メディカルルーム#1おかしな病院-8
「日本ですか?」
最初に日本語選択、と言ったのだから、日本語以外も選択肢があるということ。
パソコンでも、基本言語を選択することができるのと一緒だ。
「いいえ」
看護師が口にした否定の言葉には覚悟というか、予想していた。
海外なのだ。
それも、これだけ精巧なロボットを作る技術があり、かつ不自然ながら綺麗な室内を提供できるところ。
ますます、自分がなぜここにいるのかが疑問になる。
日本人の両親を持ち、日本で生まれ育ち、ずっと日本から出たこともなく、海外旅行には夢を抱いていたが、残念ながらやっと大学に入った身分の優奈にそんなお金はない。
その前にまずパスポートがないはずだ。
日本以外であることがわかっても、『どこ』という場所の特定の仕方に頭を悩ませる。
「あ、住所!住所教えて」
「SHIRWは常に同位置にいません。そのため、住所はありません」
ああ言えばこう言う、というのはまさにこのことだと、優奈は頭の中だけで地団駄する。
話の通じる人を連れてきて!と叫びたくなったことで、優奈はナース以外の人から教えてもらったらいいことに気づく。
「看護師さん以外の人呼んできて。さっきのキャプテンさんとか!」
我ながらいい案だと思い、優奈は得意気な笑みがこぼれる。
しかし、
そうだ、キャプテンがいた