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自称女神に監禁されました。  作者: もちもと
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僕は死んだらしいです。

目を覚ます。


「やっと起きたの?」


綺麗な声。


「僕は女神。君は僕の所有物だよ。」


自称女神に顔を向ける。

綺麗な顔をしている。


「どうぞよろしくね。」


その顔には笑顔が浮かんでいる。


「さて、とりあえずごはんにしようか。」


そういうと自称女神は僕の手を取り立ち上がる。

僕はベッドに横になっていたようで言われるまま自称女神の後を付いていく。


「君はハンバーグが好きだよね。ケチャップは君の自由に使っていいよ。天国でしょ?」


僕の好きな食べ物を知っているようだ。

さすが自称女神なだけある。


「僕のハンバーグは世界一、いや天界一美味しいから任せてよ。」


それは期待できそうだ。


「ソファに座って待っててね。」


言われるままソファに座ってみる。

頭が回らなくてぼーっとする。

寝起きだから仕方ないのかもしれない。


「美味しい美味しいハンバーグはすぐにできるからね。」


後ろから自称女神の声が聞こえる。

振り返れば自称女神はいつの間に着たのかエプロンをつけてキッチンに向かっている。

しばらくその顔を見ながらぼーっとする。


「そんなに見られたら照れちゃうぞ。」


少し赤い顔をした自称女神はハンバーグを捏ねている。

料理の邪魔をしてはいけないな。

僕はソファに座り直して前を向く。


「その辺の本読んでていいよ。」


言われて本に気づいた。

お、これは読んでみたかった本じゃないか。

これにしよう。


「できたよ。」


しばらく本を読んでいると声が掛けられる。

もう出来たようだ。

読んでいた本を戻そうとしたが栞がない。

次は続きから読みたいのだけど。


「君が何を考えているか当ててやろうか?

はい。栞だよ。」


さすが自称女神である。

心まで読まれるとは恐ろしい。

栞を挟んで本を戻しテーブルに向かう。


「どうだい?美味しそうだろう?」


テーブルの上には丸々と太ったハンバーグが存在を主張していた。

美味しそう。


「さあ、遠慮せずに食べてくれ。

おかわりだってしていいよ。」


「いただきます。」


ケチャップをこれでもかとかける。

そのまま僕は寝起きにもかかわらずハンバーグを頬張る。

肉汁が多すぎず少なすぎず、僕の好み通りだ。

さすが自称女神なだけはある。


「美味しいだろう。君の好み通りに作ったんだからね。」


恐るべし自称女神。

無我夢中で食べる僕を自称女神はニコニコと眺めながら一緒にハンバーグを食べている。


「ごちそうさまでした」


「おそまつさまです」


食べ終わった僕たちは食器を片付ける。


「僕が洗うから本の続きでも読んでなよ。」


作ってもらっておいて食器洗いまでされてはいけないだろう。


「いや僕が洗うよ。女神様こそ座っててよ。」


そういうと何が嬉しいのか自称女神は満面の笑みを浮かべている。


「じゃあ初めての共同作業ということで一緒に洗おうよ。」


自称女神は満面の笑みのまま提案する。

確かに二人で洗った方が早いか。

僕たちは食器を洗い始める。

自称女神はずっとニコニコである。


「僕は今とても幸せだよ。」


自称女神は僕の顔を見ながら食器を洗う。

幸せそうな笑顔である。

なんだかその顔を見ていると僕も幸せを感じる。


「じゃあ洗い終わったことだしトランプでもしようか。」


洗い終わって二人でソファに座ると自称女神はそんな提案をする。

二人でトランプとなるとそんなに種類はないだろう。


「スピードやろうね。スピード。」


二人で絨毯の上に座り直して対面する。

自称女神は真剣な表情でトランプを見つめる。

女神とトランプって勝つ可能性あるんだろうか。


「じゃあ...始め!」


自称女神はスピードが苦手らしい。

余裕で勝ってしまった。

涙目の自称女神の顔を見て、次からは手加減してやろうと決める。


「次は絶対勝つから!手加減なんて無用だよ。」


じぃっと見つめられる。

手加減はされたくないらしい。

しかし、スピードのお陰か頭が冴えてきた。

ここはどこなのだろうか。

一見ただの家の中である。


「ここは天界だよ。」


心を読まれたのだろうか。

答えがすぐに帰ってくる。


「君が住みやすいように地球の家を再現したんだ。」


なるほど。

なんでもありである。


「そして君はもう地球には帰れない。僕と一生一緒に生活してもらうよ。」


何故かドヤ顔である。

え、もしかして僕死んだの?

何も思い出せない。


「君は死んで僕がこの世界に呼んだんだよ。

大丈夫。

僕がいる限り君は幸せ。君がいる限り僕は幸せ。

二人でいれば一生幸せだよ!」


満面の笑みである。

なんだかその笑顔を見ているとそれでいいような気がしてきた。


「じゃあテレビでも見ようか。」


天界のテレビってなんだろう。

神様達が漫才やってたりするのかな。

興味が湧いてくる。


『...なんでやねーん!』


「うひひ!やっぱ面白いねこの番組!」


女神様はお腹を押さえて変な声で笑っている。

僕も一緒に笑う。


『...続いてはニュースです。日経平均株価が...』


「あら、大変だねえ。」


大変そうだ。

うん。


『...九州地方の天気は...』


「明日は晴れだって!やったね!」


おお、晴れか。

...そろそろツッコむべきなのだろうか。


「はー。今日も地球のテレビは面白いね。」


この天界には地球の電波が入ってきているらしい。

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