爺様たち
※主人公以外の視点の話になります。
「ランド殿、もう行かれるのですか?」
「ゲオルディクス様。はい、聖子様のお休みをお邪魔する訳にはいきませんし、それに――」
「それに?」
「再び聖子様のお顔を目にすれば、このあふれる思いを抑えられないでしょう」
「くっくっく、それはそれは……おかえりいただいた方がよろしいかもしれませんねぇ」
「そうでしょう。しかし、まさか本当にこのような元気な体にしていただけたこと、感謝の思いに堪えません」
「感謝をするのはこちらも同じです。あのような怪しげな提案に乗っていただき……こう言っては何ですが、よく乗りましたね」
「ほっほっ。先にも申しましたが、聖子様の熱意に触れましたから。であれば、老骨のすべきは未来の礎になること。例え失敗しても、です」
「ランド殿……」
「それに、ゲオルディクス様も同じ気持ちでは? 例えあの書類があったとしても、教会で人死にがあったとすれば大事に――あなたの立場、進退に大きな影を落とす」
「…………くっくっくっ。さすがは世界に名を轟かせた大商人様。お見通しでございますか」
「ほっほっほっ。そして彼は成し遂げた。前代未聞、聖女さえ成し遂げられなかった奇跡を。まぁ、その第1歩が腰痛の治療というのがなんとも締まらないですがね」
「くっくっくっ、その通りですな」
「大きな利を得るためには、時に大きな賭けに出る必要がある。私も、貴方も、そして何より聖子様も見事に勝利を手にしました」
「ええ。改めてありがとうございます。ランド殿」
「ゲオルディクス様、よくぞ最初の“聖癒の待ち人”に私を選んでくれました。あなたの英断に心から敬意を表します」
「くっくっくっ」
「ほっほっほっ。それでは私はこれにて――おっと、大切なことを忘れておりました。私は再び世界各地を歩き回って商いをするつもりでございますが、入り用の物がありましたら何なりとお申し付けください。滞在先を移すたびにご連絡させていただきますので」
「おぉ、それはありがたい。坊ちゃまもここを離れる機会はあまりありませんからな。特に食材、肉の類は喜ぶかと。ああ見えてよく食べますし」
「それは良きことですな。しかしゲオルディクス様は本当に聖子様をかわいがられているようで。それとも、お忙しいはずの教皇様の業務に聖子様の嗜好の把握も含まれておいでで?」
「……まいりましたな。私もね、かわいくてしょうがないのですよ、あの坊ちゃまが。突拍子もないことに振り回されるのもまた、悪くない。孫がいればこんな感じか、とね」
「ほっほっほっ! わかります、わかります。では、僭越ながら…孫を持つ先達者として1つだけアドバイスをさせてもらってもよろしいですかな?」
「くっくっくっ。なんでしょう」
「その笑い方、控えた方がよろしいかと」
「…………」
「…………」
「…………癖なんですよ、若いころからの……」
「…………左様でございますか」
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