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第四章 海の秘宝

第4章です。第5章からは2巻がなくなり次第、載せていこうと思っています。

「本当に行くのか?」

『海の秘宝』を求めて改めて出発する前に、メイルがそう念を押すと、ファティは胸を張って自信満々に請け負った。

「もちろんです! 『海の秘宝』は必ず見つけてみせるです! それとも、メイルは来ないつもりですか?」

 その言葉を聞いた時、メイルの心は決まっていた。

 メイルはすぐにこう言っていた。

「わかった。 俺も付き合うよ」

 むしろ、そのメイルの台詞に不思議そうな表情を浮かべたのは、ファティの方だった。

「・・・・・本当に一緒に行ってくれるですか?」

 メイルは答えた。

「・・・・・仕方ないだろう。 ・・・・・俺は、おまえの保護者みたいなものだからな」

「さすが、メイルです。 話が分かるです〜♪」

 メイルの返事を聞いて、ファティは輝かんばかりの笑みを浮かべた。

 かくいうわけで、ファティとメイルは『海の秘宝』を求めてインリュース大陸へと向かったのである。

「あ、ああっ!? です」

 深い密林を抜け、色とりどりの鮮やかな花が咲き誇る花畑へと出たとき、メイルを先導していたファティが歓声を上げた。

「見て下さいです! メイル!」

 ファティが花畑の先を指差した。

メイルの目にも、彼女が指差す方向に何か大きな建物がそびえているのが確認できた。

「宮殿です!」

 と、ファティは叫んだ。

「こんなところに宮殿があるです! きっと、ここに『海の秘宝』が眠っているんです!」

「・・・・・本当か? 『海の秘宝』は確か、海を回遊しているんじゃないのか?」

「う、うん! そうです! そうです! きっと、あそこから海の中に入れるのです!」

「・・・・・今、何かすごく適当に言ったような――」

「大丈夫です! 早速、行くです!」

 言い終わるが早いか、ファティは遠く見える宮殿に向かって駆け出した。

「あっ、おい! ちょっと待てよ! ・・・・・な―んか、無理やり流されたような気がするな」

 ぼやきながらも、メイルもファティの後を追った。


「・・・・・しかし、本当にここから『海の秘宝』がある場所に行けるのか?」

「大丈夫です! 大丈夫です!」

「けれどな、とても、『海の秘宝』にたどり着けるような宮殿には見えないが」


 宮殿に足を踏み入れたメイルは、奥へ奥へと歩みを進めながらも、首を傾げた。

 かっては綺麗に磨き上げられていたであろう大理石のいたるところに、深い亀裂が穿たれている。堅牢(けんろう)に宮殿を支えるべき柱は、ある物は崩れ落ち、ある物は倒れ、今でも上階を支えているものでも、無傷で済んでいるものはほとんどない。通路と個室とを遮るはずの扉もほとんどが無残に砕かれ、床の至るところに割れたステンドガラスなどさまざまなものが散乱してしまっている。

まるで、小型の台風が、宮殿の中を蹂躙(じゅうりん)しつくしたかのような惨状だった。

本当にこんなところから『海の秘宝』がある場所へと行けるのだろうか?

もし本当にここから『海の秘宝』がある場所に行けるのなら、この宮殿に一体何が起こったというのだろうか?

メイルは疑問を抱かずにはいられなかった。

「・・・・・ん?」

 ふと気がついて、メイルは足を止めた。

「どうかしたですか? メイル」

 前を行くファティが不審げに訊ねてきた。

 メイルは通路をじっと見つめながら問いかけた。

「・・・・・いや、その、そこに落とし穴みたいなのがなかったか?」

「――えっ? です」

 だが視線を移す前に、ファティは勢いよく落とし穴に足を踏み込んでしまっていた。

「えええええっ〜〜〜〜〜んっっ!!! めっ、メイル、もっと、早く言って下さいですゥゥゥゥゥ!!!!」

強烈な墜落感にさらされながら、ファティは思いっきり絶叫した。

次の瞬間、強烈な痛みがファティの頭の頭頂部を襲い、ファティの意識は混濁した――





「――おい。 どうしてファティ様が天井から降って来るんだ?」

「そんなこと、俺に聞かないで下さいよ」

「貴様もファティ様と同じイドラだろう? なら、分かるはずだ!」

「そんな無茶苦茶な・・・・・」

 ・・・・・聞き覚えのある男の人と少年のやり取りが頭上から聞こえてきた。うっすら瞼を開くと、そこには声から想像できたように、二人の青年と少年が言い争いのようなやり取りをしていた。

「どうだ、フレデリカ! この俺様の正確無比な情報は!」

 と倣岸不遜な調子で言ったのは、青年の方だった。鮮やかな赤い髪に、紫のマントを風になびかせている。

自称・名剣豪のエレジタットだ。

「さすが、エレジタット様ですわ!」

そんな彼にパチパチと拍手を送ったのは、フレデリカと呼ばれた黄緑色の長い髪の女性だ。

「素晴らしいです!」

「どこがですか!?」

 その台詞に、もう一人の少年の方がすかさず反論した。

 茶色の髪からはアンテナのようにちょこんと一本の毛が立ち、腕には少し大きめの腕輪をしている。

 そして何故か、この少年を見ていると不思議な懐かしさと、そして悲しみを覚えた。

 そんな風に思うのはきっと、この人が私と同じだからなんです!

 ファティはその少年を見て、何となくピンときた。

 まだ少し頭がぼんやりしていたけれど、ファティは身体を起こして少年の方に呼びかけた。

「ねえ、ねえ、あなたって――」

「え、ええっ!?」

「おおっ! ファティ様が生き返ったぞ!」

 少年とエレジタットが同時に声を上げる。

ファティは立ち上がり、少年に対して少し強めの――でも嬉しそうな口調で言った。

「私と同じイドラの人ですよね? わぁ――い! 会いたかったです!」

「今の台詞を聞いた? ルーン」

「もちろん、聞いたよっ!」

 ファティの言葉に、彼らの背後で傍観していた二人の少女――テレフタレートとルーンは目を輝かせて顔を見合わせた。

「レシオンと同じイドラってことは――」

「うんうん!」

 テレフタレートの言葉に対して、ルーンはそれに答えるように相打ちする。

 すかさず、テレフタレートがビシッとファティを指差した。

「あなたが魔王さんの娘とかいうファティね!」

 テレフタレートだけではなく、ルーンも期待に満ちた瞳をファティの方へ向けている。

「えっ!? じゃあ、君がエレジタットさん達が言っていた――」

 茶色の髪の少年――レシオンの言葉を遮り、ファティは力強く言い切った。

「はい! です。 私が魔王の娘のファティ=リファナ=ルフィアです!」

「魔王の娘の器とかじゃないけれどな・・・・・」

 すかさず、メイルがボソッとつぶやく。

「わあっ! あなたが魔王さんの娘さんなのですね! 初めまして、私、ルーンって言います!」

「・・・・・う、うん! よろしくです!」

 ルーンは照れるファティに構わず両手を握り、ブンブン上下に振りながら言った。

「あ、あの、私達、魔王さんにどうしても会いたい用があるの。 ねえ、私達も一緒に行ってもいいかな?」

 ドキドキワクワクしているルーンに、レシオンは不安げにつぶやいた。

「あ、あのー、それはまずいんじゃ・・・・・」

「えっ、どうして?」

 レシオンは横目でエレジタットを見つめた。ルーンもエレジタットを見つめる。

 レシオンとルーンに見つめられて、エレジタットがひとしきり晴れやかな笑顔を見せる。それを見て、ルーンもほっとしかけて――。

 むぎゅっ!

 エレジタットが思い切り、ルーンとテレフタレートの頬をつね上げた。

「いつまで寝ぼけたことを抜かしている!? 誰が『魔王さん』だ。 そんなたわけた言葉を吐いたのはこの口か、この口かっ!?」

「いっ、いたたっ・・・・・!」

「いたたた、痛い、ちょっとっ! あんた、また何するのよ?」

「エレジタット様は魔王様のこと、心酔なさっていますから」

 フレデリカがそう言って、にっこりと笑う。

「そんなの別にいいでしょ! 魔王さんのことな・・・・・」

 不満げに声をあげるテレフタレートに、エレジタットはますますムッとなる。

「まだ言うか、貴様」

 むぎゅむぎゅむぎゅっ!

 エレジタットはさらにデタラメに、テレフタレートの頬をこねくり回す。

「痛い、痛いってば――!」

「うるさいうるさい! 問答無用だ!」

「痛いって言っているでしょうがっ!」

 ばきっ!

 長年、武道家として鍛え上げてきた習慣とは恐ろしい。テレフタレートはバックステップでエレジタットの手を避けると、またもや、無意識のうちにがら空きになったエレジタットの顔面に、右拳を叩き込んでいた。

「ぐわぁっっ!?」

 と叫んで、エレジタットは地面に大の字にひっくり返り、そのままピクピクと痙攣した。

「エレジタット様っ!」

 フレデリカが悲鳴を上げて、エレジタットに駆け寄る。

 その様子を、テレフタレートは少しぶつぶつと自己嫌悪に陥りながらもじっと見つめていた。

「あっ、あはは・・・・・。 まあ、運が悪かった事故ということで・・・・・」

「あのな・・・・・、テレフタレート・・・・・」

「何よっ! 私は悪くないのよ! 悪くないんだからねっっ!!!!!」

 唖然とするソーシャルを尻目に、テレフタレートは途方に暮れたようにそう絶叫するのだった。





 三十分ほど宮殿を探索してみたが、人や魔物に出会うことは一度もなかった。街であれだけ騒がれていたのた。レシオン達よりも先に『海の秘宝』を求めてこの宮殿を訪れた人達がいてもおかしくない。この辺りには、この宮殿以外にめぼしい場所はなく、だからといって、この場所がさして探索が困難な場所にあるわけでもない。それなのに、誰一人さえ発見できないというのはとても奇妙なことだった。

レシオン達は首を傾げながらも探索を続けた。おそらく、宮殿の中心にほど近くまで来たあたりだろう。テレフタレートと並んで前列を歩いていたレシオンが足を止めた。

「あのひとつ、訊いてもいいですか?」

「えっ、なんですか?」

 ファティは首を傾げた。

「ファティさんはどうやってこの世界に戻ってきたんですか? ひょっとして、ファティさんは元の世界に――エスタレートに戻る方法を知っているんじゃないんですか?」

「今は知らないですよ」

「ええっ!? で、でも、ファティさんはエレジタットさん達とエスタレートに来ていたじゃないですか!! それに、俺やファティさんのイドラの力があれば帰れるみたいなことをエレジタットさん達は言っていたのに!!」

 ファティの言葉を聞いて、レシオンは叫んだ。

「そうですね」

 のんきに、ファティはレシオンの叫びに応えた。

「私達の場合は、エレジタットさんが持っていたアイテムを使って来たんですよ」

「それだぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 突然、エレジタットが絶叫した。

 何事かとレシオンだけでなく、テレフタレート達も弾かれたように振り返った。

「ええっ?! いきなり叫んでどうしたんですか? エレジタットさん?」

 あまりに予想外なエレジタットの行動に、レシオンは口をパクパクさせてしまった。

「俺達はそのネフなんとかで来たんだ!!」

「違うです! 『ネフライト』ですよ!」

 ファティは真剣な顔で訂正した。

 何故か、こういう意味のないことだけはムキになるだよな。

アプリナは・・・・・。

 メイルはしみじみとそう思った。

 そんなエレジタット達を見て、テレフタレートは胡散臭げにつぶやく。

「何だか、今更、思い出したみたいな言い方ね・・・・・。 あんた達・・・・・」

「みたいな・・・・・ではないぞ! そのとおりだぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「・・・・・よっ、余計悪いわよ!!」

 テレフタレートのつぶやきに、エレジタットはあらん限りの絶叫を搾り出して応えた。

 そんな二人の様子に笑みを浮かべつつも、レシオンはファティに訊いた。

「じゃあ、どうしてファティさんはこの世界に戻って来れたんですか?」

「分からないです。 エレジタットさん達を探してニルヴァナの谷まで来たのはよかったのですが、足を踏み外して谷から落ちてしまったんです。 そしたら、いつのまにかこの世界に戻れていたんですよ!」

 なんてこともないようにファティは言った。

「そ、それはすごいですね。 谷から落ちたら戻れたなんて・・・・・まるで・・・・・!?」

 そこまで言って、レシオンはハッとした。

 そうだ・・・・・。

 まるで俺達と同じだ。

 俺達もあの谷から落ちて、この世界に来たんだ。

 それってつまり、あの時、俺達の近くにファティさんがいたっていうことになるんじゃないか。

 だから、その『ネフライト』も反応して、この世界へのゲートを開いたんじゃないだろうか。

 あの時、感じた不思議な感じは、もしかすると、その『ネフライト』によるものではないだろうか。

 だったら・・・・・!

 レシオンの方を見て、ファティは明るく言った。

「このアイテムを使うためにはかなりの魔力を持っていないといけないんです。 でも、エレジタットさんもフレデリカさんも魔力はほとんど持っていなかったんですよ。 だから、この世界へのゲートを開けることができなかったんです」

「つまりですね」

 フレデリカがファティの言葉を引き継いで言った。

「この世界に戻りたくても、ファティ様がいないあの状況では戻るわけにもいかなかったですし、それにファティ様がいなければ、私達にはあのアイテムを使うことはできなかったんです。 だから元の世界に戻るためには、イドラであるあなたか、ファティ様を探すしかなかったんです」

 レシオンはそれを聞くと、期待を込めて言い募った。

「あの、それなら、そのアイテムがあれば帰れるんじゃないんですか?」

「無理だな」

 エレジタットが即答した。

「なっ、何故ですか?」

 それを訊いて、レシオンは動揺した。

「この世界に戻る時に、その『ネフライト』をなくしてしまったからな。 どうもあの谷に落としてしまったらしい!! ははははははははっ!!!!!」

 そう答えると、エレジタットは高笑いをした。

「だから、わ、笑い事じゃないって・・・・・」

 レシオンは悲しげにガクッと肩を落とした。



「・・・・・結局、『海の秘宝』の手がかりは、この『海の秘宝』を見たという人の絵だけか」

 ソーシャルは手に持っていた一枚の絵をじっと見つめた。

 絵には、人物らしいものとどこかの背景しか描かれていない。

 視線を転じて、ファティに向かって声をかける。

「・・・・・ファティさんは、この絵がどういう意味を表しているのか分かりませんか?」

「つ、ついに私が推理する時がきたですね!」

「・・・・・大丈夫かよ」

 自信満々で告げるファティに、メイルは疲れ果てたように溜息をつく。

「大丈夫です! ずばり、これを描いたのは宇宙人です!」

 やっぱりか・・・・・。

 分かりきっていたこととはいえ、メイルは落胆した。

 そんなわけないだろうが・・・・・。

 だけど、当のファティは、絵を指差し喜々として叫んでいた。

「その証拠にこの太陽を見て下さいです! こんならせん状の太陽、見たことがないです! つまり、他の惑星の絵なのです!」

「ふっ、読みが甘いな。 ファティ様」

「えっ・・・・・?」

突如、エレジタットにそう言われて、意外なところを突かれた、という顔をファティはした。

かくして、エレジタットは言った。

「宇宙人なら、この世界の言葉を知っているわけがない・・・・・。 これは、この世界の言葉を知っている宇宙人だ!」

「・・・・・あ、ああっ」

 エレジタットの力強い言葉に、ファティはよろめいた。

「・・・・・つまり――!!」

 ビシリ!! と指差し、エレジタットは言った。

「宇宙から、この世界の言葉を学びにやってきた宇宙人留学生が描いた絵だ!!!!」

 どーん、と効果音が聞こえそうなくらい、痛烈な一言だった。

 そしてさらに恐ろしいことは、ファティの言い分もエレジタットの言い分もどちらも正しくはなかったことだ。

 エレジタットに突きつけられた痛烈な言葉に、ファティは顔を白黒させた。

 がくっ! とファティは、地面に両手を突き崩れ落ちた。

「そっ、そうだったのですかっっ!?」

「・・・・・いや、違いますって」

 呆れたように、レシオンは頭を抱えた。

 もちろん、レシオン達の進む道がいつまでも無人というわけではなかった。そんなやり取りをしていたレシオン達の前に、いつのまにか魔物達がレシオン達の行く手を阻むように出現した。

「・・・・・そんなことより、あんた達もちょっとは戦いなさいよね!」

 魔物の姿を見つけた瞬間、テレフタレートは含み笑いをした。

「まあ、こんな奴ら、私一人でも充分だけどね!」

 それだけ言い残すと、テレフタレートは喜々として魔物の群れに突撃し、縦横無尽に投げ飛ばし、叩き潰した。

 そしてすべての魔物を殲滅した後、テレフタレートは右手を腰に当てて上機嫌で言った。

「まさに私の圧勝ね!」

「おまえだけで戦ったわけじゃないだろう」

「まあね!」

 ソーシャルの言葉に、満足そうにテレフタレートは頷いた。

 それから、テレフタレートはにこやかにレシオン達に笑みを向けて言った。

「でも、結局、あんた達、戦っていないわよね?」

「そ、それは・・・・・」

 思わぬテレフタレートの言葉に、レシオンは顔を上げてエレジタット達をみた。

テレフタレートほどではないにしろ、ソーシャルやファティも数体の魔物を倒していた。そして、そんな二人にルーンは回復魔法をかけている。何もしていないのは、俺とエレジタットさん、そしてフレデリカさんだけだった。

満としてエレジタットは答えた。

「わははははっ! 戦えるわけないだろう! 何故なら、我こそは、神速の剣豪・エレジタット!! 剣を使わず、『邪魔者を排除する能力』で敵を倒すことしかできない最強の剣豪だ!!」

「それのどこが最強よっ――!!!」

 テレフタレートは怒りのあまり、地団駄を踏んで叫んだ。

「――フレデリカ、さすがにあんたは戦えるんでしょうね?」

 不快な目でこちらを見るテレフタレートに、エレジタットがフレデリカの代わりに答えた。

「できるわけがないだろう! 何故なら、フレデリカは『お天気を予報する能力』と『お天気を変える能力』しかできないのだからな!」

「だから、威張って言うなぁぁぁぁぁっ!!」

 どごごっ!

 テレフタレートがいきなり拳をエレジタットに叩きつけた。たちまち床がえぐり取られ、無残な穴が開いた。エレジタットは・・・・・かろうじて生きているらしい。

 吠えまくるテレフタレートの姿を横目で見ながら、レシオンは軽く嘆息した。

やばい・・・・・。

間違いなく最悪の状況だ。

この状況ではどんなにごまかそうとしても明らかに俺は死ぬだろう。

でも、何もしなくてもこのままでは・・・・・。

「・・・・・ど、どうすれば、どうすればいいんだ」

 ドキドキうるさい胸を押さえるレシオンに、テレフタレートが激しく地団駄を踏みまくりながら迫る。

「――で、レシオンはどうなの? まさか、戦えないなんて言わないわよね?」

 テレフタレートはにっこりと、レシオンに笑みを向けてみせた。あまりにもその時の状況では考えられないようなテレフタレートのらしかぬ笑顔に、レシオンの背中に薄ら寒いものが走る。と思った瞬間、

「でやあっ!」

 いきなり、テレフタレートは拳を壁に叩きつけた。瞬く間に壁が無残にもえぐり取られる。

「言わないわよね?」

「――――――っ?!」

 絶望にうちひかれ、声を出す気力さえも失いかけていたレシオンを救い出してくれたのはソーシャルだった。

「落ち着けよ、テレフタレート」

 ソーシャルは呆れた調子でそう言った。

「今はそれどころじゃないだろう!」

「・・・・・まあ、確かにそうね。 よし、先に進むわよ!」

 テレフタレートはあっさりそう納得すると、レシオンの返事も待たずにとっとと歩き出した。

「・・・・・ほっ」

 それを見て、レシオンはホッと安堵の表情を浮かべた。






「ここが最下層みたいね!」

 そう言ったテレフタレートの向こうに広がっていたのは、薄暗い石畳の回廊だった。

 目の前の扉を凝視しながら、レシオンはつぶやいた。

「この奥に『海の秘宝』はあるのか?」

「わあっ♪ 楽しみです!」

 ファティの口から歓喜の声が漏れる。

「おい、ファティ、落ち着けって!」

「ドキドキするですね、メイル!」

 楽しいことでもあったのかとさえ感じさせる調子で言うファティに、メイルは溜息をついた。

「よし、行くわよ!」

 テレフタレートが拳を固めてやる気十分といった感じで扉をこじ開けた。

「これは・・・・・?」

扉を開け、広間に入った途端、レシオンは声を失った。

無数の死体が転がっていたのだ。

「先に『海の秘宝』を探しに行った連中みたいね。 まあ、ソクスデスはいないみたいだけど」

ざっと見て、テレフタレートが言う。

「で、肝心の『海の秘宝』はどこにあるわけ? あの絵には何かヒントは描いてないの? ねえ、ソーシャル?」

「それがやっぱり、人物らしいものとどこかここじゃない背景しか描かれていないみたいだ」

 テレフタレートの問いに、ソーシャルは困ったようにつぶやいた。

「やはり私の推理どおり、この絵は他の惑星なんです!!」

「いや、これは宇宙人留学生が描いた・・・・・」

「うるさいぁぁぁぁぁっっっ!!」

 ファティとエレジタットが思い思いの台詞を口にしていたが、後ろからペチリとテレフタレートにはたかれた。

「あんた達、いい加減に――」

 テレフタレートがそう怒鳴りかけた、そのときだった。

「貴様らも、『海の秘宝』を狙う輩か?」

 落雷のような声が、レシオン達がいる空間に(とどろ)いた。その声は決して大音量というわけではないのに、聞く者を圧倒するだけの威厳を備えていた。

 いつのまにか、目の前に二人の男が立っていた。

 一人は、漆黒のマントで全身を覆い隠している三十歳くらいの金髪の男。もう一人は彼よりもさらに二、三歳年下だろうか。青い髪に端正な顔立ちの男だった。二人の真っ赤な双眸(そうぼう)が、レシオン達を射すくめていた。

 自分が威圧されているのを半ば感じながらも、レシオンは尋ねた。

「おまえら、何者だ?」

 ぎろりと、金髪の男の真っ赤な瞳がレシオンだけに向けられる。

「ふふふふふっ」

 金髪の男は高らかと哄笑した。

「私のことを知らぬ者がいるとはな」

 (あざけ)るように言い放つと、金髪の男はマントをひるがえし叫んだ。

「私は、ダオジス=ロイド=ルイヤ。 ルイヤ家の当主だ」

「ダオジスですって!?」

 金髪の男が名乗った瞬間、テレフタレートが驚きの声をあげた。

「・・・・・こいつがダオジス」

「知っているんですか? ソーシャルさん」

 と、レシオンが問いかける。

「・・・・・あ、い、いや・・・・・」

「・・・・・?」

 レシオンは首を傾げた。

 何だかソーシャルさんにしては歯切れの悪い返答が返ってきた。

まるで禁忌に触れるかのようなソーシャルさんの態度を不思議に思っていると、「うん? 何事だ?」とダオジスの声がした。

 ソーシャルさんからダオジスへと視線を転じると、暗がりから一人の男が出てきて、何かをもう一人の青い髪の青年へ手渡しているところだった。

「ダオジス様、『海の秘宝』が見つかったようです」

「・・・・・む? そうか・・・・・。 見つかったか」

 満足そうに頷くと、ダオジスは青い髪の青年に告げた。

「イルニス、戻るぞ」

「はい」

「あっ、待ちなさいよ!」

 テレフタレートは、勢いよくダオジスに飛びかかり、力一杯彼めがけて拳を振り落とす。どごっ、と手に痺れるような手応え。

 だけど、テレフタレートが拳を振り落とした先にダオジスはなく、ただテレフタレートの拳は誰もいない床にむなしく突き出されていただけだった。

「えっ?」

「遅いな」

 ダオジスの声が、突然、レシオン達の背後から聞こえてきた。

「なっ!?」

 動揺もあらわにレシオンが叫ぶ。テレフタレートが、そしてソーシャルも息を呑んだ。そばで見ていたレシオンにもまるでわからなかった。いつのまにか音もなく、ダオジス達がレシオン達の背後へと回っていたのだ。

「戻るぞ」

 ダオジスがそう告げると、彼らはその場から姿を消した。

「待て! こらっ! 卑怯者っ!!」

 テレフタレートが右拳を突き上げて叫ぶ。

「・・・・・ダオジス」

 ソーシャルが唇を噛み締め、独り言のようにつぶやいた。

「・・・・あの、ソーシャルさん。 あのダオジスって一体、何者なんですか?」

 レシオンが聞くと、ソーシャルはいくぶんシリアスな表情で答えた。

「・・・・・あっ、いや、さあ」

 ・・・・・えっ?

 ・・・・・でも、どう見ても知っているような感じだったのにな。

「じゃあ、テレフタレートさんは何か――」

「ぐがぁぁぁ!」

 レシオンの声を打ち消すように、突然、何かの咆哮が響き渡った。

「なんだ?」

「何よ、この声?」

 と、テレフタレートが鸚鵡返しに尋ねてきた瞬間、レシオンの耳にまたその音は聞こえた。

「うおっ! なんだ、こいつは?」

「すごく大きいですね!?」

 エレジタットとフレデリカがそれを見て顔をゆがめ、うめいた。

 呆然としながらもレシオンは思った。

 外見は普通の魚のようだが、その大きさは半端ではない。頭頂部には耳なのか角なのか分からない突起物を何本か持っている。そして何より特徴的なのは、この広い広間にすっぽりとはまってしまうくらいの巨大な体。

「まるで巨大魚みたいです!」 

「・・・・・本当だな」

 と、メイルは歓喜の声を上げるファティに言った。

 確かにそうだ、とレシオンは思った。

 もちろん巨大魚なんて俺は見たことないが、もしも本当にいるのだとしたら、こんな感じの姿をしているのかもしれない。

 巨大魚に視線を上げながら、ルーンが言った。

「あの様子からすると、こちらに好意は持っていないみたいだね」

「ああ」

 ソーシャルは背中から愛用の剣を抜き払った。

 ソーシャルは確信した。

 この巨大魚は、ダオジスの手によって生み出されたものだ。そして、『海の秘宝』を求めてやってきた者達はみな、こいつにやられたんだろう。問題は、何故、ダオジスはそこまで『海の秘宝』を求めているのか、何のために求めているのか、ということだった。

「よ―し、行くわよ、ソーシャル! ルーン!」

「ああ!」

「うん!」

 テレフタレートがソーシャル達に言った。

「あっ! その前にちょっといいですか?」

 と、ファティがテレフタレートに言った。

「何よ?」

「レシオンさんに『イドラ』の力について教えておきたいです」

「・・・・・そうね。 このままじゃ、戦力外の役立たずだし、何とかしてあげてよ! その間は、私達で何とか食い止めてあげるから!」

「はいです! 頑張るです!」

「おい!」

 あまりの言われように、レシオンは叫んだ。

 ・・・・・それってかなりひどくないか。

 ってか戦力外って・・・・・。

「だって、本当のことでしょ!」

「うっ!」

 テレフタレートはきっぱりとそう言った。

有無を言わせないテレフタレートの物言いに、レシオンはそれ以上、何も言えずに言葉を詰まらせる。

「・・・・・で、肝心の『イドラ』の力についてですが、ていっ! です!」

「アプリナ?!」

 言うが早いが、ファティはメイルの背中におんぶの姿勢で飛び乗った。

「うわあっ! ファティさんがちゅちゅちゅ、宙に浮いている!?」

「ちょっと、どうなっているのよ!?」

 レシオンとテレフタレートが困惑の表情を浮かべて、ファティに顔を向けた。

「あっ、そういえば、まだ、メイルのこと、紹介していなかったですね」

「め、メイルって・・・・・!?」

「ファティ様と一緒にいる少年のことです」

 と、フレデリカがレシオンの叫びに答えてくれた。

「ですが、何故かファティ様にしか見えない不思議な少年です」

「ふうん、変わっているのね」

 テレフタレートはしぶしぶ頷いたが、しぶしぶ頷けなかった者もいた。レシオンだ。

「えええっ!? そんなことってあるのか!?!?」

「・・・・・はいです! きっと、そういうのも含めて『イドラ』の力だと私は思っているです!」

「・・・・・でも、俺も『イドラ』の力を持っているのに、メイルさんは全く見えないけれど」

「レシオンさんの力は、私とは違う力だと思うのです!」

 レシオンはすぐに「そうなんだ」とは頷かなかった。さらに困惑の表情を浮かべて、レシオンは言った。

「それって、どういうこと?」

「詳しくは分からないです」

「ちょっと、それじゃ意味ないでしょうが!」

 巨大魚の攻撃をかわしながら、テレフタレートが叫んだ。

「ただ、レシオンさんがその力を使いたいと思えば、きっと使えるです! 私の時もそうだったですから!」

「うううっ」

 ファティの言葉に、レシオンは(うめ)いた。

「使いたいと思えばいいって言われても、どうしたらいいんだ?」

「分からんのか? 未熟者め!」

 と顔をしかめて、エレジタットが言った。

「つまり、俺様を信じればいいということだ!」

「さすがです、エレジタット様!」

「・・・・・どうやったら、そういう結論になるんだ?」

 思わぬエレジタットの言葉に、メイルは顔を上げてエレジタットを見た。

 それは絶対に違うだろうけれど、それは口にせずにレシオンは言い返した。

「・・・・・それはつまり、自分を信じろって言いたかったんだよな」

「うむ。 そうとも言うな!」

 満足そうに頷くエレジタットに、レシオンは溜息をついた。

 ・・・・・いや、最初からそう言って下さい。

 レシオンは二、三度深呼吸をすると、その場で制止して精神集中してみる。

すると再び、あの時、聞こえてきた声が聞こえてきた。

『君を呼んでる・・・・・』

「俺を呼んでる?」

 言いながら、レシオンは耳を澄ませてみた。

『・・・・・やっと、会えたね。 ずっと待ち続けていたよ・・・・・』

「ずっと、待っていた・・・・・?」

「・・・・・って、また、なに独り言、言っているのよ!」

 独り言のようにつぶやき続けるレシオンに、テレフタレートは不満そうにボソリと漏らした。

『・・・・・両手を伸ばしてみて』

「手を・・・・・?」

 言われたとおり、レシオンは両手を伸ばしてみた。すると、いつも身につけている腕輪が五方形の――不思議な形の腕輪になった。

「これは――」

『時護りの腕輪・・・・・』

「時護りの腕輪・・・・・?」

 レシオンはつぶやいたが、もうそれ以上、声が返ってくることはなかった。

「あの、それは?」

 その様子を見て、フレデリカが不思議そうに訊ねてきた。

 レシオンは振り返り、答えた。

「時護りの腕輪らしいんだけど」

「時護りの腕輪!?」

「あの、時護りの腕輪か!?」

 フレデリカはエレジタットと顔を見合わせて頷いた。

「知っているんですか?」

「知らん!!」

「私も知りません」

 憮然と言い切るエレジタットとフレデリカの姿を横目で見ながら、レシオンは軽く嘆息した。

 知らないのなら、知っているみたいに言わないでほしい。

「やったですね! きっと、それがレシオンさんの『イドラ』の力ですよ! さっきの声の人も、レシオンさんにその腕輪のことを伝えることができてきっと満足です!」

「――えっ? それって、どういう意味? もしかして、ファティさんも声が聞こえたんですか?」

 意外なファティの言葉に、レシオンはまじまじとファティを見た。

「はいです!」

 ファティは深く頷いてみせた。

「これでレシオンさんも『イドラの力』を使えるはずです!」

「・・・・・使えるって言われても、って、うわあっ!」

 レシオンは驚いた。突然、身につけていた腕輪が光り出したからだ。レシオンはそのままバランスを崩し、尻餅をついてしまった。その拍子に、腕輪がまるでチャクラムのように飛んでいった。

「・・・・・すごい!」

 レシオンは感嘆の声を上げた。再び、戻ってきた腕輪をじっと見つめてみる。

「よし、これなら!」

 レシオンは両手を振りかざし、二つの腕輪を巨大魚めがけて繰り出した。光を放つチャクラムのようになった二つの腕輪が次々と、右に左に前へ後ろへと縦横無尽に巨大魚を切り裂いていく。

「やるじゃん! レシオン!」

 テレフタレートの右拳が、とどめとばかりに強烈な勢いで巨大魚の顔面に突き刺さる。うめき声をあげて、巨大魚は地面に崩れ落ちた。

「まあ、私一人でもこんな奴、楽勝だったりするんだけどね!」

「油断するな、テレフタレート!」

 はっ、と気づいたときには遅かった。

 かなりのダメージを与えたはずの巨大魚が目の前に立ち尽くしていた。テレフタレートは体を(ひね)り、巨大魚の一撃から身をかわす。だが、完全には避けられなかったのか、気がつくとテレフタレートの右肩には鋭い痛みがほとばしっていた。

 さすがのファティも驚きを隠せずにつぶやいた。

「どうなっているですか?」

「あいつには、再生能力があるみたいだな。 一撃で決めないと倒せそうもないぞ」

「じゃあ、一撃で決めないといけないですね!」

 メイルの言葉に、ファティは真剣な面持ちで巨大魚を見上げた。

「なら、私の必殺技でとどめを刺してあげるわよ!」

「無理するな、テレフタレート」

 拳を固めるテレフタレートを、ソーシャルが制した。

「何で止めるのよ!」

「おまえ、今、自分が怪我していること、忘れているだろう!」

「こんなの、かすり傷よ!」

 よろめきながらも、テレフタレートは叫んだ。

「そんなわけないだろう!」

 ソーシャルが呆れたように言うのも無理はなかった。そう叫んだテレフタレートの様子はまるでゾンビのようにふらふらだったからだ。かすり傷よ。そんな言葉が強がりであることは、レシオンにもすぐに分かる。

 息も絶え絶えで、しかし笑みを無理やり浮かべて、テレフタレートが言う。

「とにかく、こ・・・・・こいつは私が倒すんだから・・・・・!」

「テレフタレート、無理しないで! リカバー!」

 ルーンはテレフタレートに駆け寄ると、急いで回復魔法を唱え始めた。

「ルーン、テレフタレートを頼む! こいつは俺達が何とかするから!」

「で、でも、何とかってどうするですか?」

 ファティは不安そうにソーシャルに訊いた。巨大魚には再生能力があるのだ。確実に一撃で決めないと倒せないだろう。

「うーん」

 ファティの言葉に、ソーシャルは顎に手を当てて考え込んだ。でも、それはほんの一瞬のことだった。

ソーシャルはファティの顔を見て、すぐに言った。

「テレフタレートの言うとおり、一撃で倒せる技で勝負するしかない! レシオンさん、ファティさん、援護、お願いします!」

「わあっ!? 必殺技ですか!? ソーシャルさん、かっこいいです! 正義のヒーロみたいですね!!」

「あのな・・・・・ファティ、状況と場所を考えろよ・・・・・」

 目を輝かせて言うファティに、メイルは呆れたように溜息をつく。

「てぇい!」

 その間にレシオンは両手を振りかざし、二つの腕輪を巨大魚めがけて繰り出した。再び、光を放つチャクラムのようになった二つの腕輪が次々と、右に左に前へ後ろへと縦横無尽に巨大魚を切り裂いていく。

「レシオンさん、すごいです! 私達も負けていられないですよ、メイル!」

「ああ」

アプリナはカードを取り出すとそれを空に掲げた。カードから青い閃光が放たれる。瞬く間にアプリナが放った氷の渦は、巨大魚の身体を身動きができないぐらいに縛り上げていく。

「打ち消せ!」

 そこへ苛立たしげな巨大魚の咆哮を遮るように、ソーシャルが長い跳躍から長剣の一撃を放った。

「――フォリーンリーフ!!」

 ソーシャルが剣をかざして叫ぶと、虚空から無数の光の刃が巨大魚に降り注いだ。とても避けきれる数ではない。

「ぐがぁぁぁ・・・・・」

 それだけつぶやくと、巨大魚はその場に崩れ落ちた。

「すごい!」

 レシオンは思わず(ひね)った。

「・・・・・でも」

 と、レシオンはエレジタットを見た。

「わはははっ! さすがだな、ソーシャル! だが、俺様は別におまえの助けなどなくとも勝てたのだぞ! ただ、論功行賞の精神にのっとってだな・・・・・!」

 エレジタットは傲然と胸を張って言い放った。

「そうだったのですか! さすが、エレジタット様です!」

「エレジタットさんは何もしていないのに・・・・・」

 フレデリカさんの歓声にかぶせるように、レシオンはほそっとつぶやいた。

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