メディカルルーム#1おかしな病院-9
「キャプテンに会うことはできません」
キャプテンに相談することもなく、美人ナースに却下される。
優奈は必死で訴えるしかない。
「別にすぐにじゃなくてもいいの。忙しいなら待ってるますから。お願いします」
「できません。キャプテンに会えない理由は『会う』ことが不可能だからです」
美人ナースのすげない対応は、ロボットだと言われても苛立ってくる。
携帯電話の音声認識機能でも少しマシな対応が出来ると思う。
「別に会わなくても、さっきの電話みたいな感じで、話したいんです。途中で切れちゃったでしょ」
「会話は可能です。キャプテンを呼び出します」
やっと美人ナースに通じる言葉で話すことが出来たようだ。
やっとの思いで、キャプテンと話す機会を掴み取ったことに、優奈は小さくガッツポーズを作る気持ちになったが、実際には指先が布団を少し引っかいただけ。
動かない体を疑問に思っていると、いきなりの大音量が響いて、体がびくつく。
『偉い!よくやった!覚醒から僕との直接会話まで持ち込んだのはまずまず早い。今までの中では上位に食い込むくらいいい判断だ。君の声を聞かせてくれ。名前は木内優奈か。よし、優奈だな』
キャプテンと呼ばれていた、先ほどの男性の元気な声に圧倒される。
びっくりして肩は小さく動いたが、耳を塞ぎたくても動かない腕では何の仕事もしてくれない。
キャプテン(?)登場