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聖女から生まれました~母様に代わって聖魔法による慈悲と裁きを施しましょう。闇魔法?つ、使ってないよ?(洗脳魔法発動)~  作者: たゃんてゃん
第1章 聖なる子どもイクラウス

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第5話 怪しげな書類作成を依頼する0歳児


「ふわわわぁぁぁ~」


 昨日は夜遅く……というかつい先ほどまで本を読んでいたため、非常に眠い。

 つい子どもらしからぬあくびをしてしまった。


「かわいらしいあくびですね、坊ちゃま」

「ゲオルディクス……」


 老獪(ろうかい)なる狸にとってはかわいいあくびだったらしい。


「昨夜はずいぶん遅くまでゴレイヌとともに書庫にいらっしゃったようですね。何を探していたのですか?」

「今日の治療に関係するものです。それよりも、お願いしていた書類はできましたか?」

「それはもちろん。しかし何やら物騒な物でしたな……おかげで部下には任せられませんでしたよ」


 ゲオルディクスが直接作成してくれたらしい書類。

 パラパラとそれを確認しているうちに、部屋がノックされる。


「聖子イクラウス様、教皇ゲオルディクス様。ランド・フリークス様をお連れしました」

「うむ、お入れしろ」

「はっ!」


 案内してくれた神官に声をかけると、昨日同様腰を折り曲げているご老人、ランドさんが入ってきた。


「連日のご訪問をお許しいただき、感謝申し上げます」

「よい、余から願い出たものである」

「ほっほ、既にその喋り方も様になっておりますなぁ」


 だったらその生温かい笑顔はやめていただきたい。

 威厳あふれる言葉、せめて最初と最後くらいは頑張るようにとゲオルディクスに注意されたのだ……。


「ランドさ――どの。もしも……もしもその腰の不調が完治するとしたら、いかがいたしますか?」

「ほ? 何を……」

「完治するとしたら、何を捧げられますか?」


 何もいたずらに聞いているのではない。不用意な希望を抱かせる訳でもない。

 ただ、できることだけを尋ねているにすぎない。

 彼、ランドさんにもそれが伝わったようだ。優しい目つきが、獲物を狙うような鋭いそれになる。


「……もしもこの腰が治り、再び世界を駆け回って商売をすることが出来るのであれば……聖子様に生涯の忠誠を――」

「…………」

「――いえ、聖子様とその偉大なる母君、聖女フルルーチェ様にすべてを差し出しましょう」

「うむ」


 それでいい。僕が求めるのは、母様の名声ただ1つ。

 史上最高最かわ、そして名前までかわいい母様のためにも。


「ではこちらの書類に署名を」

「はい……やや? これは……『手術同意書』とな? こちらは『死亡時及び後遺症発症時の免責同意書』? 加えて『遵守事項宣誓書』? これはこれは……」


 黙して書類の中身を読み込むランドさん。

 具体的な方法は記載していないが、それぞれ死亡する可能性や後遺症が発生する可能性、この手術を行うにあたって守ってもらいたいこと――機密の保持などに同意してもらうための書類。


「くっくっく……」

「…………」


 ゲオルディクスも、よくこんな怪しげな同意書を作ってくれたもんだ。

 当初僕が頼んだことだけでなく、追加されていることもあるし。

 そんなゲオルディクスとの昨日の会話を思い出す。


『――といった内容の書類を作成して欲しいのですが』

『ふむ……やはりあなたは……得体のしれない……』

『…………』

『いえ、いいでしょう。私もお手伝いさせていただきます……これは金になりそうだ。くっくっく……』


 最後の黒い笑みもしっかり見えてるし聞こえていた。

 さすがに突然あんな書類の作成を依頼する0歳児など得体が知れなくて当然ではあるが、金には代えられなかったようだ。

 聖女及び聖子による治療、結構な金を取るらしいからね……。


「――よし、いいでしょう!」

「え、いいんですか?」

「もちろんです! この腰が治る可能性が少しでもあるのなら、それに賭けない理由はありません。それに……」

「それに?」

「イクラウス様のことを信じておりますれば」


 その言葉を聞いたとき、突風が吹いた気がした。

 もちろん室内だからそんな風は吹かない。

 だが、確かに吹いた。心を大きく揺さぶった。


「幼いながらも、決意に満ちあふれたその目。強い思いの根底にある慈悲の心。私、人を見る目には少々自信がありますので」

「僕の持てる全力を尽くして治療にあたること、母様に誓います」

「ほっほ! その言葉が最も安心できますな!」


 これで準備は整った。

 後は――。


「それでは坊ちゃま。それにランド殿。私は1度退出させていただきます」

「おや、教皇様は立ち会われないのですか?」

「はい、そういう話でしたので。それでは……」


 そう言って部屋を出るゲオルディクス。

 部屋にはランドさんと僕の2人だけ。


「教皇が立ち会われないこと、不安になりましたか?」

「ほっほっ! 逆ですわい! 教皇にも見せられないほどの奇跡、それを見られるということでしょう?」


 この爺様は……まったく、肝が据わっていらっしゃる。


「さすがです。その胆力に敬服いたします。ですが――」

「むむ?」

「残念ながら、お見せすることはできません」


 教皇にも、ランドさんにも。

 もしかしたら母様にも。今から行うことは見せられない。


 だが、人を救い、それがやがて母様のためになるはず。

 だから、僕はやり遂げる。


「それでは……母様に代わり、慈悲深き光を――」

「おぉ……」

「おやすみなさい」

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