メディカルルーム#1おかしな病院-5
これ以上の発言がなさそうなナースに優奈は諦めて話しかける。
「あの、病院かどうかはこの際どうでもよくて、ここ、どこ?って話なんですけど。白衣着てるから、あなた看護師さんですよね?私、どうなってるんですか?」
優奈としてはありとあらゆることが疑問だし、何でも良いから一つずつ解明してほしい。
何もわからない状況が続くのは男性の言うとおり、恐怖心を伴う。
小さい頃から人よりは余分に病院に行っているから慣れているつもりだが、間違いなく今回が一番不自由で不快な気分。
知っている看護師さんはほとんどみんなマスクをしていて目元しか見えなかったけれど、柔らかく微笑んでいるのは見ればわかったし、優しく声をかけてくれて、つい甘えてしまうな人たちばかりだった。
なのに、目の前の人はどうだろう。
美人ではあるが、身をかがめることなく姿勢よく立っている状態から見下ろされ、笑顔もなく、辞書を引いたみたいな返答しかできないナースに不信感が募ってくる。
「『ここ、どこ』への回答。SHIRW船内第2医療室です。白衣を着ているから、イコール看護師である、という方程式はありません。よって、私は看護師ではありません。『私、どうなっているの』を『HPS-20130920がどうなっているか』に変換しましたが、質問に対しての回答が多すぎます。取得したい回答を選ぶために質問を具体化させてください」
美人ナースは優奈に話をし終えると、また電池が止まったように沈黙した。
流暢に出てくる言葉はある意味間違いはないのだろうけれど、疑問を解消するには至らない。
何言ってんだ?