メディカルルーム#1おかしな病院-6
またもやどこから突っ込んだらいいか分からず呆気に取られた優奈は、美人を見つめ返すことしかできなかった。
頭を抱えたくなったが、腕は動かず叶わない。
今の回答では何一つ疑問の解決にはならないし、親切じゃないし、まともな会話ではない。
しかも、美人ナースは追い討ちをかけるように、優奈を見つめ続けてる。
「何なの・・・」
優奈は思わずため息とともに言葉を零す。
ただの独り言に対して、美人ナースは少し間を入れて口を開く。
「認識に失敗しました。質問を再度入力してください」
遊びのない美人の返事から現実逃避した考えに行き着く。
彼女の話し方は、まるで音声認識の機械だ。
人工知能搭載のアンドロイド、サイボーグ、人型ロボット。
そう思ったら、不自然な話し方にも納得がいく。
しかし、不自然なのは発言と態度だけで、あまりに自然に見える顔や滑らかな動作は普通に人間のようだ。
間近で見た手も、焦点が合わなかったけれど、特に違和感を感じなかった。
優奈は決心して口を開く。
「貴女は誰ですか」
「私はHBWR試運転機、型番ROX37164289・・・」
元々英語は苦手な上、英数を並べられたら頭が痛くなる。
美人ナースの固い口調に、無表情が続けば当たり前に冷たく悪い印象が蓄積されていく。
しかし、『型番』とまで言われては、まさかの想像が正解だ言われているようなもの。
優奈はダメ押しの確認に手を伸ばす。
「待って。質問を変えます。貴女は、ロボットですか?」
確認作業