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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第2章 奴隷の子

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第8話 おもらしする(していない)0歳児


 ランドさんの手術の翌日。


 僕は頬に触れる不快感で目を覚ました。

 厳密にいえば、ふにょふにょしてて触り心地はいい。ずっと触っていたくなる。

 しかし、冷たいのだ。濡れているのだ。それだけで、目を覚ますのには十分なほど不快だった。


「むぅ……これは……?」

「…………」


 頭を起こし、自分の頬があった場所に目をやる。

 母様の胸。そこを中心に広い範囲で濡れていた。

 これは……もしや……いや、まさか……!


「おっはようございます! イクラウス様ぁっ! いい朝ですよぉー!」

「――――ッ!?」

「おやおやん? これはこれはぁっ!」

「落ち着け。あと朝からうるさい」


 タイミング悪く神官メイドが部屋に入ってきた。しかも今日の担当は非常にうるさいタイプのメイドさんだ。

 これは決しておもらしではないというのに、この状況を見たら誰だって勘違いしてしまう。実によくない流れだ。


「あはっ! うふふ! もう、イクラウス様ったらやっちゃいまったねっ!」

「違う。おもらしではない。これは涙だ」

「まったまたぁ~! ごまかさなくてもいーんですよっ!」

「ごまかしではない。純然たる事実だ」


 確かに、状況としてはおもらしをしたように見えるだろう。

 僕が子どもだということも、おもらしではという疑いに拍車をかける。

 しかしこれは断じておもらしではないのだ。


「私、安心しました。イクラウス様が子どもらしいことをするの、初めて見ましたので」

「……そうか」


 このうるさいメイドも僕のことを気にかけてくれてはいる様子。

 その気遣いはありがたく――。


「まっ! その初めてがおもらしとは思わなかったですがっっ! あっはっはぁー!」

「だからっ! これは昨夜母様と感動の再開を果たしたときの涙で――」

「そーなんですね! では聖女様のお着替えをさせていただきますので向こうを向いててくださいなっ!」

「話を聞けっ!」

「聞いてますよぉ~♪ 聖女様が終わったらイクラウスちゃん――様のお着替えしますからね~♪」

「……自分でできる」


 無駄なことをするのは得策ではない。このメイドのことは放っておいて寝間着を着替えることにする。


 しかし、この時の僕は考えが甘かったのだ。

 このメイドの考えをしっかり正さなかったことが、後に大きな禍根を残すことになるとは。




 ◇◇◇◇◇◇


「くっくっくっ。聞きましたよ、坊ちゃん。おもらししてしまったと」

「…………」


 広まった。小一時間ほどで。

 ゲオルディクスの前にも、別の神官メイドや兵士たちがニヤニヤしているのを見た。

 弁明するたびにその笑みの深さが増すのも見た。


「私はむしろ安心しましたよ。坊ちゃんが年相応の行動もするようで」

「余はむしろ憤慨している。誰も話を聞いてくれない。あれは、涙であると」

「くっくっくっ! そうですかそうですか! くーっくっくっくっ!」

「ゲオルディクスぅぅぅ……!」


 こいつも言い訳だと思っている様子。


「もう嫌だ。ちゃんと言うことを聞いてくれる人がいい」

「くっくっくっ……ふむ。確かにそうですね」

「おぉ、ようやく信じてくれたか。あれは涙であると」

「いえ、そちらではなく。話を聞いてくれる人――というより、話を()らさない人間、ですね」

「ふむ?」


 現状僕と母様のお世話は神官メイドたちが日替わりの順番で担ってくれている。つまり専属のメイドは今はいない。

 ゲオルディクスの言う通り、小一時間で神殿中におもらしのことが回りきってしまうような状況では困る。


「私も聖務がありますので、毎回聖癒(せいゆ)に顔を出せる訳ではありません。昨日のように外部に漏らせないような治療を施すのであれば、口の堅い付き人は必要でしょう」

「……確かに、な」


 ゲオルディクスにも昨日の施法については教えていない。

 この世界では病気やけがの治療は魔法で行うのが一般的で、外科手術は外法と言われているのだ。

 解剖図も禁書の棚にあったほどである。


「奴隷を使う、というのも1つの手ですな」

「奴隷?」

「闇魔法による奴隷契約――主従関係を結ばせ、主の意にそぐわない行動を強制する魔法を施す召使いのようなものです。奴隷や闇魔法と聞くと、外聞はよろしくはありませんが……案外活用されているとも聞きます」

「ふむ」

「例えばとある国では重要な情報の伝達係としても用いているそうです。絶対に秘密を()らさない伝達者として。中には貴族並みの待遇を受けていらっしゃる場合も」

「……なるほどな。確かに魔法で契約させれば機密は漏れない、と」

「はい。ですが、一般的には罪を犯したり、借金などのやむを得ない事情を抱えた方が落とされる身分。自由を奪われ、時に辱めをうけることもある。そういった事情もあって教会では奨励されてはおりませんが……」


 奴隷、か。どうやら想像通りの存在ではあるらしい。

 どうもその単語を聞くと禁忌感を抱いてしまうが、しかし今後、例の聖癒(せいゆ)について洩らさないサポート役も必要となるかもしれない。

 あと漏らしたとか言わないメイドさんも必要だ。


「……こちらで少し探してみましょうか、奴隷候補」

「いいのか? 教会は推奨していないのだろう?」

「そこはどうとでも。救済とか慈悲とか言えば問題ないでしょう」


 こいつ、本当に教皇か?

 こいつ……本当に、教皇か?

 しかし背に腹は代えられない。いい感じの奴隷候補がいればそれも良い。


「……よきにはからえ」

「くっくっく、かしこまりました」


 後日ゲオルディクスが性奴隷を探しているとの悪評がたった。

 ドンマイ。


 

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