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自称女神に監禁されました。  作者: もちもと
2/3

女神様はテトリスが得意らしいです。

目を覚ます。


「起きたかい?」


目を覚ますと覚えのある声が聞こえる。


「ご飯作ったから来てね。今日はカツ丼だよ。」


自称女神はニコニコとしている。

僕は起き上がり自称女神を追いかける。


「中はサクサク外はふわとろだよ!今なら!」


絶妙なタイミングで目を覚ましたらしい。


「好きでしょ。サクサクのカツ丼。」


恐るべし女神様。

寝起きなのに食欲が湧いてきた。


「もう準備は万端さ!さあ座って座って。」


椅子を引かれて促される。

目の前には非常に美味しそうなカツ丼がある。


「いただきます。」


サクサクしている。

素晴らしい。

やはり女神様は只者ではないらしい。


「美味しいだろう。そうだろう。」


うんうんと笑顔で頷いている。

そのうち女神様もカツ丼を頬張る。


「さすが僕だね!素晴らしい出来だよ!」


自画自賛するのも無理はないくらいの美味しさである。

僕も無心で頬張る。

みるみるなくなっていく。

それを見る女神様はニコニコである。


「いやぁ、そんなに早く食べなくてもカツ丼は逃げないよ。そんなに美味しいのかい?嬉しいなぁ。」


女神様は僕が食べるのを満面の笑みで見つめてくる。


「ごちそうさまでした。」


「おそまつさまです。」


食べ終えた僕たちは食器を洗う。


「にへへ。やはり楽しいねえ。僕は幸せだよ。」


いつも幸せそうな女神様の顔がさらにふにゃふにゃになる。


「洗い終わったことだし、スピードやろうか。スピード。」


やる気満々の女神様はトランプを並べる。

手加減は無しらしいので本気でやらせてもらおう。


「じゃ...始め!」


真剣な表情でトランプを見つめる女神様はやはりスピードは苦手らしく、またもや圧勝してしまう。


「強すぎるよ君は。少しは僕にも花をもたせてくれよ。」


手加減無しならどうしようもないのではないだろうか。

何度やっても結果は変わらない。

むすぅっとしている女神様はトランプに飽きたのか片付け始める。


「今度はDVD見ようか、ラブラブなやつ!」


急にテンションを上げる女神様は左手にDVDを持って近寄ってくる。

見るのであればレコーダーに入れなければならないのではないだろうか。


「見よう!」


キラキラした眼差しでDVDを渡される。

いや、だから僕に渡されても。

仕方なく僕はレコーダーにDVDをセットして再生する。


「ワクワクだねえ。僕これ見たかったんだよね!」


始まるのを今か今かと見ている女神様は子どものようで思わず僕は笑ってしまう。

そんなことにも気づかない女神様はテレビを凝視している。


『...すきだよ』


「ひゃう!これはもしかして。」


顔を隠し指の隙間からチラチラと映画を見ている。

顔は真っ赤である。


『...別れよ』


「...ぐすん。...何で。」


うるうるした真っ赤な目で見ている。

今にも涙が溢れそうだ。


『...大好きだよ』


「やったね!やっぱり二人はお似合いのカップルだよ!」


キラキラとした目で喜んでいる。

何とも表情豊かな女神様である。

見ていて飽きない。


「もう!君はちゃんと見ていたのかい!」


怒られてしまった。

いや、映画よりも女神様見ていた方が面白いのが悪いと僕は思います。


「でもよかったねえ。最後に二人は笑顔だったよ。」


あまり真剣に映画を見ていなかったため頷いて同調しておく。


「映画も見たことだし夜ご飯を作ろうかな。」


そういうと女神様はキッチンに向かっていく。

僕は料理ができないため本を読み始める。


「何作るかなー。うーん。そうだ!生春巻きにしよう!君すきでしょ!」


すきだけど、思いついて作れるようなものなのかな。

あ、ここは天界だから何でもできるのか。


「ふふーん。」


時々女神様は鼻歌を口ずさむ。

聞いたことありそうな無さそうなメロディで少し気になっていたりする。


「待っててね!すぐだからね!」


キラキラの笑顔である。

顔は大人っぽい美人なのに仕草や表情はまるで子どもだ。

しばらく女神様の鼻歌をバックグラウンドに本を読んでいると鼻歌が止む。


「できたよ!完成したよ!」


本を片付け机に向かうと美味しそうな生春巻きが並んでいた。


「沢山食べてね!」


「いただきます。」


甘辛いタレが非常に僕好みで女神様様である。

素晴らしい美味しさだ。


「僕も食べよう。...やはり僕は天才だねえ。こんなに美味しいなんてね!」


女神様はいつにも増して興奮している。

もしかして生春巻きが好きなのだろうか。


「ごちそうさまでした。」


「おそまつさまです。」


二人で食器を洗ってソファに腰掛ける。


「テレビをつけようか。ゲームでもするかい?」


ゲームか。

何があるんだろう。


「FPSからRPG、格闘ゲームにパズルゲームまでいろんなゲームがあるよ!」


何でもあるらしい。

何が好きってのはないかな。


「僕は何でもいいかな。女神様が選んでいいよ。」


すると女神様は悪い笑みを浮かべてテトリスを取り出した。


「ふふふ。負けたら勝った方の言うこと一つね!」


なんかすごい急なルールを設けられた。


「やるからには本気だよ!」


ドヤ顔である。

おそらく女神様はそのゲームが得意なのであろう。

しかし、僕はトランプでは負け無しなのである。

十分に勝つ可能性はあるはずだ。


「やった!僕の勝ち!」


負けた。

ボロ負けだ。

こんなに大差のつくゲームだったっけ。

女神様チートすぎますよ。


「約束は守ってもらうからね!」


ニヤニヤとにじり寄ってくる女神様は手をわきわきと動かしている。

何だか身の危険を感じる。


「そうだねえ。じゃあ!...」


夜。

ベッドの中で眠りにつく。


「ぬふ。いへ。くふふ。」


隣から変な声が聞こえるけど無視する。


「ぬへへ。幸せだなあ僕は。」


女神様の提案した罰ゲームは僕と一緒に寝ることだった。

というかこんな美人と一緒に寝るなんて願ったり叶ったりである。

いや、眠れないんだけど。


「すー。すー。」


女神様はそんな僕の心の中など知ったことではないらしい。

早くも寝息を立て始める。

息がかかって眠れない。


「...大好き。」


急に抱きつかれる。

僕の心臓はバクバクである。

何なんだこの女神様は。

好かれるようなことした覚えないぞ。


「...いっくん。」


女神様が好きなのは僕の知らない誰からしい。

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