下さい、」

「では、エルル兄様、私も姉上が食べた、ゼリーなる食べ物を食べたいのです、メイド達も、朝から、美味しかった、とか、お昼は何にする、とか、言っている、」

エルルは侍女長に目をやると、侍女長が、やれやれとばかりに、頷くのを見て、

「わかりました、二の姫様、ご用意致しましょう、ですが、今日、ここに来た事と、ここで食べたことを、決して他の人に言っては、駄目ですよ、約束して頂けますか?」

ナルゼは、ぶんぶん首を縦にふり、

「エルル兄様、私は、今日はここに来た事と、食べた事は、他言しない、」

「では、二の姫様、こちらのテーブルで、お待ち下さい、」

案内されたナルゼは、

「この食堂は、屋敷より、洗練されていて、椅子の座り心地も、とても良い、」

などと、子供らしく無い、感想を言っている、

エルルはカウンターの隣の壁においてある、冷蔵庫を開け、中から取り出す振りをしながら、アイテムボックスより、フルーツゼリーを取り出し、トレーの上に乗せ、二の姫様の前におくと、二の姫様だけでは無く、侍女長や、ジルおじさんも、フルーツゼリーの美しさに驚く、ナルゼが目を輝かせながら、

「エルル兄様、この様に、美しい物を食べても良いのですか?」

「はい、一の姫様も美味しいと、おっしゃっていましたよ、」

二の姫様もスプーンを入れた時は、凄く驚いていたが、一口食べると、

「何という美味!」

と言って小さな身体に合わない速さで、ゼリーを、夢中で食べている、

侍女長が、

「エルル、凄く美味しそうね、で、朝から思っていたのだけど、あのカウンターの隣の銀の箪笥の様な物は、なに?あの中から、出して来た見たいだけど、」

「あれは冷蔵庫と、言って、物を冷やしておく所ですね、今晩の夕食に付けるプリンも、あそこで、冷やします、」

ジルおじさんが、

「エルル、さっきから、思っていたのだけど、もしかして今晩は、カレーかい?」

エルルは、

「さすが、ジルおじさん、匂いで分かっちゃいますよね、今晩は、ハンバーグカレーですよ、食後のデザートは、プリンですね、」

「ジャンが、うらやましいよ、」

「次の休みの日のトイレの改装の後に、ジルおじさんの大好きな、カツカレーを作りますよ、」

「おお!息子よ、ありがとう、」

と、ジルがエルルに抱きつく、

「ジルおじさん、気持ち悪いから、離れて!

作るのやめますよ、」

その時、エルルや、侍女長は、気づかなかった、小さな小悪魔が、ゼリーをたべながら、耳をピクピク動かして、一部始終を聞いていた事を、

侍女長が、

「さあ、二の姫様、誰かに気づかれないうちに帰りますよ、」

「侍女長、分かった、エルル兄様、ありがとう、美味しかったです、」

と、可愛くぺこりと、頭を下げて、侍女長に手を引かれて、御屋敷に帰っていった。


ジルおじさんに、これお土産と、焼き菓子の詰め合わせを渡すと、凄く喜ばれたよ、で、しっかり、エド様の話をして、ちゃんと家族の方に渡してね!と、念を押したら、ジルおじさんは、苦笑いをしていた、

さすが、兄弟弟子、考える事は、同じか!


気付けばもうすぐ夕食の時間で、エルルは、昨晩作っておいたプリンを、調理場の大型冷蔵庫から、カウンター横の冷蔵庫に移して

準備完了!

「サム、今日のメニューの作り方は、覚えたかい、」

「はい、ですが最初、エルル様に白麦草を食べると聞いて、驚きやしたよ、まさかあの白麦草が、こんな穀物だったとは、」

「サム、僕の料理は、作り方さえ、覚えてしまえば、誰でも簡単に出来るよ、」

エルルは、ハンバーグカレーを盛り付けトレーの上に乗せ見本を作り、メイドさんが来るのを待っていると、最初にこれから夜勤に向かうメイドさんが、来てカレーを見てびっくりしてるよ、

「先輩方、夜勤お疲れ様です、カレーを食べ終わったら、カウンターの隣の冷蔵庫にプリンが冷やしてあるので、お一つ食べて行って下さいね、」

「分かったわ、後、トイレを改装してくれて、ありがとう、早速使わせて貰ったわ、」

夜勤のメイドさん達は、カレーを一口食べ、後は、無言で黙々と食べている、仕事を終えたメイドさん達も帰って来て、ハンバーグカレーを夢中で食べている、一足先にカレーを食べ終わった夜勤の先輩達が、冷蔵庫を開け、中に並ぶプリンを出して来ると、カレーを食べているメイドさん達と、食堂に入って来た、イオさん達が、注目する、プリンを食べた先輩が、美味しい、美味しすぎる!と、感動していた。

「イオさん、お疲れ様、はい、ハンバーグカレーです、」

とイオにトレーを渡すと、

「凄い!こんなに大きなお肉が丸ごと入ってる!」

「イオさん、とっても柔らか、ジュウシィーだから、がぶりといって下さいね、後、プリンは、隣の冷蔵庫の中から、一つ出して食べて下さいね、」

「はいっ!エルルさん、」

と、目を輝かせて、返事をかえす、最後に、ロバートさん達が食堂に入って来て、

「エルル、大盛況だな、」

「ええ、ロバートさん、皆に喜んで貰えて、良かったです、」

ロバートは、カレーの乗ったトレーを見て、

「エルル、カレーのかかっている穀物は、何と言う穀物なんだ、

「うちの方では、お米と、呼んでいましたが、白麦草の実の部分ですね、食べて見て下さい、カレーに良くあいますよ、」

ロバートや、執事長達は、白麦草と、聞いて驚いていたが、カレーを食べ、美味しさにご満悦のようだ、

イオさんは、プリンを食べ、感動してたよ、


夜、イオさんと女性風呂を、清掃して男性風呂に行くと、アニー先輩と、侍女長が、ちゃっかり、洗面セットを抱えて入って来たよ。






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